■シンバイオ製薬<4582>のその他のパイプラインの動向
1.「トレアキシン(R)」(一般名:ベンダムスチン塩酸塩)
「トレアキシン(R)」は悪性リンパ腫向けの抗がん剤である。悪性リンパ腫とは白血球の一種であるリンパ球ががん化(腫瘍化)し、リンパ節や臓器にかたまり(腫瘤)ができる病気で、全身に分布するリンパ節やリンパ節以外の臓器(胃、腸、甲状腺、脊髄、肺、肝臓、皮膚、眼など)からも発生する。血液がんの中で最も多い疾患で、国内における年間発生数は3万人を超えており、治療が必要とされる患者数も高齢者人口の増加に伴って、緩やかに増加していくと予想されている。悪性リンパ腫は主にホジキンリンパ腫(HL)と非ホジキンリンパ腫(NHL)に分かれており、日本では約90%がNHLで占められる。また、症状の進行速度によって低悪性度、中悪性度、高悪性度に分類され、様々な病型がある。
(1) 適応症の拡大
同社は「トレアキシン(R)」の販売戦略として、段階的に適応症の拡大に取り組んできた。2010年10月に再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)の販売承認を得たのを皮切りに、2016年8月に慢性リンパ性白血病(CLL)、同年12月に未治療(初回治療)の低悪性度NHL/MCLの販売承認を取得した。また、2018年7月には日本血液学会が発行した造血器腫瘍診療ガイドラインに「トレアキシン(R)」とリツキシマブの併用療法(BR療法)が新たに収載され、既承認のすべての適応症において標準的治療の選択肢として推奨されることになり、名実ともに「トレアキシン(R)」が悪性リンパ腫における標準療法として位置付けられることとなった。
そのほか、低悪性度NHLの代表的な組織型であるCD20陽性の濾胞性リンパ腫(FL)に対して、リツキシマブのみならず新規の抗CD20抗体製剤との併用に係る一部変更承認を2018年7月に取得し、オビヌツズマブ※1との併用療法が治療選択肢として加わったほか、腫瘍特異的T細胞輸注療法※2の前処置に関する一部変更承認を2019年3月に取得し、国内初のCAR-T療法※3「キムリア(R)点滴静注※4」の前処置として「トレアキシン(R)」の使用が可能となった。
※1 オビヌツズマブ(「ガザイバ(R)」:販売元 中外製薬<4519>):NHLの治療薬として国内外の治療ガイドラインで推奨されているリツキシマブと同様、幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するタンパク質であるCD20に結合する、糖鎖改変型タイプII抗CD20モノクローナル抗体で、標的となるB細胞を直接、及び体内の免疫系とともに攻撃し、破壊する。
※2 腫瘍特異的T細胞輸注療法:がん患者自身のT細胞(リンパ球の一種)に、体外で人工的にがん特異性を付与し、増幅させた後に患者に投与する療法。
※3 CAR-T療法(キメラ抗原受容体T細胞療法):腫瘍特異的T細胞輸注療法の中でも、腫瘍細胞上の膜抗原を認識する抗体の抗原結合部位とT細胞受容体の細胞内ドメインを組み合わせたキメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor;CAR)をコードする遺伝子をT細胞に導入して増幅・輸注する療法。
※4 キムリア(R)点滴静注(一般名 チサゲンレクルユーセル:販売元 ノバルティスファーマ(株)):国内で初めて承認されたCAR-T療法で、再発・難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)及び再発・難治性のCD19陽性のDLBCLを適応症として2019年3月に製造販売承認を取得した。
さらに2021年3月に、再発・難治性DLBCLに関する販売承認を取得※1、BR療法に加えて、中外製薬が開発を進めていたポラツズマブ ベドチン※2とBR療法の併用療法(P-BR療法)が承認されたことにより、対象患者数も従来に比べ大きく拡大することとなった。今後は副作用が少なく有効性の高いBR療法やP-BR療法が、標準療法として浸透していくものと考えられる。なお、BR療法とP-BR療法のどちらを選択するかは、患者の症状や遺伝子のタイプ等によって医師が判断していくことになる。
※1 未治療のDLBCLに対する標準治療はリツキシマブと化学療法の併用療法が実施されているが、約40%の患者が再発している。また、再発・難治性のDLBCLに対する治療法の1つとして、自家造血幹細胞移植(ASCT:autologous stem cell transplantation)の実施が推奨されているが、その約半数はASCT実施前の救援化学療法が奏効せず、ASCTが実施できていない。さらに、年齢や合併症等でASCTの適応とならない患者も多く、標準治療はまだ確立されていない。
※2 ポラツズマブ ベドチン:米国Seattle Genetics<SGEN>のADC(Antibody-Drug Conjugate:抗体薬物複合体)技術を使用してRocheが開発した、ヒト化抗CD79bモノクローナル抗体とチューブリン重合阻害剤をリンカーで結合させた抗CD79b抗体薬物複合体。CD79bタンパクは多くのB細胞で特異的に発現しており、新たな治療法を開発するうえで有望なターゲットとなっている。ポラツズマブ ベドチンは正常細胞への影響を抑えつつCD79bに結合し、送達された化学療法剤によりB細胞を破壊すると考えられている。
なお、「トレアキシン(R)」の液剤タイプであるRTD製剤が2021年1月から販売開始となり、同年12月にはFD製剤からすべて切り替えを完了した。また、RI投与については2022年2月に販売承認を取得しており、2023年12月末時点で全体の90%がRI投与に切り替わっている。RI投与は静注時間を従来の60分から10分に短縮することで、医療従事者及び患者の負担を大幅に軽減できることになるためだ。
(2) 後発医薬品の影響について
2022年2月、RTD製剤を先発医薬品とする後発医薬品について4社(東和薬品<4553>、ファイザー(株)、Meiji Seikaファルマ(株)、コーアイセイ(株))が販売承認を取得したことを発表した。また、このうち東和薬品とファイザーが同年11月にRI投与での販売承認を取得したことも発表している。2022年6月より東和薬品が販売を開始したのに続き、同年12月よりファイザーが販売を開始している。2022年までは販売面での影響がほとんどなかったものの、2023年1月時点で90%超あった同社のシェアが、同年12月には約60%まで低下し徐々にシェアが侵食される状況となっている。薬価が先発品の約43%と薬価差が大きかったことに加え、ファイザーが発売を開始したことが影響したと見られる。とは言え、その他の抗がん剤のケースと比較すると後発品発売以降のシェア低下スピードは緩やかとなっている。これはKOL及び全国の血液内科医療従事者と広範なネットワークを構築し、定期的にセミナーを開催するなどして最新の情報提供を行ってきたことや、先発品としての安全性の高さが評価されているものと考えられる。また、薬価差は大きいものの、抗がん剤の価格としては低価格帯にあり、医療機関の購入基準として薬価のプライオリティが比較的低いことも一因と同社では見ている。
なお、同社は後発医薬品を発売した2社に対して、ライセンス元であるイーグル社と共同で特許権侵害に基づく後発医薬品の製造販売差止及び損害賠償請求を2022年12月に東京地方裁判所に提訴したが、最終的な判決結果が出るまでにはしばらく時間を要すると見られ、「トレアキシン(R)」については今後も緩やかにシェアが低下していくと同社では想定している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
■Synbio Pharmaceuticals的其他产品线趋势<4582>
1。“曲拉辛(R)”(通用名:盐酸苯达莫司汀)
“Treaxine(R)” 是一种治疗恶性淋巴瘤的抗癌药物。恶性淋巴瘤是一种淋巴细胞(一种白细胞)变为癌(肿瘤)并在淋巴结或器官中形成肿块(肿瘤)的疾病,也来自分布在全身和淋巴结(胃、肠、甲状腺、脊髓、肺、肝脏、皮肤、眼睛等)以外的器官的淋巴结。它是血液癌中最常见的疾病,日本每年的病例数超过30,000例,随着老年人口的增加,预计需要治疗的患者数量将适度增加。恶性淋巴瘤主要分为霍奇金淋巴瘤(HL)和非霍奇金淋巴瘤(NHL),NHL约占日本病例的90%。此外,根据症状进展的速度,它们被分为低级、中级和高度恶性肿瘤,并且有多种疾病类型。
(1) 扩大适应症
该公司一直在努力逐步扩大适应症,作为 “treaxine(R)” 的销售策略。从2010/10年度获得复发和难治性低度非霍奇金淋巴瘤(NHL)和套细胞淋巴瘤(MCL)的销售批准开始,慢性淋巴细胞白血病(CLL)于2016/8年度获得销售许可,未经治疗(初始治疗)的低度NHL/MCL于同年12月获得销售许可。此外,在2018/7年,“曲阿辛(R)” 和利妥昔单抗的联合疗法(BR疗法)被新纳入日本血液学会发布的造血肿瘤治疗指南,并被推荐作为所有批准适应症的标准治疗选择,“曲拉辛(R)” 在名称和现实中都被定位为恶性淋巴瘤的标准疗法。
此外,对于CD20阳性滤泡淋巴瘤(FL)(一种代表性的低度非霍乱组织学类型),2018/7年,不仅与利妥昔单抗,还与一种新的抗CD20抗体制剂联合使用获得了部分变更批准,并增加了使用obinutuzumab*1的联合疗法作为治疗方案,并批准了与肿瘤特异性T的预治疗相关的部分变化细胞输液疗法*2 于2019/3年获得,这是第一种CAR-T疗法*3 “kimria(R)输液” 现在可以使用 “曲氨酸(R)” 作为“静脉注射*4” 的预处理。
*1 Obinutuzumab(“Gazaiba(R)”:分销商中外制药 <4519>):与国内外治疗指南推荐的利妥昔单抗类似,它是一种糖链改性II型抗CD20单克隆抗体,可与CD20(一种在干细胞和浆细胞以外的B细胞上表达的蛋白质)结合,直接攻击和破坏靶向体内的 B 细胞和免疫系统。
*2 肿瘤特异性 T 细胞输注疗法:一种将癌症患者自身的 T 细胞(一种淋巴细胞)人为地赋予体外癌特异性、扩增然后给患者注射的疗法。
*3 CAR-T疗法(嵌合抗原受体T细胞疗法):在肿瘤特异性T细胞输注疗法中,一种将编码嵌合抗原受体(CAR)的基因结合位点(可识别肿瘤细胞上的膜抗原)和T细胞受体的细胞内结构域引入T细胞并扩增和注射的疗法。
*4 Kymuria(R)静脉输液(通用名chisagenlecle eucel:分销商诺华制药有限公司):这是日本批准的首款CAR-T疗法,使用复发性和难治性CD19阳性B细胞急性淋巴细胞白血病(B-ALL)和复发性和难治性CD19阳性DLBCL作为适应症于2019/3年获得生产和销售许可。
此外,2021年3月,复发性和难治性DLBCL*1获得了销售许可,除BR疗法外,中外制药正在开发的波拉妥珠单抗vedotin*2和BR疗法的联合疗法(P-BR疗法)也获得了批准,因此与过去相比,目标患者数量也显著增加。据认为,BR疗法和P-BR疗法几乎没有副作用且非常有效,将来将作为标准疗法推广。注意,是选择 BR 疗法还是 P-BR 疗法将由医生根据患者的症状、基因类型等来决定。
*1 未经治疗的 DLBCL 的标准治疗是利妥昔单抗和化疗的组合,但大约 40% 的患者复发。此外,建议实施自体造血干细胞移植(ASCT:自体干细胞移植)作为复发性和难治性DLBCL的一种治疗方法,但是ASCT之前的缓解化疗对大约一半的患者无效,并且不能进行ASCT。此外,还有许多患者由于年龄或并发症等原因没有资格接受ASCT,标准治疗尚未确定。
*2 Polatuzumab vedotin:罗氏使用美国西雅图基因公司<Sgen>的ADC(抗体-药物偶联物:抗体-药物偶联物:抗体-药物偶联物)技术开发的抗CD79b抗体复合物,其中人源化抗CD79b单克隆抗体与带有连接剂的微管蛋白聚合抑制剂结合在一起。CD79b蛋白在许多B细胞中特异性表达,使其成为开发新疗法的前景靶标。Polatuzumab vedotin 与 CD79b 结合,同时抑制对正常细胞的影响,并被认为会通过递送的化疗药物摧毁 B 细胞。
此外,液体类型的 “曲霉素(R)” 的RTD制剂于2021年1月开始销售,所有FD配方的切换均于同年12月完成。此外,注册研究所管理的销售批准在2022/2年获得了,截至2023/12年底,总数的90%已转移到罗得岛管理部门。这是因为通过将静脉输液时间从传统的60分钟缩短到10分钟,RI给药可以极大地减轻医护人员和患者的负担。
(2) 仿制药的作用
2022年2月,宣布4家公司(东和制药<4553>、辉瑞公司)、明治制药株式会社和小井成株式会社)已获得使用RTD制剂作为起始药物的仿制药的销售许可。此外,还宣布,其中,东和制药和辉瑞于同年11月获得了罗得岛管理的销售许可。继东和制药于2022/6年开始销售之后,辉瑞于同年12月开始销售。尽管直到2022年才对销售方面几乎没有影响,但该公司的市场份额在2023/1年度已超过90%,在同年12月下降至约60%,市场份额逐渐受到侵蚀。除了药品价格存在巨大药品价格差异约为起始产品的43%之外,辉瑞开始销售的事实似乎也产生了影响。尽管如此,与其他抗癌药物相比,自仿制药发布以来的市场份额下降速度有所放缓。据认为,已经与来自全国各地的KOL和血液学卫生保健工作者建立了广泛的网络,并且通过定期举办研讨会等方式提供了最新信息,并对作为起始产品的高安全水平进行了评估。此外,尽管药品价格相差很大,但该公司认为抗癌药物的价格处于低价区间,作为医疗机构的购买标准,药品价格的优先级相对较低。
此外,该公司于2022/12年度向东京地方法院对出售仿制药的两家公司提起诉讼,要求取消仿制药的生产和销售,并与许可来源Eagle合作,以专利侵权为由要求损害赔偿,但最终判决结果似乎需要一段时间才能公布,该公司假设 “曲拉辛(R)” 的市场份额未来将继续温和下降。
(作者:FISCO 客座分析师佐藤乔)