■新中期経営計画
2. 新中期経営計画「第2フェーズ」
内外の環境変化に加えて、「第1フェーズ」が好調に終わったこと、ピークが2027年に後ずれするなど想定以上に都市再開発の事業環境が良好なこと、2024年問題を前に着実に対策を講じてきたことなどを受けて、「第2フェーズ」となる4ヶ年の新中期経営計画を策定、2024年4月にスタートした。「第2フェーズ」で日本電技<1723>は、成長基盤の拡大と生産性の向上を図るため、戦略的な人材の確保、育成、活用や協力会社の体制強化など人的資本の強化、および生産性向上に向けたDX推進への積極的な投資を実行していく考えである。特に中長期的な課題である人手不足に対しては、積極的に対処していく方針である。2024年4月の残業上限規制適用開始に対しては、施工余力や収益性、竣工後のメンテナンス契約可否を勘案した選別的な受注活動を継続するとともに、人材確保や人材育成、DX推進による生産性の向上を推進する方針である。人材育成に対しては、人材教育の専門部署「電技アカデミー」を2024年4月に開設した。新卒社員は本来1ヶ月の研修後に現場でのOJTが課されるのだが、現場が繁忙を極めていることもあり、本社の「電技アカデミー」で1年間集中して研修することで、効率的に新卒社員の、ひいては若年層の施工品質を引き上げ、さらには早期戦力化と離職の防止につなげていく方針である。さらに、「電技アカデミー」を協力会社の人材育成や基盤強化にまで広げ、同社の中長期成長を下支えていくことも考えている。
財務目標としては、2028年3月期にROE10%以上、売上高420億円(空調計装関連事業360億円、産業システム関連事業60億円)、営業利益65億円を目指す。空調計装関連事業が業績をけん引し、産業システム関連事業も増益体制を構築するというシナリオだが、利益については大きく伸びない予想となっている。これは、「第1フェーズ」の段階ですでに「ND For The Next 2030」の当初目標値をクリアするなど利益が非常に高い水準にあること(原材料高や円安のなかでもあり、こうした高い利益水準を維持すること自体、難易度が高いと思われる)、人的資本の強化に向けて先行的に資金を投入することが背景にある。これにより、「第3フェーズ」での飛躍や長期経営指針「ND For The Next 2030」の達成につなげていく考えである。
非財務目標としては、引き続きサステナブルな企業経営を目指し、ESG経営を加速する計画である。E(環境)では、気候変動に対応する取り組みを加速、TCFD※1に基づいた情報開示及びパリ協定が求める水準と整合したSBT※2目標の設定を目指す。そのため、2023年10月に脱炭素社会実現へ貢献することを目的に気候変動対応プロジェクトチームを設置し、グループの温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1~3)の算定を開始、SBT目標を設定してSBTの認定取得を目指す。S(社会)では、中長期戦略として人的資本の充実と人材力の最大化を掲げ、多様な人材が活躍できる職場づくりを目指して社内環境を整備し、採用拡大や離職率の低下を図り2030年度までに1,100人体制を目標としている。そのため、「電技アカデミー」の活用や初任給・ベース年収など賃金の改定、人事制度の見直しなどを進め、また、男子プロバスケットボールチーム「千葉ジェッツ」とのオフィシャルパートナー契約で認知度やモチベーションの向上を図っていく。G(ガバナンス)では、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向け、コーポレートガバナンス・コードに準拠した実効性のあるガバナンス体制を目指す。そのため、英文開示や取材対応の充実、コーポレートコミュニケーション課を軸としたIR※3体制の充実に加え、資本コストや株価を意識した経営の推進を図る。
※1 TCFD:金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォースで、各企業に気候変動に対する取り組みの計画や現状を具体的に開示することを推奨している。
※2 SBT(Science Based Targets)認証:パリ協定と整合性のあるGHG排出削減目標を立てていることを示す国際認証。
※3 IR(Investor Relations):企業が株主や投資家に対して、財務状況など投資判断に必要な情報を提供する活動。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
■新中期经营计划
2. 新的中期经营计划“第2阶段”
由于内外环境的变化,“第1阶段”的良好表现以及2027年高峰后移等因素使城市再开发业务环境比预期好转,所以该公司制定了为期四年的新中期经营计划“第2阶段”,并于2024年4月启动。在“第2阶段” 中,为了扩大增长基础和提高生产力,该公司将实施战略人才的获得、培育、利用以及与合作公司加强体制等方面的人力资本强化,并积极投资于实施生产力提高的DX推进。特别是针对中长期的人手不足等问题,该公司将积极解决。对于2024年4月开始实施的加班上限规定,该公司将继续开展有选择性的接受订单活动,考虑施工余力、盈利能力和竣工后的维修合同,并推进人才获得、人才培养、DX推进等方面的努力以提高生产力。对于人才培养,该公司在2024年4月成立了人才教育专业部门“Denki Academy”。“Denki Academy”的新员工原本要在接受为期1个月的培训后,进行现场的OJT,由于现场非常繁忙,因此公司决定让他们在“Denki Academy”集中进行为期1年的集中培训,以高效地提高新员工的、进一步提升年轻人的施工品质,并实现早期战斗力和防止离职的目标。此外,该公司还考虑将“Denki Academy”扩展到协作公司的人才培养和基础设施强化,为该公司的中长期增长提供支持。
财务目标是,在2028年3月期内,ROE达到10%以上,营业收入达到420亿日元(空调计装业务360亿日元,工业系统业务60亿日元),营业利润为65亿日元。空调计装相关业务将推动业绩,建立增益体制,而工业系统相关业务则预计利润增长有限。这是因为利润已经处于非常高的水平,例如在“第1阶段”阶段,已经达到了“ND For The Next 2030”的最初目标值等,这个高利润水平的保持本身就非常困难(即使在高原材料费和日元贬值等方面,也是如此)。 因此,该公司将先行投资于人力资本的强化,并制定计划以促进“第3阶段”的飞跃和实现长期经营指导方针“ND For The Next 2030”。
非财务目标是继续推进可持续的企业经营,加快ESG经营。在环境方面,该公司将加速应对气候变化,以TCFD为基础披露信息,并设定符合SBT要求的目标。因此,该公司于2023年10月设立了应对气候变化项目团队,以实现对脱碳社会的贡献,开始计算集团的温室气体(GHG)排放量(范围1-3),并设定SBT目标,力争获得SBT认证。在社会方面,该公司将人力资源的充实和人力驱动的最大化作为中长期策略,以建立多元化的员工可以活跃的工作场所为目标,整备内部环境,加强招聘和降低离职率,将员工总数的目标定为1100人制,以2030年度为目标。因此,该公司已经在人才培养方面采取了行动,设立了人才教育专业部门“Denki Academy”。该公司不仅会推动“Denki Academy”的利用,重新确定新员工的薪酬包括基础年薪,也会进行人事制度的审查,同时,通过与男子职业篮球队“千叶Jets”的官方伙伴关系提高认知度和士气。在G(公司治理)方面,该公司将实现符合企业价值的持续增长并开创中长期的企业价值提升,发力于符合公司治理守则的有效治理体制。因此,公司将强化英文披露和采访响应的团队,加强企业通信部门,推进IR体制,意识到资本成本和股票价格并推动经营。
※1 TCFD:财务稳定理事会(FSB)设立的气候相关财务信息开示任务力量,推荐各企业具体披露应对气候变化的计划和现状。
※2 SBT(Science Based Targets)认证:证明企业制定的减排目标与巴黎协定一致的国际认证。
※3 IR(投资者关系):公司向股东和投资者提供必要的财务信息等投资判断所需信息的活动。
(作者:华富证券客座分析师宫田仁光)