■業績動向
1. 2024年3月期の業績概要
いい生活<3796>の2024年3月期の業績は、売上高が前期比4.1%増の2,808百万円、EBITDAが同3.5%減の658百万円、営業利益が同24.9%減の176百万円、経常利益が同11.6%減の208百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同7.6%減の146百万円となった。
2024年3月期の売上高は順調な成長を示した。特に、エンタープライズ企業への新規導入や既存顧客へのアップセル・クロスセルの効果により、SaaSの月額利用料収入が前期比7.6%増の2,435百万円と堅調に推移した。平均顧客単価も引き続き上昇傾向にあり、サブスクリプション売上は好調を維持した。一方、ソリューション売上は前期と比べて減収となった。これは、不動産賃貸管理業を中核とする大規模エンタープライズ企業向けのプロジェクトに注力した結果、案件の大型化や要件の複雑化、期間の長期化が生じたためである。いくつかのプロジェクトでは部分的に納品・売上計上が行われたが、当初予定よりも後ろ倒しされており、一部の案件は次年度以降に持ち越された。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに、費用先行型の投資が響き減益となった。特に、人件費やIaaS関連費用の増加がコスト構造に影響を与えた。しかし、EBITDAは安定的に創出されており、基盤の強さを示している。2025年3月期以降は、現在進行中の大型案件の検収・計上が進むことで収益性の向上が期待される。費用管理を引き続き徹底しつつ、SaaSの成長戦略を推進することで、持続的な成長を目指す方針だ。
売上原価は、前期比10.0%増の1,206百万円となった。これは主に、IaaS(Infrastructure as a Service)の米ドル建て取引における円安の影響により、その利用料が増加したことが要因である。加えて、新卒採用を中心とした人的資本投資の拡大や、導入支援プロジェクトの大型化に伴う協力会社への外注費の増加も売上原価の増加に寄与した。これらの投資は、SaaSの運用および顧客支援体制の強化を目的としており、将来的な成長を見据えた戦略的なコスト増加と位置づけられる。
(1) 利用法人数・店舗数
店舗数は2023年3月期第1四半期の4,406店舗から次第に増加し、最新の2024年3月期第4四半期には4,572店舗に到達している。一方で、法人数は1,455法人から1,505法人へとわずかな増加にとどまっているものの、比較的安定した推移を見せている。同社のSaaS製品が利用者数の多いエンタープライズ企業をターゲットに新規導入が進んでいることから、法人数の伸びは緩やかであっても、多店舗を展開する顧客の獲得により、このような動きになることが考えられる。SaaSの月額料金は不動産会社は扱う物件数によって変動するため、同じ1社でも大規模顧客の方が利用単価が高く、同社は顧客数を重視はしているものの、より規模の大きい顧客の獲得に注力している。
(2) KPI
同社は、利用法人数に加え、1顧客当たりの平均月額単価である「ARPU」と特定の期間(月単位)における顧客の売上ベースの解約率である「MRR解約率」をKPIとしている。「ARPU」は、通信業界で事業における健全性や収益性を評価するために使用され、顧客から収益を最大化するための戦略を立てるための指標としても活用し、「MRR解約率」は、どれだけの顧客を売上ベースで失っているか、事業の持続可能性や収益予測を図るために用いる。
(a) ARPU
四半期ごとの売上高は2022年3月期第3四半期の622百万円から順調に増加し、最新の2024年3月期第4四半期には756百万円に到達している。一方、ARPUも2022年3月期第3四半期の118千円から持続的に向上し、2024年3月期第4四半期には140千円を記録している。このデータは、同社が効率的に収益を上げつつ、ユーザーからの収益単価も同時に向上させていることを示しており、ビジネスモデルが順調であることを反映している。特に、売上とARPUの両軸での成長は同社の持続的な発展と市場での競争力を示している。
(b) MRR解約率
MRR解約率は2022年3月期第3四半期に0.44%を記録した後、下落に転じ、同第4四半期には-0.68%となった。その後、2024年3月期第1四半期には0.65%と再び高まるも、同第4四半期には-0.36%を記録している。解約によるMRRの減少を、既存顧客からのアップセルによる増加が上回る「ネガティブチャーン」が確認できる点が重要である。これは、同社が顧客満足度を高く保ち、顧客維持率が良好であることを示しており、安定したビジネス基盤を有していることを示している。
(3) 人員構成
2024年4月末時点での同社の人員構成は、全体で229人となっており、特にエンジニアと導入・運用支援サービス部門の拡充に注力している。エンジニア部門は2023年3月末比で19人の増加を見せ、合計88人に達しており、これにより技術力の向上と製品開発の加速が期待される。導入・運用支援サービス部門は同9人増の27人、セールス&マーケティング部門は同4名増の70名となり、顧客サポートとサービスの質の向上が図られている。同社は、今後も年間10~15名の採用計画を進めており、特に新卒者の採用と将来的な業務委託分野の内製化については社内のリソースを見ながら注力する考えである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
■业绩动向
2024年3月期业绩概要
2014年3月份以来的今年3月份业绩,销售额同比增加了4.1%,达到了2,808百万日元;EBITDA则下降了3.5%,达到了658百万日元;营业利润下降了24.9%,降至176百万日元;经常性利润下降了11.6%,降至208百万日元;当期纯利润下降了7.6%,降至146百万日元,由母公司股东所有。
2024年3月期销售额表现良好。特别是,由于新的企业客户引入以及面向现有客户的升级和交叉销售的效果,SaaS的月度使用费收入稳健增长,同比增长了7.6%,达到了2,435百万日元。平均客户单价也在继续上升,订阅收入保持良好。与此同时,解决方案销售收入下降。这是由于该公司主要集中在租赁不动产管理业务为核心的大型企业专案上,导致项目规模变大、要求变得复杂以及期限变得更长。虽然有一些项目已经部分交付和销售收入计入,但一些项目比最初计划推迟了,其中一些项目被转移到了下一年度。营业利润、经常性利润和当期纯利润均因费用前置性投资而下降。特别是人员成本和IaaS相关成本的增加影响了成本结构。但是,EBITDA稳定产生,表明了其基础强大。在2025年3月期之后,由于正在进行的大型专案的验收和计入收益,收益性有望提高。在继续严格管理费用的同时,推进SaaS的增长战略,以追求可持续增长。
销售原价达到了1,206百万日元,同比增长了10.0%。这主要是由于IaaS(即基础设施即服务)美元结算交易的影响导致使用费用增加。另外,人力资本投资扩大(以新人招聘为中心)、導入支援プロジェクト的大型化导致外包费用增加,也对销售原价的增加有所贡献。这些投资旨在加强SaaS的运营和客户支援体制,定位为战略性成本增加,为未来的发展打好基础。
(1) 使用单位数・店铺数量
店铺数从2023年3月份第1四半期的4,406家逐渐增加,最新的2024年3月份第4四半期增加到4,572家。与此同时,法人数量虽然仅略微增加到1,505法人,但也呈现出相对稳定的增长趋势。由于该公司的SaaS产品正在针对拥有大量用户的企业客户进行新的引入,因此虽然法人数量的增长相对缓慢,但可能会导致获得开设多家店铺的客户。由于不动产公司的SaaS的月租费根据处理的物件数而定,因此即使是同一家公司,大型客户的利用单价也较高,该公司虽然注重客户数,但也注重获得更大规模的客户。
(2) KPI
该公司将法人数量、每个顾客的平均月费单价“ARPU”以及在特定周期(月为单位)内解除与销售收入有关的顾客比例“MRR解除率”作为关键绩效指标。因为“ARPU”被用于评估电信行业的企业运营健全性和盈利能力,也被用作为制定最大化客户收益战略的指标。而“MRR解除率”用于评估丢失了多少销售收入的顾客,以及用于评估业务的持续性和赢利预测。
(a) ARPU
季度销售额从2022年3月份第3四半期的622百万日元逐步增加,最新的2024年3月份第4四半期增至756百万日元。同时,ARPU也持续提高,从2022年3月份第3四半期的118,000日元增加到了2024年3月份第4四半期的140,000日元。这些数据表明,该公司在高效创造收益的同时,也同时提高了用户单位价格收益,反映出业务模式的良好。特别是,在销售额和ARPU两个维度上的增长,反映出该公司的持续发展和市场竞争力。
(b) MRR取消率
MRR退订率在2022年3月第3季度达到0.44%后开始下跌,而在同第4季度下降至-0.68%。之后,在2024年3月第1季度,MRR再次上升至0.65%,但在同第4季度下降至-0.36%。重要的是,可以确认存在“负链”,即退订导致的MRR减少被现有客户的Upsell增长所超过。这表明该公司保持了高客户满意度和良好的客户保留率,表明其具有稳定的业务基础。
(3) 人员构成
截至2024年4月底,该公司的员工构成总共为229人,特别是扩大工程师和实施/运营支持服务部门。与2023年3月底相比,工程师部门增加了19人,达到了总共88人,这将促进技术力量和产品开发的加快。实施/运营支持服务部门增加了9人,达到了27人,销售和营销部门增加了4人,达到了70人,提高了客户支持和服务质量。该公司计划继续每年招聘10至15名员工,特别关注新毕业生的招聘和将未来委托业务内部化的计划。
(撰写:FISCO资深分析师中山博词)