■長期ビジョンと中期経営計画
3. 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について
サンワテクノス<8137>のROEは2024年3月期で10.8%と10%を上回っているものの、株価はPBRで0.75倍と1.0倍を下回る水準が続いている。この要因として、同社の持続的成長に向けた事業戦略や成長戦略が投資家から十分な理解を得られていない、株式の流動性が低く時価総額も300億円台と大きくはないため、大手機関投資家の運用対象銘柄となりにくい、などが要因と同社では分析している。こうした状況を踏まえ、同社では中期経営計画の着実な実行により収益性の向上を実現することに加えて、株主還元の充実、IR・SR活動の拡充に取り組むことで、PBR1.0倍超の早期実現を目指す考えだ。
(1) 収益性向上に向けた戦略
a) 営業戦略
収益力のさらなる向上を図るため、2024年4月より営業組織の再編成を実施した。具体的には、国内支社を3支社(関東、名古屋、関西)体制から5支社体制(関東支社を北関東と南関東に分割、九州支社を新設)とし、海外3地域統括部(中国地域、アジア太平洋地域、欧米地域)と併せて、今まで以上に地域における顧客密着型営業を強化するほか、各支社と顧客セグメントチームが連携をとりながら技術提案型営業を強化し、収益力の維持向上を図ることが狙いとなっている。
b) 商品戦略
脱炭素化社会の実現に向けて、国内外でグリーントランスフォーメーション(GX)の取り組みが活発化するなか、同社も環境に優しい製品の拡販を全社で取り組むプロジェクトを立ち上げた。太陽光パネルや蓄電システム、省エネ関連機器等の需要は中長期的に拡大が見込まれており、関連製品や電子部品並びに設備機械など幅広い取り扱い製品を国内外で拡販することで、同社の売上高も持続的に拡大していくものと予想される。
c) 技術戦略
収益性向上施策の1つとして、イノベーション本部が独自技術を有する企業とアライアンス等の実施を通じて高付加価値の新商品の開発を行い、拡販に注力している。具体的な商品として、ロボットソリューションパッケージ「3D Connectシリーズ」が挙げられ、その第1弾として2023年にARマーカー※を利用した「AR^2 System(エーアール・ツー・システム)」の販売を開始した。
※ARマーカーとは、現実空間にデジタルコンテンツを重ねて表示できる「AR(拡張現実)」を表示させる目印となるものを指し、画像や顔、建物など様々なものをARマーカーとして活用できる。
「3D Connectシリーズ」は、3次元CADとロボット等のモーションコントローラーをリアルタイムに連携操作させるプロセスシミュレーターを使って、設計から動作に至る各種機能を持ったモジュールを組み合わせたソリューションパッケージのことで、これによってロボット動作における現実と仮想空間の座標の齟齬が補正され、ものづくりにおけるデジタルマニュファクチャリングが促進される。今回発売した「AR^2 System」の特徴は、ロボットに搭載したカメラが対象物等に貼付したARマーカーを読み取り、自動座標定位を行うことで高精度にロボットの相対的位置補正が可能になること、またARマーカーに動作条件(レシピ)を埋め込むことで、ロボットに判断選択をさせて動作を指示できることの2点である。ロボットは通常、所定の動作を行うためのティーチングデータを作成して運用する必要があるが、この工程を「AR^2 System」を付加することで効率的に実現するソリューションとなる。ロボットの運用ノウハウを持たない企業でも、比較的容易にロボットの導入・運用が可能になるといったメリットがあり、発売以降多くの問い合わせがあり、既に自動車電装品メーカーからの受注も決まったようだ。
メーカー標準にパッケージを付加することにより、ロボット導入のハードルが軽減されると好評で、同社では2025年3月期以降3年間で50億円の売上を目標としている。収益性はロボット単体で導入するよりも高くなるため、収益性向上と機械部門の売上拡大に貢献するものと期待される。
d) 海外戦略
海外戦略に関しては、中国リスクの影響を最小限に抑えるよう対処し、インドを含むアジアへの生産移管を進める顧客への支援体制を整備し、現地代理店としての営業基盤を確立して売上規模の拡大を図る。海外売上比率※については、2022年3月期の34%から2025年3月期は38%に引き上げる。地域別構成比率では中国が2022年3月期の24%から2025年3月期は25%に、その他アジアが同様に6%から9%に上昇する。中国については前期の27%をピークに低下すると見ている。アジアの中ではインドの市場拡大に対応すべく、2024年5月に2拠点目となるグルグラム事務所を開設した。現地に進出する日系現地法人を顧客ターゲットとしていく。
※海外売上比率=海外事業(海外現地法人)売上高÷連結売上高(連結消去前)
e) DX戦略
同社ではDX推進プロジェクトとして「SDX(サンワDX)」を策定し、DX推進により業務の効率化と収益性向上に向けた体制の構築を目指している。主なテーマとして、以下の5点に取り組んでいる。
・顧客バリュー向上のためのデータ活用の高度化:顧客セグメント戦略KPIの可視化、営業支援ツールの活用高度化、技術情報データベースの構築
・オペレーション業務の効率化:基幹システムからの出力帳票のデジタル化、申請・承認業務のワークフロー化の充実、RPAによる業務の自動化、情報の一元化、業務プロセスの標準化・集約化、倉庫管理システムや輸出管理システムの導入
・DX人材の育成・採用:全社員を対象にITリテラシー向上のための研修実施、リスキリングによるDX人材の育成、適正人材の採用
・重要経営指標の迅速な可視化:効率的なグローバルデータの集約、経営ダッシュボードの充実、営業支援ツールの見直し
・企業サイトリニューアル:“世界中の技術をつなぐ”をコンセプトにリニューアル(2024年11月実施予定)
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
■长期愿景和中期经营计划
3. 关于实现资本成本和股价意识的对应措施
Sanwa Technos <8137>的roe在2024年3月期为10.8%,超过了10%,但其PBR股价水平继续低于0.75倍和1.0倍。同公司分析,这是由于该公司持续增长的业务策略和增长战略未能得到投资者充分理解,股票流动性较低,市值也不高,因此不易成为大型机构投资者的投资标的等因素。鉴于此情况,该公司将通过坚实执行中期经营计划来提高盈利能力,加强股东回报,并扩大IR/SR活动,以实现PBR超过1.0倍的早日实现。
(1) 改善盈利能力的战略
a) 经营战略
为了进一步提高收益能力,从2024年4月开始对营业组织进行了重新组织。具体而言,将国内支社从3个支社(关东、名古屋、关西)改为5个支社(将关东支社分为北关东和南关东,设立九州支社),并与海外的3个区域板块(中国区域、亚洲太平洋区域、欧美区域)一起加强了在地域方面的客户紧密型销售,同时与各支社和顾客细分团队合作加强了技术提案型销售,并旨在提高收益能力的持续性。
b) 商品战略
在迈向脱碳化社会的过程中,随着国内外绿色转型(GX)的取得成效,公司启动了在全公司范围内扩大销售环保产品的项目。预计需求的太阳能电池板、蓄电系统、省能机器等中长期将继续扩大,通过在国内外扩大销售相关产品、电子部件和设备机械等广泛的销售产品,预计公司的营业收入也会持续扩大。
c) 技术战略
作为提高收益能力的措施之一,该公司创新总部通过进行与拥有独特技术的企业的结盟等,进行高附加值新商品的开发,并专注于扩大销售。具体的商品是机器人解决方案系列“3D Connect系列”,其中第一款是利用AR标记※的“AR^2 System(AR 2 System)”,将销售于2023年。
※AR标记是指在现实空间中可以重叠显示“AR(扩展现实)”的目标标记,可以将各种图像、脸部、建筑物等用作AR标记。
“3D Connect系列”是指使用3D CAD和机器人等的运动控制器,利用过程模拟器来组合各种模块的解决方案包,从设计到操作拥有各种功能,并且通过补偿机器人操作中现实和虚拟空间的坐标不一致,可以促进数字制造技术的发展。 该公司刚刚推出的“AR^2 System”的特点是,机器人上安装的相机可以读取贴在目标物上的AR标记,通过自动座标定位,可以实现机器人的高精度相对位置修正,并且通过将操作条件(配方)嵌入AR标记,可以指示机器人进行判断选择并进行操作。通常,机器人需要创建用于执行特定操作的教学数据,但通过添加“AR^2 System”来实现这一过程,这是一种高效的解决方案。即使是没有机器人操作知识的企业也能相对容易地引入和操作机器人。由此自发布以来已收到很多咨询,并且已经确定了来自汽车电器制造商的订单。
通过添加制造商的标准包装,降低机器人引进的门槛被广泛赞赏。该公司在2025年3月期后的3年里,目标营业额为50亿日元。由于收益率比单独引进机器人高,因此它被认为有助于提高收益率和扩大机械部门的销售额。
d) 境外战略
为了最大限度地减少中国风险的影响,推进向包括印度在内的亚洲转移生产的支持客户体制,建立了作为现地代理商的营销基础设施,并致力于扩大销售规模。海外销售比率※将从2022年3月期的34%提高到2025年3月期的38%。根据区域构成比率,中国将从2022年3月期的24%上升到2025年3月期的25%,其它亚洲也将从6%上升到9%。对于中国,我们预计其占比将从上一期的27%峰值开始下降。在亚洲市场中,为了应对印度市场的扩张,于2024年5月在古尔冈设立了第二个办事处。将继续将当地进驻的日本本土公司作为目标客户。
※海外销售比率=海外业务(海外本地公司)销售收入÷合并销售收入(合并前消除)
e) DX战略
该公司制定了DX推进计划“SDX(Sanwa DX)”,旨在通过DX推进实现业务效率化和收益增长。主要主题如下:
· 提高客户价值的数据利用:可视化客户细分策略KPI,提高销售支持工具的使用,构建技术信息数据库。
· 提高操作业务效率:数字化核心系统的输出帐票,加强申请和批准业务的工作流程,通过RPA自动化业务,统一信息,标准化和集中业务流程,引入仓库管理系统和出口管理系统。
· 培养与招聘DX人才:进行IT素养提高培训,培养DX人才,招募合适的人才。
· 快速可视化重要经营指标:有效汇总全球数据,加强经营仪表板,重新审视销售支援工具。
· 企业网站更新:以“连接全球技术”为理念进行更新(计划于2024年11月更新)。
(撰写:FISCO客座分析师佐藤让)