■中長期の成長戦略
1. スタンダード市場の選択
前澤給装工業<6485>は2022年4月の東証市場区分再編に伴い、プライム市場を選択し、同年5月に2025年3月期を最終年度とする「中期経営計画2024」を策定した。しかし、プライム市場の上場維持基準の適合状況や同社を取り巻く事業環境等を総合的に勘案した結果、プライム市場の上場維持基準に適合しているものの、流通株式時価総額や1日平均売買代金の基準に抵触する上場廃止リスクが継続的に存在することから、2023年10月にスタンダード市場へ移行した。選択理由としては、水道用給水装置メーカーとして、水道インフラ分野を軸に、屋内配管分野などへ事業領域を拡大してきたものの、現時点及び中期的な視点で捉えた同社事業の規模や領域に鑑み、スタンダード市場のコンセプトにより適していると判断した。同社株主が安心して同社株式を保有・売買できる環境を確保し、プライム市場上場維持にかかる負荷を本来の事業成長分野に集中的に振り向けていくことで、持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指す。実際、中期経営計画に対しては、売上高が上振れ、営業利益ではほぼ目標値で着地する予想となっており、市場環境が不透明ななかで健闘していると評価できる。
2. サステナビリティ経営の実現
同社は「将来にわたり、すべての人々が安心して暮らせる社会の実現に貢献し、広く社会から必要とされる存在であり続ける」ことを実現するために、サステナビリティ基本方針の下、重要課題(マテリアティ)を特定し、優先的に取り組んでいる。マテリアリティとしては、持続可能な水道インフラへの貢献、再生可能エネルギー利用促進やリサイクル材料の積極活用及び環境配慮型製品の開発、中長期的な成長を支える人材の確保、ガバナンスやコンプライアンス強化、の4項目を挙げている。
4つのマテリアリティのうち、事業の拡大のためには、持続可能な水道インフラへの貢献が最重要課題であると弊社では見ている。具体的な取り組みとして、高いシェアを有する給水装置事業では、安定的な収益拡大のために底堅い需要が見込まれる「老朽化取替に付帯する需要」を確実に取り込み、地震災害に備える「耐震」製品等のニーズに応え、配水支管を中心に安定的な成長を目指す。
厚生労働省「水道行政の最近の動向等について」(2023年3月)によると、全国の水道施設の更新費・修繕費は過去10年間平均で約13,000億円と推定される。これに対し老朽化対策を中心とした将来にわたる単純更新費は平均18,000億円必要と試算され、このうち管路が70%強を占めることから、同市場は安定した需要が続くと見られる。なお、老朽化対策として多額の資金を投入し、耐震適合を進めているが、更新は遅れ気味のようだ。
水道管路の法定耐用年数は40年であり、高度経済成長期に整備された施設の更新を進めているが、更新投資が不足しており、管路の経年化率(老朽化)の上昇や管路更新率の低下が課題となっている。近年、大雨や水道管破損による大規模な断水が多数発生しており、対策が急務となっている。水道管破損は直接的には地震によるものの、水道管の老朽化と耐震性への対応が十分でないことも課題となっている。これらを考慮すると、今後、耐震適合率向上へのニーズが高まると見られる。現在、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づき水道の耐災害性強化対策が推進されており、同社が取り扱う配水支管についても耐震適合率の上昇が進むと見られる。
このような状況に対し同社は、顧客のニーズに合った製品や災害に強い付加価値の高い製品開発を行うことで、着実に売上を拡大している。具体的には、耐震強化型継手や地盤変動対応継手、人口減少に伴う給水量の減少に対応したダウンサイジング対応製品などがある。
また同社最大の売上地域である関東では、東京都が耐食性及び耐震性に優れたステンレス鋼管による給水分岐配管を採用し、2002年度末までに公道の給水管を鉛管からステンレス鋼管へ取り替えた。ステンレス化により、圧倒的な漏水率の低下が実現された。漏水防止対策は地球温暖化対策にも寄与しており、貴重な水資源の有効利用、水を供給する過程(取水・浄水・送配水)で使用するエネルギーやCO2排出量削減にもつながっている。なお東京都は、恒久的な防食対策として道路下に使用する給水装置材料のオールステンレス化を予定している。同社は、配水管の分岐から第一止水栓、メーター用止水栓の接続部までステンレス製の製品をラインナップしており、東京地区の受注増が見込めると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
■中长期增长战略
1。标准市场选择
由于2022/4年的东京证券交易所市场部门重组,前泽九三兴业(6485)选择了主要市场,并制定了 “2024年中期经营计划”,将截至2025/3的财年作为最后一年,同年5月。但是,综合考虑Prime市场上市维护标准的合规状况以及公司周围的商业环境等,尽管符合主要市场上市维护标准,但仍存在与可交易股票总市值和日均交易价格标准相冲突的持续退市风险,因此它在2023/10年度过渡到标准市场。作为选择的理由,作为供水设备制造商,业务领域已扩展到室内管道领域等,以供水基础设施领域等为中心,但是考虑到从当前和中期的角度来看,公司的业务规模和面积,确定它更适合标准的市场概念。我们的目标是通过确保公司股东可以安心持有和交易公司股票的环境,并将维持主要市场上市所需的负荷集中在原始业务增长领域,来实现可持续增长和中长期的企业价值改善。实际上,就中期管理计划而言,销售额正在增长,预计营业利润将接近目标值,可以评估他们在不确定的市场环境中表现良好。
2。实现可持续管理
该公司已经确定了基本可持续发展政策下的重要问题(实质性),并正在优先考虑该问题,以 “为实现一个所有人未来都能安心生活并继续成为社会广泛需要的实体做出贡献”。列出了四个重要问题:对可持续供水基础设施的贡献、促进可再生能源的使用、积极使用回收材料和开发环保产品、确保人力资源以支持中长期增长,以及加强治理和合规。
在这四个实质性因素中,我们认为,促进可持续的供水基础设施是扩大业务的最重要问题。作为一项具体举措,在拥有较高市场份额的供水设备业务中,我们必将捕获 “老化更换附带的需求”,这有望稳步扩大利润,满足为地震灾害做准备的 “抗震” 产品等的需求,并以配水分支为中心的稳定增长为目标。
根据厚生劳动省的 “水管理等的最新趋势”(2023/3),在过去10年中,全国供水设施的更新和维修成本估计平均约为13亿日元。与此相反,据估计,未来以抗老化措施为中心的简单更新成本平均需要18,000亿日元,而且由于管道占其中的70%以上,预计同一市场将继续保持稳定的需求。请注意,已经投入了大量资金作为对抗老化的对策,并且正在促进抗震兼容性,但似乎延迟了续订。
输水管道的法定使用寿命为40年,经济高速增长时期开发的设施正在更新中,但缺乏更新投资,管道老化率(老化)的上升和管道更新率的下降已成为问题。近年来,发生了许多因暴雨或水管损坏而导致的大规模停水,迫切需要采取对策。尽管水管损坏是由地震直接造成的,但水管老化和抗震反应不足也成为一个问题。考虑到这些,预计未来对提高地震兼容率的需求将增加。目前,正在基于 “防灾/减灾和国家土地复原力的5年加速措施” 来推广增强供水抗灾性的措施,预计该公司处理的配水支管的地震兼容率也将提高。
为应对这种情况,该公司正在通过开发满足客户需求的产品和具有高附加值且具有抗灾能力的产品来稳步扩大销售。具体而言,有抗震加固接头、与地面波动兼容的接头以及可应对人口减少导致的供水减少的尺寸兼容产品。
此外,在公司最大的销售区域关东地区,东京采用了由不锈钢管制成的自来水分支管道,具有优异的耐腐蚀性和抗震性,到2002年底,公共道路上的供水管道已从铅管改为不锈钢管。由于采用了不锈钢,漏水率已大大降低。防漏水措施还有助于应对全球变暖,从而有效利用宝贵的水资源,减少供水过程(取水、净水、配水)中使用的能源和二氧化碳排放。此外,东京都政府正计划将道路下使用的供水设备材料全部用不锈钢制成,以此作为永久防腐措施。该公司拥有一系列不锈钢产品,从水管分支到第一款止水龙头和水表塞的连接部件,我们预计东京地区的订单将增加。
(由FISCO客座分析师冈本宏撰写)