■業績動向
1. 2024年3月期の業績動向
テノックス<1905>の2024年3月期の業績は、売上高が20,207百万円(前期比10.3%増)、営業利益が520百万円(同20.2%減)、経常利益が557百万円(同19.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が388百万円(同19.6%減)と増収減益だった。期初計画比では、売上高で992百万円、営業利益で289百万円、経常利益で282百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で171百万円の未達となった。一方、受注高が25,735百万円(同42.0%増)、受注残高が11,818百万円(同104.1%増)となったことから、実態は好調だったと言える。
日本経済は、雇用や所得環境の改善、インバウンド需要の増加など景気の緩やかな回復が続くことが期待されている。一方、長期化するウクライナ情勢などの地政学リスクや円安による物価高騰に伴う個人消費の減速などが危惧され、先行きへの不透明感は拭えない状況が続いている。建設業界においては、公共投資、民間投資ともに緩やかながら増加することが見込まれ、建設需要全体としては底堅く推移しつつある。しかし、高止まりする建設資材価格や現場従事者の慢性的な不足に加え、建設業の「2024年問題(時間外労働の上限規制)」への対応など多くの課題を抱えている。このような環境の下、同社は、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画Phase2(2021~2023年度)に沿って、開発戦略など3つの基本戦略に基づいた各種施策に取り組んだ。
この結果、売上げ面では、北海道新幹線延伸事業や関西インフラ関連などの土木杭工事、工場関連や物流施設などの大型地盤改良工事、ベトナムでの大型工場案件が寄与した。日本経済の回復から工場などの設備投資が回復してきたことに加え、スーパーゼネコンへの営業強化や地震による液状化対策の提案なども奏功したようだ。利益面では、建設資材価格の高止まりや労務費の増加などに伴って工事利益が減益となり、売上総利益率が低下した。販管費は、給与上昇や人員増による人件費、新工法や新設備の認定取得などの調査研究費、一時的だが新基幹システムを見込んだPC入れ替え・更新による消耗品費などが押し上げたが、増収により販管費率は若干改善した。期初計画との比較で業績未達となったのは、北海道新幹線延伸事業が火山周辺の特殊地盤を克服するため遅れが生じたことが要因だ。ただし、受注高、受注残高ともに大きく積み上がったことを考えると、北海道新幹線延伸事業の集中的な施工は2025年3月期へと期ズレしたと見られる。
セグメント別では、建設事業が地盤改良工事と土木杭工事が好調で、売上高は19,706百万円(前期比10.3%増)となったが、建設資材価格の高止まりや労務費などが増加したことに伴い工事利益が減益となったことでセグメント利益は506百万円(同19.9%減)となった。建設事業の内訳について、土木杭工事は北海道新幹線延伸事業や関西インフラ関連などが好調だったものの、低採算の大型工事や、材料価格が高騰した鋼管杭工事が多かったことから、増収減益となった。建築杭工事は、鋼材価格の高騰により主力のTN-X工法の競争力が一時的に低下したことで減収減益となったが、鋼材価格の先高観が希薄化し需要が増加に転じつつあること、増加が続くデータセンターに対し地震の横揺れに強い鋼管杭の特長が強みになることから、ボトムアウトしつつあるようだ。地盤改良工事は、半導体関連の部品工場が好調を継続、首都圏の物流施設に一巡感はあったもののデータセンターの勢いが強まり、大幅増収増益となった。海外建設事業は、大型工場案件が受注につながるなど増収増益となった。建設事業以外では、土木建築コンサルティング全般等事業は、コロナ禍後に研究機関も予算が戻ってきたようで、鉄道やため池関連の実験・試験業務に関する収入が増加したが、人件費など販管費も増加したため、増収減益となった。その他の事業は、神奈川県川崎市に所有している不動産の賃貸が中心で、業績はおおむね横ばいだった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
■业绩动向
2024年3月期的业绩趋势规则如下
Tenox<1905>2024年3月期的业绩显示,营业收入为202.07亿元,同比增长10.3%;营业利润为5.2亿元,同比下降20.2%;经常利润为5.57亿元,同比下降19.7%;归属于母公司股东的净利润为3.88亿元,同比下降19.6%。从期初计划比较来看,销售收入、营业利润、经常利润、归属于母公司股东的净利润未达到992亿元、289亿元、282亿元、171亿元的目标。然而,订单金额增加了42.0%,订单余额增加了104.1%,实际上业绩表现良好。
预计日本经济将继续缓慢复苏,包括改善就业和收入环境,增加的入境需求等。但是,由于地缘政治风险(例如乌克兰局势的长期化)和因日元贬值导致个人消费减缓等问题的持续存在,未来仍存在不确定性。在建筑业中,公共和私人投资都有望略微增加,整体建筑需求将保持稳定。然而,市场上建筑材料价格居高不下,现场工人持续短缺,建筑业还面临着许多问题,如应对2024年的 “建筑业问题(最长工作时间限制)”。在这样的情况下,该公司根据中期经营计划第2阶段(2021-2023年度)的发展战略和3个基本战略,推动了各种措施。
结果,在销售方面,北海道新干线延伸项目,近畿地区基础设施建设等土木打桩工程,大型基础设施改造工程,例如工厂和物流设施,以及越南的大型工厂项目产生了贡献。随着日本经济的复苏,设备投资得到恢复,增加了销售制造商和向超级总承包商的销售增长,提出的液化土壤对策也得以实施。然而,由于建筑材料价格居高不下和劳动力成本上升等因素,施工利润减少,销售毛利率下降。虽然人员成本和研究费用增加了,但临时的基干系统将按预计进行,使管理成本率稍有改善。由于北海道新干线延伸项目受到火山周围特殊地基的影响而受到订单金额的影响,与期初计划相比业绩未能达到目标。但考虑到订单金额和订单余额的大幅增加,北海道新干线延伸计划的施工似乎已经推迟到2025年。
按区段分类,建设业石场地基改良工程和土木桩工程表现不错,营业收入达19,706百万日元(同比增长10.3%)。然而,随着建筑材料价格持续走高和劳务成本等费用上涨,工程利润下降,导致该区间利润为506百万日元(同比减少19.9%)。关于建设业务的构成,虽然北海道新干线延伸工程和关西制造业等领域的土木桩工程表现不错,但由于大型低盈利工程和成本不断上涨的钢管桩工程占大多数,导致营收增长但利润下降。建筑桩工程因钢材价格上涨,主力TN-X工法的竞争力暂时降低,从而导致营收和利润下降,但考虑到钢材价格的先高预期正在弱化,并且鉴于地震地区对钢管桩抗震结构的特点成为其优势,需求正在转向增长,业绩正在逐步好转。地盘改良工程方面,半导体相关元件工厂业绩继续表现强劲,首都物流中心虽经历了一轮高峰期但数据中心业绩持续强劲,导致大幅增收增益。境外建设业务方面,大型工厂项目的接获增加了收入和利润。建设业务以外的业务包括土木建筑咨询等业务,尽管疫情影响后研究机构的预算已在回升,但人力成本等管理费用也有所上涨,导致增收但利润下降。其他业务以神奈川县川崎市拥有的房产出租为主,业绩总体上呈现平盘状态。
(作者:华富证券客座分析师宫田仁光)