■中長期成長戦略
中長期の成長戦略としてスパークス・グループ<8739>は、成長実現のための4本柱として掲げる「日本株式」「OneAsia」「実物資産」「プライベート・エクイティ」の運用資産残高を、2026年3月までに2021年3月期末の1兆5,356億円から2倍の3兆円に増加させる目標を掲げている。同時に、新事業領域の育成にも注力する。高い成長性が期待できる「エネルギー(水素を含む)」「医療」「フィンテック」を成長領域として定め、経営資源を効率的に配分することで、新たな事業領域を育成しながら資本収益性も高めていく方針だ。4本柱の運用資産残高増大とROEの向上を追求しながら、中長期的には営業利益100億円、時価総額1,000億円を目指していく。
(1) 4本柱の運用資産残高拡大に向けた戦略
(a) 日本株式
再拡大しているロング・ショート戦略や長期厳選投資戦略への取り組みを強化していく。特に、長期厳選投資戦略に関しては、海外機関投資家からの注目度も高く規模も狙えるため運用資産残高を積極的に拡大させていく方針だ。長期厳選投資などの伝統的戦略で運用資産残高を拡大させていくことに加えて、価値創造投資戦略など、同社が競争優位を持つエンゲージメント戦略によって投資先企業の企業価値を向上させることにも注力していく。伝統的戦略とオルタナティブ戦略の併用により、同社独自のユニークネスに磨きをかけていく方針だ。
(b) OneAsia
中長期的に大きな成長が期待できる市場であると見ており、アジアの社会変化を捉えて大きく成長できる企業にファンドを通じて投資していく。具体的には、インド、インドネシアの市場を主な投資対象とするファンドを新たに設立しており、これらのファンドの規模を拡大させることにより、基幹ファンドとして成長させていく構えだ。また、各拠点のファンドマネージャーへの教育にも引き続き注力し、同社の投資哲学をグローバルレベルで浸透させることにより、高品質な運用体制を構築していく方針だ。
(c) 実物資産
再生可能エネルギーへの投資実績が積み上がるなかで、エネルギー領域に対する知見が蓄積されてきている状況である。こうした知見を生かして、太陽光から段階的にバイオマスや地熱など高い投資リターンが見込まれる発電所へと、開発の重点を移していく方針だ。同時に、グリーン水素やコーポレートPPAなど、固定価格買取制度後を見据えた、安定的な収益を生み出す投資戦略の開発も積極的に進めていく。
(d) プライベート・エクイティ
「知能化技術」「ロボティクス」「水素社会実現に資する技術」「電動化」「新素材」「カーボンニュートラル」「SDGs」などの切り口から国内外のベンチャー企業への投資に引き続き注力していく。厳選した対象への投資により成功報酬を積み上げ、プライベート・エクイティの収益性をさらに高めていく。また、2024年3月期は同社初となるファンドを通じたTOBも完遂した。今後はファンドを通じたTOBによる運用資産残高の拡大や、再上場時の株式売却による利益の積み上げも積極的に模索していく方針だ。
(e) 新たな領域
AIの利用が前提となった新しい時代の成長領域である「エネルギー(水素を含む)」「医療」「フィンテック」を新たな領域とし、一定の自己資金やグループ内リソースの範囲で投資をさらに進める方針だ。「エネルギー」では、水素エネルギーの使い方について実証実験を積み上げ、具体的なビジネスへと結実させていく。また、「スパークス・グリーン蓄電所ファンド」を新たに設立したように、投資対象として蓄電所にも注力していく。水素、蓄電所を中心に新しいエネルギー領域を拡げていく。「医療」に関しては2024年3月期、持分の売却という形で利益を計上した。今後も、このような新領域への投資を実践し続け、ファンドビジネスを強化していく。
(f) 総括
今後は「日本株式」の運用資産残高が順調に推移し、特に「プライベート・エクイティ」及び「実物資産」の運用資産残高が拡大していくと弊社では予想している。これは、既述のとおり、「プライベート・エクイティ」は徹底した企業調査と優れた仮説構築能力により投資家の気付いていない魅力的な投資対象を見つけ出せるためだ。プライベート・エクイティは想定的に収益性が高いことに加えて、魅力的な投資対象を発掘できることから、投資家の資金を順調に集められると弊社は考える。新たに「宇宙フロンティア2号ファンド」も設立しており、運用資産残高のさらなる拡大が期待される。「実物資産」に関しては、SDGsや脱炭素の潮流が強まるなか制度面での後押しもあり、太陽光発電、風力発電、地熱発電、水素エネルギーなどへの社会的ニーズがますます高まっていくことが予想される。運用資産残高の拡大に加えて、地熱やバイオマスなどの高収益案件への投資も積極化していく方針であり、収益性の向上も期待される。
(2) 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
東京証券取引所からの要請に基づき、同社も資本コストと株価を意識した経営を推進し、さらなる企業価値の向上に継続して取り組むことを表明している。PBRをROE、株主資本コスト、期待成長率の3つの要素に分解したうえで、既存戦略の拡大によるROEのさらなる向上、株主資本コストの引き下げ、新しい投資戦略の投入による期待成長率の向上に取り組んでいく。
同社のROE、PBR、PERを過去5期間について見ると、ROEは株主が要求する収益率(同社は株主資本コストを9〜12%と認識)を上回る水準で推移し、PBRは安定して1倍を上回る水準で推移しており、2024年3月期のROEは22.7%、PBRは2.37倍となった。ROEとPBRは既に十分な水準にあり、前記の基本戦略を推し進めることでさらなる向上を目指していく。一方、PERに関しては、11.48倍(2024年3月期)と東京証券取引所プライム市場の平均(18.3倍)を下回っている状況である。同社はPER向上のために、新規領域への挑戦を強化することで将来的な利益成長に対する投資家の期待を高めていくほか、情報開示のさらなる充実や投資家との面談の促進などによって成長戦略や魅力を投資家に訴求していく考えだ。こうしたIR活動のさらなる充実によって、PERが向上することに加えて投資家の同社に対するリスク認識が減少すれば、株主資本コストも低下していくことが期待できる。株主資本コストの引き下げに関しては、そのほかにも、同社の独立系の強みを生かした高いガバナンス体制や安定性と高収益を両立し得るビジネスモデルなどを丁寧に投資家に説明していくことで、投資家が同社に抱いている不確実性を取り除いていく方針だ。
企業価値のさらなる向上に向けて、キャピタル・アロケーションの計画(2025年3月期〜2027年3月期)も公表している。新規事業への投資及び既存戦略へのシード投資に関しては、営業キャッシュ・フローの金額を目安に成長投資を実践していく計画であり、具体的には80億円(投資の回収も含む純額)を想定している(過去実績を元に算出)。営業キャッシュ・フロー内での投資によって財務の健全性を維持しながら投資家の利益成長に対する期待度を高めていく。株主還元に関しては、引き続き安定性・継続性に配慮しつつ実施していく方針だ。配当金総額に自己株式の取得を含めて、総額約100億円を株主還元に割り当てていく(直近の株主還元実績を元に算出)。積極的な成長投資と株主還元の充実を同時追求することで、ROE、PBR、PERをさらに高めていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
■中长期成长战略
作为长期成长战略,Sparks Group <8739> 提出了将管理的资产总额增加到 $3 万亿,即从 2021 年 3 月底的 $1.5356 万亿增加两倍的目标,以实现成长的四个支柱:“日本股票型”、“OneAsia”、“实物资产”和“私人股权”;同时,公司将注重新的业务领域的发展。确定有很高成长性的“能源(包括氢)”、“医疗”和“金融科技”作为成长领域,通过有效分配管理资源来发展新的业务领域并提高资本回报率。公司将追求四个支柱资产的增加和ROE的提升,中长期目标定在营业利润$10亿和流通值$1000亿。
(1)增加四个支柱的资产
(a) 日本股票型
加强针对再扩大的多空策略或长期甄选投资战略的努力。特别是在长期甄选投资策略方面,由于受到海外机构投资者的高度关注并且可预见规模,公司将积极拓展其资产规模。除了通过传统策略如长期甄选投资策略来扩大资产管理的规模之外,公司还将注重通过包括价值创造投资战略在内的EnGagement战略来提高投资对象的企业价值。公司计划通过同时使用传统策略和另类策略,磨练自己的独特和个性化策略。
(b) OneAsia
认为 OneAsia 是一个可以期待中长期大规模成长的市场,将通过基金投资可以捕捉到能够大规模成长的企业。具体地,通过设立以印度和印度尼西亚市场为主要投资对象的基金的方式,公司计划通过扩大这些基金规模来发展成为主干基金。同时,公司也将继续注重各分支机构基金经理的教育培训,并通过在全球范围内传播公司的投资理念,构建高品质的投资体系。
(c) 实物资产
在电力领域累积了向再生能源投资的成功经验,并且积累了对能源领域的专业知识。公司计划利用这些知识,将发展重点从太阳能逐步转向具有高投资回报预期的发电厂,如生物质和地热。此外,公司还将积极推进多样化的投资战略,如绿色氢和企业PPA等,以期望在固定价格购买制度后形成更为稳定的收入。
(d) 私人股权
继续关注国内外创业企业的投资,包括“智能技术”、“机器人技术”、“促进实现氢社会的技术”、“电动化”、“新材料”、“碳中和”、“SDG”等领域。通过对精选目标的投资累积成功报酬,进一步提高私人股权的收益。此外,在 2024 年 3 月的一段时期中,公司还成功地完成了通过基金的 TOB。今后,公司将积极探索通过 TOB 和在再上市时出售股票来积累收益,增加基金的资产管理规模。
(e) 新领域
在新的以人工智能为前提的时代,我们将“能源(包括氢)”、“医疗保健”和“金融科技”作为新兴领域,在一定的自有资金和集团内资源的范围内,进一步推进投资。在“能源”方面,我们将通过实证实验来积累使用氢能源的经验,并将这些经验具体转化为业务。此外,我们还将专注于电池储存技术作为投资对象,进一步扩大我们在可再生能源领域的地位,特别是以氢气和电池储存为中心。我们将推动新能源领域的持续扩展。关于“医疗保健”,在2024年3月结束的财年中,我们以出售所持有的股权的形式实现盈利。今后,我们将继续实践这种对新领域的投资,同时加强基金业务。
(f)总结
未来,我们预计“日本股票”运营资产余额将顺利推进,尤其是“私人股权”和“实物资产”的运营资产余额将增加。正如前所述,“私人股权”之所以是宜人的投资对象,是因为它可以寻找到投资者没有注意到的有吸引力的投资对象,这是通过彻底的企业调查和出色的假设构建能力实现的。我们相信,私人股权除了收益高之外,也可以挖掘出有吸引力的投资对象,其资金将稳步集中。我们新设了“宇宙前沿2号基金”,进一步扩大了运营资产的规模。对于“实物资产”,随着社会上SDGs和脱碳的潮流越来越强,加上制度方面的支持,对太阳能、风能、地热、水氢等方面的需求也将越来越高。除了扩大经营资产以外,我们还将积极投资于高回报的项目,例如地热、生物量等,以期望提高收益。
(2)针对资本成本和股价意识的经营方针
根据东京证券交易所的要求,公司也表示将推进资本成本和股价意识的经营,并继续努力提高企业价值。我们会将PBR分解成ROE、股东资本成本和期望增长率三个因素,并通过扩大现有的战略、降低股东资本成本、实施新的投资策略来提高ROE和期望增长率。
如果将同社的ROE、PBR和PER的历史数据分析过去5年,ROE在高于股东要求的回报率(同社认为股东资本成本在9-12%之间)的水平上持续上升,而PBR则一直稳定地保持在1倍以上,2024年3月期的ROE为22.7%,PBR为2.37倍。ROE和PBR已经达到了足够的水平,在推进基本战略的同时,我们将进一步提高其水平。然而,PER方面的状况是,它降至11.48倍(2024年3月期),低于东京证券交易所表示汇总的平均值18.3倍。为了提高PER,我们将通过加强对新领域的投资挑战,提高投资者对未来利润增长的期望,同时通过信息公开的进一步完善和推动与投资者的会谈等方法,向投资者阐明增长战略的魅力。通过加强IR活动,除了提高PER外,还有望降低投资者对同公司的风险认识,从而降低股东资本成本。对于股东资本成本的降低,我们的方针是通过向投资者详细解释同公司的独立性优势、高度的治理架构、稳定性和高收益的商业模式等内容,消除投资者对同公司的不确定性。
为了进一步提高企业价值,我们公布了2025年3月期到2027年3月期的资本配置计划。对于在新业务上的投资和对现有策略的种子投资,我们计划实践增长投资,以销售货币流为基准,具体规划在投资总额内设定为80亿日元(包括回收投资)。通过对营业现金流的投资,保持财务的稳健性,提高投资者对利润增长的期望。对于股东回报,我们将在包括自有股份收购在内的总分红金额中分配约100亿日元给股东(根据最近的股东回报实际情况算出)。通过积极的成长投资和股东回报,我们将进一步提高ROE、PBR和PER。
(作者:富士客座分析师清水阳一郎)