■冨士ダイス<6167>の中長期の成長戦略
(2) 省資源関連
省資源、環境負荷低減で注目されるのが2022年11月にカタログ収載された希少金属であるタングステン、コバルトの使用量を大幅削減し、鋼より軽量で超硬合金に迫る硬さと靭性を実現した省タングステン・コバルト合金(サステロイST60)の開発である。具体的には超硬合金では比重が大きいため、適用が困難とされている回転工具分野(粉砕回転刃、ハンマー)への展開が期待される。モータの負荷軽減による電力削減や、回転数の増加による生産性向上が見込めるため、混錬機用のスクリューなど、高硬度で耐久性が求められ、かつ軽量である点が評価され、顧客によるテストが進み、2024年月期より販売を開始している。なお同合金はモノづくり日本会議/日刊工業新聞社主催の「2023年超モノづくり部品大賞」において「奨励賞」を受賞している。今後の展開としては、市場のニーズをとらえ、ラインナップを増やすことを検討している。また同合金は米中摩擦、ロシア問題などで、タングステン、コバルトなどのレアメタル供給リスクの高まるなか、同社の事業継続を確実なものとする手段になる可能性も秘めている。
(3) 次世代エネルギー関連
次世代エネルギー関連では水の電気分解用触媒を開発している。本触媒は、従来の貴金属触媒に対し、安価かつ調達性の高い金属を利用し、水素発生装置への展開が見込まれる。また、CO2の還元用触媒や二次電池用触媒の開発も並行して進めている。この分野は様々な企業や研究機関も開発を行っており、同社の粉末冶金技術や高圧合成技術がカギとなろう。
3. 新事業の確立
同社は100年企業を目指し、新規事業の専門組織を2024年7月に立上げ、新事業シーズの事業化を促進することとした。同社は今までも中長期の成長基盤の創出として、プロジェクトチームによる新事業の検討を進めてきたが、その活動を引き継ぎ、恒常的に新事業シーズの探索、事業化検討が可能な体制を構築する。当該組織においては、新たな事業の柱となる新規事業の実現や事業創出サイクルの短縮化に取り組むとともに、新規事業の早期実現に向けて、M&A、業務提携の検討についても積極的にも行うとしている。
4. 海外事業の強化
同社は前中期経営計画においても海外事業の強化を重点施策に挙げていたものの、必ずしも計画通りの推移にはならず、2024年3月期の海外売上比率は目標の20%超に対し、18.7%に止まった。今回新中期経営計画を策定するにあたり、成長を牽引するのは海外事業と位置づけ、2027年3月期には売上高比率25%以上を目標として掲げた。アジアを中心とした海外売上高の拡大について、子会社、輸出の両輪で売上拡大を目指す。2023年7月に海外事業本部を設立、担当役員を擁立し海外事業の強化を実行、2024年2月に中国の東莞に営業拠点を設けた。今後、インド拠点の再開、電池・モーターコア金型向けに米国展開も見据え拠点設置も視野に入れている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
■富士骰子 <6167> 的中长期增长战略
(2) 资源节约相关
在节约资源和减少环境影响方面备受关注的是钨钴合金(SASTELLOY ST60)的开发,它极大地减少了钨和钴的使用量,钨和钴是2022/11年度目录中列出的稀有金属,比钢轻,硬度和韧性接近于超硬合金。具体而言,由于硬质合金具有较大的比重,因此预计它将扩展到难以应用的旋转刀具领域(研磨旋转刀片、锤子)。由于可以预期通过降低电机负荷来降低功率,以及通过提高旋转速度而提高生产率,因此对搅拌机螺钉需要高硬度、耐用性和轻量化这一事实进行了评估,客户的测试也取得了进展,于2024财年开始销售。此外,同样的合金在日本制造业会议/日刊工业新闻社赞助的 “2023年超级制造零件大奖” 中获得了 “鼓励奖”。至于未来的发展,我们正在考虑捕捉市场需求并增加产品阵容。此外,由于中美摩擦、俄罗斯问题等,供应钨和钴等稀有金属的风险增加,同样的合金有可能成为确保公司业务连续性的手段。
(3) 下一代能源相关
我们正在开发与下一代能源相关的水电解催化剂。与传统的贵金属催化剂相比,这种催化剂使用廉价且高度可采购的金属,预计将部署到氢气发生器上。此外,二氧化碳还原催化剂和可充电电池催化剂的开发也在同步进行。各种公司和研究机构也在这一领域发展,该公司的粉末冶金技术和高压合成技术将是关键。
3.建立新业务
为了成为一家拥有100年历史的企业,该公司于2024/7年成立了专门的新业务组织,以促进新业务种子的商业化。到目前为止,该公司一直在由项目团队研究新业务,以创建中长期增长平台,但它将接管这些活动并建立一个可以不断寻找新业务种子和研究商业化问题的系统。除了努力实现新业务和缩短业务创造周期(这些是新业务的支柱)外,该组织还积极研究并购和业务联盟,以尽早实现新业务。
4。加强海外业务
尽管该公司在先前的中期管理计划中将加强海外业务列为优先措施,但这一趋势未必按计划进行,截至2024/3财年的海外销售比率停在18.7%,而目标为20%或以上。这次在制定新的中期管理计划时,我们将海外业务定位为推动增长,并将2027/3财年的目标销售率定为25%或以上。关于扩大海外销售,主要是亚洲的销售,我们的目标是通过子公司和出口扩大销售。海外业务总部成立于2023/7,成立了负责加强海外业务的高管,并于2024/2年在中国东莞设立了销售办事处。将来,印度基地的重新开放以及在美国扩张电池/电机芯模具的前提下建立基地也在考虑之中。
(由FISCO客座分析师冈本宏撰写)