■要約
ミガロホールディングス<5535>は、「デジタルとリアルの融合で新たな価値を創造し、社会の課題解決に貢献する」という企業理念の下、DXを基盤とし既存事業の深化と新規事業の創出を推進している。報告セグメントは、DX推進事業とDX不動産事業である。DX推進事業では、顔認証プラットフォーム「FreeiD(フリード)」の展開によるスマートシティAI顔認証事業と、主に「Salesforce」や「Amazon Web Services」を扱っている生成AI/クラウドインテグレーション事業の2つに分かれる。DX不動産事業では、DX不動産会員を事業コアとし都心に特化した投資用不動産の開発から販売・管理までを展開している。なお、同社は、2023年10月2日に単独株式移転によりプロパティエージェント(株)(2023年9月28日に上場廃止)の完全親会社として設立された持株会社である。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期は、売上高42,672百万円(前期比※14.5%増)、営業利益2,500百万円(同14.4%減)、経常利益2,042百万円(同18.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,112百万円(同29.4%減)となった。売上高は、DX推進事業の新規受注の拡大とDX不動産事業の販売数の順調な伸びにより、初めて400億円を超えた。特筆すべきは、DX推進事業が3年間で売上高を0から26億円にまで引き上げ、高い成長率を維持している点である。営業利益は、DX不動産事業における建築費の高騰が影響したものの、価格転嫁を一定程度行い、販売価格は上昇。中古物件の販売を増加させたことで利益率は下がったものの、計画どおりの着地となった。経常利益は、販売状況が好調であったために物件を積み上げることを意図的に行い、その結果、資金調達コストが先行投資的に発生し、若干の未達となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、グループ外のスタートアップへの投資による投資有価証券評価損を計上したことで未達となった。
※同社は、2023年10月2日に単独株式移転によりプロパティエージェントの完全親会社として設立されたが、連結の範囲に実質的な変更はないため、2024年3月期実績において、前期と比較を行っている項目については、プロパティエージェントの2023年3月期連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)と、また、2024年3月期末実績において、前期末と比較を行っている項目については、プロパティエージェントの2023年3月期連結会計年度末(2023年3月31日)と比較している。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期は、売上高50,000百万円(前期比17.2%増)、営業利益2,600百万円(同4.0%増)、経常利益2,100百万円(同2.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,250百万円(同12.3%増)を見込んでいる。売上高は引き続き増収予想とし、営業利益はDX不動産事業における建築費の高騰とDX推進事業における人材及びシステム開発への先行投資を考慮している。DX不動産事業では、仕入れ価格の高騰が課題となっているが、価格転嫁を可能な限り行うことで影響を吸収する見込みである。DXによる自動化と生産性の向上を通じて、スマートな経営体制を継続的に実践していく。DX推進事業では、M&Aにより取得した企業のマネジメントシステムの早期確立が課題となっている。しかし、システム開発案件の市場は引き続き好調に推移しており、売上高の確保については大きな懸念はない。東京のマンション価格の再上昇や転入超過の拡大再開など、現在の事業環境は好調に推移しており、2025年3月期も計画達成の可能性は高いと弊社では見ている。
3. 中長期成長戦略
顔認識を含むDX推進事業では2027年3月期に売上高50億円、DX不動産事業では「ドミナント戦略による参入障壁の構築」と「顔認証によるマンション販売の差別化」をさらに推進し、2029年3月期に売上高1,000億円を目指す。DX推進事業においては、DX不動産事業を通じて確立したDXノウハウをコアコンピタンスとして、顔認証プラットフォーム「FreeiD」とクラウドインテグレーションの拡大に注力する。顔認証は、東京ドーム、東京ディズニーランド、羽田空港などでは既に導入されており、国内の様々な場所で拡大している。2025年には大阪メトロの全駅に顔認証ゲートが設置されることが決定している。このような状況下で、同社の顔認証プラットフォーム「FreeiD」は、東京タワーで導入されているほか、三菱地所<8802>グループの三菱地所レジデンスや野村不動産など大手デベロッパーでも導入が進んでおり、今後、大手及び中堅デベロッパーでの導入をさらに加速させる考えだ。加えて、同社はDX不動産事業でデベロッパー事業も展開していることから、顔認証のマンション導入をトータルでサービス提供できるという強みがある。マンションのエントランスだけ顔認証で開錠可能なサービスを提供する事業者は存在するが、同社のように、エントランス、駐車場などの共用部から宅配ボックス、メールボックス、エレベーター、住戸ドアに至る専用部まで、すべて顔認証で開錠可能なサービスを提供できるのは現時点で同社のみであり、この強みを生かしていく。また、マンションやオフィスの導入に留まらず、様々な業種業態の企業からの依頼が増加しており、2024年2月には、「サンガスタジアム by KYOCERA」で顔認証決済サービス「FreeiD Pay」の実証事業がスタートした。施設内のゲート、施設内の教育施設、カフェで使用可能であり、顔認証プラットフォーム「FreeiD」におけるマネタイズの準備が整ってきていると弊社では見ている。また、20年以上前から展開しているDX不動産事業においては、都心に特化した投資用新築マンションに顔認証プラットフォーム「FreeiD」を導入することで、資産価値を高めて顧客ニーズを捉えるとともに、DXによるマーケティングを強化し、さらなる成長を図る。さらに、飛躍的な成長を実現するドライバーとして、M&Aについても積極的に検討する方針だ。
4. 弊社の見方
同社は、「DXを基盤とした事業展開」を明確化し、DXを土台に各事業を成長させるスタンスを明示すべく、持株体制への移行により2023年10月に設立された。2024年3月期は、ミガロホールディングスとして1期目にあたるが、グループ全体の売上高は400億円を突破し、売上高、営業利益は業績予想を達成した。弊社が注目しているポイントはDX推進事業の飛躍的成長である。持株体制への移行に伴い、DXを基盤とした事業活動を一層強化しており、成長ドライバーであるDX推進事業は、サービス開発や積極的なM&A、人材採用により、大幅に成長している。特に、顔認証プラットフォーム「FreeiD」の導入はマンションを中心に拡大し、2024年3月末時点において、86棟のマンションが竣工、受注は200棟を超えており、国内でのトップランナーになっている。今後も、マンションを中心に導入の拡大が想定され、このマーケットにおいて独占的地位を確保することが期待される。
■Key Points
・DXを基盤として、顔認証サービスやクラウドインテグレーション等の新規事業を創出し、既存事業である不動産事業の深化を推進
・2024年3月期は売上高400億円を突破し、売上高、営業利益は業績予想を達成。マンション価格の高騰とDX推進事業の成長が業績をけん引
・2025年3月期は売上高500億円を見込む。増収トレンド継続し成長加速を図る
・積極的な先行投資とM&A等により、顔認識を含むDX推進事業では2027年3月期に売上高50億円、DX不動産事業では2029年3月期に売上高1,000億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
■概要
Migalo Holdings <5535>的企业理念是融合数字和现实,创造新的价值,为解决社会问题做出贡献,以DX为基础推动现有业务的加深和新业务的创造。报告部门分为DX推进业务和DX房地产业务。DX推进性业务分为两个部分:智慧城市AI面部识别业务,具体通过“FreeiD”面部识别平台的展开,以及生成AI/Cloud Integration业务,主要涉及到“Salesforce”和“Amazon Web Services”等业务的处理。DX房地产业务以DX房地产会员为核心,展开从都心特化的投资用房地产的开发到销售及管理。同时,该公司是于2023年10月2日由单独的股份移转设立的控股公司(Property Agent Co.在2023年9月28日退市)的全资母公司。
2024年3月期业绩概要
2024财年,销售额为42,672百万日元(同比增长14.5%),营业利润为2,500百万日元(同比减少14.4%),经常利润为2,042百万日元(同比减少18.9%),归属于母公司的当期净利润为1,112百万日元(同比减少29.4%)。销售额首次超过400亿日元,得益于DX推进业务的新增订单扩大和DX房地产业务的销售量稳步增长。值得一提的是,DX推进业务在三年内将销售额提高到了0元,保持了高速的增长。营业利润受DX房地产业务中建筑费用上涨的影响,但通过一定程度的价格转嫁,销售价格上涨。由于增加了二手物业的销售,利润率下降,但仍达到了计划的收益。经常利润由于销售状况良好,故有意堆积商品。结果资金调配成本作为先行投资发生了略度未达的情况。归属于母公司的当期净利润由于计提了向集团之外的创业公司的投资证券评价亏损未达。
※该公司于2023年10月2日通过单独的股票移转设立为Property Agent Co.(于2023年9月28日退市)的完全母公司。但在合并范围内实质性变更无,因此在2024财年预测中,对比上一年度的项目,涉及到Property Agent在2023年3月期的合并财务会计年度(从2022年4月1日至2023年3月31日),以及在2025年3月期结束时的合并实绩的前一年度,即于2023年3月31日结束的Property Agent的合并财务会计年度进行对比取得。
2. 2025年3月期财务预测。
2025财年,销售额预计为500亿元(同比增长17.2%),营业利润为2,600百万日元(同比增长4.0%),经常利润为2,100百万日元(同比增长2.8%),归属于母公司的当期净利润预计为1,250百万日元(同比增长12.3%)。销售额仍有望增长,而营业利润则须考虑DX房地产业务中建筑费用和DX推进事业中的人力资源和系统开发的先行投资。DX房地产业务中仍面临供应价高的问题,但预计可通过尽可能进行价格转嫁来吸收影响。通过DX实现自动化和生产率的提高,持续实施智慧的经营体制。DX推进业务方面,早期建立收购公司的管理系统是一个问题。然而,系统开发案件市场仍保持良好态势,没有什么大的悬念能影响销售额的保障。由于东京的公寓价格再次上涨和新进入者的增加,目前的业务环境一直处于良好趋势,该公司认为2025财年达成计划的可能性很高。
3. 中长期增长战略
在包含人脸识别的DX推进业务中,2027年3月期营业收入为50亿日元,在DX房地产业务中,进一步推动“基于Dominant战略的构建入门壁垒”和“通过人脸识别差异化的公寓销售”,并瞄准2029年3月期的1000亿日元营业收入目标。在DX推进业务中,专注于人脸识别平台“FreeiD”和云集成,作为通过DX房地产业务建立的DX技能的核心竞争力。人脸识别已经被引入东京巨蛋,东京迪士尼乐园,羽田机场等地,并在国内的各种地方扩展。据决定,到2025年,大阪地铁的所有站都将安装人脸识别闸门。在这种情况下,“FreeiD”人脸识别平台已经在东京塔等地方推出。此外,三菱地所<8802>集团的三菱地所住宅和野村不动产等大型开发商也引进了人脸识别,今后将进一步加速引进大型和中小型开发商。此外,该公司通过DX房地产业务,还展开了开发者业务,因此有优势提供大厦门口只能使用人脸识别解锁的服务。业务机构存在提供只能通过人脸识别从楼门口到共用部的包括快递、信箱、电梯、住宅门之类的所有特定部位解锁的服务,但目前只有该公司可以提供此项服务,利用这个特长来推动未来的业务。此外,不仅限于公寓和办公室,从各种行业类型和经营型公司发出的请求也在增加,2014年2月,“Sun Gas Stadium by Kyocera”启动了人脸识别付款服务“FreeiD Pay”,该服务在设施内的门,教育设施和咖啡馆可使用,我们公司认为,面部识别平台“FreeiD”在货币化方面已经准备就绪。此外,在DX房地产业务中,已经超过20年,通过将面部识别平台“FreeiD”引入特化于城市中心的投资用新房公寓事业,高增加资产价值,捕捉顾客需求,并强化DX营销,进一步增长。此外,作为实现飞跃增长的驱动器,还积极考虑并购等方面的问题。
4. 我们的看法
该公司明确了“基于DX的业务推广”并坚持通过DX作为基础发展各种业务的立场,于2023年10月转为持股体制。虽然2024年3月期为Migaroholdings的第一期,但全组织的营业收入超过400亿日元,营收和营业利润达到了业绩预期。我们所关注的信息是DX推进业务的飞跃性增长。随着向持股体制的转换,通过DX为基础的业务活动进一步得到加强,作为成长的动力,DX推进业务通过服务开发、积极的并购和招聘人才,有着大幅的增长。特别是,人脸识别平台“FreeiD”的引入从公寓为中心扩大,截至2024年3月末,已竣工86栋公寓,接受预订的公寓已超过200棟,在国内已成为领头羊。今后,预计将扩大到以公寓为中心的各种引进,并期望该市场在独占地位下确立。
■Key Points
·以DX为基础,推出包括人脸识别服务和云集成等新业务,推进房地产业务的加深
·2024年3月期,营收预计突破400亿日元并达到营收和营业利润预期。公寓价格的上涨和DX推进业务的增长拉动了业绩
·预计在2025年3月期实现销售额500亿日元。继续增收趋势,实现增长加速
·通过积极的前期投资和并购等方式,包括人脸识别在内的DX推进业务,到2027年3月期的营收目标为50亿日元,到2029年3月期的DX房地产业务的营业收入目标为1,000亿日元。
·2023年10月转为持股体制,并明确了“基于DX的业务推广”,坚持通过DX作为基础发展各种业务的立场
·2024年3月期是作为Migaroholdings的第一期时期。但全组织的营业收入超过400亿日元,营收和营业利润达到了业绩预期。成长的驱动力是DX推进业务,依靠服务开发、积极的并购和人才招聘等手段,已大幅增长。
·2025年3月期预测销售额达到500亿日元。继续增收趋势,实现增长加速
·积极的前期投资和并购等方式,包括人脸识别在内的DX推进业务,预计在2027年3月期的营收目标为50亿日元,DX房地产业务预计在2029年3月期达到1000亿日元营收目标
(撰写者:富士客座分析师茂木稜司)