■会社概要
1. 会社概要と沿革
新晃工業<6458>は大規模建物向けセントラル空調機器メーカーで、空調機の製造・販売、空調工事の請負施工、熱媒体自然循環システムの設計・施工・保守管理などを行っている。主要製品は、送風機や熱交換器(コイル)、フィルタ、加湿器などで構成されたフロア全体を空調する大型のAHUと、送風機(ファンモータユニット)、コイル、エアフィルタで構成された各部屋を空調する小型のFCUである。このほか、セントラル空調と個別空調の特徴を兼ね備えたヒートポンプAHUや氷蓄熱装置・冷却塔などの製造・販売、既存建物の設備更新工事やメンテナンスなどを請け負う工事事業も行っている。巨大で複雑な空間を空調するための豊富な品揃えと、顧客個々の要望に沿って設計・製造する技術が求められることから、空調機業界は専業企業などへの集約化が進んでいる。中でも同社は、蓄積されたノウハウと豊富な実績や、設計から製造、販売、メンテナンスまでの一貫体制などを強みとして、特に水AHUは国内市場において長年トップシェアを維持している。
同社は1938年、藤井徳義(ふじいのりよし)氏により暖房機器の輸入販売を目的に設立された。1949年に第二次世界大戦で停止していた業務を再開し、1950年に同社を創業して業務用空調機の製造・販売に乗り出した。その後、1951年にFCU、1957年にはAHU(現在の工場生産型)を日本で初めて開発し、生産拠点の拡大やメンテナンス業務の取り込み、海外進出など、日本経済の発展とともに業容を拡大した。足元の需要は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)や原材料高、部材不足、円安といったリスクが一巡しつつあるなか、東京や大阪などにおける大規模都市再開発や国内回帰が進む半導体工場、デジタル環境の高度化に伴って要求が強まるデータセンター向けなど拡大期に入ったと見られる。中でも生成AIの普及などにより、より大きな電力を必要とする大規模・高速・大容量のハイパースケールデータセンター向けの需要が強まっているようだ。また、中長期的には更新工事やメンテナンス需要の拡大も期待されている。
環境に良い水AHUを大規模建築物向けに展開
2. 事業領域
空調機は家庭用と業務用に分けられ、建物の規模や運用によって最適な機器が選択される。家庭用はいわゆるルームエアコンであり、TVCMでよく見かける民生用電機メーカー大手の製品が多い。業務用は、さらに個別空調とセントラル空調に分けられる。個別空調は、空調を必要とする部屋・エリアごとに室外機と室内機を設置する方式で、熱媒体に代替フロンなどを使用するが、設計・施工が容易で機械室を小さくすることができる。主に延床面積20,000平方メートル以下の中小規模の建物で採用され、空調機のシステムはパッケージエアコン、ビル用マルチエアコンなど汎用品で構成される。
セントラル空調は、建物を一体として捉え、熱源機器を集中設置することでまとめて熱を作り(一次側空調システム)、冷温水(水)を熱媒体として各フロアへ送り、その熱にAHUやFCUがファンで発生させた風を当てて室内の温度・湿度を調整し(二次側空調システム)、空調全体の管理・コントロールを集中して行う(計装システム)仕組みになっており、延床面積20,000平方メートル以上の大規模な建物で使用される。こうした大規模な建物では、フロアごと場所ごとに求められる要件が異なるため、最適なシステムを構築するには個々の仕様・要望に応えるオーダーメイドな設計・製造技術が不可欠である。
同社は、セントラル空調の中でも二次側空調システムを主要な事業領域としている。セントラル空調の主なメリットは、個別空調で使われる代替フロンにはできない精密な温度・湿度制御が可能なこと、上質な空気質を生成できること、設置や設計の自由度が高いこと、空調機を機械室に集中して設置できることによる効率性と高いメンテナンス性などが挙げられる。加えて、熱を搬送する媒体に、温室効果が非常に高い代替フロンではなく自然冷媒である水を使用しているため、地球温暖化を防止する「環境にやさしい」システムであることもメリットと言える。代替フロンはオゾン層を破壊しないものの、CO2の100倍から10,000倍以上の大きな温室効果があるため、気候変動対応の観点から、世界中でノンフロンや温室効果の低い媒体への切り替えが課題となっている。
同社は、中小規模の建物で採用される個別空調領域にも積極的に事業を拡張している。個別空調では、セントラル空調に比べて簡易なシステムや汎用品が使用されるが、外調機については個々に細かな仕様を要求されることが多くなってきたため、セントラル空調の分野で蓄積してきた同社のノウハウを生かす素地があるからである。また、熱源機器を集中させても効率化しない規模の建物では、今後も個別空調方式が採用されることが見込まれる。同社はそこで、ダイキン工業<6367>と業務資本提携してヒートポンプAHUの製造・販売に参入し、個別空調市場を取り込むための戦略商品として積極的に展開している。ただし、地球環境に負荷がかかる傾向にある個別空調の領域においても、同社は、地球温暖化係数の低い熱媒体への転換や代替フロン使用量の削減につながる、地球環境にやさしいシステムの設計を進めている。
二次側空調機メーカーでシェアトップを維持
3. セントラル空調の業界構造
セントラル空調という視点から見た業界のプレーヤーは、施主、設計事務所、ゼネコン(建築会社)、サブコン(設備会社)、空調機関連メーカー(一次側・二次側・計装)となる。大きな建物を建築する際に、空調機の仕様を様々な建築設計に合わせなければならず、設計の段階から参加する必要がある。このため、空調機関連メーカーはゼネコンより早く施主・設計事務所と直接的な関わりを持つことが多い。しかし、発注の流れは通常「施主→ゼネコン→サブコン→空調機関連メーカー」であるため、商流上の契約先はサブコンとなることが多く、設計段階で関わりがあっても機器採用に直結しないこともある。また、建設業界の需要変動の影響を受けやすく、建設業界同様に国内市場が成熟している。そのような市場であるため、二次側空調機メーカーは同社のほか、クボタ空調(株)、ダイキン工業、木村工機<6231>、暖冷工業(株)などに集約されつつある。同社は、こうした二次側空調機メーカーにおいて国内トップシェアを維持している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
■公司资料
1. 公司资料与沿革
新晃工业<6458>是一家大规模建筑用中央空调设备制造商,从事空调机的制造和销售、空调工程的承包施工、自然循环系统的设计、施工和维护管理等。其主要产品包括由送风机、热交换器(线圈)、过滤器和加湿器等组成的大型AHU,以及由风扇电机单元、线圈和空气过滤器等组成的小型FCU,来空调各个房间。此外,企业还制造和销售兼具中央空调和个别空调特点的热泵AHU、蓄冰装置、冷却塔等,承揽现有建筑设施升级工程和维护等工程。鉴于其需要丰富的品种和能够根据客户个体要求进行设计和制造的技术,空调机行业正在向专营企业等方向整合。其中,该公司积累的技术和丰富的经验以及从设计、制造、销售、维护等各个环节的整体体制等作为优势,特别是水AHU在国内市场上长期保持着顶级份额。
该公司成立于1938年,旨在进口和销售暖气设备。1949年重新开始业务,1950年开始创立该公司并进入工业用空调机的制造和销售领域。此后,1951年推出FCU,1957年推出AHU(目前的工厂生产类型)是日本的首次,扩大了生产基地和维护业务,进行海外扩张等,随着日本经济的发展而不断扩大业务范围。目前,人们已进入扩张阶段,特别是在半导体工厂、数字环境的高度化以及跨越国界的城市再生建设中,需求可能经历一轮风险如病毒扩散,原材料短缺,部件短缺,汇率下跌等的波动后才会回暖。尤其是随着生成AI等技术的普及,需要更多的电力来满足大型、高速、大容量超大规模数据中心的需求。此外,更新工程和维护需求的扩大也被期望成为中长期的趋势。
该公司推出环保的水AHU,为大规模建筑项目提供支持。
2.业务领域
空调机分为家用和商用两类,根据建筑物的规模和运营情况选择最佳设备。家庭用途通常是可在电视广告中看到的房间空调,由通常是民用电气制造公司的主要产品构成。商用的空调机,则分为个别空调和中央空调两种。个别空调可以根据需要逐个分区安装室外和室内设备,它们使用替代物冷媒等热媒体,设计和建设容易,并且可以缩小机房的规模。它通常用于中小规模(小于20,000平方米)的建筑物中,空调机系统由通用品牌如包装空调和大楼用多空调组成。
中央空调则将建筑物视为一个整体,通过集中布置热源设备来产生热(一次侧空调系统),并将冷热水(水)作为热媒体发送到各楼层,AHU和FCU以风扇产生的风吹向室内,以调节室内温度和湿度(二次侧空调系统),整个空调的管理和控制由计量系统集中进行。这种系统在面积20,000平方米以上的大型建筑物中使用。在这样的大型建筑物中,由于需要满足每个楼层每个位置的要求,因此必须不断开发订单制定和生产技术才能构建最优系统。
该公司以二次侧空调系统为主要业务领域。中央空调的主要优点是,它可以实现对代用冷媒无法实现的精密温度和湿度控制,能够产生高质量的空气,具有高自由度的安装和设计,可将空调系统集中在机房内,从而提高效率和维护性能。此外,与使用代用冷媒替代氟里昂的个别空调机相比,它使用自然冷媒水作为搬运热的媒介,这样可以防止全球气候变暖的“环保”系统。尽管替代物不会破坏臭氧层,但是它有比二氧化碳高出100倍至10,000倍以上的高温室效应,在应对气候变化的角度上,全球范围内的无制冷剂工作和利用低温室的技术切换已成为重要考虑。
公司积极扩展在小型建筑中使用的个别空调领域的业务。在个别空调中,与中央空调相比使用的是简易系统或通用品,但由于室外机常常需要对每个详细规格提出要求,因此该公司积累的在中央空调领域的技术和知识得以发挥。另外,对于无法集中热源设备以实现有效化的规模建筑,未来也很可能继续采用个别空调方式。因此,该公司与大金工业<6367>进行业务资本提携、参与生产销售热泵AHU,并积极推广作为个别空调市场的战略产品。然而,在个别空调领域存在对地球环境造成负担的趋势,因此该公司正在推进设计环节中地球环境友好系统,例如转换为具有低地球温暖化系数的热媒体或减少代替冷媒的使用量。
二次侧空调设备制造商保持着最高的市场份额。
3. 中央空调行业结构
从中央空调的视角来看,行业参与者包括业主、设计公司、总承包商(建筑公司)、分包商(设备公司)、空调设备相关制造商(一次侧、二次侧、计装)。建造大型建筑时,必须根据各种建筑设计的规格设定空调设备规格,因此需要从设计阶段开始参与。因此,与空调设备相关的制造商通常比总承包商更早地与业主和设计公司直接联系。但是,订单流程通常是“业主→总承包商→分包商→空调设备制造商”,因此商业流通上的合同对象通常是分包商,在设计阶段参与也有可能不会直接影响到设备采用。此外,二次侧空调设备制造商易受到建筑业市场需求波动的影响,国内市场也像建筑业一样成熟。由于市场状况如此,除此公司以外,二次侧空调设备制造商在日本逐渐集中,如久保田空调(株)、大金工业、木村工机<6231>、暖冷工业(株)等。该公司在这样的二次侧空调设备制造商中保持着国内最高份额。
从中央空调的视角来看,行业参与者包括业主、设计公司、总承包商(建筑公司)、分包商(设备公司)、空调设备相关制造商(一次侧、二次侧、计装)。建造大型建筑时,必须根据各种建筑设计的规格设定空调设备规格,因此需要从设计阶段开始参与。因此,与空调设备相关的制造商通常比总承包商更早地与业主和设计公司直接联系。但是,订单流程通常是“业主→总承包商→分包商→空调设备制造商”,因此商业流通上的合同对象通常是分包商,在设计阶段参与也有可能不会直接影响到设备采用。此外,二次侧空调设备制造商易受到建筑业市场需求波动的影响,国内市场也像建筑业一样成熟。由于市场状况如此,除此公司以外,二次侧空调设备制造商在日本逐渐集中,如久保田空调(株)、大金工业、木村工机<6231>、暖冷工业(株)等。该公司在这样的二次侧空调设备制造商中保持着国内最高份额。
(作者:华富证券客座分析师宫田仁光)