■今後の成長戦略
1. 環境認識と成長ポテンシャル
(1) 環境認識
中小企業を中心に人手不足問題が深刻化※1する一方、コロナ禍をきっかけとしたリモートワークの浸透とそれに伴う働き方に対する考え方の変化などを背景に、キャスター<9331>サービスに対するニーズは求人側(顧客企業)及び求職側(ワーカー)の双方から高まっていくことが予想される。特に中小企業の場合は、大きなロットが必要となるBPOの利用も進んでいない※2。人材不足に伴うニーズの増大は同社サービス(WaaS)にとっては追い風となる。
※1 2040年に不足する労働供給の数は1,100万人という予測がある(出所:リクルートワークス研究所「未来予測2040」)。
※2 同社アンケート調査(2022年8月実施、サンプル数2,810社、Fastaskを利用)によると、BPOの利用状況は、大企業(従業員数300名超)が61.0%、中小企業(従業員数300名未満)が39.9%となっている(出所:事業計画及び成長可能性に関する事項)。
(2) 対象市場と成長ポテンシャル
同社は全国の中小企業を対象として、現在のバックオフィス中心の領域から、さらに企画業務領域全般へ、そして市場の大きなIT業務領域にまで拡張していく方針であり、同社試算によれば、同社サービスへのアウトソーシングニーズのTAM(可能性のある最大市場規模)は2.7兆円、SAM(対応可能な市場規模)は1.1兆円、SOM(既存領域の市場規模)は8,000億円、コアターゲットは1,700億円に及ぶ。もちろん一定の前提を置いたフェルミ推定の域を出ないが、同社の視野(見ているところ)や方向性を知るうえで参考になるとともに、中小企業の多くが人手不足(IT人材はさらに深刻)に悩み、DX化の流れにも十分に対応できない状況を踏まえれば、1つの考え方としての合理性はあると判断できる。
2. 成長戦略の方向性
同社は、具体的な中期経営計画を現時点で公表していないが、既存事業の強化とセグメントの拡大の両輪で売上成長を加速させる方向性を打ち出している。既存事業については、バックオフィス領域の中でも、専門性が高く人材不足が顕著である経理・労務領域を強化する。一方、セグメントの拡大に向けては、現在のバックオフィス領域から、コンサルティングやマーケティング、エンジニアリング領域など、既に顧客からのニーズが寄せられている領域への進出を検討している。また、事業領域の拡大及びチャネル拡充にあたっては、これまでのWaaSからBPaaSへと進出し、人材供給のサードパーティとしての立ち位置により、各種プラットフォーマーとの業務提携を推進していく戦略である。
3. 弊社アナリストによる中長期的な注目点
弊社でも、対象領域の拡大により新たな市場を切り開き、成長の角度を引き上げていく戦略は、「リモートワークを当たり前にする」というミッションの実現に向けて必然的な方向性と捉えている。これまでもセグメントの拡大が同社業績を押し上げてきたことを勘案すれば、理にかなっていると言えるだろう。ただ、現在のバックオフィス領域から、コンサルティング、マーケティング、エンジニアリングとより専門性が高い領域へ展開するにあたって、これまでの成功体験やノウハウがどの程度生かせるのか、ビジネスモデル自体をいかにチューニングさせていくのかがポイントになると考えられる。もちろん、創業以来、細かい経験値を積み重ねることで、ビジネスモデルの精度を高めてきた同社にとっては十分承知のうえだろう。そういう意味では、今回のBPaaSへの進出は今後の事業拡大に向けた戦略を具体的に示すものとして注目に値する。各領域のクライアントを束ねる各種プラットフォーマーとの連携は、事業の拡大やノウハウの蓄積の面でも明らかに成長のスピードを高めることになるだろう。また、AI技術の活用でも具体的な動きが活発化しており、将来に向けて同社がやろうとしている姿がいよいよ形となってきた。いずれにしても、着眼点の良さと強い信念で市場を切り開いてきた同社ではあるが、今後さらに事業を発展させ、社会にインパクトを与えるためには、ここからが経営手腕の見せどころと言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
■未来的增长战略
1. 环境认识与成长潜力
(1) 环境认识
中小企业以人手不足问题加剧※1为背景,同时受到新冠疫情引发的远程办公方式普及及对工作方式的改变等影响,对Caster<9331>服务的需求预计将来自于招聘方(客户企业)和求职方(工作者)的双方。特别是中小企业的情况下,尽管BPO的使用需要较大的规模※2,但仍未广泛使用。由于人才短缺带来的需求增加,对于该公司的服务(WaaS)而言将是一种有利因素。
※1 预测显示,到2040年劳动供应将短缺约1,100万人(出处:日本招聘研究所“未来预测2040”)。
※2 根据该公司于2022年8月进行的调查问卷(样本数量2,810家,使用Fastask),BPO的使用情况为:大企业(员工人数超过300人)为61.0%,中小企业(员工人数不超过300人)为39.9%(出处:业务计划和增长潜力相关事项)。
(2) 目标市场与成长潜力
该公司的策略是以全国的中小企业为目标,从目前以后勤为中心的领域扩展到企划业务领域,并进一步拓展到庞大的IT业务领域。根据该公司的预测,对于该公司服务的外包需求,其TAM(潜在的最大市场规模)为2.7万亿日元,SAM(可应对的市场规模)为1.1万亿日元,SOM(现有领域的市场规模)为8000亿日元,主要目标规模达到1700亿日元。当然,这只是基于某些假设的费米估计,但可作为了解该公司的视野和方向的参考。考虑到许多中小企业都面临人手不足(IT人才更为紧缺)且无法充分应对DX化的趋势,这种思路是合理的判断之一。
2. 成长战略的方向性
公司尚未公布具体的中期经营计划,但已确定以强化现有业务和扩大业务领域作为推动销售增长的方向。对于现有业务而言,在后勤领域特别是会计和劳务领域,由于专业知识要求较高且人才短缺,公司计划加强相关能力。另一方面,为了扩大业务领域,公司考虑进军咨询、营销和工程领域等已经受到客户需求的领域。此外,在扩大业务领域和拓宽渠道方面,公司计划从以往的工作即服务(WaaS)转向商业流程即服务(BPaaS),并通过与第三方人才供应商合作推进与各类平台的业务合作。
3. 公司分析师对中长期关注点的看法
我们也认为,通过扩大业务领域开拓新的市场,提升增长角度的战略对实现“将远程办公变为常态”的使命是必然方向。考虑到过去扩大业务领域促进了公司的业绩,这是合乎逻辑的。不过,在从现有后勤领域扩展到咨询、营销和工程等专业性较高的领域时,需要考虑公司过去的成功经验和专业知识能发挥多大的作用,以及如何调整商业模式的关键所在。当然,公司自创立以来通过积累丰富的经验提高了商业模式的准确性,对此公司有充分的认识。因此,本次进军商业流程即服务(BPaaS)的举措将引起关注,作为明确未来业务扩大战略的具体举措。与各个领域的平台合作将在业务扩大和专业知识积累方面明显加快增长速度。此外,AI技术的应用也在具体方面变得更加活跃,公司即将做出的未来举措终于成为现实。无论如何,公司凭借睿智的洞察力和坚定的信念开拓市场,但要进一步发展业务并对社会产生影响,现在是展示经营能力的时候。
(撰写:FiSCO客座分析师柴田郁夫)