■主なトピックス
キャスター<9331>は、BPOからBPaaSへの流れを捉え、人材供給のサードパーティとしての立ち位置から、SaaSベンダー(各種プラットフォーマー)との業務提携を推進する方針を打ち出している。また、AI技術の活用についても、M&Aや他社との連携を積極的に進めており、それぞれに具体的な成果をあげることができた。
1. オンライン型ビジネスコンシェルジュサービスの販売開始
2024年3月にコクヨ<7984>との業務提携を締結し、コクヨグループでBPO事業を提供しているコクヨアンドパートナーズ(株)を通じて、新しいオンライン型ビジネスコンシェルジュサービス「オンラインコンシェルジュ」の提供を開始した。コクヨグループでは、これまでも新しい働き方・働く場に合わせた幅広いBPOサービスを提供してきた。今回の協業により、キャスターのリモートワーカーをフルリモート組織で支える最先端のテクノロジーと融合させ、業務効率化、コスト削減、クライアントの競争力向上を実現するところに狙いがある。新サービスの特長として、24時間365日対応、幅広い業務対応、マニュアル準備不要、育成・マネジメント不要、雇用リスク低減などがあげられている。
2. マネーフォワードとの資本業務提携の締結
2024年5月に個人資産管理サービス及びクラウドサービスを提供するマネーフォワード<3994>(以下、MF社)との資本業務提携を締結し、相互の事業拡大に向けて連携を図ることを公表した。基本的な提携内容については、1) MF社の中小企業顧客(約15万社)に対して、キャスターのサービス及び共同開発による新サービスをクロスセルすること、2) MF社が中堅企業顧客(約8千社)向けに展開する「マネーフォワード クラウド」※に対して、キャスターのサービス及びリソースを提供し、多くの機能を導入すること、3) MF社が連携する税理士法人及び会計士法人が直面する人手不足問題に対して、両社連携により新しい人的リソースの提供を行うこと、などが含まれている。今後もさらなる連携について協議を進めていく方針のようだ。なお、本件に伴い、MF社はキャスターの発行済み株式数の20.3%を市場外での相対取引により取得している(2024年4月1日付)。
※バックオフィスに関する様々なデータを連携し、経理や人事労務における面倒な作業を効率化する事業者向けSaaS型サービスプラットフォーム。同社が強化している経理・労務領域にまさに合致するプラットフォームと言える。
3. 建設業向け「eYACHO BPOサービス」の開始
2024年8月には施工管理支援アプリ「eYACHO」※の提供を通じて、建設DXを推進している(株)MetaMoJiとの業務提携により、施工管理業務の一部を代行する「eYACHO BPOサービス」の提供を開始した。建設業向けにBPaaSを提供することで、施工管理支援アプリを活用したプロセスの効率化に加え、書類作成の事前準備、情報収集、工程により入れ替わる協力会社へのツール導入など、時間外労働の要因となる煩雑な作業の軽減を図る。
※図面や資料のペーパーレス化、リアルタイム共有機能、事務所へ戻らず現場で即座に日報・検査帳票等を作成できる機能などを通じて、施工管理の生産性を向上させる施工管理支援アプリである。2024年5月にはセネコンでの利用シェアがNo.1にランキングされている((株)MM総研「建設業の施工管理支援アプリの利用動向調査」より)。
4. グラムスの連結子会社化
2024年6月1日付けでEC企業向け業務効率化ツールの開発を手掛けるグラムス※1の全株式を取得し完全子会社化した。グラムスはEC分野のAI開発においてアノテーション※2を行っており、各種大規模言語モデル(LLM)を用いて技術の検証を実施している。本件により、グラムスからの技術共有を受け、リモートアシスタントサービス「CASTER BIZ assistant」で依頼されるEC関連業務に対して、継続的な精度向上を前提としたAI技術を取り入れることが可能になった。
※1 世界12ヶ国から約40名のメンバーが参画し、フルリモートでエンジニア組織を運営している。自社のEC出品業務を改善するために開発した「ZenFotomatic」は、国内大手リユース企業をはじめ、世界180を超える国と地域で利用されている。また、EC運営におけるささげ(商品撮影・採寸・原稿)業務を自動化するツール「SASAGE.APP」や、ささげ業務の代行、EC事業向け業務システム開発サービスを展開している。
※2 アノテーションとは「注釈」という意味で、機械学習のための教師データ作成の際にテキストや音声、画像などのデータにタグやメタタグと呼ばれる情報を付与する作業のことである。
5. オルツとの合弁契約書の締結
2024年9月1日には、(株)オルツ※との間で、生成AIを活用したブロダクト開発及びサービス運用を主な内容とする合弁事業を開始するため、新会社(株)LUVO(ルヴォ)を設立した。キャスターの持つ人材事業に関する知見とオルツの有するAI要素技術とを組み合わせることで、人の生産的労働の向上を図るところに狙いがある。まずはAI学習における必需品とも言えるアノテーションの事業を中心として、パーソナル人工知能構想との融合を進める考えだ。なお、キャスターの完全子会社として設立されたLUVOに対しては、今後、オルツによる現物(ライセンス及び技術)供与が行われる予定であり、供与された現物についてはDES(デット・エクイティ・スワップ)により資本に転換されるスキームとなっている。
※P.A.I(R)(パーソナル人工知能)、AIクローンを作り出すことによって、「人の非生産的労働からの解放を目指す」ベンチャー企業。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
■主要话题
凯斯特<9331>公司已经抓住了从BPO到BPaaS的趋势,从人才供应的第三方立场出发,制定了推进与SaaS供应商(各种平台)业务合作的方针。此外,他们还积极利用AI技术,开展并购和与其他公司合作,已经取得了具体成果。
1. 开始销售在线型业务顾问服务
2024年3月,与乐桥<7984>公司达成业务合作,通过乐桥集团的BPO业务提供公司乐桥合作公司,开始提供新的在线型业务顾问服务“在线顾问”。乐桥集团一直为新的工作方式和工作场所提供广泛的BPO服务。通过本次合作,凯斯特将先进的技术与远程员工相结合,实现业务效率提高,成本削减和客户竞争力的提升。新服务的特点包括24小时全年无休的服务,广泛的业务支持,无需准备手册,无需培训和管理,减少雇佣风险等。
2. 与Money Forward的资本业务合作达成
2024年5月,与个人资产管理服务和云服务提供商Money Forward<3994>(以下简称MF公司)达成资本业务合作,公布了为促进双方业务扩大而进行合作的内容。基本合作内容包括:1)为MF公司的中小企业客户(约15万家公司)提供凯斯特的服务,以及通过联合开发推出新服务;2)为MF公司面向中型企业客户(约8千家公司)推出的“Money Forward云”服务,提供凯斯特的服务和资源,并引入多种功能;3)MF公司与合作律师事务所和会计事务所面临的人手短缺问题,通过双方合作提供新的人力资源等。双方表示将就更进一步的合作进行讨论。值得一提的是,MF公司已于2024年4月1日之前,通过场外相对交易收购了凯斯特发行股份的20.3%。
※根据所需,将各种后勤数据联系起来,为企业提供SaaS型服务平台。这一平台可以提供需要加强的企业的财务和劳务领域服务。
3. 开始面向建筑行业的“eYACHO BPO服务”
通过与MetaMoJi公司的业务合作,2024年8月开始提供“eYACHO BPO服务”,代替部分施工管理业务,以推进建筑DX。通过向建筑行业提供BPaaS,不仅可以提高施工管理支援应用程序的使用效率,还可以减轻繁琐的工作,如文件准备、信息收集和协助公司的工具导入等导致加班的因素。
“eYACHO”是一款施工管理支持应用程序,通过纸张化、实时共享功能、在现场即时创建日报和检查报告等功能,提高施工管理的生产力。根据MM総研的“建筑业施工管理支持应用程序的使用动向调查”数据,该应用程序在2024年5月在SeNECON中占据第一位。
4. 成为Grams的全资子公司
2024年6月1日,Caster完全子公司化Grams※1,进行EC企业的业务效率化工具的开发。Grams在EC领域进行AI开发,并使用各种大型语言模型进行技术验证。通过此次收购,可以与Grams共享技术,并将AI技术用于Caster的远程助理服务“CASTER BIZ assistant”的EC相关业务,并继续提高精度。
※1 Grams由来自全球12个国家的约40名成员组成,并通过全面远程运营工程师组织。为了改善自己的EC上市业务,开发了“ZenFotomatic”工具,并在国内领先的Reuse企业和全球180多个国家和地区使用。此外,还提供自动化工具“SASAGE.APP”用于EC运营中的工作(商品摄影、尺寸控制和稿件),以及代理和为EC业务开发的业务系统。
※2 注释是指在创建用于机器学习的教师数据时,为文本、音频、图像等数据添加标签或元标签的过程。
5. 与Orts签订合资协议
2024年9月1日,与Orts公司合资,开展以生成AI为主的产品开发和服务运营,成立了新公司LUVO。通过结合Caster在人才业务方面的经验和Orts在AI要素技术方面的能力,旨在提高人的生产劳动力。首先,以注释业务为中心的AI学习,并推进与个人人工智能构想的融合。此外,还将设立完全子公司LUVO作为Caster,未来计划由Orts提供实物(许可和技术)供应方案,供应的实物将通过DET(债务股权互换)转换为资本。
※P.A.I(R)(个人人工智能),通过创建AI克隆来实现“解放人类非生产性劳动”的初创企业。
(撰写:FiSCO客座分析师柴田郁夫)