■アーバネットコーポレーション<3242>の中長期的な成長戦略
1.今後の方向性と進捗
循環的な景気変動への懸念のほか、インフレの進行や金融緩和政策の先行き不透明感など、外部環境は不確実性が高まりつつあるものの、今後の成長戦略の方向性に大きな見直しはない。ただ、2023年8月24日付けの新株予約権に関する開示文書に記載のとおり、既存事業の拡大とストックビジネス等の強化とともに、M&Aによるシナジー創出や新規ビジネスへの参入も含め、成長に弾みをつける姿勢が明確となってきた。今回のケーナイン連結化もその一環である。既存事業の拡大を軸としながら、M&A等による経営資源の獲得や事業領域の拡充により、持続的な成長を目指す考えだ。
(1) 既存事業の拡大
既存事業については、都心での用地価格が高騰しているなかで、将来リスクも念頭に入れつつ、より採算性やタイミングを重視した選別的な用地取得に取り組み、事業環境や景気変動に柔軟に対応しながら、持続的な成長を目指す。特に、ケーナインとの連携による用地情報力の強化や開発エリアの拡大(川崎、横浜等)に取り組むとともに、さらなるM&A等を通じた経営資源の獲得や隣接エリアへの拡張も検討する。また、事業本部を2部制とし、第二事業本部を新設した。マンション以外のアセットにも対応し、新たな事業の柱に育成する点に狙いがあるようだ。
(2) ストックビジネスの強化
ストックビジネスの強化については、ここ数年、賃貸収益物件を自社保有することにより安定収益源や融資担保の確保に取り組んできた。現在の賃貸収益物件は8棟(他にも戸別保有あり)に上り、年間の不動産収入は500百万円水準(弊社推定)にまで拡大してきた※。今後も、安定稼働が期待できる賃貸収益物件を着実に増やす計画である。また、駅近好立地での開発力を生かして参入した「ホテル事業」については稼働率の向上と客室単価の適正化が進み、いよいよ軌道に乗ってきた。今後はストックビジネスとして保有するか、販売チャネルの拡大を目的として売却するのか、長期的視点で検討する。
※この他に、ケーナインが保有する賃貸収益物件が新たに加わった。
(3) BtoC事業の拡大
同社の中核事業である都市型賃貸マンションの開発・1棟販売では、物件竣工後のマンション販売会社への物件引き渡しで事業のルーチンが完了する。同社が開発してきた分譲用マンションにおいても、戸別分譲後のマンション管理等については管理会社に引き継いで終了としてきた。つまり、賃貸管理並びにマンションビル管理等の収益については対応しておらず、取りこぼしてきた感があるが、今後はアーバネットリビングにより、ボリュームビジネスと言われるこの分野にも積極的に推進する。また、ケーナインのM&Aにより獲得したBtoC分野の経営資源(販売要員やノウハウ、顧客基盤など)の活用やシナジー創出にも取り組んでいく。
(4) 事業領域の拡大
M&Aや業務提携、資本提携の活用により、不動産ビジネスとシナジー効果が期待できる新規ビジネスへの参入を検討する。
2. 持続的な成長に向けた方針
同社は、ROE向上と資本コスト低減による持続的な企業価値向上及びPBRの引き上げを目指している。ROE向上については、1) M&Aによるさらなる成長、2) 人的資本投資の強化、3) 株主還元の充実に取り組む方針であり、従来以上に積極的な投資や資本効率を重視したキャッシュアロケーションを実施する方向性を示している。また、資本コスト低減に向けては、1) 情報開示の強化、2) サステナビリティを意識した取り組み強化を掲げている。株価を意識した経営を実践することで、時価総額200億円の早期達成を目指す。
3. 弊社による注目点
弊社では、東京都心における都市型賃貸マンションは、循環的な景気変動の影響や一時的な相場調整等により強弱を繰り返しながらも、周辺エリアへの波及を含めて持続的な成長が可能な市場であると見ている。特に、国際都市として発展を続ける東京の居住環境の改善及び進化には大きな可能性が残されている。また、ファンドやリート、クラウドファンディングなどを含め、投資対象(金融商品)としての不動産(特に、安定したキャッシュ・フローを生み出す賃貸収益物件)に注目が集まるなかで、優良物件の開発に定評のある同社の役割はますます重要になるだろう。その一方で、事業ポートフォリオの拡充及び安定収益源の確保は同社にとって重要な中長期的テーマである。とりわけ財務基盤の安定化は、リスク対応力の面からも、新たな成長に向けた投資の原動力の面からも重要だ。この点では、今回の新株予約権の発行をはじめ、業務提携やM&Aの実施は、持続的成長に向けた具体的な道筋をつけるものとして大いに評価できる。
長期的な視点からは、国内人口が減少傾向をたどるなかで、持続的な成長を実現するために、新たな需要を取り込める分野へのチャレンジも視野に入れる必要があると考える。弊社では、これまで都心及び好立地にて小さくても快適な居住空間を開発してきた同社にとって、そのノウハウやネットワークが生かせる宿泊施設やシニア向けマンションへの進出は成功確率が高いと見ている。また、新しい技術やコンセプトを導入した次世代型マンションの開発など、同社ならではの取り組みも今後のカギを握るだろう。とりわけZEH仕様マンションの開発は、今後の方向性と新たな成長ポテンシャルを示すものとして期待したい。さらに今回の新株予約権の発行にあたって、不動産ビジネスとシナジー効果のある新規ビジネスへの参入も打ち出しており、今後の動向も気になる点だ。新たなM&Aや業務提携の動きを始め、これまで専門領域に特化し、少数精鋭で経営を行ってきた同社が、どのように事業基盤を強化し拡大していくか注目していきたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
■アーバネットコーポレーション<3242>的中长期成长战略
1.未来的方向和进展
除了对周期性的经济波动的担忧外,外部环境的不确定性正在增加,例如通胀的进展和货币宽松政策的前景不透明。但是,对未来的成长战略没有进行大幅调整。然而,根据2023年8月24日的股票认购权披露文件中的记录,其明确了加强现有业务的扩大和库存业务等方面的发展,并包括通过并购产生协同效应以及进入新业务,以推动成长的态势。这次与凯纳恩的合并也是这个过程的一部分。在将现有业务扩大为核心的同时,通过并购等方式获取经营资源和拓展业务领域,以追求持续成长。
(1) 扩大现有业务
对于现有业务来说,尽管都心地区的用地价格飙升,但在考虑将来风险的同时,我们致力于更加重视盈利能力和时机,并通过选择性的用地获取来灵活应对业务环境和经济波动,以追求持续的成长。特别是,通过与凯纳恩的合作,加强土地信息能力和开发区域的扩大(如川崎和横滨),同时还考虑通过进一步的并购等方式获得经营资源和扩大到邻接区域。此外,将事业总部设立为两个部门,并新设立第二事业总部。明显有意将除了公寓之外的资产也纳入考虑,并将其培育为新业务的支柱。
(2) 加强库存业务
在加强库存业务方面,近几年来,通过自有租赁收入物业的方式致力于确保稳定的收益来源和贷款抵押品。目前的租赁收入物业已达到8栋(还有个别单独持有),年房地产收入已扩大至约5亿日元水平(根据本公司估计)。在未来,计划稳健地增加预计能够稳定运营的租赁收入物业。此外,基于在车站附近优越的地理位置的开发能力,与参与的“酒店业务”也实现了稼动率的提高和客房价格的合理化,即将步入正轨。在长期的视点下,将作出是作为库存业务持有还是将其作为扩大销售渠道的目的进行考虑。
※此外,凯纳恩持有的租赁收入物业也已新增。
(3) 扩大BtoC业务
在该公司的核心业务--城市型租赁公寓的开发和单体销售中,业务在公寓交付给销售公司后就会完成。在该公司开发的共管公寓中,分户销售后的公寓管理等业务由管理公司接管并结束。换句话说,对于租赁管理以及公寓楼管理等收入业务没有进行相应的配套,感觉存在一些遗漏,但是今后由Urbanet Living进行积极推进。此外,该公司还将利用通过Cain的M&A获得的BtoC业务领域的经营资源(销售人员、专业知识、客户基础等),努力创造协同效应。
(4) 业务领域的扩大
通过M&A、业务提携和资本提携,考虑进入能够预期到不动产业务和协同效应的新业务。
2. 为持续增长制定的政策
该公司旨在通过提高ROE和降低资本成本实现持续的企业价值提升,并提高PBR。关于提高ROE,采取以下措施:1) 通过M&A进一步扩大规模,2) 强化人力资本投资,3) 专注于股东回报。同时,该公司将实施更为积极的投资和重视资本效率的现金配置策略。此外,为了降低资本成本,该公司提出了以下目标:1) 加强信息披露,2) 加强可持续性意识。通过实施以股价为导向的经营,目标是早日实现市值200亿日元。
3. 我们关注的重点
我们认为,在东京都心的城市型租赁公寓中,市场具有持续增长的潜力,尽管会受循环经济波动等因素的影响,但包括蔓延至周边地区的持续增长是可行的。特别是在东京作为国际大都市的发展中,改善和升级居住环境仍然具有巨大的潜力。另外,在投资目标(金融产品)中,不动产(特别是能够产生稳定现金流的租赁收入物业)备受关注,这使得拥有在开发精良物业方面建立声誉的该公司的角色更加重要。同时,业务投资组合的扩大和稳定收入的保障对于该公司来说是重要的长期主题。特别是稳定财务基础,在应对风险和成为针对新的增长的投资动力方面非常重要。在这方面,本次新股认购权的发行以及业务提携和M&A的实施是明确实现持续增长的具体思路,这一点非常值得肯定。
从长期角度来看,在国内人口减少的趋势下,为了实现可持续增长,我们认为需要考虑挑战能够吸纳新需求的领域。对于我们来说,作为迄今为止在市中心和优越地理位置开发舒适小型住宅空间的公司,扩大到有利可图的住宿设施和面向老年人的公寓也将具有较高的成功机会。此外,引入新技术和概念进行下一代公寓开发等是我们独特的努力,这也将是未来的关键。特别是零净能住宅开发,我们希望它能展示未来方向和新的增长潜力。此外,在这次新股预约权发行中,我们还提出参与房地产业务和具有协同效应的新业务,我们也关注未来的动向。我们希望看到该公司如何加强和扩大业务基础设施,尤其是开展新的兼并和业务合作,以前是专注于专业领域、精英少数经营的公司。
(撰写:FiSCO客座分析师柴田郁夫)