■マクロミル<3978>の事業概要
1. 事業セグメントとサービス内容
報告セグメントは「日本事業」と「韓国事業」の2つで、日本事業は3つの領域に区分されている。各領域の特徴は以下のとおり。
(1) 日本事業(2024年6月期売上実績377億円、連結売上構成比86%)
‐注力領域(2024年6月期売上実績148億円、連結売上構成比34%)
主力事業であるオンライン及びデジタルリサーチを提供。粗利率は60%程度で他領域と比較して利益率が高く利益拡大のドライバーとなる事業、高収益性と安定成長を追求する領域である。請求体系は「アンケート対象人数×質問数」で年間数万単位の案件をアドホックで受注。アドホック案件が大半ではあるが、定点観測で活用される場合は継続的に受注するケースが多く、リピート率は高いため安定した売上基盤がある。顧客需要は景気に一部連動する部分もあるが、顧客が分散化されていること、企業内で消費者行動変容の把握が進んでいること、データを活用したマーケティング手法が浸透していること、により安定的な需要拡大が見込まれる。
‐戦略投資領域(2024年6月期売上実績67億円、連結売上構成比15%)
データコンサルティング、グローバルリサーチ、新規事業で構成されている。事業モデルの変革を推進する事業群であり、売上2ケタ成長・将来の利益貢献を目指す領域。粗利率は30%程度で投資フェーズにあるが、高成長が続く市場であるため、グループとして中長期的に安定した売上伸長を継続するために戦略的に投資を行い、将来の利益貢献の拡大を目指す事業群である。他領域との違いは、データコンサルティング、グローバルリサーチ、新規事業の全ての領域において案件規模が大きく、中には数千万~億円単位のプロジェクト受注もある。また、データコンサルティングは、人月モデルの請求体系となっている点も特徴として挙げられる。当該領域の拡大は、新たなオンライン・デジタルリサーチの売上を創出することにもつながっており、注力領域の売上の後押し効果も期待できる。
‐基盤強化領域(2024年6月期売上実績160億円、連結売上構成比37%)
オフライン及びデータ提供、さらにその他広告代理店等との合弁事業を展開する子会社群で構成されている。
子会社群の中には、同社及び電通グループ<4324>との合弁会社である(株)電通マクロミルインサイト、(株)博報堂との合弁会社であるQO(株)(旧 (株)H.M.マーケティングリサーチ)、ケアネット<2150>との合弁会社、また2023年7月に子会社化した(株)モニタスなどが含まれている。当該領域は専門性を追求し「強み」を磨く事業群であり、より高い競争優位性・参入障壁を確立することを目的としている。粗利率は45%程度で安定した成長と利益貢献の継続を目指している。
(2) 韓国事業(2024年6月期売上実績61億円、連結売上構成比14%)
韓国では、子会社であるMacromill Embrain Co., Ltd.がマーケティングリサーチ事業を展開している。Macromill Embrainは日本と同様にオンラインリサーチに強みがあり、韓国の大手リサーチ会社の中で唯一、自社パネル基盤を保有している点も特徴として挙げられる。韓国のマーケティングリサーチ市場は、日本と比較して、郵送や電話、訪問調査等のオフラインリサーチ比率が高い状態が継続していたが、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)を経てオフラインリサーチがオンラインリサーチに代替され、オンラインリサーチ比率が高まった。こうした背景から同社は韓国におけるオンラインリサーチ市場では高いシェアを有している。2024年6月期からは、より安定した成長フェーズへと移行しており、日本同様に事業モデルの変革の取り組みを始めている。
2. ビジネスモデル
同社の主力事業であるオンラインリサーチは、インターネットを介したリサーチを通じて、企業が市場に提供する商品やサービスの開発・改善に役立つ情報を消費者から収集・分析する業務である。同社は国内に約3,600万人のパネルネットワークを構築し、顧客企業のマーケティング課題に合わせた調査を実施し、対価の一部をパネルに謝礼として支払うことで高品質な情報を収集している。顧客企業には、調査結果に加え、属性情報を紐づけたデータを提供し、顧客企業は自社内では取得できない情報をマーケティングに活用できる。同社は、こうしたサービスを通じて「消費者インサイト」を明らかにし、顧客企業のマーケティング課題の解決に貢献している。消費者インサイトとは、消費者自身が気付いていない動機や本音を指す。近年、リサーチ業界は「インサイト産業」に再定義されつつあり、同社はリサーチの枠を越えた「インサイト」で顧客のビジネス課題の解決支援やマーケティング戦略への提言を行う。同社は「リサーチ企業」から「総合マーケティング支援企業」への事業モデルの変革を推進し、顧客のマーケティングパートナーとして貢献することを目指す。既存事業領域のみならず新たな事業領域でも、同社の「自社パネル」は他社との差別化要因として競争力を発揮すると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
■MacroMill<3978>的业务概要
1. 业务分部和服务内容
报告分部分为"日本业务"和"韩国业务"两个部分,日本业务分为三个领域。各领域的特点如下。
(1) 日本业务(2024年6月销售额377亿日元,合并销售构成比例86%)
- 专注领域(2024年6月销售额148亿日元,合并销售构成比例34%)
提供在线和数字化调研的主要业务。毛利率约60%,与其他领域相比,利润率较高,是利润扩大的驱动力,追求高收益和稳定增长的领域。计费方式为"调查对象人数×问题数量",每年接受数万个点播项目。尽管大部分是点播项目,但在定点观察中经常持续接单,重复率较高,因此有稳健的销售基础。客户需求虽然在一定程度上与经济增长有关,但由于客户分散,企业内对消费者行为变化的了解逐渐加深,数据驱动的营销方法开始普及,因此预计需求将稳步增长。
- 战略投资领域(2024年6月销售额67亿日元,合并销售构成比例15%)
由数据咨询、全球研究和新业务组成。这是推动业务模式变革的业务群,旨在实现两位数增长的销售和未来利润贡献。毛利率约30%,虽然处于投资阶段,但由于市场继续高速增长,因此作为集团,战略性地进行投资以实现中长期稳定的销售增长,并扩大未来的利润贡献。与其他领域的不同之处在于,无论是数据咨询、全球研究还是新业务,在所有领域中项目规模都很大,其中有数千万至数亿日元的项目接单。此外,数据咨询采用人月计费模式是其特点之一。该领域的扩张也将有助于创造新的在线和数字化调研销售额,同时也有望推动专注领域销售的增长。
‐基础强化领域(2024年6月期销售额实绩160亿日元,合并销售构成比37%)
由离线和数据提供以及与其他广告代理等合资企业展开业务的子公司群组成。
子公司群中包括与该公司及电通集团<4324>合资的电通因塞特公司,与博报堂合资的QO公司(原H.M.营销研究公司),与Carenet<2150>合资,还包括于2023年7月收购的Monitas公司等。该领域致力于追求专业精神并打磨“优势”,旨在建立更高的竞争优势和进入壁垒。毛利率约为45%,旨在实现稳定增长和持续盈利。
(2) 韩国业务(2024年6月期销售额实绩61亿日元,合并销售构成比14%)
在韩国,子公司Macromill Embrain Co., Ltd.开展市场研究业务。Macromill Embrain同样擅长在线研究,与日本一样,在韩国市场是唯一拥有自有面板基础的大型市场研究公司。韩国市场研究市场相比日本,仍以邮寄、电话、访谈等线下研究为主,但在新冠疫情蔓延(以下简称“疫情”)后,线下研究被在线研究替代,使得在线研究比例增加。在这样的背景下,该公司在韩国在线研究市场拥有较高的份额。从2024年6月期开始,公司正转向更稳定的增长阶段,并开始像日本一样进行业务模式的转型。
2. 业务模式
该公司的主营业务在线研究,通过基于互联网的研究,收集和分析来自消费者的信息,以帮助企业开发和改进市场提供的商品和服务。该公司已经建立了约3600万人的网络面板,为客户企业量身定制调查,并通过向面板支付酬金的方式收集高质量信息。除了调查结果,该公司还提供与属性信息相关联的数据给客户企业,客户企业可以利用这些信息进行市场营销。通过这些服务,该公司揭示了“消费者洞察”,并为客户企业解决了市场营销问题。消费者洞察指的是消费者自己未察觉到的动机和真实想法。近年来,研究行业正在重新定义为“洞察行业”,该公司正在超越研究范围,提供关于“洞察”的支持和市场营销策略建议给客户。该公司正在推动从“研究公司”到“综合营销支持公司”的业务模式转变,并致力于成为客户的营销伙伴。在现有业务领域以及新业务领域,该公司的“自有网络面板”作为差异化要素发挥着竞争力。
(撰写者:富士客座分析师茂木稜司)