■マクロミル<3978>の業績動向
1. 2024年6月期の業績概要
2024年6月期の業績は、売上収益43,861百万円(前期比8.0%増)、事業利益5,624百万円(同13.4%増)、営業利益4,470百万円(同0.6%減)、税引前利益4,746百万円(同27.3%増)、継続事業に係る親会社の所有者に帰属する当期利益2,293百万円(同29.0%増)となった。日本事業が好調に推移し、事業利益は生産性の向上により2ケタの増益となった。一方、Toluna社の持分法損失の影響により営業利益は前期並みだった。なお、Toluna社については、2024年6月期は経営統合のPMIに係る費用の発生、欧州をはじめとする事業展開地域の景気の影響を受けて売上が軟調に推移したことから計画外で損失が発生しているが、1年をかけて固定費削減の取り組みが推進された。2026年6月期以降で株式の売却を想定しておりその準備を進めていく計画となっている。
2. セグメント別の事業動向
(1) 日本事業
日本事業は、売上収益37,719百万円(前期比8.0%増)、セグメント事業利益5,422百万円(同22.5%増)となった。注力領域、戦略投資領域、基盤強化領域の各領域で売上収益が順調に拡大した。
注力領域であるオンライン及びデジタルリサーチのサービスでは、前期下期からの積極的な営業活動が効果をあげ、顧客企業との関係が強化された。その結果、売上収益は14,888百万円となり、前期比5.5%増となった。注力領域は売上総利益率が60%以上と利益貢献が最も高い領域であるが、2023年6月期までは軟調であった。コロナ禍からの需要の回復に対して社内リソースが不足していたことが要因であったが、2023年6月期中に解消しており、2024年6月期は離反顧客の呼び戻しや、競合案件の獲得に注力した。人員採用については大幅増員フェーズを脱しており、今後は既存従業員一人ひとりの能力・習熟度を高め1人当たりの対応案件数を増やし外注費を削減していく。売上総利益率の高い注力領域での売上を着実に確保することで、全体の生産性を高めていく。
戦略投資領域であるグローバルリサーチ、コンサルティング、新規事業などのサービスについては、グローバルリサーチ及びコンサルティングが上期に好調であったほか、下期には新規事業の成長が加速したため、売上収益は6,787百万円に達し、前期比12.9%増となった。戦略投資領域は期初計画比では計画ビハインドとなったが、これは他領域と比較して1件当たりの案件規模が大きく売上のボラティリティが高いことが要因である。案件の受発注のタイミングやプロジェクトの終了等によって変動が出やすいが、2ケタ成長を確保した。同領域はマーケットが伸長しており、引き続き高い成長を見込む。
基盤強化領域であるオフライン及びデータ提供、さらにその他広告代理店等との合弁事業を展開する子会社群については、2023年7月にモニタスを子会社化した影響もあり、売上収益は前期比8.5%増の16,043百万円となった。基盤強化領域は合弁事業をはじめ専門性を追求することで安定成長が見込まれる領域であるが、2024年6月期はモニタスを含む子会社群が好調に推移し期初計画を上回った。
費用面では、2023年6月期下期からの増員によって人件費が押し上げられたこと、また新規事業に係る人材やIT人材の採用強化等により、人件費は売上成長率を上回り増加した。一方で、社内リソースの生産性改善や業務の内製化が進み、外注費は抑制され前期を下回った。システム関連費用については、将来に向けた持続的な売上成長と利益改善のための投資(リサーチ基幹システム刷新など)により増加した。
(2) 韓国事業
韓国事業は、売上収益6,142百万円(前期比7.3%増)、セグメント事業利益202百万円(同61.9%減)となった。韓国においては、景気低迷の影響により、政府が実施する公共調査の減少や大手顧客企業のリサーチ予算の縮小など、市場環境が厳しい状況にある。しかし、同社では、韓国の大手リサーチ会社の中で唯一、自社でパネル基盤を保有している利点を生かし、日本で既に実施している購買データ提供などの新規事業を推進しており、自社の構造的な強みを活用したサービス展開を行い、新たな収益源の確保に努めた。第2四半期末には、韓国でのマーケティング施策支援事業を開始するため、広告宣伝事業を展開する企業をM&Aにより取得し協業を進めた。第3四半期以降は景況感悪化の影響が一巡したことや、第4四半期にはM&Aのシナジー効果が現れたことで売上が回復した。また、利益面では人件費の増加や一過性費用の発生により下期は損失が継続したものの、コストコントロールに注力した結果、第4四半期は損益分岐点まで回復した。新たな柱となるサービスへの事業投資を進める一方で、利益面を重視した経営が進められていると弊社では考えている。
3. 財務状況
2024年6月期末の資産合計は前期末比4,948百万円減の89,205百万円となった。流動資産合計は同8,300百万円減の20,986百万円で、現金及び現金同等物7,856百万円、営業債権及びその他の債権675百万円の減少が主な要因である。非流動資産合計は同3,351百万円増の68,218百万円で、その他の金融資産1,494百万円、使用権資産1,221百万円、長期貸付金1,184百万円の増加が主な要因である。負債合計は同8,416百万円減の43,406百万円で、リース負債1,197百万円の増加と社債及び借入金10,421万円の減少が主な要因である。資本合計は同3,468百万円増の45,799百万円で、配当金の支払額1,279百万円、子会社に対する所有持分の変動644百万円の減少があった一方、親会社の所有者に帰属する当期利益2,998百万円、その他の包括利益2,226百万円の発生が主な要因である。個別財政状態における自己資本比率は同3.5ポイント上昇の23.8%、Net Debt/EBITDA倍率は前期末、前四半期からともに回復傾向にある。有利子負債の返済については一定の目途が付いており、2025年6月期はNet Debt/EBITDA倍率も目標圏内に入る見通しである。財務健全性は盤石で短期的な懸念事項はまったくない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
■MacroMill<3978>的业绩走势
1. 2024年6月财年业绩概述
2024年6月期的业绩为销售收入438.61亿元日元(同比增长8.0%),业务利润56.24亿元日元(同13.4%增长),营业利润44.7亿元日元(同0.6%下降),税引前利润47.46亿元日元(同27.3%增长),归属于母公司所有者的净利润22.93亿元日元(同29.0%增长)。日本业务表现强劲,业务利润因生产率提高而实现两位数增长。另一方面,受Toluna公司权益法损失影响,营业利润与去年持平。关于Toluna公司,由于2024年6月期受经营整合PMI成本和欧洲等业务地区景气疲软的影响,销售额出现不佳,造成了非计划损失,但在一年内进行了固定成本削减工作。计划在2026年6月期后考虑出售股票,并制定相关准备计划。
2.按板块的业务趋势
(1) 日本业务
日本业务的销售收入为377.19亿元日元(同比增长8.0%),分部业务利润54.22亿元日元(同22.5%增长)。专注领域、战略投资领域、基础增强领域的各领域销售收入顺利扩大。
专注领域包括在线和数字研究服务,通过自去年下半年开始积极的营销活动效果显著,强化了与客户企业的关系。因此,销售收入为148.88亿元日元,同比增长5.5%。专注领域是利润贡献最高的领域,销售总利润率超过60%,但截至2023年6月期仍然疲软。由于内部资源不足以满足从疫情中恢复需求的原因,已在2023年6月期解决,2024年6月期将重点放在挽留流失客户和争取竞争案件上。人员招聘方面已经摆脱大幅增员阶段,未来将增加每位现有员工的能力和技能水平,提高每人处理的案件数量,减少外包费用。通过稳固确保高销售总利润率的专注领域销售,提高整体生产力。
战略投资领域包括全球调研、咨询、新业务等服务,全球调研和咨询在上半年表现良好,下半年新业务增长加速,销售收入达到67.87亿元日元,同比增长12.9%。战略投资领域计划初期比实际稍逊一筹,主要原因是每个案件规模较大,销售波动性较高。由于订单接受和下达的时间以及项目结束等因素容易导致波动,但已确保两位数增长。该领域市场持续扩张,预计将继续保持高增长。
基础强化领域包括线下和数据提供,以及与其他广告代理等合资企业展开合作。由于在2023年7月收购了蒙奈达斯等子公司集团,销售收入达到了16,043百万元,比上一期增长了8.5%。基础强化领域预计通过专业化追求稳定增长,而包括蒙奈达斯在内的子公司集团在2024年6月期表现良好,超出了初期计划。
在费用方面,由于2023年6月期下半年度增加了员工人数,人力成本上升;另外,由于加强新业务相关人才和IT人才的招聘,人力成本超过了销售增长率。与此同时,内部资源生产力改进和业务内部化进展顺利,外包费用得到压制,低于上一期。另外,由于未来持续增长和利润改善的投资(例如研究核心系统更新)增加,系统相关费用也有所提升。
(2)韩国业务
韩国业务实现了6,142百万元的销售收入(同比增长7.3%),业务利润为202百万元(同比减少61.9%)。由于韩国经济低迷的影响,市场环境严峻,政府减少公共调查以及大型客户企业减少研究预算等。然而,该公司充分利用在韩国唯一拥有自家面板基础的优势,并在日本已经实施的购买数据提供等新业务上推进,利用自身的结构优势展开服务,并努力寻求新的收入来源。第二季度末,公司开始在韩国开展营销活动支援业务,通过并购获得广告宣传业务公司并推动合作。第三季度及以后,市况好转,第四季度发挥了并购的协同效应,销售额有所恢复。此外,尽管下半年由于人力成本增加和一次性费用产生导致亏损,但通过注重成本控制,第四季度已经实现了盈亏打和点。我们认为,在推进投资到新支柱服务的同时,公司也在重视利润方面的经营。
3. 财务状况
2024年6月期末资产总额减少了4,948百万元,为89,205百万元。流动资产总额减少了8,300百万元,为20,986百万元,其中现金及现金等价物减少了7,856百万元,经营应收账款及其他应收款减少了675百万元是主要原因。非流动资产总额增加了3,351百万元,达到68,218百万元,其中其他金融资产增加了1,494百万元,使用权资产增加了1,221百万元,长期贷款增加了1,184百万元是主要原因。负债总额减少了8,416百万元,为43,406百万元,主要原因是租赁债务增加了1,197百万元,公司债及借款减少了10,421百万元。资本总额增加了3,468百万元,为45,799百万元,其中股利支付减少1,279百万元,子公司持股权变动减少644百万元,而归属于母公司所有者的当期利润2,998百万元等因素导致资本增加。自有资本比率增加了3.5个百分点,为23.8%,净负债/税息前利润倍率从上一期末、上一季度均有所回升。有息负债的偿还计划已经有了一定的目标,预计到2025年6月期将进入目标范围内。财务状况稳健,短期内无任何担忧事项。
(撰写者:富士客座分析师茂木稜司)