■アイル<3854>の事業概要
(8) 自社製品・サービス比率の高さ
同社は、価格変動に左右されやすく利益率も低いハードウェアといった、他社製品の売上に依存しない収益構造の構築を経営方針の重要事項としており、自社製品・サービスを中心とする拡販を推進している。その結果、売上高に占める自社製品・サービス(ソフトウェア・運用・保守・会費など)の比率は約7割と高水準である。
(9) パートナー戦略
新規案件紹介元・営業協力会社であるパートナー(銀行、SIer、IT機器メーカー、コンサルタント、会計事務所等)からの高い信頼も特徴である。2024年7月期のシステムソリューション事業の新規受注高販売チャネル別構成比(金額ベース)は、パートナー紹介が前期比2.6ポイント上昇して45.3%、ホームページを通じての引き合いが同2.3ポイント低下して35.8%、自社営業による開拓が同0.3ポイント低下して18.9%となった。パートナー紹介を通じての引き合いというPull型営業の比率上昇が営業効率化につながっている。またパートナー紹介による大企業からの受注が増加傾向にあり、全体としての受注単価上昇にもつながっている。
このように、業界・業務に精通した業務コンサルティング力やパートナー戦略の結果、2024年7月期末時点のシステムソリューション事業の競合勝率は85.7%、ユーザーリピート率は98.4%となっており、同社の競合優位性は高いと言える。
5. 生産性向上と売上総利益率上昇の好循環スパイラル
同社は収益性向上に向けて、製販一体体制による生産性向上及びストック売上拡大を推進している。受注段階での営業と開発の連携強化によってカスタマイズ工数削減やトラブル未然防止に取り組み、総合的な品質・生産性向上によって売上総利益率上昇につなげるという好循環スパイラルを形成する戦略だ。また、営業とサポートを一体化(システム営業、システムサポート)して連携を強化しているほか、個別カスタマイズ対応を基本戦略とする一方で、パッケージ機能の強化・オプション化の継続による受注拡大や、品質・生産性向上によるリードタイム短縮などの施策により、売上総利益率の改善を推進している。
これらの結果、売上高は拡大基調、売上総利益率は上昇基調となっている。2020年7月期と2024年7月期を比較すると、売上高は38.1%増加、売上総利益率は44.7%から55.8%へ11.1ポイント上昇した。特にシステムソリューション事業の売上総利益率が44.3%から56.5%へ12.2ポイント上昇し、全体の売上総利益率の上昇をけん引している。Webソリューション事業のうちCROSS事業の売上総利益率は57.8%から58.0%と横ばいの形だが、これは「BACKYARDTM」開発関連費が増加したためで、今後はストック売上の拡大に伴って上昇基調が見込まれる。
ストック売上高は72.9%増加、ストック売上総利益は81.1%増加した。この結果、ストック売上総利益の販管費カバー率は59.4%から77.4%まで上昇し、販管費の約8割をストック売上総利益でカバーできる収益構造となった。今後はストック売上総利益の販管費カバー率100%を目指す。なおストック売上高構成比及びストック売上総利益構成比は2023年7月期に低下したが、これはシステムソリューション事業におけるメーカーのサーバー保守終了に伴うハード機器売上の増加という一過性要因によるものであり、ソフト改修・更新需要の掘り起こしやクラウドへの移行提案などを推進し、全体的に売上総利益率は上昇基調を維持している。またストック売上総利益率はおおむね50%台後半の水準で推移している。
6. ビジネスパートナーとの連携強化
同社は売上成長と利益拡大に向けた施策として、さまざまな分野でビジネスパートナーとの連携を強化している。2024年7月期は、2023年10月に「アラジンオフィス」が(株)アール・アンド・エー・シーの債権管理・入金消込システム「V-ONEクラウド」と連携、同年11月に「CROSS MALL」がANA(ANAホールディングス<9202>)グループのANA X(株)が運営するインターネットショッピングモール「ANA Mall」と注文情報・出荷情報・在庫情報の連携を開始した。2024年6月には「CROSS MALL」がメルカリ<4385>のECプラットフォーム「メルカリShops」と注文情報・在庫情報の連携に続き商品情報の連携を、「CROSS MALL」が(株)タスネットのクラウド型POSレジ「PowerPOSクラウド」と注文情報・在庫情報の連携を開始した。同年7月には「CROSS MALL」がAnyReach(株)のeギフトサービス「AnyGift」と注文情報の連携を開始した。
なお、資本業務提携しているシビラに対しては、シビラと電通グループ<4324>の資本業務提携に伴い、出資比率を維持するため2021年6月に追加出資を行った。さらなる連携強化により、セキュリティと利便性が両立した新しいサービスを追求する。また2023年6月には、(株)みずほ銀行とみずほリサーチ&テクノロジーズ(株)が取り組む法人顧客向けDX支援「みずほデジタルコネクト」にパートナー企業として参画した。
7. リスク要因と課題・対策
情報システム・サービス産業における一般的なリスク要因としては、受注競合、案件大型化に伴う開発期間の長期化、個別プロジェクトの不採算化、技術革新への対応遅れ、人材確保などがある。ただし同社はパッケージソフト開発・販売が主力のため、受託開発が主力のシステム開発会社に比べて個別プロジェクト不採算化のリスクは小さい。一方で、顧客ニーズに沿った柔軟な個別カスタマイズによって競合他社との差別化を図っているため、カスタマイズ時における工数増加などが利益率低下要因となるが、この対策として製販一体体制による生産性向上を推進している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
■爱乐公司<3854>的业务概要
(8) 公司自有产品和服务比例较高
该公司将构建不依赖其他公司产品销售的收入结构,该结构易受价格波动影响且利润率较低,将自家产品和服务作为经营方针的重要事项,并推动自家产品和服务(软件、运营、维护、会费等)的扩大销售。因此,自家产品和服务在营业收入中占比约70%,达到较高水平。
(9) 合作伙伴战略
该公司的特点之一是来自合作伙伴(银行、SIer、IT设备制造商、咨询公司、会计事务所等)的高度信任。2024财年系统解决方案业务的新订单销售渠道比例(按金额计)中,合作伙伴介绍相比上期上升2.6个百分点,达到45.3%,通过公司网站获取商机的比例下降2.3个百分点,降至35.8%,通过自家销售拓展的比例下降0.3个百分点,降至18.9%。合作伙伴介绍带来了更多Pull型销售的商机,提高了销售效率。此外,从大型企业获得的订单数量也在增加,进一步提高了整体订单价格。
因为熟悉行业和业务的业务咨询能力和合作伙伴战略,截至2024年7月底该公司的系统解决方案业务竞争胜率达到85.7%,客户重复购买率达到98.4%,公司的竞争优势明显。
5. 生产力提高和销售总利润率上升的良性循环螺旋
该公司推动生产力提高和库存销售扩大的生产销售一体化体系,通过强化销售和开发在订单阶段的协作,致力于减少定制工时和防止问题的发生,形成了销售总利润率上升的良性循环螺旋战略。同时,公司整合销售和支持(系统销售、系统支持),加强协作,基本策略是个性化定制响应,同时通过强化包装功能和持续选择性的可选方案扩大订单,通过提高品质和生产力减少交货周期等措施,推动销售总利润率的改善。
根据这些结果,营业收入处于扩张趋势,销售毛利率呈上升趋势。与2020年7月期相比,2024年7月期,营业收入增加了38.1%,销售毛利率从44.7%上升到55.8%,增加了11.1个百分点。特别是系统解决方案业务的销售毛利率从44.3%增至56.5%,拉动整体销售毛利率上升。Web解决方案业务中CROSS业务的销售毛利率保持在57.8%至58.0%,这是由于“BACKYARDTM”开发相关费用增加所致,随着现货销售的扩大,未来有望趋于上升。
现货销售额增加了72.9%,现货销售总利润增加了81.1%。由此产生的现货销售总利润利润覆盖率从59.4%上升至77.4%,销售费用的约80%可以通过现货销售总利润来覆盖。未来将致力于实现现货销售总利润的销售费用覆盖率达到100%。另外,尽管2023年7月期现货销售构成比及现货销售总利润构成比有所下降,但这是由于系统解决方案业务中制造业者服务器维护结束导致硬件设备销售增加的一次性因素,推动软件改进和更新需求的挖掘,并推动至云端的过渡提案,整体销售毛利率保持上升趋势。此外,现货销售毛利率在50%后期水平上波动。
6. 与商业伙伴的合作加强
作为实现销售增长和利润扩大的举措,该公司正加强与各个领域的商业伙伴合作。2024年7月期,2023年10月,“Aladdin Office”与(R&AC)的债权管理和存款抵消系统“V-ONE Cloud”合作,同年11月,“CROSS MALL”与ANA(ANA Holdings<9202>)集团的ANA X公司开始运营的互联网购物中心“ANA Mall”进行订单信息,发货信息和库存信息的合作。2024年6月,“CROSS MALL”与Mercari公司的EC平台“MercariShops”展开订单信息,库存信息和商品信息的合作,“CROSS MALL”与(株)TrustNet的云POS收银系统“PowerPOS Cloud”开始订单信息和库存信息的合作。同年7月,“CROSS MALL”与AnyReach公司的电子礼品服务“AnyGift”展开订单信息的合作。
值得一提的是,对于与Sibila进行资本业务合作,由于Sibila与电通集团<4324>的资本业务合作,为了维持出资比例,该公司于2021年6月进行了追加投资。通过进一步加强合作,追求安全性和方便性兼备的新服务。此外,2023年6月,“三井住友银行”和三井住友研究与科技公司参与了面向法人客户的DX支持项目“Mizuho Digital Connect”作为合作伙伴公司。
7. 风险因素和挑战以及应对措施
信息系统与服务行业的常见风险因素包括订单竞争,由于项目规模扩大而导致开发周期延长,单个项目无盈利,技术创新落后,人才供应等。然而,由于该公司主要以包装软件开发和销售为主,与主要以承包开发为主的系统开发公司相比,个别项目亏损的风险较小。另一方面,由于根据客户需求进行灵活的个性化定制,以实现与竞争对手的差异化,可能导致在定制化过程中工时增加等导致利润率下降,但作为应对措施,公司正在推动生产销售一体化体制以提高生产率。
(撰写: FISCO特约分析师 水田雅展)