■一正蒲鉾<2904>の中長期の成長戦略
2. 第二次中期経営計画及び重点施策
第二次中期経営計画は、「国内外のマーケットへの果敢なチャレンジを通じて事業の成長力・収益力基盤を確立し、1stステージで掲げた「成長軌道への5年」を実現する」を基本方針とする。国内マーケットでは、商品力・生産力・販売力を磨き、競争優位性を実現しシェア拡大を目指す。国外マーケットでは、成長マーケットを分析し拡販を推進する。そのための重要戦略の5つのキーワード「変革と創造」「選択と集中」「DX」「新規事業」「アライアンス」をベースにした戦術・施策を実行し、2026年6月期の売上高400億円、営業利益26億円、ROE10.0%、ROIC9.0%の達成を掲げる。
同社は、株価と資本コストを意識した経営の実現を目指し2023年6月期よりROICを本格導入したが、2024年6月期の実績はROE6.8%、ROIC3.6%と目標数字との乖離はいまだ大きい状況にある。また、2024年6月期末の株価は766円、PBRは0.97倍と1倍を下回る。今後、金利の引上げが実施される可能性が高いことから、従来資本コストに適用していた株式益利回りに負債コストを加算したコストの加重平均を新たな資本コストとし、2026年6月期の目標株価を900〜1,100円、PBR目標を1.1〜1.3倍とおいて、資本コストを意識した投資判断や事業別ROICのPDCAなどROIC経営をブラッシュアップする計画だ。2024年6月期から2026年6月期までの3期で営業キャッシュ・フロー90億円と政策保有株式売却で5億円の資金を創出し、維持更新・環境対策などの設備投資に28億円、合理化・省人化投資・人的資本投資・研究開発投資・DX投資・M&Aなど成長投資に58億円、株主還元に9億円を配分する計画だが、資本コスト・ROIC・ROEなど資本収益性を意識しながら投資を行うことが必要だろう。
重点施策については以下のとおり。
a) 「変革と創造」
ライフ・ワーク・バランスを重視するIWSの運用により、就業時間の10%を能力開発や知的創造活動に充てる新しい働き方に取り組むなどの人財投資を積極的に行い、「個」である従業員と「組織」としての企業が相互に成長し合う働きがいのある企業を目指す。自律型思考、柔軟な発想力を持った人財を創り出し、新たな価値の創造に取り組む。
b) 「選択と集中」
水産練製品・惣菜事業において、商品・市場・生産などの「選択」と「集中」により事業構造改革を進める。利益視点・将来視点での事業・商品の整理を行い、生産の効率化・生産性向上と販売の強化・効率化の両立を目指す。その司令塔として2024年7月にマーケティング開発本部を新設した。また、研究・開発部門において高収益型商品・技術開発への集中投資を徹底する。「サラダスティック」専用工場の本社第二工場は、販売好調により既に生産能力が追いつかない状況になっている。各生産拠点の機能評価と再編を行い、資産効率の極大化を図る必要に迫られている。加えて、全事業・全組織にわたりコスト・経費の見直しを行い、コスト削減を進めていく。
c) 「DX」
全社でDXの推進に取り組み、生産性向上と働き方改革を進めることで顧客価値を創出する。全社業務プロセスの見直しによるデータのデジタル化、業務の自動化・省人化、スマートファクトリーを目指した生産データのデジタル化とデータの有効活用による生産性向上、生産管理システムによる品質向上と効率化推進、SFA・CRM、オンライン商談などによる営業活動の効率化を進める。
d) 「新規事業」
水産練製品・惣菜事業、きのこ事業に次ぐ第3の事業を構築するため、事業領域を拡大する。事業領域としては、既存事業から派生する隣接領域、既存事業の周辺に位置する周辺領域、M&Aやオープンイノベーションによる革新領域の3領域に区分して検討する。
隣接領域としては代替水産製品の商品群の開発がある。希少になりつつある魚介類の味と食感を魚肉すり身で再現することに挑戦し、既に「ネクストシーフードうに風味」やうなぎ蒲焼風かまぼこ「うな次郎」などを販売している。周辺領域としては、2022年度よりマルハニチロ、インテグリカルチャーと魚類の筋肉細胞培養技術の確立に向けて共同研究開発を進めており、動物由来細胞から食品や原料などを作る“細胞農業”でサステナブルな商品開発を目指している。そのほか、“未来の食卓”において有効利用が期待される3Dフードプリンター研究において山形大学と研究を進めている。
革新領域として、2023年7月に経営会議直轄組織として新規事業開発室を設置し、行政、専門機関、県内外のベンチャー投資企業などとのネットワークを構築しながら能動的にM&Aを含めた新規事業を探索・開発中であり、具体的な案件も挙がってきているようだ。
加えて、東南アジア、北米、中東をターゲット市場として、海外事業拡大に向けた資源投入も引き続き進める。2023年6月期及び2024年6月期の2期に、アジア、北米市場での海外展示会(シンガポールの「Food Japan2023」、ボストンの「Seafood Expo North America 2023・2024」、ラスベガスの「Bar & Restaurant Expo 2024」)や「“日本の食品”輸出EXPO」などへの出展を通じて、海外バイヤーや輸出商社などとの商談を進めた。「ネクストシーフード うに風味」や「ネクストシーフード 明太子風味」のほか、ズワイガニの脚肉をイメージしたほぐれやすい極細の繊維と特大サイズが特長の「JUMBO Crab Sticks 大ぶりカニかま」、常温タイプのカニかま「Sea Salad」「Kanikama」、カニ風味かまぼこ「MARINE STICK Plus+(マリンスティック プラス)」、お魚のすり身で作った「FISH NUGGET」(フィッシュ ナゲット)、「うな次郎」など海外向け戦略商品を拡充しており、海外のバイヤーからも引合いを受けているようだ。2025年6月期は海外への本格的な輸出伸長を目指しており、海外部門の組織・人財の整備や、ハラル対応と量産型商品の製造を担い北米、中東などに輸出しているインドネシア合弁会社と国内工場との機能分担の再定義を含めた連携など、「海外事業2ndステージ」となる戦略を再構築する。
e) 「アライアンス」
取引先と強固かつ高品質なアライアンス体制を構築することを目指し、取引先との交流会である「一正やまびこ会」などを通じて食品安全衛生管理に関する研修会の実施、「一正蒲鉾人権方針」の制定と併せた「一正蒲鉾サプライヤー行動規範」の制定、情報メール「いちまさ通信」による発信など活動を強化している。また、産学官との連携、異業種・異分野の企業との協業やオープンイノベーションなど外部とのネットワーク強化・構築を進め、技術開発部門やバイオ研究部門を中心に新たな分野の商品開発、新規事業を探求している。新潟県とKDDI<9433>が創設した事業共創プログラム「Innovation Labo NIIGATA」に参画し、新潟県内での起業・創業を軸とした地域活性化、地域産業におけるDX推進による地域課題の解決、地域共創の実現を目指している。実際に従業員が交代で同プログラムに参画し、異業種との交流を図ることで、アイデア創出の手法や考え方を学び、新技術やスタートアップとのマッチングや事業共創のチャンスを探求している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
■Kazusho Kamaboko的中长期增长战略 <2904>
2。第二期中期管理计划和优先措施
第二个中期经营计划的基本方针是 “通过大胆挑战国内和国际市场,为业务增长和盈利能力奠定基础,实现第一阶段设定的 “5年增长轨迹”。在国内市场,我们的目标是提高产品力、生产力和销售能力,实现竞争优势,扩大市场份额。在海外市场,分析增长市场并促进销售扩张。为此,我们将根据 “转型和创造”、“选择和集中”、“DX”、“新业务” 和 “联盟” 五个关键关键词实施策略和措施,并在2026/6财年实现销售额400亿日元,营业收入26亿日元,投资回报率为10.0%,投资回报率为9.0%。
该公司从2023/6财年开始认真推出了投资回报率,目的是实现注重股票价格和资本成本的管理,但2024/6财年的实际业绩为投资回报率为6.8%,投资回报率为3.6%,目标数字之间仍存在很大差距。此外,2024/6财年末的股价为766日元,PBR比1倍低0.97倍。由于将来实施加息的可能性很大,因此计划使用通过将债务成本与应用于资本成本的股票利润回报率相加而获得的成本加权平均值来改善投资回报率管理,例如注重资本成本的投资决策和特定业务投资回报率的PDCA,并将2026/6期间的目标股价定为900至1,100日元和PBR 目标是 1.1 到 1.3 倍。该计划将在2024/06年至2026/6年的三个时期内通过出售保单持有的保单来创造90亿日元的运营现金流和5亿日元的资金,并拨款28亿日元用于维护、更新、环境措施等资本投资,58亿日元用于合理化/劳动力节约投资/人力资本投资/研发投资/Dx投资/并购等成长型投资,向股东拨款9亿日元回报,但有必要在意识到资本盈利能力的同时进行投资,例如资本成本、投资回报率和投资回报率。
优先措施如下。
a) “变革与创造”
通过强调生活和工作平衡的IWS的运营,我们积极投资于人力资源,例如将10%的工作时间用于能力发展和智力创造活动,从而研究新的工作方式,并致力于成为一个 “个人” 员工和作为 “组织” 的公司共同成长的回报公司。我们创造具有自主思维和灵活想象力的人力资源,并努力创造新的价值。
b) “选择与专注”
在水产品和熟食业务中,我们将通过产品、市场、生产等的 “选择” 和 “集中” 来进行业务结构改革。我们将从利润和未来的角度组织业务和产品,力求既提高生产效率/生产率,又加强和提高销售效率。营销开发总部作为控制塔于 2024/7 年新设立。此外,研发部门将全面投资于高利润的产品/技术开发。总部第二工厂,一家专门生产 “沙拉棒” 的工厂,由于销售强劲,产能已经无法跟上。需要通过对每个生产基地进行功能评估和重组来最大限度地提高资产效率。此外,将对所有企业和组织的成本和支出进行审查,并将促进成本降低。
c) “DX”
整个公司将通过推进生产率提高和工作方式改革,努力促进数字化转型并创造客户价值。我们将通过审查全公司业务流程、实现运营自动化/节省人力、通过生产数据的数字化和有效使用针对智能工厂的数据来提高生产率、通过生产管理系统促进质量改进和效率以及通过SFA/CRM、在线商务谈判等提高销售活动的效率来促进数据的数字化。
d) “新业务”
业务领域将扩大,以建立继渔业产品和配菜业务以及蘑菇业务之后的第三项业务。作为一个业务领域,将对其进行审查,将其分为三个区域:源自现有业务的邻近区域、位于现有业务周围的外围区域以及通过并购和开放式创新的创新领域。
相邻的领域是开发替代渔业产品的产品组。他们接受了重现鱼肉鱼糜越来越少见的海鲜的味道和质地的挑战,他们已经开始销售 “Next Seafood 海胆味” 和蒲烧式鳗鱼酱 “Unajiro”。作为外围领域,自2022年以来,一直在与Maruha Nichiro和Integriculture进行联合研发,以建立鱼类肌肉细胞培养技术,他们的目标是通过 “细胞农业” 实现可持续的产品开发,即利用动物源性细胞生产食物、原材料等。此外,我们正在与山形大学一起进行3D食品打印机研究的研究,该研究有望有效用于 “未来的餐桌”。
作为创新领域,作为管理层会议的直接控制机构,于2023/7年成立了新的业务发展办公室,在与县内外的政府、专门机构、风险投资公司等建立网络的同时,正在积极探索和开发包括并购在内的新业务,看来也在筹集具体项目。
此外,以东南亚、北美和中东为目标市场,我们将继续推进海外业务扩张的资源投入。我们通过在亚洲和北美市场的海外展览(新加坡的 “2023年日本食品展”、波士顿的 “2023/2024年北美海鲜博览会”、拉斯维加斯的 “2024年酒吧和餐厅博览会”)以及 “日本食品” 出口博览会,继续与海外买家和出口贸易公司进行业务谈判。除了 “Next Seafood Seafood 海胆味” 和 “Next Seafood Mentaiko Flavel Flavel Flask” 之外,还有以超细纤维和超大尺寸成像雪蟹腿的 “珍宝蟹棒”、室温型蟹棒 “海沙拉” 和 “Kanikama”,以及用鱼糜制成的蟹味鱼酱 “MARINE STICK PLUS(海洋棒Plus)”。“FISH NUGGET”(鱼块)和 “unajiro” 等面向海外市场的战略产品正在扩展,看来它们也在接受海外买家的询问。2025/6财年的目标是实现海外出口的全面增长,我们将重新制定一项战略,使其成为 “海外业务的第二阶段”,例如改善海外部门的组织和人力资源,以及包括重新定义负责制造清真兼容和批量生产产品的印度尼西亚合资企业与出口到北美、中东等地区的国内工厂之间的职能共享。
e) “联盟”
为了与业务伙伴建立强大而高质量的联盟体系,我们正在加强活动,例如通过 “一商山彦协会” 等举办食品安全和卫生管理研讨会,这是与业务伙伴的交流会议,制定 “Kazusho Kamaboko供应商行为准则”,同时制定 “Ichimasa Kamaboko人权政策”,传播信息电子邮件 “Ichimasa Tsusho”。”此外,我们正在促进与产业、学术界和政府的合作,加强和建设外部网络,例如与不同行业和领域的公司的合作以及开放式创新等,并正在以技术开发部门和生物技术研究部门为中心探索新领域的产品开发和新业务。我们参与了新泻县和KDDI <9433>设立的商业共同创造计划 “Innovation Labo NIIGATA”,旨在振兴以新泻县内创业和创业为中心的地域振兴,通过区域产业的DX促进解决地区问题,实现区域共同创造。实际上,员工轮流参与同一个项目,学习创造想法的方法和思维方式,并探索与新技术和初创企业相匹配以及业务共同创造的机会。
(由FISCO客座分析师松本明弘撰写)