■要約
Chordia Therapeutics<190A>は、武田薬品工業<4502>からスピンアウトした創薬研究者が創業したバイオベンチャーで、低分子化合物の抗がん薬に特化した開発を行っている。探索研究から臨床研究までをコアビジネスとし、国内では提携戦略により製造・販売まで自社で行い、海外ではライセンスアウトすることで早期収益化を目指している。2024年6月に東京証券取引所グロース市場に株式上場した。
1. 開発パイプラインの状況
現在の開発パイプラインは5つあり、このうちリードパイプラインであるCLK阻害薬CTX-712(以下、CTX-712)は血液がん(2次治療以降の急性骨髄性白血病(AML))を対象とした第1/2相臨床試験を米国で実施している(現在は第1相パート)。mRNA※生成過程において過剰なストレスを与えることによってがん細胞を死滅させる新しい作用機序の低分子化合物であり、日本で実施した第1相臨床試験では既に承認申請している治療薬と同水準の安全性及び有効性が確認されている。同社は2024年内に米国でオーファンドラッグ申請を行い、2025年後半に第1相パートの中間成績を発表できる見通しだ。第2相パートは米国と日本で実施し、順調に進めば2026年末に臨床試験データを取得し、2026~2028年に迅速承認制度を活用して販売承認申請を目指す。2次治療以降のAML治療薬の潜在市場規模は2,000〜4,000億円と同社では試算しており、同適応症で開発に成功すればAML1次治療やその他のがん種へと適応拡大を進め、製品価値の最大化を図る。
※ RNA(Ribonucleic acid)はリボ核酸の略で、遺伝子であるDNAからタンパク質を生成するために必要な物質。ゲノムDNAから転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)、タンパク質合成時に利用されるトランスファーRNA(tRNA)などがある
2. 業績動向
2024年8月期の業績は、事業収益の計上がなく(前期はMALT1阻害薬CTX-177のライセンス供与先である小野薬品工業<4528>からのマイルストン収入2,500百万円を計上)、経常損失は1,824百万円(前期は225百万円の利益)となった。2025年8月期も現時点では事業収益の計上を見込んでおらず、経常損失はCTX-712の臨床試験費用増加により2,378百万円と拡大する見通しだ。2024年8月末時点の現金及び預金は4,329百万円と2年近い事業活動資金を保有しているが、当面は先行投資が続くため開発資金が必要になれば株式市場から調達していくことになる。同社では少なくとも1年分の事業活動資金を確保しておきたい意向を持っている。
3. 今後の事業方針
同社は「日本発の研究開発型の製薬会社になる」ことを2030年ビジョンとして掲げている。医薬品製造に関してはシオノギファーマ(株)と、国内における流通・販促活動についてはメディパルホールディングス<7459>と2022年に業務提携の基本合意を締結するなど体制整備を進めている。海外市場はライセンスアウトにより早期収益化を目指す戦略で2020年に小野薬品工業に導出したCTX-177は、現在米国で再発・難治性リンパ腫を対象とした第1相臨床試験が行われている。残り3つのパイプラインについても臨床試験前段階での早期導出も検討し、当面はCTX-712の開発にリソースを集中することで早期収益化を目指す考えだ。
■Key Points
・武田薬品工業からスピンアウトし、低分子化合物の抗がん薬に特化した開発を進める
・CTX-712は2次治療以降の急性骨髄性白血病を対象とした臨床試験を米国で実施中、2026~2028年頃の販売承認申請を目指す
・MALT1阻害薬は小野薬品工業に最大500億円超の条件で導出済み
・CTX-712の価値最大化に向けリソースを集中投下し、早期収益化を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
■概要
Chordia Therapeutics<190A>是从武田制药<4502>分拆出来的药物研究人员创办的生物科技初创公司,专注于低分子化合物抗癌药物的开发。从探索研究到临床研究作为核心业务,在国内通过合作战略自行进行制造和销售,而在境外则通过授权转让旨在实现早期盈利。该公司于2024年6月在东京证券交易所Growth市场上市。
1. 开发管线的情况
目前有5个开发管线,其中领先的管线是CLK抑制剂CTX-712,目前正在美国进行针对血液癌症(AML,次治疗后急性骨髓性白血病)的第1/2期临床试验(目前是第1期部分)。该低分子化合物通过在mRNA生成过程中施加过度压力来使癌细胞灭亡,该机制是全新的,在日本进行的第1期临床试验已经确认具有与已经申请批准的治疗药物相当的安全性和有效性水平。该公司计划在2024年在美国申请孤儿药资格,并有望在2025年下半年公布第1期部分的中期成绩。第2期部分将在美国和日本进行,若一切顺利,将于2026年底取得临床试验数据,并于2026至2028年利用迅速批准机制申请销售许可。该公司估计次治疗后AML药物的潜在市场规模为2,000亿至4,000亿日元,并计划如果在该适应症成功开发,将扩大至AML一线治疗和其他癌症类型,并致力于最大化产品价值。
※RNA(核糖核酸)是核酸的简称,是从DNA基因转录出来以生成蛋白质所需的物质。包括从基因组DNA转录出的信使RNA(mRNA)、在蛋白质合成时使用的转运RNA(tRNA)等
2.业绩动向
2024年8月期业绩未计入业务收入(上一期计入了MALT1抑制剂CTX-177的执照授权方,小野药品工业<4528>提供的2,500百万日元的里程碑收入),经常损失为1,824百万日元(上一期为225百万日元的盈利)。至2025年8月期,目前尚未预计业务收入的计入,经常损失预计将因CTX-712的临床试验费用增加而扩大至2,378百万日元。截至2024年8月底,现金及存款为4,329百万日元,拥有近两年的经营资金,但由于继续前期投资,若需要开发资金,则将从股票市场筹集。该公司希望至少保证1年的经营资金。
3. 未来的业务方针
该公司将2030年作为成为日本研发型制药公司的愿景。在药品制造方面,已与Shionogi Pharma株式会社就国内分销和促销活动达成基本协议,同时推进组织结构调整。通过授权外包到海外市场,以早日实现利润的战略,如2020年向Ono Pharmaceutical Co. Ltd.授权的CTX-177目前正在美国进行第一阶段临床试验,针对复发性和难治性淋巴瘤。尚有其他3个管线,也在考虑在临床试验前阶段实现早期授权,当前重点是集中资源进行CTX-712的开发,以实现早日收益。
■Key Points
• 从武田制药工业分拆出来,专注于小分子化合物抗癌药的开发。
• CTX-712目前正在美国进行针对次要治疗后急性骨髓性白血病的临床试验,旨在于2026年至2028年申请销售许可。
• MALT1抑制剂已经授权给Ono Pharmaceutical Co. Ltd.,最高条件为超过500亿日元。
• 为了最大化CTX-712的价值,将重点投入资源,旨在实现早日收益。
(撰写:FISCO客座分析师佐藤让)