エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、本日、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)選択的チロシンキナーゼ阻害剤「タスフィゴ錠35mg」(一般名:タスルグラチニブコハク酸塩)について、日本において、「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道癌」の効能・効果で、新発売したことをお知らせします。本剤は、2024年9月24日に製造販売承認を取得し、本日、薬価収載されました。
「タスフィゴ」は、FGFR1、FGFR2、FGFR3に対して選択的阻害活性を示す経口投与可能な、当社筑波研究所創製の新規チロシンキナーゼ阻害剤です。
日本における「タスフィゴ」の承認は、当社が日本および中国で実施した多施設共同、非盲検、単群の臨床第Ⅱ相試験(201試験)などの結果に基づいています1。また、本適応に係るFGFR2融合遺伝子を検出するコンパニオン診断薬として日本ステリ株式会社(本社:東京都)の「AmoyDx FGFR2 Gene Break-apart FISHプローブキット」が2024年8月に承認されています2。
日本における胆道がんの患者様数は約2.2万人と推計され3,4、5年相対生存率が約25%と膵臓がんに次いで予後の悪い難治がんであり3、他のがんと比較して薬物療法の選択肢も限られ、アンメット・メディカル・ニーズの非常に高い疾患です。FGFR2融合遺伝子は、胆道がんの15~30%を占める肝内胆管がんの約5~14%に認められています5,6,7。遺伝子融合をはじめとするFGFRの遺伝子異常は、がん細胞の増殖、生存、遊走、腫瘍血管新生、薬剤耐性などに深く関与していることが知られており、胆道がんのほかにも様々ながんで認められていることから、有望な治療標的として注目されています。
「タスフィゴ」の製剤は、革新的な連続生産と製造工程内で品質を保証する先端生産技術であるリアルタイムリリース試験(Real Time Release Testing)の技術を適用し、当社川島工園(岐阜県)にて生産されます。連続生産は、原料の投入から製剤化まで連続的に行う生産方式であり、品質のリアルタイムモニタリング技術を組み込むことで複数の製造工程が統合され、自動的な生産が可能となります。これにより、自動化によるヒューマンエラーの削減に加えて、工程内のデータを活用することで、製品出荷試験に比重を置いた従来の方法よりも高い品質管理を効率的に実現することが可能となります。
当社は、日本において「タスフィゴ」をFGFR2融合遺伝子を有する胆道がん治療の新たな選択肢としてお届けすることで、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。
以上
<参考資料>
1. 製品概要
製品名:タスフィゴ錠35mg
一般名:タスルグラチニブコハク酸塩
効能又は効果:がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん
用法及び用量:通常、成人には、タスルグラチニブとして1日1回140mgを空腹時に経口投与する。
なお、患者の状態により適宜減量する。
薬価:タスフィゴ錠35mg 1錠 15,378.70円
包装:タスフィゴ錠35mg 56錠(PTP14T×4)
2.「タスフィゴ錠35mg」(一般名:タスルグラチニブコハク酸塩、開発品コード:E7090)について
「タスフィゴ」は、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)であるFGFR1、FGFR2、FGFR3に対して選択的阻害活性を示す経口投与可能な、当社筑波研究所創製の新規チロシンキナーゼ阻害剤です。本剤は、従来のFGFR阻害剤と異なり、ジメトキシフェニル基を持たない基本構造を有し、速度論的解析実験からFGFRに素早く、強力に結合し、かつ高い選択性を示す結合様式(タイプV)によるキナーゼ阻害作用により、抗腫瘍効果を現すことが推察されています8,9。
胆道がん適応に関する非臨床研究においては、国立がん研究センター研究所提供のFGFR2融合遺伝子FGFR2-AHCYL1、FGFR2-KCTD1、FGFR2-BICC1またはFGFR2-TXLNAを発現させた細胞株NIH/3T3を使用しました。これらのモデルの足場非依存的増殖およびマウス皮下移植腫瘍増殖に対する「タスフィゴ」の作用を評価することで、FGFR2融合遺伝子陽性がんに対する「タスフィゴ」の抗腫瘍効果を確認しました9。
日本において、エストロゲン受容体陽性HER2陰性の乳がん患者様を対象とした臨床第Ⅰ相試験が進行中です。
3. リアルタイムリリース試験(Real Time Release Testing)について
リアルタイムリリース試験とは工程内データに基づき最終製品の品質を保証するアプローチです。リアルタイムリリース試験を適用するには製造工程の先進的な開発手法であるQuality by Design(QbD)に基づいた品質設計アプローチが重要となります。QbDは、製品出荷試験に比重を置いた従来の品質保証とは異なり、製造工程の深い理解に基づく工程管理に重点をおいた開発手法です。
当社ではQbDにプロセス解析工学(Process Analytical Technology: PAT)を組み込み、医薬品の重要特性を工程中で管理することでより高いレベルの品質管理を実現しています。
- 1. Furuse J. et al. Pivotal single-arm, phase 2 trial of tasurgratinib for patients with fibroblast growth factor receptor (FGFR)-2 gene fusion-positive cholangiocarcinoma (CCA). 2024 ASCO Gastrointestinal Cancers Symposium; Abstract No. 471.
- 2. AmoyDx FGFR2 Break-apart FISH Probe Kit Approved as Companion Diagnostic for Eisai’s Tasurgratinib in Japan. Available at: Last accessed: September 2024.
- 3. 最新がん統計, 国立がん研究センター がん登録・統計
- 4. 第23回全国原発性肝癌追跡調査報告(2014~2015)2023.
- 5. Arai Y. et al., Fibroblast growth factor receptor 2 tyrosine kinase fusions define a unique molecular subtype of cholangiocarcinoma, Hepatology, 2014, 59, 1427-1434.
- 6. Maruki Y. et al., Molecular detection and clinicopathological characteristics of advanced/recurrent biliary tract carcinomas harboring the FGFR2 rearrangements: a prospective observational study (PRELUDE Study), J Gastroenterol. 2021; 56(3), 250-260.
- 7. Tsujie M. et al., Fibroblast growth factor receptor 2 (FGFR2) fusions in Japanese patients with intrahepatic cholangiocarcinoma, Jpn J Clin Oncol. 2021; 51(6): 911-917.
- 8. Miyano SW. et al., E7090, a Novel Selective Inhibitor of Fibroblast Growth Factor Receptors, Displays Potent Antitumor Activity and Prolongs Survival in Preclinical Models, Molecular Cancer Therapeutics, 2016, 15, 2630-2639.
- 9. Kawano S. et al., Antitumor Activity of Tasurgratinib as an Orally Available FGFR1-3 Inhibitor in Cholangiocarcinoma Models With FGFR2-fusion, Anticancer Research, 2024, 44, 2393-2406.
卫材株式会社(总部:东京;代表执行官兼首席执行官:内藤春雄)今天宣布,成纤维细胞生长因子受体(FGFR)选择性酪氨酸激酶抑制剂 “tasfigo片剂35 mg”(通用名:琥珀酸曲替尼)已在日本新上市,用于 “癌症化疗后恶化的可治愈的不可切除胆道癌”。该药物于2024/9/24获准生产和销售,今天,该药的价格已上市。
“Tasfigo” 是由我们的筑波研究所开发的一种新型酪氨酸激酶抑制剂,可以口服,显示出针对 FGFR1、FGFR2 和 FGFR3 的选择性抑制活性。
日本对 “Tasfigo” 的批准是基于我们公司在日本和中国进行的多中心、开放标签、单组临床二期试验(201项试验)的结果1。此外,日本斯特利株式会社(总部:东京)推出的 “AmoyDX FGFR2 基因分解FISH探针试剂盒” 于2024/8年获准作为伴随诊断药物,用于检测与该适应症相关的 FGFR2 融合基因 2。
日本的胆道癌患者人数估计约为22,000人,3、4和5年的相对存活率约为25%,它是一种难治的癌症,继胰腺癌之后预后不佳3,与其他癌症相比,药物治疗选择也很有限,是一种未得到满足的医疗需求极高的疾病。FGFR2 融合基因存在于大约5%至14%的肝内胆管癌中,占胆道癌5,6,7的15%至30%。众所周知,FGFR中的遗传异常,从基因融合开始,与癌细胞增殖、存活、迁移、肿瘤血管生成、耐药性等密切相关,而且由于它们已在胆道癌以外的各种癌症中得到认可,因此作为有前景的治疗靶点备受关注。
“Tasfigo” 的配方是在我们的川岛工厂(岐阜县)通过应用创新的连续生产和实时发布测试(实时发布测试)技术生产的,这是一种保证制造过程质量的先进生产技术。连续生产是一种持续执行从原材料输入到配方的所有操作的生产方法,通过整合实时质量监控技术,可以集成多个制造流程,从而使自动化生产成为可能。因此,除了减少由于自动化造成的人为错误外,还可以通过利用过程中的数据有效地实现比传统方法更高的质量控制,这些方法特别强调产品出货测试。
通过在日本提供 “tasfigo” 作为使用 FGFR2 融合基因的胆道癌的新治疗选择,我们将通过满足癌症患者及其家属甚至医护人员的多样化需求和改善其福利来进一步做出贡献。
结束了
<参考资料>
1。产品概述
产品名称:Tasfigo 片剂 35mg
通用名:琥珀酸他舒替尼
功效或作用:FGFR2 融合基因阳性的治疗性不可切除的胆道癌,在癌症化疗后恶化
用法和剂量:成人通常口服140 mg,每日一次,空腹服用。
请注意,根据患者的病情适当减轻体重。
药品价格:Tasfigo 片剂 35 毫克 1 片 15,378.70 日元
包装:Tasfigo 片剂 35mg 56 片(PTP14T x 4)
2。关于 “Tasfigo 片剂 35mg”(通用名:琥珀酸他舒替尼,开发代码:E7090)
“Tasfigo” 是由我们的筑波研究所开发的一种新型酪氨酸激酶抑制剂,可口服,对成纤维细胞生长因子受体(FGFR)FGFR1、FGFR2 和 FGFR3 表现出选择性抑制活性。与传统的FGFR抑制剂不同,该药物的基本结构没有二甲氧基苯基,并且从动力学分析实验中推测,它可以快速而强烈地与FGFR结合,并且由于结合模式(V型)的激酶抑制作用而显示出抗肿瘤作用,表现出高选择性的结合模式(V型)8,9。
在胆道癌适应症的非临床研究中,使用了美国国家癌症中心研究所提供的 FGFR2 融合基因 FGFR2-AHCYL1、FGFR2-KCTD1、FGFR2-BICC1 或 FGFR2-TXLNA 的细胞系 NIH/3T3。通过评估这些模型中 “tasfigo” 对支架独立生长和小鼠皮下移植肿瘤生长的影响,我们证实了 “tasfigo” 对 FGFR2 融合基因阳性癌症的抗肿瘤作用 9.
在日本,针对雌激素受体阳性HER2阴性乳腺癌患者的I期临床试验正在进行中。
3.关于实时发布测试(实时发布测试)
实时发布测试是一种根据过程中的数据保证最终产品质量的方法。为了应用实时发布测试,基于质量源于设计(QbD)的质量设计方法非常重要,这是一种先进的制造过程开发方法。与特别强调产品出货测试的传统质量保证不同,qbD 是一种基于对制造过程的深刻理解而侧重于过程控制的开发方法。
我们已将过程分析技术(PAT)整合到QbD中,并通过在过程中管理药物的重要特性,实现了更高的质量控制水平。
- 1。Furuse J. 等人。tasurgratinib针对成纤维细胞生长因子受体(FGFR)-2基因融合阳性胆管癌(CCA)患者的关键性单臂2期试验。2024年ASCO麻疹摘要研讨会;摘要编号471。
- 2。Amoydx FGFR2 Break-Apart FISH 探针试剂盒获准作为日本卫材达舒格拉替尼的伴随诊断。可用于:上次访问时间:2024 年 9 月。
- 3.最新的癌症统计数据,国家癌症中心癌症登记/统计数据
- 4. 2023 年第 23 次全国原发性肝癌随访调查报告(2014-2015)。
- 5。Arai Y. 等人,《成纤维细胞生长因子受体 2 酪氨酸激酶融合》定义了胆管癌的独特分子亚型,《肝病学》,2014,59,1427-1434。
- 6。Maruki Y. 等人,《包含 FGFR2 再生的晚期/复发性胆道病变的分子检测和临床病理学影响:临床观察研究(PRELUDE 研究)》,《胃肠病杂志》,2021;56(3),250-260。
- 7。Tsujie M. 等人,《日本肝内胆管癌患者的成纤维细胞生长因子受体2(FGFR2)融合》,Jpn J Clin Oncol,2021;51(6):911-917。
- 8。Miyano SW. 等人,E7090,一种新的成纤维细胞生长因子免疫选择性抑制剂,在临床前模型中显示出强大的抗肿瘤活性和免疫存活率,《分子癌疗法》,2016,15,2630-2639。
- 9。Kawano S. 等人,《Tasurgratinib作为抑制剂的抗肿瘤活性,可用于采用FGFR2-Fusion的胆管癌模型》,《抗癌研究》,2024,44,2393-2406。FGFR1-3