■極東貿易<8093>の中期経営計画と成長戦略
同社は、中長期的な発展に資する取り組み計画として、2021年5月に中期経営計画「KBKプラスワン2025」(2022年3月期~2026年3月期)を策定した。この計画では事業ポートフォリオの最適化を実行し、注力すべき事業領域を選別して収益力の強化を目指すとともに、サステナブルな社会を実現するための新分野における事業展開と投資を実行することで、新たな収益の源泉を創出するとしている。
1. 中期経営計画「KBKプラスワン2025」の概要
・環境・社会・ガバナンス体制(ESG)
サステナブルな社会を実現していくために、同社が培ってきた技術や顧客資産を生かした多様なESGビジネスを展開し、企業価値を高める。
・事業戦略(事業ポートフォリオ戦略)
新規事業創出のために3つの事業部門を横断したプロジェクトチームを設置した。また、5年間で総額50億円の投資枠(M&A)を設定した。5年~10年展望で種をまき、新しい事業の柱を同時並行で複数育成する。
・財務・資本戦略
ROE5.4%以上の水準を目指し資本効率性の向上を図る。自己資本を3年間積み増さず、資本効率性も考慮に入れながら、積極的な株主還元(前半3期は配当性向100%)にも取り組む。
・株主価値/企業価値の向上
資本コストを上回るリターンの確保とともに、東証プライム市場(流通株式時価総額100億円以上)の上場条件を満たす。
2. 中期経営計画(数値目標)の見直し
同社は、中期経営計画の前半3年間(2022年3月期~2024年3月期)で、事業ポートフォリオの最適化や新規事業分野への資源配分、株主価値向上のための施策を進めてきた。2024年3月期には、コロナ禍の影響から回復し、収益改善が見られるようになったが、ウクライナ情勢や中国経済の低迷、成長投資の遅れなどにより、当初の目標との差が生じてきている。そのため、2026年3月期の数値目標を再設定し、連結経常利益は当初目標の25億円から19億円に、ROEは当初目標の8.0%から5.4%と修正した。
なお、数値目標の一つである「M&Aなど投資枠」(計画期間5年間で総額50億円)の設定はそのまま継続し、引き続き成長投資に取り組む。
中期経営計画の最大の目玉は、新規ビジネスの開発と育成
3. 中期経営計画3期目の進捗状況
(1) サステナブルな社会を実現するための新分野における事業展開と投資実行
1) 営業組織の統合
同社は2022年4月1日付で営業組織を統合した。基幹産業関連部門と電子・制御システム関連部門の5つの営業部を統合して、「産業インフラソリューショングループ」へ、産業素材関連部門の3つの営業部を統合して「マテリアルソリューングループ」へと、2つの営業グループに統合した。
営業組織の統合を行った狙いは3つある。第1に、事業特性や営業特性に適した事業戦略とその実行組織の再編である。2つの営業グループ(産業インフラソリューション、マテリアルソリューション)は、設備エンジニアリング系ビジネスと素材サプライヤー系ビジネスと定義され、売り方やビジネスのやり方が異なる。今後は、それぞれの営業組織で事業戦略と営業戦略を策定し実行する。第2に、将来的に顧客のニーズに応じてプロジェクトチームで動けるよう柔軟な営業体制を組めるようにする。第3に、顧客情報や専門的知見、ノウハウを組織で共有することで営業人材の育成強化につなげる。今回の営業組織改革は合理化や人員削減などの守りの組織改革ではなく、戦略的意味を持った攻めの組織改革であることを付け加えておく。
2) 事業ポートフォリオの再編と強化
同社では、営業組織改革を機に、事業セグメントの再編も同時に行った。2023年3月期より、「基幹産業関連部門」と「電子・制御システム関連部門」を統合して「産業設備関連部門」を新設し、従来の「産業素材関連部門」「機械部品関連部門」で3事業セグメント体制とした。
その背景には、カーボンニュートラル(脱炭素)の潮流を見据え、同社の火力発電所関連の事業から撤退すると決断したこと、電子・制御システム関連部門において主力事業であった「計装システム(火力発電所向け制御装置)」から撤退したことで事業規模が圧倒的に小さくなり、単独で事業セグメントを組む必要がなくなったことがある。そのため実質的には基幹産業関連部門に電子・制御システム関連部門を吸収した形となった。
2022年3月期からの会計基準変更により、売上高・売上総利益のトップは基幹産業関連部門セグメントから機械部品関連部門セグメントへ交代となった。中長期的に事業部門ごとに事業ポートフォリオの見直しを図り、リソースを再配置する方針としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
■极东贸易<8093>的中期经营计划和增长战略
该公司于2021年5月制定了中期经营计划“KBK Plus One 2025”(2022年3月至2026年3月),作为有助于中长期发展的举措计划。该计划旨在优化业务投资组合,选择应该集中发展的业务领域以增强盈利能力,并通过在新领域开展业务和投资以实现可持续社会,创造新的收入来源。
1. 中期经营计划“KBK Plus One 2025”概要
・环境・社会・治理体制(ESG)
为了实现可持续社会,该公司将发展多样化的ESG业务,利用其积累的技术和客户资产,提升企业价值。
・业务战略(业务投资组合战略)
为了创造新业务,设立了横跨三个业务部门的项目团队。此外,设定了总额为50亿日元的5年投资框架(M&A)。在5到10年的展望中,同时培育多个新业务支柱。
・财务・资本战略
以ROE5.4%以上的水平为目标,努力提高资本效率。在未增持自有资本的情况下,考虑资本效率,积极进行股东回报(前三个季度配息率为100%)。
· 提高股东价值/企业价值
确保超过资本成本的回报,并满足东京证券交易所主板市场(流通市值超过100亿日元)的上市条件。
2. 中期经营计划(数字目标)的审查
公司在中期经营计划的前三年(2022年3月期至2024年3月期)中,推进了业务组合的优化、资源分配到新业务领域以及提高股东价值的措施。到2024年3月期,公司已经从疫情中恢复,收入有所改善,但受乌克兰局势、中国经济低迷、成长投资滞后等因素影响,与最初目标出现了差距。因此,重新设定了2026年3月期的数字目标,连续经常利润从最初目标的25亿日元修正为19亿日元,ROE也从最初目标的8.0%修正为5.4%。
另外,设定的一个数字目标为“M&A等投资框架”(五年总额为50亿日元)将继续保持不变,继续致力于成长投资。
中期经营计划的最大亮点是新业务的开发和培育
3. 中期经营计划第三阶段的进展情况
(1) 在新兴领域实现可持续社会的业务拓展和投资执行
1) 销售组织的整合
该公司于2022年4月1日实施了销售组织的整合。将核心产业相关部门和电子控制系统相关部门的五个销售部门整合为“工业基础设施解决方案群”,将工业材料相关部门的三个销售部门整合为“材料解决方案群”,形成两个销售群。
进行销售组织整合的目的有三点。第一,是根据业务特性和销售特性制定适合的业务战略并重组执行组织。两个销售群(工业基础设施解决方案、材料解决方案)分别定义为设备工程类业务和材料供应商类业务,其销售方式和商业模式不同。未来,将在各自的销售组织内制定并执行业务战略。第二,是为了根据客户需求未来能够灵活调整项目团队的销售体制。第三,通过共享客户信息、专业知识和技术,加强销售人员的培训。此次销售组织改革不是为了精简和裁员等保守的组织变革,而是战略性的积极组织变革。
2) 业务组合的重新调整和强化
在进行销售组织改革的同时,该公司进行了业务部门的重新调整。从2023财年起,将“核心产业相关部门”和“电子控制系统相关部门”整合为“工业设备相关部门”,设立了新的业务领域构成“工业材料相关部门”和“机械元件相关部门”三个业务领域。
这一举动背后是考虑到碳中和(脱碳)的趋势,该公司决定退出与火力发电相关的业务,以及电子控制系统相关部门中主营业务的“测量系统(用于火力发电厂的控制系统)”的退出,导致业务规模大幅缩小,不再需要单独构建业务部门。因此,实质上是将电子控制系统相关部门吸收到核心产业相关部门中。
由于2022年3月期会计准则的变更,营业收入和营业总利润的冠军从核心产业相关部门领域转向了机械元件相关部门领域。在中长期内,将逐步审视各业务部门的业务组合,并采取重新配置资源的政策。
(作者:富士客座分析师清水啟司)