■極東貿易<8093>の中期経営計画と成長戦略
3) バイオプロダクツ分野:廃プラ問題を解決に導く事業
このテーマは中長期の新規事業テーマと位置付けている。バイオプロダクツ分野は複数のテーマを検討していたが、「生分解促進添加剤販売」と生分解プラスチック:マスバランス式のバイオポリプロピレンの販売」有力とし、注力している。「生分解促進添加剤」は米国のベンチャー企業EcoLogic LLCと代理店契約を結び販売を行っている。「Eco-One」はFDA(米国食品医薬品局)に準拠した添加剤で、オーガニック100%である。樹脂に「Eco-One」を約1%添加することで、樹脂製品に生分解・海洋分解性機能を付与できる。用途はランニングシューズ、オフィス家具、医療用資材、レジ・ゴミ袋など幅広く、環境価値を重視するユーザーに受け入れられると弊社は見ている。
生分解性促進添加剤「Eco-One」は、顧客企業が生分解性の実証試験を終え、既に「生分解性機能」を確認し、市場調査や顧客ニーズを検証中である。用途は食品包装用フィルム、農業用資材など多岐にわたり、なかでも発泡スチロール成型品やアパレル向け繊維で注目されている。「生分解プラスチック:マスバランス式のバイオポリプロピレン」は、化粧品容器や工業用フィルムなどにおいて現行樹脂品と性能は変わらないと、顧客企業から好評価を得ていると言う。バイオマス製品を販売するには国際持続可能性カーボン認証(ISCC PLUS認証)が必要である。申請が多く認証受付を一時ストップしている状態であったが、最近ようやく再開したようである。同社は、速やかに国際認証を取得し、マスバランス式のバイオポリプロピレンの販売をスタートさせる考えだ。バイオプロダクツの有望2製品は流れ品であるため、一度流れ出すと継続的に安定受注が期待できる。バイオプロダクツ関連事業は当初の事業計画よりやや遅れているが、3年以内に本格的事業化を目指している。
4) 海外事業分野:インド現地法人の事業拡大
同社は、2008年にインドへ進出(チェンナイにインド現地法人を設立)し、2011年にグルガオン地区に第2事務所を設立した。進出の初期段階は同社のビジネスにつながらなかったが、2019年5月に日系メーカーと共同でテクニカルセンターを設立したのをきっかけにフィーダー※事業を本格化し、現地の日系メーカーへ拡販を進めた。2024年3月期には、産業用重量式連続フィーダー、潤滑剤、自動車部品等取扱アイテムを強みに現地企業へも事業拡大を図っている。また、精密ファスナー関連事業ではインド市場進出を企図中で、今後の受注拡大が見込まれる。インドはグローバルサウス(Global South)市場として世界の企業から最も注目されており、同社においてもポスト中国事業として有望視されている。
※ 産業用連続フィーダーで、樹脂ペレットを流す(フィード)設備。
5) 海外事業分野:米国現地法人の新規事業
同社の米国法人は1956年の設立以来、重工業向け設備、航空宇宙分野、資源開発分野の最新技術、商材を国内市場に提供してきた。米国に進出する日系顧客のサプライチェーンを支援するため、同社のグローバル調達力、在庫管理で商材の安定供給を図ってきた。また、2022年には米国事務所をニューヨークからインディアナポリスへ移転した。近年は米国進出を狙う高い技術力を持った日系メーカーとともに積極的な顧客開拓を進め、新規事業を創出してきた。2024年6月に、機能性複合材料メーカーである西田技研の米国法人:「Nishida Art Speciality Composite America Inc.(Nasca Elastomers)と協業し、日系及び米国自動車部品メーカーへ熱可塑性エラストマー供給を開始した。今後は、西田技研との協業を深化させ、エラストマー製造分野の顧客へのソリューション提案を展開する予定である。
4. M&A戦略とその実行
M&Aは、同社のグループ経営を象徴する手法である。2008年の経営危機から脱出するため、同社は大きく舵を切り、中核事業の一つである航空・防衛関連を失った事業構造の再構築に取り組んだ。その際、新たな事業をM&Aにより取り込むことで再建を図った。その後、2018年までに6件のM&A(7年間)を連続して実施し、これらの案件はいずれも全社平均を上回る売上総利益率を達成した。これにより、持続的成長と高収益体質への事業構造転換を果たした。このような成功体験が積み重なった結果、同社ではM&Aが重要な成長戦略となり、中期経営計画でもM&Aの成長投資枠(50億円)が設定されており、望ましいM&A案件が見つかればすぐに対応できる体制が整えてきた。2018年以降、実際にはM&Aは行われてこなかったが、この間も水面下で検討が続けられており、M&Aが直前で破談になった案件もあったと聞いている。そのような状況の中、今回2つのM&A契約が成立した。(2024年8月30日発表)
(1) 三幸商会の株式取得(子会社化)
三幸商会は、汎用プラスチック&エンジニアリングプラスチック及び溶射材※を取り扱う専門商社であり、自動車部品・電化製品から半導体関連まで幅広い産業分野の樹脂材料のサプライチェーンに貢献している。また、海外進出した顧客の事業を支えるため、中国・東南アジア地域に拠点を設け、幅広く材料供給事業を展開している。同社の産業素材関連部門では、多種多様な細々した商材を扱ってきたが事業の柱がなかった。三幸商会をグループインすることにより、汎用プラスチック&エンジニアリングプラスチック分野の大きな事業の柱ができ、ビジネス展開上大きなメリットとなる。
※ 溶射材とは、産業界で広く利用されている溶射と呼ばれる表面改質技術において使用する金属やセラミックス、サーメットなどの材料。
(2) 船舶用補修材:ウエルストンの株式取得(孫会社化)
同社の機械部品関連部門の基幹子会社であるヱトーは産業向け精密ファスナー及び関連機械器具工具の販売を中心とした専門商社として、国内外の顧客を強力にサポートするため、培った経験をもとに品質保証や技術的ノウハウ、サプライチェーンを進化させ、中国・アセアン地区・北米地域に広く海外事業を展開している。一方、ウエルストンは、船舶補修部品の輸出や国内卸を主体とする専門商社で、幅広い仕入先と東南アジアを中心とした海外の顧客を数多く保有しており、近年拡大を続ける船舶のメンテナンス需要を取り込み、グローバルな事業展開を進めている。ヱトーはウエルストンを子会社化(同社からみれば孫会社)することにより、船舶補修部品という新たな市場に参入し、商材の開拓機会を創出することで収益基盤強化が図れる。一方、ウエルストンはヱトーが保有する資金力や多岐にわたる取引先、商品の管理ノウハウを活用することにより顧客対応力を強化し、ヱトーならびに同社グループのネットワークを生かしながら、船舶補修部品市場における優位性を築き、事業多角化を図る。ヱトーとウエルストンは、業界や取引先は異なるが、金属切削部品という共通商材・技術を活用し、機械部品の商流も類似性があるため、中長期的視点でみれば、事業シナジーが大いに期待できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
■极东贸易<8093>的中期经营计划和增长战略
3) 生物产品领域:引领废塑料问题解决的业务
该主题被定位为中长期的新业务主题。生物产品领域考虑了多个主题,但认为"生物降解促进添加剂销售"和"生物降解塑料:质量平衡法聚丙烯销售"具有实力,正在专注于这些方面。"生物降解促进添加剂"与美国初创企业EcoLogic LLC签订代理协议并进行销售。"Eco-One"是符合美国食品药品监督局(FDA)标准的添加剂,100%有机。将"Eco-One"添加约1%到树脂中,可以为树脂制品赋予生物降解和海洋降解功能。应用领域广泛,包括跑鞋、办公家具、医疗用品、收银和垃圾袋等,我们认为这些产品会受到重视环境价值的用户欢迎。
生物降解促进添加剂"Eco-One",客户企业已完成生物降解性实证测试,已确认"生物降解功能",正在对市场调查和客户需求进行验证。应用领域包括食品包装薄膜、农业用品等多样,其中发泡聚苯乙烯成型品和面向服装的纤维引起关注。"生物降解塑料:质量平衡法聚丙烯"在化妆品容器和工业薄膜等领域,性能与现有树脂产品无异,受到客户企业好评。出售生物质产品需要国际可持续碳认证(ISCC PLUS认证)。虽然申请很多导致认证接收暂停,但最近似乎已经重新开始。该公司计划快速获得国际认证,启动质量平衡法聚丙烯的销售。由于生物产品前景看好,这两款有望的生物产品一旦推出,就可以期待持续稳定的订单。虽然生物产品相关业务略微落后于最初的业务计划,但公司计划在3年内实现正式业务化。
4) 境外业务领域:加强印度现地子公司的业务
该公司于2008年进入印度(在钦奈设立了印度现地子公司),并于2011年在古尔冈地区设立了第二个办公室。初期进入阶段未使该公司业务拓展,但2019年5月与日本制造商共同设立技术中心成为契机,加强了饲料器※业务并向当地的日本制造商扩大销售。到2024年3月,将以产业用重量式连续饲料器、润滑剂、汽车零件为特长,加强对当地企业的业务扩展。此外,在精密拉链相关业务中,计划涉足印度市场,未来有望扩大订单。印度作为全球南方市场备受全球企业关注,同样被视为该公司作为中国事业的有望后续。
※ 产业用连续饲料器是一种将树脂颗粒流动(供料)设备。
5) 境外业务领域:美国现地子公司的新业务
自1956年成立以来,该公司的美国子公司一直向国内市场提供重工业设备、航空航天领域和资源开发领域的最新技术和商品,以支持在美国扩张的日系客户的供应链。通过其全球采购能力和库存管理,确保商品稳定供应。此外,该公司于2022年将美国办事处从纽约搬至印第安纳波利斯。近年来,该公司与具有高技术能力并计划在美国扩张的日系制造商合作,积极开拓客户并创造新业务。2024年6月,与功能性复合材料制造商西田技研的美国子公司Nishida Art Speciality Composite America Inc.(Nasca Elastomers)合作,向日系和美国汽车零件制造商供应热塑性弹性体。未来,将加深与西田技研的合作,为弹性体制造领域的客户提供解决方案。
4. 并购战略及其实施
并购是该集团经营的象征性手段。为摆脱2008年的经营危机,该公司大幅调整航空防务业务的经营结构。通过并购新业务,重新构建了业务结构。此后,截至2018年,连续进行了6宗并购(共7年),所有这些案例都实现了高于公司整体平均销售毛利率。通过这一系列成功经验,该公司视并购为重要的增长战略,在中期经营计划中,设立了50亿日元的并购增长投资计划,为寻找理想的并购案例做好了准备。自2018年以来,尽管未实际进行并购,但在此期间仍在秘密进行研究,听说有一些并购案最终未能达成。在这种情况下,该公司最近达成了两项并购协议(2024年8月30日宣布)。
(1) 收购三幸商会的股份(子公司化)
三幸商会是一家专业的通用塑料和工程塑料以及喷射材料*贸易公司,为涵盖汽车零件、电器产品和半导体相关等广泛工业领域的树脂材料供应链做出贡献。为支持海外扩张客户的业务,该公司在中国和东南亚地区设立了基地,广泛开展材料供应业务。虽然公司的工业材料相关部门处理多元化的小型商品,但缺乏主要业务。通过将三幸商会纳入集团,将形成通用塑料和工程塑料领域的重要业务支柱,从而在业务拓展中带来重大好处。
* 喷射材料是在工业领域广泛使用的喷射表面改性技术所使用的金属、陶瓷、金属陶瓷等材料。
(2) 船舶维修材料:收购Welston的股份(子公司化)
该公司的机械部件相关部门主要子公司Etow,作为专业贸易公司的核心,主要经营工业精密锁头及相关机械工具器具的销售,利用培养的经验支持国内外客户,并不断改进质量保证、技术知识和供应链,顺利在中国、东盟地区和北美地区扩展海外业务。与此同时,Welston作为专业贸易公司主要从事船舶维修零件的出口和国内批发,拥有广泛的供应商和面向东南亚等海外客户,满足继续扩大的船舶维修需求,推动全球业务拓展。Etow通过收购Welston实现其子公司化(即对该公司而言是孙公司化),进军船舶维修零件市场,创造了业务拓展机会,加强了盈利基础。另一方面,通过利用Etow的资金实力、多元化的交易方和商品管理专业知识,Welston将增强客户服务能力,利用Etow及其集团的网络,在船舶维修零件市场上建立优势地位,实现业务多元化。虽然Etow和Welston属于不同的行业和客户,但由于共同商业产品和技术,以及机械零部件商流的类似性,从中至长期的角度看,业务协同效应可望实现。
(作者:富士客座分析师清水啟司)