■BeeX<4270>の成長戦略
1. 事業環境
DX・クラウド関連市場は基幹システムのクラウド化・モダナイズ化需要の高まりなど、中長期的には拡大基調が予想される。さらに同社にとって特に追い風となるのは、SAPの現在の主力製品であるオンプレミス型「SAP ERP 6.0」及び同製品を同梱した「SAP Business Suite」の標準サポートが2027年、延長サポートが2030年に終了することである。このため、これらの製品を利用しているユーザーはクラウド化や、SAPの次世代ERP製品である「S/4HANA」への移行を迫られる。また「S/4HANA」については毎年新バージョンがリリースされ、5~7年サイクルでアップグレードが必要となるため、継続的なアップグレード需要が発生する。同社が強みとしているSAPシステムのクラウド化移行需要が今後本格化する見込みであり、SAPを含めた大規模システムのクラウド移行需要によってクラウドインテグレーションの売上拡大が期待されるだけでなく、その後のストック型収益となるクラウドライセンスリセールとMSPの売上拡大につながることも期待される。このように、同社にとって事業環境は良好と考えられる。
2. 契約先拡大と高付加価値サービス拡充を推進
同社は中期経営計画を公表していないが、成長戦略として認知度向上、販路開拓、クロスセル・アップセル戦略などによって既存サービスの契約先拡大を推進するとともに、DXを実現するプラットフォーム構築やアプリケーション開発など高付加価値な新サービスの拡充、クラウドライセンスリセール及びMSPにおける新サービスの拡充などに取り組むことで、収益の継続的な拡大を図る方針だ。
SAPシステムについては、既述のとおりクラウド化への移行需要が今後本格化する見込みであり、クラウド化・S/4HANA化支援体制を強化する。DXを実現するプラットフォーム構築やアプリケーション開発では、DXを実現するうえで重要となるデータ分析・連携基盤の構築や、生成AIも活用したモダンアプリケーション開発を強化する。データ連携基盤構築の導入事例としてはロッテがある。基幹業務システムと販売計画をつなぐデータ連携基盤構築を通じて、エンジニアの育成・アプリケーション開発の内製化を支援した。
クラウドライセンスリセール及びMSPの分野では、マルチクラウド対応マネージドサービス「BeeXPlus」において、DXを推進するための3つのカテゴリー(オブザーバビリティ、セキュリティ、自動化)のサービスを拡大するなど、新たな機能・サービスの追加を推進している。
セキュリティ関連サービスでは、2023年5月にクラウドセキュリティ分野のリーディングカンパニーである米国Okta,Inc.とパートナー契約を締結し、従業員向けアイデンティティ管理ソリューション「Okta Workforce Identity Cloud」と、顧客向けアイデンティティ管理ソリューション「Okta Customer Identity Cloud」の導入支援サービスを開始した。
オブザーバビリティ分野では、これまでのサービスはシステムが問題なく動いているかを監視するモニタリングに留まっていたが、今後はサービスが継続的に提供できているかを監視するとともに、異常が発生した場合にその原因を知ることができる状態(オブザーバビリティがある状態)が求められるため、2023年8月にオブザーバビリティ分野のリーディングカンパニーである米国New Relicとパートナー契約を締結し、SAPオブザーバビリティサービスの提供を開始した。
また企業のクラウド移行やDX推進を支援する新サービスとして、2024年4月には企業が生成AIを安全かつ効率的に利用できる「生成AI環境構築支援サービス」を開始した。Azure OpenAI Serviceを基盤として、情報収集の迅速化と業務効率の大幅な向上を支援する。2024年6月には「AWSクラウド伴走支援サービス」を開始した。3つのサービス(継続的改善サービス、FinOps実践支援サービス、内製化支援コンサルティング)で構成され、エンタープライズ企業のクラウド移行後のシステム改善、開発・運用の内製化、及びDXの推進を包括的に支援し、企業のクラウド活用及びDX促進に貢献する。
3. 株主還元策
株主還元策については、業績や事業環境などを総合的に勘案し、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施することを基本方針としているが、現在は成長過程にあり、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先することが株主への最大の利益還元につながるものと判断し、創業以来、配当を実施していない。そして今後の配当実施の可能性及びその時期等については未定としている。
4. サステナビリティ経営
サステナビリティ経営については、現時点では具体的なマテリアリティを設定していないものの、先進テクノロジーの活用・実装を通じてサステナブルな社会の実現に貢献することを目指し、経営会議のメンバーで構成されるサステナビリティ推進会議を設置している。そして人的資本投資を重要課題と認識し、積極的な人材採用、成長機会の提供、人事・評価・報酬制度の充実、健康経営など人的資本への投資と育成を推進する方針だ。
高成長を評価
5. 弊社の視点
同社は2016年3月の会社設立以来、2024年2月期までの8期で売上高77億円規模、営業利益・経常利益6億円規模にまで成長するとともに、APNにおける最上位レベルの「AWS プレミアティアサービスパートナー」認定を取得した。事業環境が良好であること、テラスカイのAWS事業を承継したことなどを考慮しても、この高成長の継続は、同社のクラウドテクノロジーに特化したプロフェッショナル集団としての強みが発揮されている証と考えられ、弊社では高く評価している。今後の課題としては、人材採用・育成など需要増加に対応するための体制構築、高付加価値サービス拡充等による利益率向上などが挙げられるが、収益拡大に向けてM&A・アライアンスも検討する方針を示しており、高成長を継続するための経営戦略の進展状況に注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
■BeeX<4270>的成长战略
1. 事业环境
DX・云相关市场是基干系统的云化和现代化需求增加等,中长期预计扩大趋势。此外,对该公司特别有利的是,SAP当前的主力产品,即传统的“SAP ERP 6.0”以及捆绑此产品的“SAP Business Suite”的标准支持将于2027年结束,延长支持将于2030年结束。因此,使用这些产品的用户将被迫进行云化,或者转移到SAP的下一代ERP产品“S/4HANA”。另外,“S/4HANA”每年都会发布新版本,每5至7年必须升级,因此将产生持续的升级需求。预计该公司擅长的SAP系统云化转型需求将在未来得到加强,这将带来包括SAP在内的大型系统云迁移需求,预计云集成销售额将扩大,并且这将带来随后的库存收入,包括云许可证再销售和MSP销售额扩大。因此,对于该公司而言,业务环境被认为是良好的。
2. 合约对象扩大和高附加值服务扩充的推进
该公司尚未公布中期经营计划,但作为成长战略,将通过提高知名度、开拓销售渠道、交叉销售和提升销售策略等方式推动现有服务的合约对象扩大,同时致力于构建可实现DX的平台以及开发应用等价值高的新服务,扩大云许可证再销售和MSP的新服务等,以达到持续增长收益的目标。
关于SAP系统,如前所述,预计云化转型需求将在未来加剧,将加强云化和S/4HANA化的支持体系。在实现DX的平台构建和应用开发方面,将加强数据分析和连接基础设施的构建,同时加强基于生成AI的现代应用开发。数据连接基础设施构建的引入案例包括乐天。通过搭建数据连接基础设施,将核心业务系统与销售计划联系起来,支持工程师的培养和应用开发内部化。
在云许可证再销售和MSP领域,推动多云管理服务“BeeXPlus”中包括推动DX的三大类别(可观测性、安全性、自动化)的服务扩大,增加新功能和服务。
在安防-半导体相关服务领域,该公司于2023年5月与美国领先的云安全领域公司Okta, Inc.签订合作协议,开始提供员工身份管理解决方案“Okta Workforce Identity Cloud”和客户身份管理解决方案“Okta Customer Identity Cloud”的实施支持服务。
在可观察性领域,过去的服务仅限于监视系统是否正常运行,而未来将要求监视服务是否持续提供并能够了解出现异常时的原因(即处于可观察状态),因此于2023年8月与美国领先的可观察性领域公司New Relic签订合作协议,开始提供SAP可观察性服务。
另外作为支持企业云迁移和DX推动的新服务,于2024年4月推出了企业可安全高效地利用生成AI的“生成AI环境搭建支持服务”。以Azure OpenAI Service为基础,加快信息收集,大大提高业务效率。于2024年6月推出了“AWS云伴随支持服务”。由三项服务(持续改进服务、FinOps实践支持服务、内部化支持咨询)组成,全面支持企业在云迁移后的系统改进、开发运营内部化以及DX推动,为企业的云利用和DX促进做出贡献。
3. 股东回报策略
关于股东回报政策,基本方针是综合考虑绩效、业务环境等因素,实施稳定和持续的利润回报给股东,但目前正处于成长阶段,优先确保内部留存用于未来业务拓展和财务结构强化是对股东最大利益回报的决定,因此自创立以来一直未实施分红。关于未来分红实施的可能性及时间等目前尚未确定。
4. 可持续性管理
关于可持续经营,目前尚未设定具体重要事项,但旨在通过先进技术的应用和实施,为实现可持续社会做出贡献,设立了由经营会议成员组成的可持续经营推进会议。同时,认识到人力资本投资的重要性,推动积极的人才招聘、提供成长机会、完善人事、评价和薪酬制度、健康经营等人力资本的投资和培养方针。
高度评价高增长
5. 我们的观点
自成立于2016年3月以来,至2024年2月为止的8个财政年度内,营业收入规模达到77亿元,营业利润和经常利润规模达到6亿元,并获得了APN最高级别的“AWS首席服务合作伙伴”认证。考虑到良好的业务环境和承接泰勒斯的AWS业务等因素,即使如此高速增长的延续性,也被认为是该公司作为一支专门从事云技术的专业团队所展现出的实力,并且得到我们的高度评价。未来的挑战包括建立应对人才招聘和培养等需求增加的体系、通过拓展高附加值服务等提高利润率,尽管考虑到这些,该公司也表示将考虑M&A和联盟等以扩大收益,并且值得关注为了持续高速增长而采取的经营策略的进展情况。
(撰写: FISCO特约分析师 水田雅展)