■早稲田アカデミー<4718>の業績動向
3. 中期経営計画の進捗状況
同社は2024年3月期から3ヶ年の中期経営計画をスタートしている。業績の進捗については営業利益・経常利益で2026年3月期目標を1年前倒しで達成する可能性が高く、順調に推移していると評価される。中期経営計画では、少子化の進行やそれに伴う高校・大学受験の環境変化により生徒獲得競争の激化が続くとの前提の下、「本来価値※1」と「本質価値(ワセ価値)※2」を提供し続けることで塾生数を増やし、成長を続けていくという従来の基本戦略を継続していく。
※1 顧客の最終目標である学力向上と志望校合格に全力を尽くすことを「本来価値」と定義している。
※2 保護者が願う我が子の未来・将来について、自立し豊かな人生を送れるような素養を育むことを「本質価値(ワセ価値)」と定義している。
小学部においては、首都圏での私立中学受験に対するニーズが旺盛であることを背景に、難関校での高い合格実績に加えて、「早稲田アカデミーOnline」による利便性の高いサービスを提供していくことで、今後も塾生数の着実な増加を目指す。また、個別進学館や新たに開始した東進衛星予備校事業を強化し、集団指導、個別指導、IT授業と3つの形態の教育サービスを提供することで多様な顧客ニーズを取り込んでいくほか、幼児教育事業への進出により早稲田アカデミー小学1〜2年生コースとの接続強化を図ることで未就学児童からの顧客囲い込みを行い、LTVの最大化に取り組むことでさらなる成長を目指す考えだ。LTVを拡大していくことができれば、顧客獲得コストが低減し収益性向上にもつながるだけに、今後の展開が注目される。中期経営計画における主な施策は以下のとおり。
a) 標準校舎の着実な成長
標準校舎については年間1校程度の新規開校ペースに留めるが、需要の旺盛な校舎については移転・増床リニューアルを行うことで、1校当たりの塾生数増加を図っていく。また、講師・事務スタッフの育成強化による授業サービスの品質向上や、ICTを活用した付加価値の高いサービスを拡充していくことで顧客満足度の向上を図り、塾生数の増加につなげていく。
b) 大学受験部の新領域開拓
大学受験部では東進衛星予備校事業の開始により、塾生数並びに売上高の一段の増加を目指す。今までは東京大学や早稲田・慶應義塾大学など難関大学志望の学生をターゲットにしていたため、早稲田アカデミー単体の塾生数は1,800人弱、売上高で9億円弱に留まっていたが、1学年に1万人以上いる「卒塾生」へアプローチすることで塾生数を拡大していく余地はあると見ている。校舎展開としては、2025年春に3~4校を開校し、その後は各エリアの状況を見ながら展開していく。東進衛星予備校及び東進ハイスクールは首都圏で既に200校を超えており、新規生徒の獲得競争も激しいが、卒塾生へのアプローチを強化することで一定程度の生徒獲得は可能と見られる。同社は東進衛星予備校も含めた大学受験部について、2027年3月期に塾生数で4,000人、売上高で約18億円と現在の2倍に拡大することを目指している。
c) 個別指導部門の展開加速
個別指導部門では2024年10月時点で、FC校も含めて73校と、2027年3月期末の100校体制に向けて順調に拡大している。同社は首都圏における難関校受験対策の個別指導としてNo.1の地位確立を目指しており、今後はFCも含めて年間9~10校のペースで校舎を開設していくことになる。校舎は標準校舎の近隣に開設することで、他の個別指導塾と掛け持ち通塾している生徒あるいは卒塾生を個別進学館で取り込むなど、シナジーを高めていく戦略だ。売上高は2024年3月期の30億円弱から2027年3月期には約35億円を目指す。
d) 幼児教育分野への進出
幼児未来教育は、幼稚園・小学校受験のための幼児教室を都内で3校(恵比寿校、麻布十番校、小石川校)運営している。グループ化の目的は、未就学児向けの教育ノウハウの共有並びに、これまで同社と接点が少なかった顧客層(未就学児童及び保護者)との接点を強化することで、「早稲田アカデミー」への導線を作り、LTVの最大化につなげていくことにある。年間の売上規模は1億円強と安定して推移している。今後の取り組みとして「早稲田アカデミー」の小学1~2年生向けで使用している教材を「サン・キッズ」でも提供していくことを検討しているほか、ブランド戦略も含めたプロモーション施策やWebサイトの見直しなどを進めていくことにしている。また、校舎数についても需要が見込めるエリアで徐々に増やしていく方針だ。
e) DX戦略で他社と圧倒的な差別化を図る
同社は2020年以降、「早稲アカDUAL」や「早稲田アカデミーOnline」などICTを活用した様々なサービスを積極的に提供したことで顧客から高い評価を獲得し、塾生数の拡大につなげてきた。このため、今後も同戦略を積極的に推進していくことで競合他社との差別化を図っていく考えだ。2025年3月期に新たにリリースした「G-Navi」(過去の模試データを活用した成績管理システム)は、塾生の模擬試験の結果と同社が過去に実施してきた膨大な模試データとの結果をAI技術を使って比較分析することで、属人的でなくデータに基づいた進路指導や学習指導に生かしていくシステムとなる。直近では新たに志望校別の併願パターン検索機能を追加し、合格率の高い併願校を抽出できるようにした。同システムの活用により、志望校の合格率アップの効果が期待できるほか、塾生や保護者にとっても納得感が得られやすい進路指導や学習指導を受けることができるため、顧客満足の向上につながるといった効果も期待できる。2025年春の合格実績において、どのような変化が見られるのか注目される。
f) 人材育成・採用の取り組み強化
質の高い授業サービスの提供に向けて、教務力向上施策プロジェクトを始動している。具体的には、講師マニュアルについての動画研修や相互授業見学・各種研修を強化しているほか、模擬授業コンテストを行うことなどして教務力の向上に取り組んでいる。採用に関しては、内部リクルートの強化(非常勤職員から正社員への登用、卒塾生の非常勤職員としての採用等)や採用手法の改善(募集広告の効率向上、本社と校舎が一体となった採用手順の強化)に加えて、2023年から新たに教育や教育業界に興味のある大学生・大学院生に向けた合同説明会イベント「教育×就活 EXPO※」なども開催している。
※ 学校・塾・出版・EdTechと教育に関わる4領域の学校や企業が集まり、セミナー形式で説明会を開催するほか個別相談ブースでの就職相談にも対応している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
■早稻田学院<4718>的业绩动向
3. 中期经营计划的进展情况。
该公司自2024年3月起开展为期三年的中期经营计划。关于业绩的进展,营业利润和经常利润有很大可能提前一年达成2026年3月的目标,业绩保持良好。在中期经营计划中,由于少子化的加剧以及随之而来的高校和大学考试环境的变化,假定生源竞争将持续激烈,因此为了持续提供“本来价值※1”和“本质价值(早稻田价值)※2”,增加学员数量,维持持续增长的基本战略将继续实施。
※1 将客户的最终目标,即学力提升和志愿学校合格,全力以赴地定义为“本来价值”。
※2 针对家长所期望的孩子未来,定义为培养能够独立并过上富裕人生素养的“本质价值(早稻田价值)”。
在小学部,鉴于首都圈对私立中学考试的需求强劲,除了在难关学校有高合格率之外,还将通过“早稻田学院在线”提供便利性高的服务,力争今后继续稳步增加学员数量。此外,将加强个别升学馆及新近开始的东进卫星预备校业务,通过团体指导、个别指导、IT授课三种形式的教育服务,满足多样的客户需求。同时,通过进入幼儿教育业务,强化与早稻田学院小学1-2年级课程的衔接,围绕学龄前儿童进行客户的围栏,将致力于最大化LTV(客户终身价值),以追求进一步的成长。如果能够扩大LTV,将降低客户获取成本,还能提升盈利能力,因此未来的发展备受关注。中期经营计划中的主要施策如下。
a) 标准校舍的稳步成长
对于标准校舍,每年保持约1所的新开校速度,但对于需求旺盛的校舍将通过搬迁和扩建装修,力求在每所学校中增加学员数量。此外,通过强化讲师和事务工作人员的培养,提高授课服务质量,并利用ICT扩展高附加值的服务,提高客户满意度,从而促进学员数量的增长。
b) 高校受験部的新领域开拓
高校受験部通过开始东进卫星预备校业务,旨在进一步增加学生人数和营业收入。之前主要针对东京大学、早稻田大学、庆应义塾大学等难关大学的学生,因此早稻田学院单体的学生人数仅为1800人左右,营业收入也仅有9亿日元左右,但通过接触每年超过1万人的“毕业生”,预计有扩大学生人数的空间。从校舍展开发来看,计划于2025年春季开设3到4所学校,随后根据各个地区的情况进行扩展。东进卫星预备校及东进高中在首都圈已超过200所,新生的获取竞争也非常激烈,但通过加强与毕业生的接触,预计会在一定程度上实现学生获取。公司表示,针对包括东进卫星预备校在内的高校受験部,力争在2027年度达到4000名学生人数和约18亿日元的营业收入,预计将是目前的两倍。
c) 个别指导部门的展开加速
个别指导部门在2024年10月时点,连同加盟校共有73所,正朝向2027年3月期末的100所体系稳步扩展。公司致力于在首都圈确立难关校考试对策个别指导的No.1地位,今后将包括加盟校在内,以每年9到10所的速度持续开设校舍。校舍将设立在标准校舍的附近,力图吸引其他个别指导校的在读生或毕业生进入个别进学馆,以提高协同效应。营业收入预计从2024年3月期的不到30亿日元,目标到2027年3月期达到约35亿日元。
d) 进军幼儿教育领域
幼儿未来教育在东京开设了3所幼儿教室(恵比寿校、麻布十番校、小石川校),以便为幼儿园和小学的考试做准备。集团化的目的在于共享未入学儿的教育经验,同时增强与以往接触少的顾客群体(未入学儿童及其家长)的接触,从而为“早稻田学院”铺路,实现LTV最大化。年营业规模稳定在1亿日元以上。未来的工作包括考虑将“早稻田学院”小学一年级至二年级使用的教材也提供给“阳光小孩”,以及推动包括品牌战略在内的促销措施及网站的重新审视。此外,针对校舍数量也计划在需求可预见的地区逐步增加。
e) 通过DX战略实现与其他公司的显著差异化
公司自2020年起积极提供利用ICT的各种服务,如“早稻田DUAL”和“早稻田学院在线”,赢得客户的高评价,从而扩大了学生人数。因而,预计今后仍将积极推进这一战略,以实现与竞争公司的差异化。在2025年3月期新发布的“G-Navi”(利用过去的模拟考试数据的成绩管理系统)将通过将学生的模拟考试结果与公司过去进行的大量模拟考试数据进行AI技术比较分析,进而基于数据而非主观进行职业指导和学习指导。最近还新增了志望校别的考生兼报模式搜索功能,可以提取合格率高的兼报学校。通过该系统的使用,既可以期待提高志望校的合格率,也能让学生和家长更容易获得满意的职业指导和学习指导,因此可以预期提高客户满意度。在2025年春季的合格成绩中,值得关注的变化将会出现。
f) 加强人材培养与招聘的举措
为了提供高质量的授课服务,我们已经启动了教务力提升措施项目。具体来说,我们正在加强关于讲师手册的视频培训、相互授课观摩和各类培训,并开展模拟授课比赛等,以提升教务力。在招聘方面,我们加强了内部招聘(将兼职员工提升为正式员工,招聘毕业生为兼职员工等)和招聘手法的改善(提高招聘广告的效率,加强总部与校区一体化的招聘流程)。此外,从2023年开始,我们还举办了面向对教育与教育行业感兴趣的高校和研究生的联合说明会活动“教育×就业 EXPO※”。
※ 学校、补习班、出版、教育科技等与教育相关的四个领域的学校和企业汇聚在一起,以研讨会形式举办说明会,并在个别咨询摊位提供就业咨询。
(撰写:FISCO客座分析师佐藤让)