■要約
ヘリオス<4593>は、“「生きる」を増やす。爆発的に。”をミッションに、先進国における主な死因や新たな治療薬が望まれる領域(急性呼吸窮迫症候群(以下、ARDS※)、脳梗塞、難治性固形がん)において、細胞医薬品・再生医療等製品の研究・開発・製造を進めるバイオベンチャーである。
※ ARDS:肺炎などを中心に様々な疾患の重症患者に突然起きる呼吸不全の総称。生命予後を直接改善できる医薬品はまだなく、人工呼吸器を用いた対処療法が実施されているが、発症後の死亡率は30~58%と高く、有効な治療薬の開発が望まれている。全世界での患者数は年間110万人以上と推定されている。
1. ARDS治療薬の開発戦略
同社は2024年10月2日付で、ARDS治療薬(体性幹細胞再生医薬品HLCM051※)に関する今後の開発戦略を発表した。国内では、既に国内及び米英で完了した第2相試験の良好な結果に加え、2025年以降に米国で実施する第3相試験を検証試験として実施することを前提に、条件及び期限付きの製造販売承認申請を行う方針を決定した。このため、早ければ2025年内にも国内で上市される可能性がある。米国での臨床試験は2〜3年程度で終えたい考えで、米国を含めたグローバルでの上市に成功すればピーク時で30〜50億ドルの売上規模になる可能性があると同社では試算している。
※ 米Athersys, Inc.(以下、アサシス)からライセンス導入したMultiStem(R)(以下、MultiStem)の開発コード。アサシスは2024年1月に資金難に陥り経営破綻し、同年4月に同社がMultiStemとその関連資産を取得した。
2. 成長戦略
同社は今後の成長戦略として、ARDS治療薬を中心としたHLCM051や後述するeNK(R)(以下、eNK)細胞によるがん免疫療法の開発並びにアジアや欧州地域でのライセンス活動を行うほか、早期収益化が可能な医療材料事業の拡大により黒字化を目指すハイブリッド戦略を推進する。医療材料は、主に細胞培養時に産出される上清を原材料としたもので、美容クリニックや化粧品メーカーに販売する計画だ。既に美容クリニックで大手の一角を占める(一社)AND medical groupと2024年4月に共同研究契約を締結し、2025年度中に供給を開始する計画で、2026年12月期には数十億円の売上規模に育つ見通しだ。また、各パイプラインの研究開発資金については、今後、子会社を通じて投資ファンド等から調達することを計画している。当面は、ARDS治療薬の開発を最優先に取り組む方針で、開発に成功すれば日本の医薬品の貿易赤字縮小にも貢献することになるだけに、今後の動向が注目される。
3. そのほかパイプラインの開発戦略
脳梗塞急性期を対象とした治療薬HLCM051は、国内で実施した第2/3相試験とアサシスが米国で実施した第3相試験の統合データ解析を現在進めており、トータル400名を超える日・米のデータ(日・米、各々約200名)を分析し、開発方針を確定する方針だ。また、米国防総省の予算で実施していた外傷を対象とした米国での第2相試験も継続し、2025年末の終了を見込んでいる。結果が良好であれば同省の予算で第3相試験に進むものと見込まれ、開発に成功した場合は米軍に大量導入される可能性がある。そのほか、固形がんを対象としたeNK細胞(engineered natural killer cells)を用いた次世代のがん免疫療法についても、米国を視野に入れ2025年内の臨床試験開始を目指している。
4. 業績動向
2024年12月期第2四半期累計(以下、中間期)(2024年1月〜6月)の連結業績は、売上収益で508百万円(前年同期比401百万円、372.4%増)、営業損失で1,331百万円(前年同期は1,555百万円の損失)となった。売上収益は、主にアステラス製薬<4503>子会社からのiPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞製造方法等に関するライセンス契約一時金(3百万米ドル)の計上が増加要因となった。
■Key Points
・ARDS治療薬は米国で第3相試験を実施、国内は条件及び期限付承認申請へ
・培養上清を活用した医療材料は、2026年12月期に数十億円の売上規模へ成長の見通し
・2024年12月期中間期の売上収益は契約一時金の計上により大幅増収に
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
■概要
ヘリオス<4593>的使命是“增加‘生存’。以爆炸性增长。”,是一家在发达国家主要死因和新治疗药物期望领域(急性呼吸窘迫综合症(下称ARDS)、脑梗塞、难治性实体癌症)进行细胞药品和再生医疗等产品的研究、开发和制造的生物创业公司。
※ ARDS:肺炎等各种疾病重症患者突然发生的呼吸衰竭的统称。目前尚无直接改善生命预后的药品,主要采取使用呼吸机的对症疗法,但发病后的死亡率高达30%至58%,亟需开发有效的治疗药物。全球患者人数估计每年超过110万。
1. ARDS治疗药物的开发战略
该公司于2024年10月2日发布了关于ARDS治疗药物(体细胞干细胞再生药品HLCM051※)的未来开发战略。在国内,除了已经在国内及美国、英国完成的第II期试验的良好结果外,还计划在2025年之后在美国进行第III期试验作为验证试验,决定申请条件及期限内的制造销售审批。因此,最早可能在2025年内在国内上市。该公司希望美国的临床试验在2到3年内完成,若成功在包括美国在内的全球上市,预计高峰时的销售规模可能达到300亿到500亿美元。
※ 美国Athersys, Inc.(下称阿萨西斯)授权的MultiStem(R)开发代码。阿萨西斯在2024年1月陷入资金困难并破产,于同年4月该公司收购了MultiStem及其相关资产。
2. 增长策略
该公司作为未来增长战略,围绕ARDS治疗药物HLCM051及后述的eNK(R)细胞进行癌症免疫疗法的开发,并在亚洲和欧洲地域开展许可活动,同时通过扩展可早期盈利的医疗材料业务,以实现盈利的混合战略。医疗材料主要以细胞培养时产生的上清为原料,计划销售给美容诊所和化妆品制造商。该公司已于2024年4月与在美容诊所占据市场主动的(一社)AND medical group签署共同研究协议,计划在2025年度内开始供应,预计到2026年12月期间将发展成数十亿日元的销售规模。此外,关于各个管道的研发资金,未来计划通过子公司从投资基金等获得。近期内,公司将优先开展ARDS治疗药物的开发,若开发成功,还将有助于缩小日本药品的贸易赤字,因此未来动向备受关注。
3. 其他管道开发战略
针对脑梗塞急性期的治疗药物HLCM051,目前正在进行国内实施的第2/3相试验与阿萨西斯在美国实施的第3相试验的综合数据分析,计划分析超过400名的日美数据(日美各约200名),以确定开发方针。此外,针对创伤的美国第2相试验也在继续进行,预计于2025年底结束。如果结果良好,预计将根据美国国防部的预算进入第3相试验,如果开发成功,将可能在美国军队中大规模引进。此外,针对固体肿瘤的使用工程化自然杀伤细胞(eNK细胞)的下一代癌症免疫疗法,亦以美国为目标,计划在2025年内启动临床试验。
4. 业绩动向
2024财年12月期第2季度累计(以下简称中期)(2024年1月-6月)的合并业绩为销售收入508百万元(较去年同期增加401百万元,增长372.4%),营业损失为1331百万元(去年同期为1555百万元的损失)。销售收入的增加主要来自安斯泰莱制药<4503>子公司的iPS细胞来源视网膜色素上皮(RPE)细胞制造方法等的许可协议一次性收入(300万美元)。
■Key Points
· ARDS治疗药物在美国进行第3相试验,国内申请条件及期限的批准。
· 利用培养上清的医疗材料预计在2026财年12月期达到数十亿日元的销售规模。
· 2024财年12月期中期的销售收入因合同一次性收入的计入大幅增加。
(撰写:FISCO客座分析师佐藤让)