■日本アジア投資<8518>の決算概要
1. 2025年3月期上期決算の概要
2025年3月期上期の業績(ファンド連結基準)は、営業収益が前年同期比12.9%増の1,432百万円、営業利益が68百万円(前年同期は239百万円の損失)となった。
従来連結基準では、営業収益が前年同期比55.8%増の664百万円と増収となり、営業損失が61百万円(前年同期は535百万円の損失)、経常損失が64百万円(同558百万円の損失)、親会社株主に帰属する中間純損失が67百万円(同560百万円の損失)と損失幅が縮小し改善した。
営業収益は、投資金額の比較的多額な未上場株式の売却は下期以降に予定されているため、上期はそのほかの未上場株式の売却を進めたほか、プロジェクト(物流施設1件)の売却益計上が増収に大きく寄与した。
損益面では売却益の増加に加え、評価損・引当金の縮小により損失幅が縮小し、大きく改善した。
一方、財政状態(従来連結基準)については、2024年6月に実施した第三者割当増資(約10億円)※に伴う変化があった。総資産は、現金及び預金の増加や投資開発事業への投資(障がい者グループホームの取得等)により前期末比4.7%増の10,929百万円に拡大した。自己資本についても第三者割当増資により同16.0%増の6,535百万円に増強され、自己資本比率は59.8%(前期末は54.0%)に改善した。有利子負債は前期末比11.5%減の3,819百万円に減少し、財務の健全化を進めることができた。
※ 2024年6月28日付で、ガバナンス・パートナーズASIA投資事業有限責任組合を割当先とする第3者割当による新株発行を実行した。資金調達額は約10億円(発行株数4,400千株)。
事業別の業績は以下のとおりである。なお2025年3月期より新たな事業方針に基づき、事業領域を再定義した。従来の「プロジェクト投資」「PE投資」から、「投資開発事業(実物資産投資)」(旧 プロジェクト投資にほぼ対応)、「投資運用事業(有価証券投資)」(旧 PE投資にほぼ対応)、「ファンド・プラットフォーム事業(ファンド事務受託)」の3つに区分した(詳細は後述)。
(1) 投資開発事業
営業収益は398百万円(前年同期は18百万円)、営業総利益は346百万円(前年同期は79百万円の損失)となった。2024年3月に売却した物流施設(1件)※の売却益計上が増収増益(利益転換)に寄与した。また植物工場も黒字化に時間がかかっているものの、着実に損失改善が進んでいるようだ。
※ 神奈川県厚木市の物流施設。
(2) 投資運用事業
営業収益は189百万円(前年同期は336百万円)、営業総利益は81百万円(前年同期は14百万円)と減収増益となった。未上場株式を中心に売却を進めたが、前年同期に比べると上場株式の売却が減少したため、減収となった。一方、損益面では、評価損及び引当金の縮小※により増益を確保した。
※ 前年同期は、中華圏のファンド清算に当たり回収見込額の低下した銘柄に対する評価損や引当金を前倒しで計上した。
(3) ファンド・プラットフォーム事業
ファンド・プラットフォーム事業は、ファンドの事務受託サービスである。これまで「プロジェクト投資」「PE投資」に分類されていたが独立した。営業収益は76百万円(前年同期は71百万円)、営業総利益は76百万円(前年同期は71百万円)と安定的に推移している。
2. 2025年3月期上期の総括
2024年6月に新体制へ移行し、同年8月には新中期経営計画(詳細は後述)を公表したが、業績面では静かな立ち上がりとなった。もっとも2025年3月期の業績見込値は、プロジェクト(障がい者グループホーム等)の売却によるベースライン(下限)の確保と、投資金額の比較的多額な未上場株式の売却によるアップサイド(上限)が前提となっており、上期の段階ではまだどちらも実現していないことが背景にある。ただ、2024年10月には障がい者グループホーム16棟をソーシャルプロジェクトボンドの活用(機関投資家へ社会性の高い投資機会の提供)により譲渡決定しており、新たな取り組みの成果として評価できる。また、ネットワークやノウハウの強化を目的とする戦略的業務提携の締結や第三者割当増資により財務基盤が整備されたことも、今後の軸となるファンドビジネスの拡大に向けて大きな前進であり、同社がやろうとしている形の一端が見えてきたと言えるだろう。
■主な活動実績
ソーシャルプロジェクトボンドの活用や、戦略的業務提携の締結でも大きな成果
1. 投資実績等
(1) 投資開発事業
新たに障がい者グループホーム(7棟)及び屋根置型蓄電池付太陽光発電設備(1件)を取得した一方、高齢者施設(1件)を売却(利益計上は下期)した。その結果、AUMは168億円(前期末は160億円)に増加した。2024年9月末のプロジェクト数は、メガソーラー発電12件(合計28.4MW)、屋根置型蓄電池付太陽光発電設備4件、バイオマス発電2件、バイオガス発電(オペレーター含む)3件、風力発電1件、障がい者グループホーム30棟、植物工場1件、物流施設4件、その他6件である。
(2) 投資運用事業
同社グループが管理運営等を行っているファンドのAUMは、2ファンドの清算終了や1ファンドで減額があった一方、1ファンド※を新規に設立し、2024年9月末の残高は7件12,596百万円(前期末は8件15,497百万円)に減少した。
※ JAICウェルスファンド35百万円。
2. ソーシャルプロジェクトボンドの活用
2024年10月に障がい者グループホーム16棟の譲渡を決定した(業績は下期に寄与)。譲渡先は当該グループホーム等を裏付資産としたソーシャルプロジェクトボンド※の発行による機関投資家からの資金調達及び大手リース会社と大手不動産会社から匿名組合出資を受けた合同会社となる。SDGsの機運が高まるなか、社会性の高い投資機会を求める機関投資家の資金と、障がい者支援分野の資金ニーズをつないだところに価値があり、新規性に富んだ取り組みとして評価できるとともに、今後の事業拡大に向けても大きな弾みとなった。
※ 格付投資情報センターから信用格付(BBB)及びソーシャルボンド・フレームワーク適合に関するセカンドオピニオンを取得した。
3. 戦略的業務提携の締結
2024年8月28日付で、ジーエヌアイグループ<2160>(以下、ジーエヌアイ)及びグロースパートナーズ(株)との業務提携をそれぞれ締結した。同社は、これらの業務提携を通じて社外のリソースを活用しながら、国内だけでなく海外投資家からも資金を呼び込み、新規にファンドを組成し成長戦略の実現に結び付る考えだ。
(1) ジーエヌアイグループ
ジーエヌアイは、創薬に成功し製薬会社として成長した実績を持ち、中国及びそのほかの地域において独自の販売網を有している。ジーエヌアイのネットワークを介し、国内外の投資家の資金を同社のファンドを通じて主に国内企業へ投資するとともに、投資先企業の製品をジーエヌアイやそのグループ会社を通じて海外市場に展開することで、投資先のバリューアップを図るところにねらいがある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
■日本亚洲投资<8518>的决算概要
1. 2025年3月期上半年决算的概要
2025年3月期上半年的业绩(基金合并基准)为,营业收入同比增长12.9%至14,320百万元,营业利润为6800万元(去年同期为239百万元的损失)。
在传统合并基准下,营业收入同比增长55.8%至664百万元,营业损失为6100万元(去年同期为535百万元的损失),经常损失为6400万元(同比558百万元的损失),属于母公司股东的中期净损失为6700万元(同比560百万元的损失),损失幅度有所缩小,改善了。
由于相对较大额的未上市股票的出售计划推迟到下半期,因此在上半期中,公司推进了其他未上市股票的出售,以及一个物流项目的出售收益大幅增加,显著贡献了收入增长。
在损益方面,除了出售收益的增加外,由于评估损失和准备金的缩减,损失幅度有所缩小,大幅改善。
另一方面,在财务状况(传统合并基准)方面,由于在2024年6月实施的第三者赋值增资(约10亿日元)※带来了变化。总资产因现金及存款的增加和对投资开发业务的投资(残疾人群体之家取得等)而同比增长4.7%,达到109,290百万元。自有资本也因第三者赋值增资而同比增加16.0%,增至65,350百万元,自有资本比例改善至59.8%(前期末为54.0%)。有息负债则减少11.5%至38,190百万元,实现了财务的健全化。
※2024年6月28日,执行以治理·伙伴亚洲投资业务有限责任公司为赋值对象的新股发行,融资金额约为10亿日元(发行股数为4,400千股)。
事业别的业绩如下。此外,从2025年3月期开始,基于新的业务方针,对业务领域进行了重新定义。从传统的“项目投资”“股权投资”转变为“投资开发事业(实物资产投资)”(几乎对应于旧项目投资)、“投资运营事业(有价证券投资)”(几乎对应于旧股权投资)、“基金・平台事业(基金事务受托)”这三个部分进行区分(具体情况后述)。
(1) 投资开发事业
营业收入为398百万日元(去年同期为18百万日元),营业总利润为346百万日元(去年同期为79百万日元的损失)。2024年3月出售的物流设施(1件)※的出售收益计入增加了收入和利润(利润转变)。虽然植物工厂的盈利时间较长,但损失正在稳步改善。
※ 神奈川县厚木市的物流设施。
(2) 投资运营事业
营业收入为189百万日元(去年同期为336百万日元),营业总利润为81百万日元(去年同期为14百万日元),为减少收入但增加利润。主要以未上市股票为中心进行了出售,但由于与去年同期相比上市股票的出售减少,导致收入减少。另一方面,在损益方面,由于评估损失及准备金的缩小※确保了利润的增加。
※ 去年同期,在华人区域的基金清算中对回收预期下降的项目计入了评估损失和准备金的前倒。
(3) 基金・平台事业
基金平台业务是基金的事务受托服务。之前被归类为“项目投资”和“股权投资”,但现在独立了。营业收入为7600万日元(去年同期为7100万日元),营业总利润为7600万日元(去年同期为7100万日元),稳定地保持增长。
2. 2025年3月期上半年的总结
在2024年6月转入新体制,8月发布了新的中期经营计划(详细内容后述),但在业绩方面的起步相对平静。不过,2025年3月期的业绩预期是建立在项目(如残疾人群体住房)的出售确保基准(下限)以及相对多额的未上市股票出售所带来的上升(上限)设想上,而上半年的阶段尚未实现这两点。值得注意的是,2024年10月已决定将16栋残疾人群体住房通过社会项目债券(为机构投资者提供高社会性投资机会)转让,这可以被视为新努力的成果。同时,战略性业务合作的达成以及第三方赋值增资,使财务基础得到了完善,这也为今后基金业务的发展打下了良好的基础,可以说公司的愿景逐渐显现。
■主要活动业绩
通过社会项目债券的利用和战略性业务合作的签署也取得了重大成果
1. 投资业绩等
(1) 投资开发事业
新取得7栋残疾人群体住房及1项屋顶式蓄电池光伏太阳能设备,同时出售了1项老年人设施(利润计入下半期)。因此,管理资产(AUM)增加至1680亿日元(上期末为1600亿日元)。截至2024年9月底,项目数量包括:12项大型光伏发电(总计28.4兆瓦)、4项屋顶式蓄电池光伏太阳能设备、2项生物质发电、3项生物气发电(包括运营商)、1项可再生能源、30栋残疾人群体住房、1项植物工厂、4项物流设施、以及6项其他项目。
(2) 投资运营事业
该集团管理的基金的AUM在两个基金清算结束和一个基金减额的情况下减小,但同时新设立了一个基金,2024年9月底余额减少至7件12,596百万元(上期末为8件15,497百万元)。
※ JAIC财富基金35百万元。
2. 利用社会项目债券
在2024年10月决定转让16栋残疾人群体住宅(业绩将在下半年贡献)。转让方为以该群体住宅等作为担保资产的社会项目债券※的发行进行机构投资者资金筹集,以及从大型租赁公司和大型房产公司获得匿名组合出资的合资公司。在可持续发展目标(SDGs)日益受到重视的背景下,能够将寻求社会性投资机会的机构投资者资金与残疾人支持领域的资金需求连接在一起,这具有重要价值,并将作为富有新颖性的举措受到评价,同时也为未来业务的扩展提供了很大动力。
※ 从评级投资信息中心获得了信用评级(BBB)以及关于社会债券框架的符合性第二意见。
3. 签订战略业务合作协议
根据2024年8月28日的公告,与ジーエヌアイ集团<2160>(以下简称ジーエヌアイ)及Growth Partners株式会社分别签订了业务合作协议。该公司计划通过这些业务合作利用外部资源,吸引来自国内和境外投资者的资金,新设基金并实现成长战略。
(1) GN集团
GN拥有成功的药物研发和作为制药公司成长的实绩,拥有在中国及其他地区的独特销售网络。通过GN的网络,国内外投资者的资金主要通过该公司的基金投资于国内企业,同时将投资企业的产品通过GN及其群公司推广到境外市场,旨在提升投资企业的价值。
(撰写:FiSCO客座分析师柴田郁夫)