■ミマキエンジニアリング<6638>の事業概要
2. グローバル展開
同社は、欧州や米国といった先進諸国だけでなく、中国やブラジルなど成長著しい新興諸国にも海外販売子会社を設立して積極的に進出しており、現在では世界約150の国と地域のSG、IP、TAの各市場において製品・サービスを提供している。また、同社主導で地域密着の販売・保守サービス網を構築しているが、密度の高い顧客情報をリアルタイムで入手することで、地域の多様なニーズを素早く製品開発へ反映する体制も構築している。同社は、世界各地で小規模なプライベート展示会「ミニ展※」を同社単独で開催しており、同社製品の魅力を「見て、触って、実感いただくプロモーション」を通じて具体的な提案活動を行っている。このような施策を背景に、同社の海外売上高の構成比は70%を超えるほどに大きくなったが、現在でも依然高い成長を続けている。
※ ミニ展:各社が集結する大規模展示会とは異なり、同社単独で行う小規模なプライベート展示会のこと。
高機能インクの開発力やヘッドの制御技術なども強み
3. 同社の強み
同社のビジネスフローは、(1) 顧客ニーズに対応する様々なプリンタを製造販売する、(2) プリンタや素材にあった様々な機能性インクを独自開発する、(3) 機能性インクに最適なヘッドを選択する、(4) 制御技術によりヘッドとインクを制御して高画質で高い生産性を実現する、(5) 市場に最適なプリンタを投入することで顧客とともに成長する、というサイクルを描いている。このことから分かるように、重要なことはカッティングプロッタや産業用インクジェットプリンタを生産する技術だけでなく、素材に応じた多種多様なインクを開発するケミカル技術や、特殊な機能性インクを安定的に吐出して美しくプリントするためのヘッドの制御技術を含めた複合的な技術基盤を構築することで、そのため開発体制や営業体制にも磨きをかけることである。
プリンタ以外で同社最大の強みはインクにあり、顧客それぞれの用途に応じ、「水と空気以外なら何にでもプリントできる」ことを目標に独自開発している。オリジナルインクには、SG市場向けにソルベントインクや水性顔料インク、IP市場向けにはUV硬化インク(強膜インク、折れ曲がるインク、伸びるインク)、TA市場向けには水性昇華インク、酸性染料インク、反応染料インク、捺染顔料インク、分散染料インク、熱転写顔料インク(DTF専用インク)などが揃えられている。そのなかで注目されるのが、UV硬化インクと水性昇華インクである。UV硬化インクは、UV光(紫外線)を照射すると即座に硬化・定着するインクで、出力直後すぐに硬化するため納期を大幅に短縮することができる。小物の装飾から建築・工業デザインの分野まで、用途・メディアに応じた多彩なラインナップがあり、樹脂やガラス、金属など非吸収性のメディアにも印刷することができる。なお、UV硬化インクには、米国の第三者安全科学機関UL社が定める「GREENGUARD Gold」認証を取得しているものもある。
水性昇華インクは、高温で瞬時に昇華してメディアに定着させることでポリエステル素材へのプリントを飛躍的に美しくしたインクで、微妙な色調のブラックカラーも豊富にラインナップされている。マシンテクノロジーとのコンビネーションによって低コストで環境負荷の小さいダイレクトな昇華プリントも実現、発色・画質が鮮明で美しいため昇華転写プリントにも対応している。スイスに本部を置くエコテックス(R)国際共同体が定める「ECO PASSPORT(エコパスポート)」の認証を取得した水性昇華インクもある。このように多種多様な素材にプリントすることができる高機能インクのレパートリーは、SG、IP、TAといった幅広い市場でインクジェットプリンタを展開するうえで、またプリンタ本体の付加価値をより高めるうえで差別化要素となっている。インクはプリンタ本体が獲得した市場を土壌に売上となっていくため、消耗品ビジネスとして安定収益が見込める事業と言える。インクの売上高構成比はプリンタなど製品本体と同水準の40%弱で、売上総利益率はプリンタ本体と変わらないようだ(プロモーションなど営業経費を考慮すると営業利益率はやや高いと思われる)。家庭用のように安いプリンタを供給して高マージンの消耗品で高い利益を短期的に刈り取るのではなく、長く安定した商売につなげたいという考え方が背景にある。
同社はインクを吐出する部品であるヘッドを製造していない。1機種であれば使うインクも少ないためヘッドを自社で開発すれば効率的だが、様々な顧客ニーズに対応するにはそれだけ多くのプリンタや特殊な機能性インクが必要となり、そうしたインクは化学的・電気的な特性を持つため安定的に吐出して美しくプリントするには、ヘッドを自ら製造するよりも、インクやプリンタに最適なヘッドを市場から調達したほうが合理的だからだ。しかも、結果的にマーケットインによる新製品開発も可能となる。そうなるとサプライヤから調達した様々なヘッドを使い分け制御する技術が重要な要素となるが、同社はこうしたヘッドの制御技術を独自で開発し、技術基盤の1つとしてノウハウを蓄積している点に強みがある。
同社は、SG市場で蓄積されたノウハウを、IP市場とTA市場に展開することで成長を続けている。さらに、そうした市場で培った、例えば素材を選ばず環境に優しく少量多品種生産が可能なうえ、カラーリングが難しいと言われるホワイトに対応したUV印刷のノウハウなどを、3Dプリンタ事業に横展開している。3Dプリンタは、1,000万色の色表現を実現し色付きの3Dデータが容易に入手できるようになったことで新たな局面に入っており、今後、3Dソフトや周辺機器の充実を背景に、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を活用したジャンルの急成長が予測されている期待の分野である。また、デジタル・オンデマンド生産による受注生産、ワンストップかつ多品種少量への対応、プリント工程や工場のスマート化といったニーズに対応可能なFA技術を有していることも強みで、これを最大限活用し、SG、IP、TAの各市場にデジタルオンデマンド・プリントソリューションを提供していく考えである。
こうした複合的な技術基盤を強みに、同社は大手の参入しづらい比較的小規模で成長ポテンシャルの高い市場に素早く製品を投入し、グローバルニッチトップの座を獲得してきた。これは、プラットフォーム化による開発コストの低減や、製品投入までのリードタイムの短縮、世界各地域に密着した営業などを進めてきた、従業員の30%以上が開発要員という開発体制や、「ミニ展」などグローバルでローカルな営業体制が強みとなっている。なお、大手競合他社が大きな市場の創出を狙って多額の開発コストを一気に投入するのに対し、同社は相対的に小さい複数の市場それぞれに対し売上高の7〜8%の開発費を投じることで、リスクを分散しながらより多くのヒットを出すという基本的な考え方を持っている。様々な強みの背景にある考え方だと思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
■美马基工程<6638>的业务概述
2. 全球展销
该公司不仅在欧州和美国等发达国家设立了境外销售子公司,还积极进入中国和巴西等新兴国家,目前在全球约150个国家和地区的SG、IP、长益等市场提供产品和服务。此外,公司的领导下构建了紧密结合地域的销售和维护服务网络,通过实时获取密集的客户信息,迅速将地域的多样化需求反映到产品开发之中。该公司在全球范围内独自举办小规模的私人展会“迷你展※”,通过“观看、触摸、亲身体验的推广”,进行具体的提案活动。在此背景下,公司的境外营业收入构成比已经超过70%,但至今仍持续保持较高的增长。
※ 迷你展:与聚集各公司的大型展会不同,这是由公司单独举办的小规模私人展会。
高功能墨水的开发能力和喷头控制技术等也是公司的优势
3. 公司的优势
公司的业务流程是:(1) 生产和销售各种响应客户需求的打印机,(2) 独立开发适合打印机和材料的各种功能性墨水,(3) 选择与功能性墨水最匹配的喷头,(4) 通过控制技术控制喷头和墨水,实现高画质和高生产率,(5) 投入最适合市场的打印机,与客户共同成长,形成一个循环。从中可以看出,重要的不是仅生产切割绘图仪或工业喷墨打印机的技术,还是开发适应材料多样化的化学技术,及为了稳定喷出特殊功能性墨水而构建的喷头控制技术的复合技术基础,因此还需要提升开发和销售体制。
除了打印机,公司最大的优势在于墨水,根据每个客户的用途,目标是“除了水和空气,什么都能印刷”。原创墨水包括:针对SG市场的溶剂墨水、水性颜料墨水,针对IP市场的UV固化墨水(强膜墨水、可弯曲墨水、可伸展墨水),针对长益市场的水性升华墨水、酸性染料墨水、反应染料墨水、印染颜料墨水、分散染料墨水、热转印颜料墨水(专用DTF墨水)等。在这些墨水中,UV固化墨水和水性升华墨水备受瞩目。UV固化墨水是在照射UV光(紫外线)后立即固化和定型的墨水,因其在输出后立即固化,能够大幅缩短交货期。无论是小物的装饰,还是建筑和工业设计领域,墨水都有多种系列可供用途和介质的选择,可以印刷树脂、玻璃、金属等非吸收性介质。此外,UV固化墨水中还获得了美国第三方安全科学机构UL公司设定的“GREENGUARD Gold”认证的产品。
水性升华墨水是一款通过在高温下瞬间升华并牢固附着在媒介上,从而使涤纶材料的打印大幅美化的墨水,且拥有丰富的细腻黑色调产品线。通过与机器科技的结合,实现了低成本和环境负担小的直接升华打印,因其色彩鲜艳和画质美丽,因此也适用于升华转印打印。还存在获得瑞士总部的生态标签(R)国际共同体认证的水性升华墨水,认证名为“ECO PASSPORT(生态护照)”。能够打印各种不同材料的高性能墨水系列,成为SG、IP、TA等广泛市场上展开喷墨打印机的差异化要素,同时也提升了打印机本体的附加值。墨水的销量源自于打印机本体占领的市场,因此可被认为是一项能够带来稳定收益的消耗品业务。墨水的营业收入构成比约为40%,与打印机等产品本体相当,而总毛利润率似乎与打印机本体无异(考虑到促销等销售费用,营业利润率略高)。而不是通过供应便宜的家用打印机以高毛利的消耗品短期内获利,而是希望能建立长期稳定的商业关系。
该公司并未生产喷墨头这一墨水喷射元件。如果是一种机型,所需墨水也较少,因此若能自家开发喷头将会更高效,但为了满足各种客户需求,则需要更多的打印机和特殊功能墨水,由于这些墨水具有化学和电气属性,因此为了稳定喷出并美观打印,市场上采购最适合墨水和打印机的喷头比自己制造喷头更为合理。而且,最终也能基于市场导向进行新产品开发。在这种情况下,采用不同喷头的分配和控制技术将成为关键因素,该公司在此方面拥有独特的喷头控制技术,并将其作为技术基础之一积累了丰富的经验。
该公司通过将SG市场积累的经验扩展到IP市场和TA市场,实现了持续增长。此外,与此类市场培育出的、能够不受材料限制、环境友好、少量多品种生产的子系列,以应对被认为难以上色的白色的UV打印技术等,实现横向扩展至3D打印业务。3D打印机实现了1,000万色的色彩表现,色彩丰富的3D数据变得容易获取,从而进入了一个新的阶段。未来,随着3D软件和周边设备的不断完善,利用AR(增强现实)和VR(虚拟现实)领域的急速增长被预期为未来迅速发展的领域。此外,公司拥有通过数字化按需生产进行订单生产、一站式及多品种少量适应、智能化打印流程和工厂的FA技术等能力,可以充分利用这一优势,为SG、IP和TA各市场提供数字化按需打印解决方案。
凭借这些综合技术基础,该公司迅速将产品投入到大型竞争者难以进入的较小且成长潜力高的市场,并获得了全球细分市场的领导地位。这得益于通过平台化降低研发成本、缩短产品上市时间,以及世界各地区紧密结合的销售策略,员工中超过30%为研发人员的开发体制和名为“迷你展”的全球本地化销售机制成为其优势之一。值得一提的是,大型竞争对手为创造庞大市场而投入巨额研发成本时,该公司则对相对较小的多个市场分别投入营业收入的7%-8%的研发费用,在分散风险的同时,获取更多的成功,这种基本思路通过多种优势得以体现。
(作者:华富证券客座分析师宫田仁光)