■シード<7743>の今後の見通し
1. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の業績予想は、売上高36,000百万円(前期比11.1%増)、営業利益2,200百万円(同7.3%増)、経常利益2,100百万円(同2.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,400百万円(同28.7%減)としている。なお、2025年3月期においても留保金課税対象外企業であることは変わらないが、現段階ではその他の税制上の付加的な適用は想定していない。主力商品である国産の「シード1dayPureシリーズ」を中心に、シリコーンハイドロゲルレンズや特に市場での成長が見込まれる遠近両用コンタクトレンズなどの高付加価値商品の拡販に注力する。また、生産面では2024年3月期に行った生産設備の更新及びライン新規増設に加え、2025年3月期に稼働する鴻巣研究所2号棟別館により生産枚数を大幅に増加させ、逼迫した在庫状況を改善し、更なる原価率の低減に努める。
国内のコンタクトレンズ市場については、近視人口の増加や1日使い捨てタイプへのシフト、ミドルエイジ以降の遠近両用商品の需要増加、オルソケラトロジーレンズの普及が進むことにより、持続的な成長が見込まれる。特に、近視人口の増加は世界的な社会問題として注目されており、この市場の成長が期待される。足元の事業環境は好調に推移しており、通期計画実現の蓋然性は高いと弊社では見ている。
2. 市場状況と今後の戦略
同社の市場状況に関して、コンタクトレンズの需要が増加している背景には、短期的な要因と長期的な要因に分けることができる。短期的な要因としては、2023年に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に分類され在宅勤務が減少したことや、コロナ禍を経て近視率が予想以上に上昇していたことが需要増加を加速させた。コンタクトレンズの供給力不足は欧米メーカーから始まっており、海外メーカーの欠品分を補うために受注が急増し、日本国内でも2022年後半から顕著となった。一方、長期的な要因としては、特に若年層の近視率の上昇が挙げられ、また、デジタルデバイスの普及の影響により、近視が進行しやすくなっている。、文部科学省「令和4年度学校保健統計」よると小学生の約4割が近視になっており、小学生の5〜6年生で使い捨てコンタクトレンズを使用するケースも増えている。このような若年層の使用増加に加えて、50歳以上の層では遠近両用のコンタクトレンズ需要が増加しており、ライフタイムバリューの向上に寄与している。このほか、オルソケラトロジーレンズの普及も市場の成長を後押ししている。また、海外市場においても、近視人口の増加が継続しており、世界的な市場拡大が見込まれている。研究機関の推計によると、2050年には世界人口の半分が近視になると予測されており、これに伴いコンタクトレンズ市場は長期的な成長が期待される。このような背景から、同社は海外市場においても拡大戦略を積極的に展開していくことが重要とされる。
今後の成長戦略として、同社では生産力の抜本的な引き上げに注力する。この取り組みの一環として、鴻巣研究所における設備投資が行われており、売上拡大の課題である商品供給力の不足を解消し、安定した商品供給体制を確立するとともに、市場競争力を高める新商品の量産体制が整備される見通しである。また、主力商品である「シード1dayPureシリーズ」に対する需要が高まっており、特に乱視用や遠近両用コンタクトレンズといったテクニカルレンズレンズの販売拡大が見込まれている。さらに、シリコーンハイドロゲルレンズやサークル・カラーコンタクトレンズ、オルソケラトロジーレンズの普及促進により、更なる売上の創出が期待される。これらの施策を通じて、国内外市場でのプレゼンスを一層高めることを目指している。
3. 資本コストと株価を意識した経営の実現
同社では、企業価値向上に向けた課題と対応方針として、2024年11月に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて」を公表している。PERの向上とROEの上昇によるPBRの改善を図るべく、鴻巣研究所4号棟の稼働計画を核とする成長戦略を掲げており、これにより近年世界的に増加する近視人口に対応するための生産力を飛躍的に向上させる。また、効率化と量産効果を通じて、利益率の極大化を目指す方針である。一方、設備投資の負担が重なる局面ではあるが、安定的なキャッシュフロー(CF)を確保しながらレバレッジを活用した戦略的投資を実施していく方針で、短期的な財務負担を克服しつつ、長期的な資本効率の改善を実現する狙いである。さらに、投資家との対話の強化を通じ、成長投資による将来のCF確保についての信頼性を向上させることにも注力する。加えて、投資判断に際しては、社外役員などの第三者の視点を取り入れることで、意思決定プロセスの透明性と客観性を高める。
国内外における近視矯正需要の増加を背景に、同社は市場の成長を見越した大型設備投資を決断しているが、これにより2028年3月期以降には設備投資の成果が顕在化し、業績が飛躍的に向上すると予測している。国内市場では、近視人口の増加や遠近両用レンズなどの需要が拡大しつつあり、7~8%の年間成長が見込まれる。また、アジア地域を中心とする海外市場でも、近視率の上昇や低年齢化、可処分所得の増加により、安定した市場成長が期待されている。
資本効率向上のための取り組みも多岐にわたる。量産効果を通じた製造原価の低減や、欧州子会社の黒字化、アジア市場でのシェア拡大、さらに遠近両用や乱視用、オルソケラトロジーレンズなどテクニカルレンズの強化を進める。また、生産効率を大幅に向上させるため、自動化の促進や生産リードタイムの圧縮を図り、売上高の増加を目指す。同時に、コーポレートブランディング戦略を通じてバックオーダーの解消を進め、企業価値の向上を追求していく。
株主還元に関しては、配当性向30~40%を目標に安定的な配当の継続を目指す。さらに、新素材レンズやスマートコンタクトレンズなどの新商品の早期市場投入を進め、PBRの水準向上を実現する。このように、同社は資本コストを意識した経営を基軸に、中長期的な成長を見越した具体的な施策を明確に打ち出しており、企業価値の向上に対する蓋然性は高いと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
■シード<7743>的未来展望
1. 2025年3月期的业绩预测
2025年3月期的业绩财务预测为营业收入36,000百万元(比上期上涨11.1%),营业利润2,200百万元(同上涨7.3%),经常利润2,100百万元(同上涨2.0%),归属于母公司股东的当期净利润1,400百万元(同比下降28.7%)。此外,2025年3月期内,仍然不变的是该公司不属于留存收益课税对象,但目前阶段并未预期其他税制上的附加适用。公司将重点推广主力商品——国产的“シード1dayPure系列”,同时加强高附加值产品如硅胶水凝胶镜片及在市场中预期增长的远近形式隐形眼镜的扩张。此外,在生产方面,通过2024年3月期进行的生产设备更新及新增生产线,以及2025年3月期运营的鴻巣研究所2号栋别馆,大幅增加生产数量,改善紧张的库存情况,并努力降低进一步的制造成本。
关于国内隐形眼镜市场,预计由于近视人口的增加、向日用一次性类型的转变、中年及其以后的远近形式产品需求增加、正压角膜塑形镜的普及,将实现持续增长。尤其是,近视人口的增加被视为全球社会问题,预计该市场会有增长。当前的经营环境良好,公司认为实现全年计划的可能性很高。
2. 市场状况与未来战略
关于公司的市场状况,隐形眼镜需求的增加可以划分为短期和长期因素。短期因素包括2023年新冠病毒感染症被分为5类后,远程办公减少,以及经过疫情之后,近视率的上涨超出预期,加速了需求的增长。隐形眼镜的供应不足始于欧美厂家,为了补充海外厂商的缺货部分,订单激增,自2022年下半年日本国内也显著增加。另一方面,长期因素包括年轻人近视率的上升,另外,由于数字设备的普及,近视的加重变得更加容易。根据文部科学省的《2024年度学校健康统计》,约4成的小学生近视,其中使用一次性隐形眼镜的五六年级小学生也在增加。在这种年轻层使用增加的同时,50岁以上的群体远近形式隐形眼镜需求也在增加,这有助于提高终身价值。此外,正压角膜塑形镜的普及也在推动市场增长。此外,在海外市场中,近视人口的增加持续存在,预计全球市场将会扩展。研究机构的预测显示,到2050年,全球一半的人口将近视,伴随这一现象,隐形眼镜市场的长期增长被期待着。因此,在这样的背景下,公司在海外市场积极展开扩张战略被视为重要。
作为未来增长战略,公司将根本性地提高生产力。作为此项工作的一个部分,鴻巣研究所进行了设备投资,计划解决营业收入扩展的难题,即商品供给能力不足,同时建立稳定的商品供给体系,提高市场竞争力的新产品量产体系也在整备之中。此外,主力商品“シード1dayPure系列”的需求正在上升,尤其是对于散光和远近形式隐形眼镜等技术型镜片的销售扩展被预期将会到来。进一步通过推动硅胶水凝胶镜片、彩色隐形眼镜及正压角膜塑形镜的普及,期待创造更进一步的营业收入。通过这些措施,力求进一步提升在国内外市场的存在感。
3. 向资本成本与股价意识经营的实现
该公司在提升企业价值方面,已经于2024年11月公布了以“关注资本成本和股价的经营实现”为主题的对策方针。为了提高市盈率和ROE进而改善市净率,该公司提出了以鸿巢研究所4号楼的运营计划为核心的成长战略,旨在迅速提高应对近年来全球日益增加的近视人口的生产能力。同时,通过效率化和量产效果,致力于实现利润率的最大化。尽管面临设备投资负担的增加,该公司仍计划在确保稳定现金流的同时,实施利用杠杆的战略投资,旨在克服短期的财务负担,并实现长期的资本效率改善。此外,通过加强与投资者的对话,提高因成长投资而获得未来现金流的可靠性。同时,在投资判断时,借助公司外部高管等第三方的视角,提高决策过程的透明度和客观性。
在国内外近视矫正需求增加的背景下,该公司已决定进行旨在市场增长的大型设备投资,预计到2028年3月期后,设备投资的成果将显现,业绩将大幅提升。在国内市场,近视人口的增加以及远近用眼镜需求的扩大,预计年增长率达到7%-8%。此外,以亚洲地区为中心的境外市场也因近视率上升、低年龄化和可支配收入增加,预计将实现稳定的市场增长。
为了提升资本效率的努力方面涉及多个层面。通过量产效果降低制造成本,欧州子公司实现盈利,扩大亚洲市场的共享,进一步加强远近用、散光和矫正角膜接触镜等技术镜头。此外,为了大幅提高生产效率,将推动自动化和生产交付时间的压缩,以期实现营业收入的增加。同时,通过企业品牌战略的实施,推动消解积压订单,追求企业价值的提升。
关于股东回报,目标是配当比率为30%-40%,并继续保持稳定的分红。此外,加快新材料镜头和智能隐形眼镜等新产品的市场投放,以实现市净率水平的提升。这样,该公司以关注资本成本的经营为核心,明确提出了中长期增长的具体措施,我们认为其提升企业价值的可能性较高。
(撰写者:富士客座分析师茂木稜司)