■要約
伸和ホールディングス<7118>は、北海道を中心とする居酒屋チェーン等の飲食事業及び惣菜店チェーン等の物販事業、全国の商社等を対象とする冷凍食品等の卸売事業を展開している。北海道の特産品・食材を活用する地産地消モデルを特徴として、食の全業態(外食・中食・内食分野)をカバーする企業である。2024年10月21日付で札幌アンビシャスに株式上場した。
1. 居酒屋業態等の飲食事業と惣菜販売業態等の物販事業が両輪
同社は外食分野の飲食事業、中食分野の物販事業、内食分野の卸売事業を展開している。飲食事業と物販事業は直営店で展開し、売上構成比で見ると飲食事業が6割強、物販事業が3割強で推移し、両輪となっている。飲食事業は居酒屋業態「炭火居酒屋 炎」が主力、物販事業は惣菜販売業態「美唄焼鳥・惣菜 炎」が主力で、卸売事業は自社ブランド冷凍加工食品の企画・製造・卸売販売を行っている。同社の特徴・強みは、1) 飲食事業と物販事業を両輪として事業展開していること、2) 食材仕入・商品製造から店舗運営・販売まで自社で一貫した体制を構築していること、3) 地元食材活用と地元顧客獲得により地域に根付いた地産地消のビジネスモデルであること、4) ドミナント出店により効率的な店舗運営を実現していることなどである。
2. 2024年3月期は大幅営業増益
2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比9.6%増の5,871百万円、営業利益が同250.3%増の188百万円、経常利益が同23.7%減の208百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.2%増の140百万円と、大幅な営業増益となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)に伴う行動制限がなくなったことなどにより飲食事業が大幅増収、物販事業も堅調に推移した。全社の売上総利益は同16.1%増加し、売上総利益率は同3.5ポイント上昇し62.5%となった。単価上昇や工場の生産性向上などが寄与した。販管費は同12.0%増加し、販管費率は同1.3ポイント上昇し59.3%となった。この結果、全社の営業利益率は同2.2ポイント上昇し3.2%となった。なお経常利益については、営業外収益で補助金収入が213百万円減少(2023年3月期は220百万円計上、2024年3月期は7百万円計上)したため減益だった。親会社株主に帰属する当期純利益については、特別損失で減損損失が47百万円減少(同65百万円計上、同18百万円計上)したため横ばいだった。
3. 2025年3月期は小幅ながら増収・営業増益予想
2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比3.0%増の6,048百万円、営業利益が同5.1%増の198百万円、経常利益が同4.7%減の199百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同0.9%増の141百万円を見込んでいる。食材価格や人件費の増加があるものの、飲食事業と物販事業の既存店売上が堅調に推移すると見込み、小幅ながら増収・営業増益予想としている。経常利益については営業外収益での協賛金収入の減少等により減益予想としている。親会社株主に帰属する当期純利益については特別利益に固定資産売却益を計画しているため横ばい予想としている。なお通期予想に対する上期の進捗率は売上高で50.6%、営業利益で53.9%、経常利益で54.2%、親会社株主に帰属する当期純利益で54.5%と順調だった。通期予想の達成は可能だろうと弊社では考えている。
4. ドミナント出店加速、東北・関東エリア進出、冷凍食品事業強化を推進
同社は中期経営計画を公表していないが、成長戦略として北海道内におけるドミナント出店の加速、東北・北関東エリアへの進出、冷凍食品事業の強化を推進する。ドミナント出店では、飲食事業の主力ブランド「炭火居酒屋 炎」が多様なエリア・ロケーションでの出店モデルを確立しており、今後は主に北海道内の地方都市において加速させる方針だ。また、地方都市における店舗運営ノウハウが豊富である強みを生かし、東北・北関東エリアへの進出を推進する。東北エリアについては、北海道内において物販事業の主要な既存出店先である大手スーパーマーケットチェーンが店舗網を有しており、同店舗への物販事業の出店を起点として、飲食事業の出店にもつなげていく計画である。冷凍食品事業の強化では、自社ブランド冷凍食品の企画・販売を強化して卸売事業を第3の柱に育成する方針だ。
5. 成長戦略の進捗状況に注目
同社は食の全業態(外食・中食・内食分野)をカバーする企業であり、個人消費動向の影響を受けやすい面があるものの、一方で飲食事業と物販事業を両輪とすることにより、柔軟な店舗展開や仕入のスケールメリットを実現するとともに、収益の安定性にもつながるビジネスモデルとなっている。コロナ禍の影響が一巡した後は飲食事業がけん引する形で売上が拡大基調であり、新たな成長ステージに入った可能性があると弊社では考えている。したがって今後は、店舗網拡大に向けた人財採用・育成なども課題となるが、北海道内におけるドミナント出店の加速、東北・北関東エリアへの進出、冷凍食品事業の強化という成長戦略の進捗状況に注目したい。
■Key Points
・北海道を中心に外食分野の飲食事業、中食分野の物販事業、内食分野の卸売事業を展開
・2024年3月期は大幅営業増益を達成し、2025年3月期は増収・営業増益を見込む
・ドミナント出店加速、東北・北関東エリア進出、冷凍食品事業強化を推進。今後の成長戦略の進捗状況に注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
■摘要
伸和控股有限公司<7118>在北海道地区发展居酒屋链等餐饮业务及熟食店链等商品销售业务,同时也开展面向全国商社的冷冻食品等批发业务。该公司以利用北海道特产和食材的地域消费模式为特征,涵盖餐饮的所有业态(外食、中食、内食领域)。该公司于2024年10月21日在札幌安比香市上市。
1. 居酒屋业态等餐饮业务和熟食销售业态等商品销售业务齐头并进
该公司在外食领域发展餐饮业务,在中食领域开展商品销售业务,在内食领域进行批发业务。餐饮业务和商品销售业务通过直营店展开,从营业收入构成比来看,餐饮业务占比超过六成,商品销售业务占比超过三成,形成了互为支撑的关系。餐饮业务以居酒屋业态“炭火居酒屋炎”为主力,商品销售业务以熟食销售业态“美唄烤鸡・熟食炎”为主力,而批发业务则进行自主品牌冷冻加工食品的企划、生产和批发销售。公司的特点和优势在于:1) 餐饮业务与商品销售业务齐头并进;2) 从食材采购、商品制造到店铺运营、销售均由公司自主管理;3) 利用当地食材并获得当地客户,构建扎根于社区的地域消费商业模式;4) 通过主导店铺的开设实现高效的店铺运营。
2. 2024年3月期营业大幅增长
2024年3月期的合并业绩显示,营业收入较上期增长9.6%,达到587.1亿日元,营业利润大幅增加至188亿日元,同比增长250.3%,经常利润同比下降23.7%至208亿日元,母公司股东应占的当期净利润同比增长1.2%为140亿日元,营业利润显著增长。由于新冠病毒疫情(以下称为“疫情”)导致的行动限制取消,餐饮业务大幅增收,商品销售业务也表现良好。公司整体的营业总利润同比增长16.1%,营业总利润率同比上升3.5个百分点至62.5%。单价提升以及工厂生产率的提高都有助于这一成果。销售和一般管理费用同比增加12.0%,销售和管理费用率同比上升1.3个百分点至59.3%。因此,公司整体的营业利润率同比上升2.2个百分点达到3.2%。至于经常利润,由于营业外收入中的补贴收入减少213亿日元(2023年3月期时为220亿日元,2024年3月期为7亿日元)而出现减少。母公司股东应占的当期净利润方面,由于特别损失中的减值损失减少47亿日元(前期为65亿日元,后期为18亿日元)而持平。
3. 2025年3月期小幅增收和营业增益的预期
2025年3月期的合并业绩预计,营业收入较上期增长3.0%,将达到604.8亿日元,营业利润同比增加5.1%至198亿日元,经常利润同比减少4.7%,降至199亿日元,母公司股东应占的当期净利润预计增长0.9%,达到141亿日元。尽管食材价格和人力成本上升,餐饮业务和商品销售业务的既有店铺营业额表现稳定,预计将小幅增收和营业增益。经常利润方面,因营业外收入的赞助金收入减少等原因,预计将减少。母公司股东应占的当期净利润方面,因计划有特殊收益来自固定资产出售收益,预计将持平。值得注意的是,对于全年预测的上半年进度,营业收入完成50.6%,营业利润完成53.9%,经常利润完成54.2%,母公司股东应占的当期净利润完成54.5%,表现良好。我们认为全年预测的达成是可能的。
4. 加速主导店铺开设,进军东北・关东地区,强化冷冻食品业务。
该公司未公布中期经营计划,但作为成长战略,推动在北海道内加速主导店铺开设、进军东北・北关东地区、强化冷冻食品业务。主导店铺开设方面,餐饮业的主力品牌 "炭火居酒屋 炎"在多样的区域和位置建立了开设模型,今后将以加速在主要是北海道城镇的开设为方针。此外,利用其在地方城市的店铺经营经验丰富的优势,推动进入东北・北关东地区。关于东北地区,北海道内有主要的现有物品销售场所的主要超市连锁店拥有店铺网络,计划以这些店铺的物品销售业务开设为起点,进一步拓展到餐饮业务的开设。强化冷冻食品业务方面,计划加强自有品牌冷冻食品的企划和销售,培育批发业务成为第三大支柱。
5. 关注成长战略的进展情况。
该公司覆盖了所有食品业态(外食·中食·内食领域),尽管容易受到个人消费趋势的影响,但通过将餐饮业务与商品销售业务作为双轮,实现在店铺扩展和采购规模上的优势,同时也实现了收益的稳定性。我们认为,在新冠疫情的影响过去之后,餐饮业务将成为推动销售持续扩大的关键,并可能进入一个新的增长阶段。因此,未来将在向店铺网络扩张方面的人才招聘与培养等方面面临挑战,同时希望关注在北海道加速主力店铺的开设、向东北和北关东地区的进军以及冷冻食品业务的强化等成长战略的进展情况。
■关键点
・以北海道为中心展开外食领域的餐饮业务、中食领域的物品销售业务、内食领域的批发业务。
・2024年3月期将实现大幅营业增益,2025年3月期预计增收和营业增益。
・加速主导店铺开设,进军东北・北关东地区,强化冷冻食品业务。关注今后的成长战略进展情况。
(撰写: FISCO特约分析师 水田雅展)