■中期経営計画
1. 長期ビジョン“Century 2025”とは
三機工業<1961>は創立100周年に向けた10年間の目標として、2016年3月に長期ビジョン“Century 2025”を発表した。この計画の最初の3年間(2017年3月期~2019年3月期)をPhase1、次の3年間(2020年3月期~2022年3月期)をPhase2、最後の4年間(2023年3月期~2026年3月期)をPhase3とし、各Phaseにおいて、様々な「定性的目標」「定量的目標」を掲げてきた。2023年3月期から“Century 2025”の総仕上げとなるPhase3に入ったが、この計画の最終目標は最終年度である2026年3月期を待たずに1年前倒しで2025年3月期に達成される見込みであることから、会社は「“Century 2025”の終了」を宣言した。
2. Phase3の基本方針
Phase3は、長期ビジョン“Century 2025”の総仕上げとなる中期経営計画として、これまで取り組んできた「質」と「信頼」を高める施策をさらに成熟・進化させるとともに、新たな3つの施策「社会のサステナビリティへの貢献」「働き方改革の加速」「次世代に向けた投資」によってステークホルダーからもっと「選ばれる」会社を実現することを基本方針としている。
3. Phase3の業績目標と経営目標
● 最終年度の業績目標と実績値
定量的な目標は、最終年度である2026年3月期に売上高2,200億円、売上総利益率16.5%、経常利益120億円、配当性向50%以上、ROE8.0%以上としていたが、下表に見られるように、これらの目標は既に2025年3月期中に達成される見込みだ。
4. 中期経営計画の進捗状況
(1) コア事業の強化
1) 建築設備事業
・設計本部を新設、産業空調を中心とした大型、特殊物件への対応力強化、半導体・EV電池関連の大型工事の受注高が大幅に増加。各拠点の設計部門と連携し、見積りの初期段階からデザインレビューを強化。手戻りを減らし、品質のさらなる向上を図る
・ファシリティシステムでスタートアップ企業と共同し、オフィスデザイン業務を効率化するアプリケーションを開発中
2) 機械システム事業
・自動車関連物件への対応力強化のため、中部地区の営業人員を増員
・自動仕分けシステム「メリス・ビアンカ(R)」が2024年度グッドデザイン賞を受賞
3) 環境システム事業
・国内最大の水再生センター「森ヶ崎水再生センター消化ガス発電事業」を受注(DBO方式※)。安定した長期ビジネスを展開するための体制強化
※ DBO(Design Build Operate):設計・建設と運営・維持管理を民間事業者に一括発注するPPP(官民連携)手法のひとつ。本事業において当社は2027年3月までに施設を建設、20年間にわたり維持管理・運営を行う。
(2) 成長戦略の推進
「地球MIRAIプロジェクト」の推進
・次の100年をつくる新たな技術や事業分野を追求する社内プロジェクト。グループ全従業員を対象に“未来に向けたユニークで新しいカイテキ”をテーマとしてアイデアを募集し具体化を目指す。第1期と第2期で選ばれたプロジェクトのブラッシュアップと実現可能性を探索。
(3) 三機ブランドの向上
環境省「環境サステナブル企業」※に認定
・南極地域観測事業への継続した貢献により「国立極地研究所南極観測パートナー企業」に認定
※ 環境省「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」において、「環境関連の重要な機会とリスク」を経営戦略に取り込み、企業価値向上と環境への取り組みを両立している企業を認定。
(4) 財務・資本政策の開示
政策保有株式の縮減方針を開示
・2028年3月末までに政策保有株式を連結純資産の20%未満とすることを目標に、2024年3月末時点から上場株式の銘柄数、金額ともに50%以上削減
・政策保有株式売却によって得られるキャッシュは、企業価値向上につながる次世代に向けた投資へ活用する。
(5) 情報発信力の向上
・小学生向けイベント「かんきょう1日学校」に参画
・朝日新聞社主催の小学生向けイベント「かんきょう1日学校」に、特別協賛企業として参画、約120名の小学生に向けて地球環境に関する授業を開催。本イベントの一環として全国の小学校での出張授業も実施
・テレビ、新聞等のメディアを通した三機ブランドの発信強化
・7月21日放送テレビ東京系列「南極観測船“しらせ”に乗せてもらいました!」に広告出稿(同社社員が第64次、65次南極地域観測隊として出演)
・9月15日放送テレビ東京系列「何で会社辞めないんですか?」に同社が出演し、同社YouTubeチャンネルでアーカイブ動画を公開中
(6) 社会のサステナビリティへの貢献
・沖縄科学技術大学院大学(OIST)の「サンゴプロジェクト」スペシャルパートナーへ参画
・これまで実施してきた植樹・育樹活動による森づくりの支援と併せて、新たに「海の森」とも称されるサンゴ礁の保全活動への支援を行うことで、より包括的な環境保全活動を展開
・三機環境園※1が環境省「令和6年度前期自然共生サイト」※2に認定
・温室効果ガス削減目標のSBT(Science Based Targets)認定を取得
・企業に対して科学的根拠に基づいた中長期的な温室効果ガス削減目標策定を推進する国際イニシアチブ「SBTi」から2050年温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ目標」と2030年温室効果ガス排出量削減目標「1.5℃水準」について目標の妥当性が認められSBT認定を取得
※1 人と自然環境の共生をコンセプトとした、三機テクノセンター(神奈川県大和市)内の約0.23haの緑地。
※2 2030年までに世界の陸地と海洋の30%以上を保護・保全地域とすることを目指す国際目標「30by30」達成のため、国が認定する「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」。
(7) 働き方改革の加速
・働きやすい環境づくりを全社横断的に実行するため、2015年度に発足した社内プロジェクト「スマイル・プロジェクト」の推進
・労働時間、パソコン使用時間のモニタリング強化や業務プロセスの改善を図る
(8) 3次世代に向けた投資
・建築設備施工のDXを加速(ロボット技術を活用した多用途展開に着手)
・建設業が抱える課題である人材不足や長時間労働の解決に向け、ロボット技術の活用により施工の生産性と品質の向上を図る
・2020年に同社が開発した自動風量計測ロボットの現場導入で得た技術ノウハウを人の手で従来行ってきた騒音、照度などの計測作業にも応用、ロボットが作業を代替することで作業工数の削減を目指す
・「ブランチボール」(3方向分岐装置)を発展させた「BBソータTM」(仕分装置)を開発、東京ビックサイトで開催された「国際物流総合展2024」に出展。段ボール箱だけでなく封筒などの薄物、アパレルなどの袋物や小物も優しく搬送・仕分けすることができ、種類の異なる物が混在する搬送にも対応
・エアロウイング(省エネ型散気装置)の生産拡大のため、海外工場の機能アップに加えて生産設備増強を国内で推進
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
■中期经营计划
1. 长期愿景“Century 2025”是什么
三机工业<1961>在2016年3月宣布了面向创立100周年的10年目标,提出了长期愿景“Century 2025”。该计划的前3年(2017年3月期至2019年3月期)为Phase1,接下来的3年(2020年3月期至2022年3月期)为Phase2,最后4年(2023年3月期至2026年3月期)为Phase3。在每个Phase中,设立了各种“定性目标”和“定量目标”。从2023年3月期开始,进入“Century 2025”的最后阶段Phase3,但由于该计划的最终目标预计将在2026年3月期之前,即2025年3月期提前达成,因此公司宣布了“结束‘Century 2025’”。
2. Phase3的基本方针
Phase3作为长期愿景“Century 2025”的最终阶段中期经营计划,不断成熟和演变提升此前所采用的“质量”和“信任”施策,并通过三个新施策“对社会可持续性贡献”“加速工作方式改革”“面向下一代的投资”,实现更受利益相关者青睐的公司,这是其基本方针。
3. Phase3的业绩目标和经营目标
● 最终年度的业绩目标和实际值
定量目标在最终年度2026年3月期时,预期营业收入2200亿日元,销售毛利率16.5%,经常性利润120亿日元,分红派息比例50%以上,ROE8.0%以上,但如下表所示,这些目标预计将在2025年3月期中实现。
4. 中期经营计划的进展情况
(1) 核心业务的强化
1) 施工设备业务
・新设设计总部,增强对以工业空调为中心的大型、特殊项目的应对能力,半导体与电池相关的大型工程的营业收入大幅增加。与各个基地的设计部门协作,从报价的初期阶段开始强化设计审核。减少返工,进一步提高质量。
・与初创企业共同利用设施系统,正在开发高效率的办公设计业务应用程序。
2) 机械系统业务
・为增强对汽车相关项目的应对能力,增加中部地区的销售人员。
・自动分拣系统“メリス・ビアンカ(R)”获得2024年度优良设计奖。
3) 环境系统业务
・承接国内最大的水再生中心「森冈崎水再生中心消化气发电业务」(DBO方式※)。加强体系以开展稳定的长期业务
※ DBO(设计-施工-运营):将设计、施工和运营维护一揽子发包给民间企业的PPP(公私合营)方法之一。本项目中,公司将在2027年3月之前建设设施,并在20年内进行维护和运营。
(2) 推进成长战略
推进「地球MIRAI项目」
・追求下一个100年新技术和业务领域的内部项目。面向集团全体员工征集以“面向未来的独特与新颖”为主题的创意,并力求具体化。对在第一期和第二期中选出的项目进行提升和可行性探索。
(3) 提升三机品牌
环境省认定为「环境可持续企业」※
由于持续为南极地域观测事业做出贡献,被认证为“国立极地研究所南极观测合作企业”
※ 在环境省“ESG金融奖日本”中,认证那些将“与环境相关的重要机会和风险”融入经营战略,兼顾企业价值提升与环保努力的企业。
(4) 财务与资本政策的披露
披露政策减持股票的方针
· 目标在2028年3月末之前将政策持有股票减少至合并净资产的20%以下,从2024年3月末开始,上市股票的数量和面值均减少50%以上
· 通过出售政策持有股票获得的现金,将用于企业价值提升相关的下一代投资。
(5) 提高信息传播能力
· 参与小学生的活动“环境1日学校”
・作为特别赞助企业,参加由朝日新闻社主办的小学生活动“环境1日学校”,为约120名小学生举办了关于地球环境的课堂。本活动的一部分是在全国的小学进行的出张授课。
・加强通过电视、报纸等媒体的三机品牌传播。
・在7月21日播出的东京电视台系列节目“南极观测船‘志愿’乘乘”中投放广告(该公司员工作为第64次、第65次南极地域观测队成员出演)。
・在9月15日播出的东京电视台系列节目“为什么不辞职?”中,公司出镜,并在公司YouTube频道上发布了归档视频。
(6) 为社会的可持续性贡献力量。
・参与冲绳科学技术大学院大学(OIST)的“珊瑚项目”,成为特别合作伙伴。
・在以往进行的植树与养护活动的支持下,新增对被称为“海之森林”的珊瑚礁保护活动的支持,展开更全面的环境保护活动。
・三机环境园※1被环境省认定为“令和6年度前期自然共生网站”※2。
·获得温室气体减排目标的SBT(科学基础目标)认证
·国际倡议“SBTi”推动企业制定基于科学依据的中长期温室气体减排目标,已获得2050年温室气体排放量实质为零的“净零目标”和2030年温室气体排放量削减目标“1.5℃水平”的目标合理性认可,获得SBT认证
※1 以人与自然环境的共生为概念的三机科技中心(神奈川县大和市)内约0.23公顷的绿地。
※2 为实现到2030年全球30%以上陆地和海洋保护和保全的国际目标“30by30”,这是由国家认证的“通过民间努力等进行生物多样性保护的区域”。
(7) 加速工作方式改革
·为了全公司横向执行创造便利的工作环境,2015年度启动的内部项目“微笑项目”的推动
·加强对劳动时间和电脑使用时间的监控,并改善业务流程
(8) 面向第三代的投资
・加速建筑设备施工的数字化转型(着手利用机器人技术进行多用途展开)
・针对建筑业面临的人才短缺和长时间劳动等问题,通过利用机器人技术提升施工的生产效率和质量
・将2020年公司开发的自动风量测量机器人在现场导入中获得的技术经验,应用于传统由人工进行的噪音、照度等测量作业,旨在通过机器人替代作业来减少作业工时
・开发了基于“分支球”(三方向分岔装置)改进的“BB分拣器TM”(分拣装置),在东京国际展览中心举办的“国际物流综合展2024”上展出。此装置不仅能温柔地搬运和分拣纸箱,还能处理信封等薄物、品牌服饰等袋装物品和饰品,能够应对不同种类物品混杂的搬运
・为了扩大省能型散气装置(空气翼)的生产,除了提高境外工厂的功能外,还在国内推进生产设备的增强
(作者:日经FISCO客座分析师 寺岛昇)