■マイクロアド<9553>の業績動向
1. 2024年9月期の業績概要
2024年9月期の連結業績は、売上高が前期比6.6%増の13,712百万円、営業利益が同63.1%減の307百万円、経常利益が同60.1%減の294百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同50.0%減の282百万円となった。主力の「UNIVERSE」が同19.6%増収と引き続き好調となったことに加えて、メディア向けコンサルティングも同13.7%増と売上を伸ばして全体の売上高を押し上げた。「UNIVERSE」は、GoogleのCookie廃止撤回を受け下期に見込んでいたテスト需要が消滅したものの、業界特化型製品の拡販によって稼働アカウント数を順調に積み上げ、テスト需要消滅のマイナス影響をカバーした。利益面では、「UNIVERSE」の売上総利益が同8.9%増と好調だった一方で、「デジタルサイネージサービス」の先行投資による減益、積極的な人員採用による全社コストが膨らんだことが響いて減益となった。
同社は2024年8月に2024年9月期連結業績予想を修正し、新たに売上高が13,600〜14,000百万円、営業利益が280〜460百万円、経常利益が220〜400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が190〜370百万円となる下方修正を発表していた。レンジでの予想としたのは、「UNIVERSE」において高単価の大型提案が複数進んでおり、その状況が不確定だったためだ。下方修正となったのは、主にデジタルサイネージにおいて美容サロン向け新サービス「OCTAVE」の立ち上げに遅れが生じたこと、Cookie廃止の延期・撤回に伴い規制開始前に見込んでいたテスト需要が消滅したことなどによるものだ。ただGoogleのプライバシー保護を推し進める方針に変わりはなく、今後はユーザー自身がCookieの利用可否を選択できる新しい仕組みが導入される予定だ。Cookie代替技術への開発投資を積極化してきた同社は、ユーザーがCookie利用を制限するようになった場合への備えは既に完了しており、Google Chromeにユーザー選択方式が導入されたタイミングで代替施策への先行投資が業績貢献してくる見通しだ。2024年10月31日に、「OCTAVE」の早期事業化及びMADSの経営の独立性向上を目的にMADSの株式譲渡とそれによる非連結化を実施した。今後は持分法適用範囲内でマイクロアドグループの利益に貢献してくるとともに、先行投資に伴うコスト負担も限定的となる見込みである。
(1) データプロダクト
2024年9月期のデータプロダクトの売上高は前期比13.7%増の6,831百万円、売上総利益は同2.4%減の2,249百万円だった。「UNIVERSE」の売上高は同19.6%増の5,966百万円、売上総利益は同8.9%増の2,083百万円と好調だった。Cookie廃止の撤回によって下期に見込んでいたテスト需要が消滅したものの、業種特化型プロダクトの拡販に注力したことや第3四半期にUNCOVER TRUTHを連結子会社化(損益取り込みは第4四半期から)したことなどが、増収増益に寄与した。「デジタルサイネージ」の売上高は同15.1%減の865百万円、売上総利益は同57.5%減の167百万円だった。売上面では、好調な「UNIVERSE」が「デジタルサイネージ」の減収を補ったが、利益面では「デジタルサイネージ」における減益が響いた。「デジタルサイネージ」は、美容サロンへのタブレットの設置が難航したことを受け、収益化が想定よりも遅れた。
「UNIVERSE」のKPIである稼働アカウント数は順調に拡大し、2024年第4四半期累積の稼働アカウント数は前年同期比8.4%増の1,720件となった。顧客の属性ごとに最適化した営業体制の下、顧客の業務形態に合わせてオンラインでのセミナー開催やマーケティング活動を行うなどの営業活動に注力したほか、顧客ニーズを的確に反映する形で業種別プロダクトの性能強化を継続したことなどが稼働アカウント数の増加に寄与した。また、同社は業績の安定化と顧客基盤の強化を図るという観点から、景況感の影響を受けづらい中小顧客と大手顧客への直販に注力し、同社の戦略どおり大手顧客直販と中小顧客が伸びたことも業績の拡大に寄与した。第4四半期単独の顧客属性ごとの売上は、大手顧客直販の売上高が2024年9月期第3四半期比11%増、中小顧客が同8%増と成長した。各種営業戦略が順調に進捗し大手顧客直販の売上が伸びるなか、平均顧客単価も高水準を維持した。
(2) コンサルティング
コンサルティングの売上高は前期比0.3%増の6,882百万円、売上総利益は同0.3%増の1,830百万円となった。「メディア向けコンサルティング」の売上高は同13.7%増の2,566百万円、売上総利益は同1.7%減の691百万円、「海外コンサルティングサービス」の売上高は同10.3%減の2,680百万円、売上総利益は同5.1%増の722百万円だった。売上面はインバウンド需要の回復が想定よりも遅れたことなどを受け「海外コンサルティングサービス」が減収となったものの、メディア向けコンサルティングの増収がカバーした。利益面では、「海外コンサルティングサービス」の増益が寄与した。収益性の高いサービスの提供に注力したことにより利益の積み上げに成功したと言える。2024年9月期においてはインバウンドの回復が想定よりも低調だったものの、足元では中国人観光客の回復を中心にインバウンド需要が盛り上がりを見せている。インバウンド関連の各種新規サービスは順調に市場に投入されてきており、今後は盛り上がりを見せるインバウンド需要を取り込み、業績拡大スピードを高める方針だ。
収穫逓増・高収益である「データプロダクト」が売上高に占める割合は、2021年9月期の32%から2024年9月期には49.8%まで高まっている。今後も同社は「データプロダクト」に注力する方針であり、収益性が高まるものと弊社は予想している。
2. 財務状況と経営指標
2024年9月期末時点の財務状況は、総資産は前期末比1,549百万円増加の8,394百万円となった。この内、流動資産は現金及び預金の減少506百万円などにより、94百万円減少した。固定資産は、株式会社UNCOVER TRUTH社を連結子会社化したことなどによるのれんの増加1,052百万円などにより、1,644百万円増加した。
負債合計は前期末比1,382百万円増加の4,497百万円となった。この内、流動負債は短期借入金の増加1,000百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加19百万円などにより、1,134百万円増加した。固定負債は長期借入金の増加205百万円、リース債務の増加35百万円などにより、247百万円増加した。純資産合計は同167百万円増加の3,897百万円となった。これは主に、利益剰余金が282百万円増加したことなどによる。
経営指標は、流動比率が前期末比47.3ポイント減の118.2%、固定比率が同40.1ポイント増の89.0%となった。流動比率、固定比率ともに依然として健全な数値であり、長短の支払い能力に問題はないと弊社は考える。また、自己資本比率は39.0%となり、前期末比6.4ポイント低下した。ただ、中長期的には自己資本比率は高まると弊社は推察する。利益率の高いデータプロダクトに注力するなかで当期純利益を積み上げることによって、純資産の厚みが増すためだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
■微广告<9553>的业绩动态
1. 2024年9月期的业绩概要
2024年9月期的合并业绩显示,营业收入比上期增长6.6%,达到13,712百万元,营业利润同比下降63.1%,为307百万元,经常利润同比下降60.1%,为294百万元,归属于母公司股东的当期净利润同比下降50.0%,为282百万元。主力产品“UNIVERSE”实现了同比增长19.6%的收入,继续保持良好表现,此外,面向媒体的咨询服务也同比增长13.7%,推动了整体营业收入的上升。“UNIVERSE”在谷歌撤回Cookie禁令的情况下,下半年预计的测试需求消失,但由于行业特化产品的扩展,成功积累了活跃账号数量,弥补了测试需求消失带来的负面影响。在盈利方面,“UNIVERSE”的销售毛利润同比增长8.9%,表现良好,但由于“数字标牌服务”的先行投资导致盈利下降,以及积极招聘人员导致的全公司成本增加,最终出现了减益。
该公司在2024年8月修正了2024年9月期的合并业绩财务预测,新的预测显示,营业收入为13,600〜14,000百万元,营业利润为280〜460百万元,经常利润为220〜400百万元,归属于母公司股东的当期净利润为190〜370百万元。之所以采用区间预测,是因为在“UNIVERSE”中,高单价的大型提案正在逐步推进,该情况尚不确定。减少预测的主要原因是,在数字标牌方面,针对美容沙龙的新服务“OCTAVE”的推出延迟,以及因Cookie禁令推迟或撤回而导致预期的测试需求消失。不过,谷歌推动隐私保护的政策并未改变,未来将引入新的机制,让用户自行选择是否使用Cookie。积极进行Cookie替代技术的开发投资的该公司,已经为用户限制Cookie使用的情况做好了准备,并预计在谷歌Chrome引入用户选择方式的时机,替代措施的先行投资将会对业绩产生贡献。2024年10月31日,为了早期实现“OCTAVE”的商业化以及提高MADS的经营独立性,进行了MADS的股份转让,从而实现非合并化。未来,在权益法适用范围内,有望为微广告群的利润做出贡献,同时先行投资带来的成本负担也将是有限的。
(1) 数据产品
2024年9月期的数据产品营业收入同比增长13.7%,达6,831百万元,销售毛利润同比下降2.4%,为2,249百万元。“UNIVERSE”的营业收入同比增长19.6%,达到5,966百万元,销售毛利润同比增长8.9%,为2,083百万元,表现良好。虽然由于Cookie禁令的撤回下半年预期的测试需求消失,但专注于行业特化产品的扩展以及在第三季度并购UNCOVER TRUTH(损益将从第四季度开始计入)等举措,推动了收入和利润的增长。“数字标牌”的营业收入同比下降15.1%,为865百万元,销售毛利润同比下降57.5%,为167百万元。在收入方面,表现良好的“UNIVERSE”弥补了“数字标牌”的减收,但在利润方面,“数字标牌”的减益对整体利润产生了影响。“数字标牌”针对美容沙龙的平板电脑安装出现困难,导致其盈利化进程比预期延后。
“UNIVERSE”的关键绩效指标是活跃账号数量,2024年第4季度累计的活跃账号数量同比增长8.4%,达1,720个。在根据客户属性优化的销售体制下,开展在线研讨会和营销活动,积极反映客户需求,持续增强行业板块产品的性能,为活跃账号数量的增加做出了贡献。此外,考虑到业绩的稳定化和客户基础的增强,该公司专注于面向不受景气影响的中小客户和大客户的直销,按照公司战略,大客户直销和中小客户的增长也推动了业绩的提升。第4季度单独的客户属性收入中,大客户直销的营业收入比2024年9月期第三季度增长11%,中小客户增长8%,均实现了增长。各类销售战略顺利推进的同时,大客户直销的营业收入也得以增长,平均客户单价保持在高水平。
(2) 咨询服务
咨询服务的营业收入比上期增长0.3%,达到6,882百万元,营业总利润比上期增长0.3%,达到1,830百万元。"面向媒体的咨询服务"的营业收入比上期增长13.7%,达到2,566百万元,营业总利润比上期减少1.7%,为691百万元,而"境外咨询服务"的营业收入比上期减少10.3%,为2,680百万元,营业总利润比上期增长5.1%,为722百万元。尽管根据预期,营业收入的上升主要受到入境需求恢复进展缓慢的影响,使得境外咨询服务出现了收入减少,但由于面向媒体的咨询服务的收入增长得到了弥补。在利润方面,境外咨询服务的盈利增长起到了贡献作用。可以说,通过集中提供高盈利性的服务,成功地实现了利润的积累。在2024年9月期内,尽管入境的恢复低于预期,但近期主要围绕中国游客的恢复,入境需求正在逐步回升。与入境相关的各种新服务正在顺利地投放到市场,今后将吸纳持续升温的入境需求,加快业绩扩张的速度。
收获递增且高盈利的"数据产品"在营业收入中所占比例已从2021年9月期的32%提高到2024年9月期的49.8%。未来公司将继续专注于"数据产品",预计其盈利能力将会提高。
2. 财务状况和经营指标
截至2024年9月期末,财务状况显示,总资产比上期末增加1,549百万元,达到8,394百万元。其中,流动资产因现金及存款减少506百万元,减少94百万元。固定资产因并购公司UNCOVER TRUTH而导致的商誉增加1,052百万元等,增加1,644百万元。
负债总计比上期末增加1,382百万元,达到4,497百万元。其中,流动负债因短期借款增加1,000百万元以及一年内到期的长期借款增加19百万元,增加1,134百万元。固定负债因长期借款增加205百万元以及租赁债务增加35百万元,增加247百万元。净资产总计比上期末增加167百万元,达到3,897百万元。这主要是由于,留存收益增加了282百万元等原因。
经营指标显示,流动比率比上期末减少47.3个百分点,达到118.2%;固定比率比上期末增加40.1个百分点,达到89.0%。流动比率和固定比率仍然保持健康的水平,我们认为短期和长期的支付能力没有问题。此外,股本比率为39.0%,较上期末下降6.4个百分点。不过,从中长期来看,我们推测股本比率将会上升。专注于利润率高的数据产品,在此过程中积累当期净利润,从而增强净资产的厚度。
(作者:富士客座分析师清水阳一郎)