■成長戦略
3. サステナビリティ経営
ミダックホールディングス<6564>は、廃棄物処理という事業活動を通じて廃棄物の減容化や無害化など地球環境保全に寄与しているだけでなく、2022年4月にサステナビリティ推進委員会を設置して脱炭素化への取り組み、より良い職場環境確保への取り組み、地域社会への貢献や地方創生への取り組みなど、サステナビリティ経営への取り組みを強化している。
脱炭素化への取り組みの一例として、学校法人早稲田大学地盤工学研究室(小峯秀雄教授)と共同研究している処分場CCS技術(CO2 Capture and Storage:二酸化炭素回収・貯留技術)がある。廃棄物焼却施設から放出されるCO2を、同じく焼却施設等から副産物として排出されるばいじん等から製造する機能性覆土や廃棄物に固定し、最終処分場に貯留する技術である。
2023年4月には脱炭素社会に向けた微細藻類培養CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization:二酸化炭素の分離回収と有効利用)技術に関して、ミダックがパス<3840>の子会社である(株)アルヌールと共同研究契約を締結した。藻類培養は工場等の排気ガスから分離回収されたCO2の固定化方法の一つとして注目される技術で、アルヌールは微細藻類由来の希少物質「フコキサンチン」生成微細藻類の連続培養技術に強みを持っている。アルヌールとの協業により、焼却由来CO2を利用した微細藻類栽培で「フコキサンチン」大量生産・安定供給の技術を加速させ、経済性を確保しながらCO2排出量削減を目指すとしている。
2023年9月にはミダックが、東京工業大学発のゲノムエンジニアリングカンパニーである(株)Logomixと、最終処分場における環境負荷・コスト低減技術の開発を行うことを目的として共同研究契約を締結した。Logomixが強みとしているバイオテクノロジーを用いて最終処分場が抱える課題解決を目指す。
2024年5月には同社が、資源循環事業や資源循環型施設運営等を手掛けるテラレムグループ(株)と、使用済み太陽光パネルの適切なリユース・リサイクルにおける事業スキームの構築を含む資源循環の共同事業化に関する基本合意書を締結した。太陽光パネルの寿命は約25年~30年と言われ、2030年代半ばに年間約80万トンの廃棄が見込まれている。両社の強みを最大限に活用し、資源循環技術の開発や適正な処理を通じて持続可能な循環型社会構築を目指す。また同年5月にミダックこなんが、太陽光パネル アルミフレーム・J-Box分離装置を導入し、太陽光パネルのリサイクルに着手した。
同年7月にはミダックが、(大)佐賀大学と「微細藻類が産生する有用カロテノイドに関する研究」という題目で共同研究契約を締結した。大量培養した微細藻類から抽出した抗酸化物質(カロテノイド色素)を医薬品としても利用可能な純度まで精製することを目的としている。ミダックはカーボンニュートラルの実現に向けて、焼却施設などで発生する排気ガスから二酸化炭素を分離・回収して微細藻類の培養に有効活用する研究を進めており、佐賀大学農学部 川添嘉徳准教授と共同で微細藻類からフコキサンチン(海洋性カロテノイドの一種)を高純度で精製する手法を開発する。純度を高めたフコキサンチンを使用して、ヒトが抱える生活習慣病を予防する効果、抗炎症効果、抗腫瘍効果などを検証する。
同年11月には同社が中部リサイクル(株)と資源循環事業の共同事業化に関する基本合意書を締結した。サーキュラーエコノミーなど資源循環システムの自律化・強靭化への機運が高まっているため、両者の強みを最大限に活用し、資源循環技術の開発や適正な処理を通じて持続可能な循環型社会の構築を目指す。
その他(SDGs、ガバナンス、職場環境改善、地域社会への貢献など)の取り組みでは、2022年5月に取締役会の諮問機関として任意の指名・報酬委員会及び特別委員会を設置、同年6月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明した。2023年6月には、CO2排出量抑制に向けた取り組みを推進している岩原果樹園(非連結子会社)が、山梨県の「やまなし4パーミル・イニシアチブ農産物等認証制度」において「エフォート認証」を取得した。今後は土壌への炭素貯留量の実績を集計して「アチーブメント認証」取得を目指す。同年9月には、ヤマダホールディングスと戦略的共創パートナーシップ関係構築や資源循環型インフラ事業への成長投資に向けて、合弁会社グリーン・サーキュラー・ファクトリーを設立した。
より良い職場環境づくりでは時差出勤制度「ミダックおもいやり制度」の運用、社員の都合や希望に合わせて休みを取得できる年次有給休暇の個別指定方式の採用、育児・介護や女性従業員の支援などを実施している。地域社会との良好な関係構築では、地方自治体との地震等大規模災害時における災害廃棄物の処理等に関する協定書の締結、SDGsへの取り組みを紹介するYouTube企業チャンネルの開設・運営、ミダックSDGs応援団制度の導入、体験型リサイクル教室の開催、「天浜線 人と時代をつなぐ花のリレー・プロジェクト」としての気賀駅の植栽・除草作業、「子ども食堂」への食料品寄付などを実施している。2023年11月には子ども食堂活動支援の一環として、NPO法人サステナブルネットのキッチンカー購入資金の一部を寄附した。
高利益率のビジネスモデルを評価
4. アナリストの視点
同社の業績は利益率も上昇基調で、直近では30%台後半の営業利益率となり、規模の拡大と利益率の上昇を両立させている。廃棄物一貫処理体制の強みを生かしながら、利益率の高い最終処分の拡大を推進している成果だと考えられ、この高利益率を実現している同社のビジネスモデルを弊社では評価している。今後の成長戦略として、最終処分場の新設にはかなりの期間を要するが、同社は中長期的な視点で事業計画を作成している。また産業廃棄物処理業は地味な印象がある業種だが、持続可能な社会の実現、循環型社会の確立、2050年カーボンニュートラルを目指すSDGs関連において、廃棄物の減容化・無害化によって地球環境保全に寄与するなど重要な役割を果たしている業種であり、中長期成長の余地も大きいと考えられる。したがって、成長加速のための基盤づくりのステージと位置付けている第1次中期経営計画の進捗状況に注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
■增长战略
3. 可持续经营
米达克控股<6564>通过废弃物处理的业务活动,不仅为废弃物的减量化和无害化等地球环境保护作出了贡献,还在2022年4月设立了可持续发展推进委员会,强化了对碳中和的努力、改善工作环境的努力、对地方社会的贡献以及地方创造的努力等可持续经营的举措。
作为对碳中和努力的一个例子,与早稻田大学(土木工程研究室小峰秀雄教授)共同研究的填埋场CCS技术(CO2捕集与存储:二氧化碳回收与储存技术)被提及。该技术是将从废弃物焚烧设施释放的CO2固定于同样从焚烧设施等排放的副产品如灰烬等,并在最终填埋场中储存。
在2023年4月,米达克与巴斯<3840>的子公司阿尔努尔株式会社签订了关于微细藻类培养CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization:二氧化碳的分离与利用)技术的共同研究协议。藻类培养作为从工厂的废气中分离捕集CO2的一种固定化方法,受到关注。阿尔努尔在微细藻类中生成稀有物质“褐藻色素”的连续培养技术方面具有优势。与阿尔努尔的合作将加速利用焚烧产生的CO2进行微细藻类种植,实现褐藻色素的批量生产和稳定供应,同时在确保经济性的同时,努力减少CO2排放量。
在2023年9月,米达克与东京工业大学成立的基因工程公司Logomix株式会社签订了共同研究协议,以开发在最终填埋场中减少环境负荷和成本的技术。Logomix将致力于运用其擅长的生物技术解决最终填埋场面临的问题。
在2024年5月,该公司与经营资源循环业务及资源循环型设施的特拉伦集团株式会社签订了基本协议书,涉及构建包括使用过的太阳能电池板的适当再利用与回收的业务方案。太阳能电池板的使用寿命被认为约为25年到30年,预计到2030年代中期将每年有约80万吨的废弃物。两家公司将充分利用各自的优势,致力于通过资源循环技术的开发和适当处置,建设可持续的循环型社会。此外,在同年5月,米达克开始引入太阳能电池板铝框和J-Box分离装置,着手于太阳能电池板的回收。
同年7月,米达克与佐贺大学签署了题为“微细藻类产生的有用类胡萝卜素研究”的共同研究协议。该协议旨在将从大规模培养的微细藻类中提取的抗氧化物质(类胡萝卜素色素)精炼至可以作为药品使用的纯度。米达克正在推进从焚烧设施等产生的废气中分离与回收二氧化碳,以积极利用于微细藻类的培养,佐贺大学农业学院的川添嘉德副教授共同开发从微细藻类中高纯度提取褐藻色素的方法。通过提高褐藻色素的纯度,检验其预防人类生活习惯病、抗炎症效果和抗肿瘤效果等。
同年11月,公司与中部回收株式会社签署了关于资源循环业务的基本协议。随着循环经济等资源循环系统的自主化和韧性增强的势头日益高涨,双方将充分利用各自的优势,通过资源循环技术的开发和适当的处理,致力于构建可持续的循环社会。
在其他(可持续发展目标、治理、工作环境改善、对地方社会的贡献等)方面的努力中,2022年5月设立了董事会的咨询机构,任命了自愿的提名与报酬委员会及特别委员会,并在同年6月表明支持TCFD(气候相关财务信息披露任务组)提案。2023年6月,实施CO2排放量减少举措的岩原果园(非控股子公司)在山梨县的「山梨4千分之一倡议农产品等认证制度」中获得了「努力认证」。未来将收集土壤中的碳存储量数据,力争获得「成就认证」。同年9月,与山田控股建立战略共创伙伴关系,并向资源循环型基础设施业务的成长投资,成立了合资公司绿色循环工厂。
为了创造更好的工作环境,实施了时差上班制度「MIDAC关怀制度」,根据员工的情况和希望获得休假的年度带薪休假个人指定方式,支持育儿、护理和女性员工等。与地方社会建立良好关系方面,签署了与地方政府在地震等大规模灾害时处理灾害垃圾等的协议书,建立和运营介绍可持续发展目标的YouTube企业频道,实施MIDAC可持续发展目标支持团制度,开展体验式回收课堂,作为「天浜线 人与时代连接的花的接力项目」进行气贺站的植栽和除草作业,向「儿童食堂」捐赠食品等。2023年11月,作为支持儿童食堂活动的一部分,向NPO法人可持续网络捐赠了部分餐车购置资金。
评价高利润率的业务模型
4.分析师的观点。
该公司的业绩也呈利润率上升的趋势,最近的营业利润率达到了30%后半部分,实现了规模的扩张与利润率的提升。可以认为这是有效利用废弃物一体化处理体系的优势,推动高利润率最终处置的结果,因此我们对实现这一高利润率的该公司业务模型给予了评价。作为未来的增长战略,虽然建设最终处置场需要相当长的时间,但该公司正在制定中长期的业务计划。此外,工业废物处理行业给人一种较为沉闷的印象,但在实现可持续社会、确立循环型社会、目标是2050年碳中和的可持续发展目标相关领域,通过减少废弃物的体积和无害化为地球环境保护贡献等,发挥着重要作用,并且被认为具有很大的中长期成长空间。因此,我们希望关注定位于为加速增长打基础的第一阶段中期经营计划的进展情况。
(撰写: FISCO特约分析师 水田雅展)