■中長期の成長戦略
ハウスコム<3275>は中長期的な経営戦略として掲げた『4つの施策』である「事業領域拡大による収益構造の転換」「既存事業分野の競争力強化等」「店舗数増加による規模の拡大」「グループ経営を前進させるための内部体制の強化」を着実に推し進め、安定した収益基盤の確立・競争力の強化を実行するとともに、DX推進でビジネスモデルを変革し、アフターデジタルでの優位性を確立する。
1. 外部環境に左右されない収益構造を構築
コロナ禍によって、同社の収益構造が外部環境の影響を受けやすいこと、事業の成長性が店舗数の増加ペースに比例していることが課題として浮き彫りになったことから、DXを推進することで収益基盤の安定化に注力してきた。
従来、同社の主な収入源は各種手数料であったため、会計上の売上総利益率はほぼ100%で、限界利益率が非常に高いビジネスモデル(売り切り収入モデル)だった。そのため、事業環境が好転・悪化を繰り返すような局面では、業績が不安定になる傾向にあった。今後は、顧客との各接点において継続的にサービスを提供する「リテンション収入モデル」へ移行し、安定的な収益確保を図っていく。今後は、売上高に占めるストック収入の割合が高まり、外部環境の動向に左右されない収益構造になることが予想される。また、ストック収入の割合が増えることで利益率も高まっていくと弊社では見ている。
「リテンション収入モデル」の具体例として、2021年12月にリリースした「スマートシステムPLUS」という継続収入型サービスがある。
スマートシステムPLUSは自主管理家主※向けの継続収入型サービスであり、2020年にリリースされた「スマートシステム」への反響が大きかったことを受けて利便性をさらに高めたサービスである。家主は、1部屋1,650円の料金でスマート内見による空室募集から滞納保証・入居者サポート、退去立会まで各ステップにわたって充実したサポートを受けることができるほか、共用部の清掃や法定点検といったビル管理業務など適宜必要なサービスをシステムから簡単に発注できるサービスだ。同社にとっては加入部屋数に応じた定期収益、サービス利用状況に応じた追加収益を安定して得ることができるサービスである。
※不動産管理会社に委託せずに自ら所有物件を管理する家主のこと。
同社の強みの1つとして自主管理家主との太いパイプを挙げることができる。直近3年で自主管理家主物件を仲介した家主数が3.4万名であることからもそのことが窺える。自主管理家主の開拓余地はまだまだ大きく、スマートシステムPLUSの伸び代も大きいと言えるだろう。新規に自主管理家主を獲得することにより、同社の売上に占めるストック収入の割合が高まっていくと弊社では考えている。
2. DX推進によるビジネスモデルの変革とアフターデジタルに向けたノウハウの蓄積
今後、DX化は賃貸業界においても進んでいき「業界の壁が崩壊」し、「体験が軸になる」と言われている。そのような業界環境変遷のなかで同社は「データを制する者が未来を制す」という考えのもと、DXを活用したビジネスモデルの変革を積極的に推進している。同社のこのような未来に向けたDX戦略の取り組みが評価され、2022年3月には「DX認定事業者」の認定を取得した。
同社はDXによるビジネスモデルの変革として、データと統計手法を駆使した顧客への物件情報の提供に向けた準備を着実に進めている。具体的には、データを活用した顧客ニーズによりマッチした情報の提供や、顧客自身も気付いていなかった潜在的なニーズを顕在化し、顧客納得度の高い情報の提供を目指している。これらの取り組みによって顧客は従来よりも購買意欲(賃貸契約を結ぶことに対する意欲)の高い状態で来店することが想定され、成約率の向上が期待できる。
また、社内の活動に対しても積極的にITを活用しており、コスト効率や生産性の向上を実現している。例えば、各ポータルサイト(SUUMOなどの物件情報を一覧できるサイトのこと)のデータと同社来店以降のデータを組み合わせることで、顧客ニーズの高いエリアを選定したうえで、成約率が高いことが見込まれるエリアに効率的に物件情報を掲載し、広告宣伝費の効率化を実現している。さらに、事務処理のRPA・ペーパーレス化、オンライン内見、IT重説(重要事項説明をオンライン上で行うこと)などの各種施策によって従業員1人当たりの生産性も向上している状況だ。
さらに、同社ではコア事業の業務効率向上のため、2025年3月期はさらなるDX化を進める計画である。具体的には、顧客からの問い合わせなど一部の接客対応にAIを活用したり、不動産賃貸契約書をこれまでの紙から電子媒体へ移行する。これらにより『4つの施策』で掲げる「事業領域の拡大及び競争力の強化等による成長の加速」を図っていく。特に、書面媒体をできる限り省略して電子化を進めることで相当な業務の効率化につながるため、同社では電子契約を進めていく考えだ。
3. 店舗数増加による規模の拡大と売買仲介への参入
2023年3月期において、売買事業への参入に向けた基盤整備は順調に進んだ。店舗数に関しては2024年3月末時点で240店舗(ハウスコム直営店197店舗、ハウスコムFC1店舗、クラスモFC42店舗)であり、ハウスコム直営店は2022年3月末の206店舗をピークに2023年3月末は203店舗、2024年3月末は197店舗へと減少しているが、シーアールエヌの子会社化によりグループ全体の店舗数は拡大している。同社では従来、店舗数増加による規模の拡大を重要課題の1つとしていたが、2023年3月期からその方針を軌道修正しており、1店舗当たりの収益性の向上と、従業員1人当たり売上高の拡大など、より収益性に重点を置く戦略に転換した。DX化の進展などによる効率化に伴い、1店舗当たりの従業員数が減少しても収益性を確保している。また、同社では収益成長オプションの1つとして、不動産管理事業にも進出している。2024年3月期時点での収益貢献は限定的なものの、同社では2024年3月期に1,400室から2025年3月期には3,000室へと管理対象室数の増加を計画している。このように、これまで不動産賃貸仲介において培ってきた家主や管理会社とのリレーションを生かし、不動産売買、不動産管理、フランチャイズ経営の強化など、多面的に周辺事業を強化することで事業規模の拡大を進める考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
中長期的增長戰略
Housecom<3275>正在穩步推進其確定的中長期經營戰略“四項舉措”:通過擴大業務領域實現收入結構的轉型,增強現有業務領域的競爭力,通過增加店鋪數量來擴大規模,以及加強內部體制以推動集團管理,以確立穩定的收入基礎和增強競爭力,推進DX改革業務模式,確立在數字後服務中的優勢。
1. 建立不受外部環境影響的收入結構
由於新冠疫情影響,該公司的收入結構容易受到外部環境的影響,業務的增長速度僅與店鋪數量的增加有關。因此,通過推進DX來注重穩定收入基礎的建立。
由於公司的主要收入源是各種手續費,因此會計上銷售總利潤率幾乎達到百分之百,是一種具有非常高利潤率的業務模式(即售出收入模式)。因此,當業務環境出現好轉或惡化的情況時,業績往往趨於不穩定。未來,公司將轉向提供持續服務的“維繫收入模型”,以確保穩定的收入。預計未來,庫存收入在營業收入中所佔比例將增加,形成不受外部環境影響的收入結構。此外,我們公司認爲隨着庫存收入比例的增加,利潤率也將提高。
作爲“維繫收入模型”的具體例子,公司於2021年12月推出了基於持續收入的“Smart System PLUS”服務。
Smart System PLUS是一項面向業主的持續收入型服務,該服務的便利性得到了2020年推出的Smart System的關注度。業主可以按照每間房1650日元的費用獲得智能內視圖並從空租採集服務到逾期保證、租戶支持和退房服務等每個步驟中獲得充分的支持,共用部分的清掃和大樓管理等必要的服務也可以從系統中輕鬆地訂購。對該公司而言,該服務可穩定地獲得驗收房間數的定期收入和在使用服務時獲得的額外收入。
業主指不通過代理公司而是自己管理房產的人。
該公司可以列舉與業主的重要關係作爲其優勢。根據近3年的數據,該公司介紹並管理自主管理的物業數量達到了3.4萬個,可以看出這一點。該公司認爲獲得新的自主管理業主將增加庫存收入在公司銷售中的比例。
2. 推進DX改革併爲數字後時代積累經驗
未來,在租賃行業中,DX變革也將得到推廣,“行業門檻將崩潰”並且“體驗將成爲中心”。在這種行業環境變化中,該公司在“控制數據者才能控制未來”的思想指導下,積極推進DX改革業務模式的變革。鑑於該公司對DX戰略的努力,該公司於2022年3月獲得了“DX認證企業”的認證。
該公司正在利用數據和統計方法,積極推進向客戶提供物業信息的準備工作。具體而言,公司旨在通過利用數據來提供與客戶需求匹配的信息和挖掘潛在的需求並提供客戶滿意度更高的信息。通過這些措施,客戶預計可以在比以前更容易購買(對簽訂租賃合同的意願更強烈)的情況下訪問店鋪,並期望提高達成率。
另外,公司積極利用IT來支持內部活動,實現成本效益和生產力的提升。例如,通過組合各個門戶網站(例如SUUMO等可以列出房產信息的網站)的數據和公司自來店後的數據,可以有效地在選定高客戶需求的地區並且預期有較高的成交率前進行物業信息的發佈,從而實現廣告宣傳費用的效率化。此外,公司通過各種措施,如RPA、無紙化辦公、在線內查等,提高了每個員工的生產力。
此外,該公司計劃在2025年3月期進一步推進數字化以提高核心業務的效率。具體而言,公司將利用人工智能支持顧客諮詢等某些接待服務,並將不動產租賃協議從紙質媒體轉移到電子媒體。通過這些措施,公司將致力於通過“四個措施”來擴大業務領域、增強競爭力、加速增長。特別地,由於將書面媒體儘可能省略並推進電子化可以大大提高效率,因此該公司計劃推進電子合同。
3. 擴大規模和涉足不動產中介業務的門店數量增加
2023年3月期間,向房地產買賣業務參與邁出了跨足的基礎。截至2024年3月底,門店數量爲240家(House Com直營店197家、House Comb FC店1家、Classmo FC店42家), House Com直營店數量從2022年3月底的206家峯值下降至2023年3月底的203家及2024年3月底的197家,但由於子公司Cennrn的組成,整個集團的門店數量有所擴大。雖然該公司一直將擴大門店數量作爲重要任務之一,但自2023年3月期以來,該公司已調整其方針,將重點放在提高每家店面的盈利能力、增加每個員工的營業額等盈利性更強的戰略上。隨着數字化推進等措施的推進,即使每家店鋪的員工數量減少,該公司也能確保利潤。此外,該公司進入了不動產管理業務作爲收益增長的一個選項。雖然在2024年3月期時的收益貢獻有限,但該公司計劃在2024年3月期從1400個房間增加到2025年3月期管理的3000個房間。通過借鑑過去在不動產租賃中所積累的業主、管理公司等關係,該公司將通過多面周邊業務的增強,包括不動產買賣、不動產管理、特許經營經營等,以擴大業務規模。
2023年3月期,在進入買賣業務方面的基本措施順利推進。截至2024年3月底,店鋪數量爲240家(House Com直營店197家、House Com FC店1家、Classmo FC店42家),其中House Com直營店數從2022年3月底的206家峯值下降至2023年3月底的203家,2024年3月底的197家,但由於子公司Cernn的組合,集團整體店鋪數量有所增加。該公司一直將擴大店鋪數量視爲重要任務之一,但自2023年3月期起,該公司已調整其方針,將重點放在提高每家店面的盈利能力、增加每個員工的營業額等盈利性更強的戰略上。隨着數字化推進等措施的推進,即使每家店面的員工數量減少,該公司也能保證利潤。此外,該公司進入了不動產管理業務作爲收益增長的一個選項。雖然在2024年3月期時的收益貢獻有限,但該公司計劃在2024年3月期從1400個房間增加到2025年3月期管理的3000個房間。通過過去在不動產租賃業務中所積累的家主、管理公司等關係,該公司將擴大周邊業務,包括不動產買賣、不動產管理、特許經營等各方面的業務。
(作者:FISCO客員分析師永岡宏樹)