■業績動向
1. 2024年3月期の業績概要
nmsホールディングス<2162>の2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比7.8%減の72,874百万円、営業利益が同22.8%増の1,888百万円、経常利益が同10.1%増の1,570百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同45.8%増の737百万円となった。売上高は世界的な景気減速や主要顧客の生産調整の影響から期初予想の85,000百万円、修正予想の77,000百万円に対して大幅に未達となったが、営業利益は期初予想の1,800百万円を超過し、大幅な営業増益となった。セグメント別に見ると主要3事業ともに前期比で減収増益となったが、特にEMS事業のセグメント利益率が2023年3月期の0.9%から2024年3月期は1.7%へ、PS事業の利益率も同3.6%から4.9%へと改善したことが大きく寄与している。EMS事業ではベトナムやメキシコ、マレーシアなどの主要拠点における生産性改善やコスト構造の見直しによる収益性向上の効果が発現、PS事業では生産性向上のための施策や、部材調達コストの削減などを進めたことが寄与した。事業環境変化による顧客の減産影響等もあり、外部環境が非常に厳しかったなか、経営努力により収益性の向上を進め、期初に計画した営業利益を達成できたことを弊社ではポジティブに捉えている。
四半期ごとに連結ベースの業績動向を見ると、第1四半期は売上高18,565百万円、営業利益483百万円、第2四半期は売上高17,709百万円、営業利益14百万円と、特に第2四半期は一時的な国内・海外子会社間での連結調整影響が発現したことに加えて、EMS事業におけるマレーシアや中国での顧客の稼働低下による在庫調整影響が大きく反映されたことで利益水準が大きく低下したが、第3四半期は売上高18,407百万円、営業利益610百万円、第4四半期は売上高18,191百万円、営業利益779百万円と営業利益は下期に入って着実に改善を示した。
2. 事業別業績概況
(1) HS事業
HS事業の売上高は22,695百万円(前期比2.4%減)、セグメント利益は1,110百万円(同4.2%増)となった。国内事業に関しては、自動車・半導体関連を中心とした顧客の生産調整による影響によって売上高の伸び率が抑制されたものの、利益面では単価交渉による原価率改善や適正販管費の管理強化など、基盤強化策の実行を進めた。また、海外事業においては、中国における客先在庫調整による減産影響、ベトナムでの新規受注獲得による教育費用などの利益圧迫要因があったが、各種基盤強化により収益性の改善が進んだ。これらを背景として、セグメント全体としての売上高は前年同期比でわずかに減少したが、セグメント利益については増益を確保した。
(2) EMS事業
EMS事業の売上高は、34,290百万円(前期比10.1%減)、セグメント利益は575百万円(同74.1%増)となった。同事業は、マレーシア、ベトナム、中国、メキシコなどにおいて生産活動を展開しているが、売上規模の大きいマレーシアにおける大手日系家電メーカーの在庫調整影響、また、中国における景気変化発展影響も受けたことで減収となった。一方、営業利益は、拠点における生産性改善やコスト構造の見直しの成果もあり、前期比で大幅に改善することができた。損益を四半期ごとに見ると、第1四半期のセグメント利益は242百万円と順調だったが、第2四半期はセグメント損失107百万円となり、セグメントとして赤字となった。第1四半期から第2四半期にかけて中国やマレーシアを中心に顧客である大手日系家電メーカーのエアコン生産が最終需要減や在庫調整により大きく落ち込んでおり(特に欧州でのヒートポンプへの補助金削減によりメーカー各社が大幅減産を余地なくされたことの影響が大きい)、同社もその影響を受けて売上高・セグメント利益が落ち込んだ。一方、第3四半期のセグメント利益は85百万円、第4四半期は354百万円となり、特に第4四半期の利益水準は大きく良化した。
(3) PS事業
PS事業の売上高は、15,888百万円(前期比9.8%減)、セグメント利益は785百万円(同23.3%増)となった。損益を四半期ごとに見ると、PS事業は複写機メーカー向けが売上高の60%程度を構成しており、市場自体の大きな成長が見込みにくいことから、同社ではコスト削減や生産性改善による利益率の向上を目指している。2024年3月期においては、売上高は海外における需要減少及び在庫調整影響が大きく前期比で減収となったものの、セグメント利益は前期比で大幅に増加しており、同社が目指すコスト削減や生産性改善の効果の刈り取りが奏功している点が注目される。
3. 財務状況
2024年3月末における資産合計は前期末比2,956百万円減の35,976百万円となった。流動資産は26,178百万円となり、同3,842百万円減少した。これは主に現金及び預金が同1,203百万円増加した一方で、売上高の減少に伴って受取手形、売掛金及び契約資産が同2,030百万円、棚卸資産(製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品の合計額)が同3,376百万円減少したことによるもので、運転資金の回収が進んだ形だ。固定資産は9,784百万円となり、同899百万円増加した。有形固定資産が同891百万円増加した一方、投資その他の資産、無形固定資産には大きな変動はなかった。
負債合計は前期末比3,786百万円減の32,631百万円となった。流動負債は29,219百万円となり、同700百万円増加した。これは主に支払手形及び買掛金が同2,704百万円減少したが、短期借入金が同1,055百万円増加し、固定負債にあった社債の償還期限が1年以内となったことで流動負債に1年内償還予定の社債が2,000百万円新たに計上されたことによる。一方、固定負債は前期末比で4,486百万円減の3,411百万円と大きく減少した。2,000百万円の社債が返済期限が近くなったことで流動負債へ振り替えられたこと、また、長期借入金が同2,856百万円減少したことによる。純資産合計は同829百万円増の3,344百万円となった。2024年3月末時点での自己資本比率は9.3%となり、2023年3月末時点の6.4%から2.9ポイントの改善となった。また、有利子負債は短期借入金が16,288百万円、1年内償還予定の社債が2,000百万円、長期借入金が1,874百万円であり、有利子負債合計が20,163百万円となる。支払金利は739百万円、社債発行費償却13百万円が計上されており、同社の利益水準に対して金融費用の支払い負担の大きさは依然として無視できず、有利子負債の早期削減と自己資本比率の向上は今後も同社の重要課題である。
同社は財務基盤の強化に向けて、部材を戦略的に確保しつつ、過剰在庫を圧縮すること、仕入れから回収までのサイクルを短くすることなどに取り組んでいる。加えて、投資の精査や各種KPIを設定し、キャッシュ・フローの観点から財務健全性を高めるために各種施策を実行している。また、外部環境の変化が早いなか、部材調達ソースの多様化や為替エクスポージャー圧縮への対応なども実行している。事業面においては、ニーズが堅調なことに加えて基盤強化策の着実な実行により、収益性が高まってくると見られる。利益が積み上がるにつれ、財務健全性が回復することを期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
■業績趨勢
1。截至2024年3月31日的財政年度財務摘要
NMS Holdings截至2024/3財年的合併財務業績<2162>財年爲銷售額下降7.8%,至728.74億日元,營業收入增長22.8%,至18.88億日元,普通利潤增長10.1%,至15.7億日元,歸屬於母公司股東的淨收益增長45.8%,至7.37億日元。由於全球經濟放緩和主要客戶生產調整的影響,銷售額遠低於最初預測的8.5億日元和修訂後的77億日元預測,但營業利潤超過了最初預測的1.8億日元,導致營業利潤大幅增加。從每個細分市場來看,與上一財年相比,這三項主要業務的銷售額和利潤均有所下降,但特別是,EMS業務板塊的利潤率從截至2023/3財年的0.9%提高到截至2024/3財年的1.7%,PS業務的利潤率也做出了巨大貢獻。在EMS業務中,通過提高生產率和審查越南、墨西哥和馬來西亞等主要基地的成本結構來提高盈利能力的效果得以實現;在PS業務中,提高生產率和降低零部件採購成本的措施做出了貢獻。由於業務環境的變化等,客戶減產也產生了影響,儘管外部環境極其嚴峻,但我們通過管理層的努力提高了盈利能力,實現了財年初計劃的營業利潤。
從季度合併收益趨勢來看,第一季度銷售額爲185.65億日元,營業收入爲4.83億日元,第二季度銷售額爲177.09億日元,營業收入爲1,400萬日元。特別是在第二季度,除了國內外子公司合併調整的暫時影響外,由於馬來西亞和中國客戶在EMS業務中的業務下降而導致的庫存調整的影響得到了極大的體現,利潤水平急劇下降。本財年下半年的營業收入穩步改善,銷售額爲184.07億日元,營業收入爲6.1億日元,第四季度銷售額爲1819.1億日元,營業收入爲7.79億日元。
2。業務績效概述
(1) 美國業務
美國業務的銷售額爲226.95億日元(較上一財年下降2.4%),分部利潤爲11.1億日元(較同期增長4.2%)。在國內業務方面,儘管受以汽車/半導體相關產品爲中心的客戶生產調整的影響,銷售增長率受到抑制,但在利潤方面促進了基礎設施強化措施的實施,例如通過單價談判提高成本比率以及加強適當的銷售和管理費用的管理。此外,在海外業務中,存在利潤壓力因素,例如因中國客戶庫存調整而減產的影響,以及在越南獲得新訂單導致的教育費用等,但由於各種基礎設施的改善,盈利能力的改善取得了進展。在此背景下,整個細分市場的銷售額與去年同期相比略有下降,但分部利潤的增長得到了保證。
(2) EMS業務
EMS業務的銷售額爲342.9億日元(比上一財年下降10.1%),分部利潤爲5.75億日元(比同期增長74.1%)。同一業務正在馬來西亞、越南、中國、墨西哥等地開展生產活動,但由於銷售規模龐大的日本主要家用電器製造商在馬來西亞進行庫存調整的影響,以及中國經濟變化和發展的影響,銷售額下降了。同時,與上一財年相比,營業利潤得以大幅提高,部分原因是生產率的提高和基地的成本結構審查。從季度損益來看,第一季度分部利潤穩定在2.42億日元,但在第二季度,分部虧損爲1.07億日元,導致分部出現赤字。從第一季度到第二季度,主要客戶在中國和馬來西亞的日本主要家用電器製造商的空調產量急劇下降,這是由於最終需求下降和庫存調整(特別是由於歐洲削減熱泵補貼而爲製造商留出大幅減產空間的影響是巨大的),該公司也受到了影響,銷售和細分市場的利潤下降。同時,第三季度的分部利潤爲8500萬日元,第四季度的利潤爲3.54億日元,尤其是第四季度的利潤水平顯著提高。
(3) PS 業務
PS業務的銷售額爲158.88億日元(比上一財年下降9.8%),分部利潤爲7.85億日元(比同期增長23.3%)。從每季度的損益來看,複印機製造商的PS業務約佔銷售額的60%,而且由於很難預測市場本身的顯著增長,該公司的目標是通過降低成本和提高生產率來提高利潤率。在截至2024/3財年中,儘管由於海外需求下降和庫存調整,銷售額比上一財年大幅下降,但與上一財年相比,該細分市場的利潤大幅增長,值得注意的是,收穫了公司旨在降低成本和提高生產率的效果取得了成功。
3. 財務狀況
截至2024年3月底,總資產爲359.76億日元,較上一財年末減少29.56億日元。流動資產爲261.78億日元,比同期減少38.42億日元。這主要是由於現金和存款增加了12.03億日元,而應收票據、應收賬款和合同資產減少了20.3億日元,庫存資產(產品、在建工程、原材料和儲存貨物的總價值)減少了33.76億日元,原因是銷售額下降和營運資金回收的進展。固定資產爲97.84億日元,比同期增加了8.99億日元。雖然有形固定資產增加了8.91億日元,但投資、其他資產或無形固定資產沒有重大變化。
總負債較上一財年末減少了37.86億日元,至326.31億日元。流動負債爲292.19億日元,比同期增加了7億日元。這主要是由於應付票據和應付賬款減少了27.04億日元,但短期貸款增加了10.55億日元,而且由於固定負債的公司債券的贖回期在1年以內,計劃在1年內贖回的公司債券被新記錄爲流動負債20億日元。同時,固定負債大幅下降至34.11億日元,與上一財年末相比減少了44.86億日元。這是因爲隨着還款期限的臨近,20億日元的公司債券被轉移到流動負債中,長期貸款減少了28.56億日元。總淨資產增加了8.29億日元,達到33.44億日元。截至2024/3年底,資本充足率爲9.3%,較2023/3年底的6.4%提高了2.9個百分點。此外,至於有息債務,短期貸款爲162.88億日元,計劃在1年內贖回的公司債券爲20億日元,長期貸款爲18.74億日元,使有息債務總額爲201.63億日元。已經記錄了7.39億日元的利息支付和1300萬日元的公司債券發行成本攤銷,與公司利潤水平相關的財務費用支付負擔的規模不容忽視,儘早減少計息債務和提高權益比率仍將是公司未來的重要問題。
爲了加強其財務基礎,該公司正在努力壓縮多餘的庫存,縮短從購買到收貨的週期,同時從戰略上保護零部件。此外,已經制定了投資審查和各種關鍵績效指標,並正在實施各種措施,從現金流的角度增強財務穩健性。此外,隨着外部環境的迅速變化,物資採購來源的多樣化以及對匯兌風險壓縮的支持也在實施中。在業務方面,除了強勁的需求外,由於穩步實施基礎設施強化措施,預計盈利能力將增加。我希望隨着利潤的積累,財務穩健性將恢復。
(由FISCO客座分析師長岡宏樹撰寫)