■中長期の成長戦略
1. シュッピン<3179>における環境認識
(1) カメラ市場
カメラ市場は、スマートフォンの台頭によりしばらく縮小傾向が続いてきたが、2020年度よりフルサイズミラーレスカメラへの本格移行が始まったほか、メーカー各社から注目の新製品が発売されたことで活況を呈しており、カメラ専門店にとっては追い風となっている。2022年前半までの半導体不足解消に伴いフルサイズミラーレスカメラへの移行が本格化し、日本向け総出荷台数は2022年は前年比131.9%(金額では前年比163.3%)、2023年は同120.4%(金額では同106.8%)※と伸び続け、パリ五輪が開催される2024年も高成長が期待されている(五輪の年にはフラッグシップ機種の販売が恒例となっている)。またカメラを本格的な趣味にしたり、映像関連の仕事をする人も年々増加傾向にあり、より専門性を求めて量販店から専門店に流れ込む動きもあるようだ。中古品市場についても、新製品の発売に伴って世代前のモデルが中古品として販売されるため、しばらく好調な市場環境が続く見通しである。
※同社資料による。出所は(一社)カメラ映像機器工業会。
(2) 時計市場
日本国内の輸入腕時計市場については、2022年がコロナ禍によるインバウンド需要(免税売上)の低迷や高級腕時計の世界的な価格相場の下落のなかで、価格を下げてでも販売を行う動きが強かったこともあり、7,381億円(前年比26%増)の規模に拡大すると、価格相場が比較的安定した2023年も9,557億円(同29%増)と高成長を続けており、1兆円規模に迫ってきた※。特にシェア約2%の同社にとっては、伸びしろの大きな市場と言える。同社では、2021年9月から「ロレックス」製品の取り扱い日本一を目指す方針を打ち出し、戦略的な在庫投資を行ってきた。2021年12月末には「ロレックス」の取り扱いで国内最大級にまで拡大しさらなるラインナップの拡充を図ってきたが、その積極姿勢が相場下落の影響を受ける格好となり一時的な苦戦を強いられた。ただ2023年に入ってからは、価格相場の安定とともに同社の業績も回復した。
※同社資料による。出所は(一社)日本時計協会。
2. 中期経営計画
同社は、毎年向こう3ヶ年の中期経営計画を更新しており、2024年5月に新たな中期経営計画を公表した。前回の中期経営計画と比べてトップラインの伸びを増額修正するとともに、売上総利益率の目標を引き上げた。一方、利益を生み出すための投資(システム人財の育成、AI施策強化に向けたシステム投資、コンテンツ撮影スタジオ新設等)についても若干積み増した。ただ、今後の方向性に見直しはない。引き続き新たなテクノロジーの活用によりECに注力する方針であり、主軸となる「カメラ事業」のさらなる成長と「時計事業」の回復からの拡大、越境ECによるグローバル展開の活性化などに取り組む。特に売上高の成長以上に利益成長を重視し、1) AI活用による利益率の改善、2) スリムな経営による販管費比率の低減、という2つの施策を推進し、最終年度となる2027年3月期の目標として売上高73,514百万円(3年間の年平均成長率14.6%)、営業利益5,598百万円(営業利益率7.6%)を目指す。
3. 中長期的な注目点
AIの活用や様々な価値の追求により特定分野でさらにプレゼンスを高め、利益成長を重視する戦略は、弊社でも合理性があると評価している。戦略的に取り組んできた「時計事業」は想定外の相場変動による影響を一旦は受けたものの、これをきっかけとして先を進む「カメラ事業」と同様にAIやテクノロジーを導入し、ビジネスモデルの精度を高めることができれば、他社との差別化を図るうえでも大きな転機となる可能性がある。1兆円規模を誇る市場においていかにシェアを高めていくのか、今後の進展に期待が膨らむ。また、長期的なアップサイド要因として注目されるのは、M&Aや事業提携を含む、海外への本格展開、並びに新たな収益源の創出にある。海外展開については、すでにテストマーケティング的に取り組み「時計事業」を中心に認知度が上がってきており、越境ECを通じて着実に利用者から高い評価を受けている。国内と同様、海外でのブランド力や買取の仕組みを確立することができれば、新たな成長の軸となる可能性は大きい。さらに新たな収益源の創出(例えば、情報力及び会員基盤を生かした有料サービスの導入、メディア事業への展開等)についてもポテンシャルがある。その具現化のためにはロイヤリティ(熱量)が高く、質・量ともに充実した会員基盤をはじめ、愛好者にとって魅力的なコンテンツ情報が集まる仕組みを、いかに収益化に結び付けていくかがカギを握ると見ている。外部資源の活用を含め、同社ならではのビジネスモデルの確立に注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
中長期的增長戰略
1.關於綠色環保意識的認識
(1)相機市場
相機市場在智能手機的崛起導致市場短時期內持續下跌時,從2020年開始逐漸轉向全畫幅無反相機,此外,各大廠商紛紛推出備受關注的新產品,市場處於活躍狀態,對相機專營店而言,是一股順風呼嘯而來的助推力量。隨着半導體短缺的解決,全畫幅無反相機的替代應用被全面實施,並且2022年日本總出貨量比上一年增長了131.9%(在面值方面,比上一年增長了163.3%),2023年同比增長了120.4%(在面值方面,同比增長了106.8%),預計在2024年巴黎奧運會期間,增長率還會更快(在奧運會年,高端機型的銷售已成爲慣例)。此外,越來越多的人已經將相機作爲正式的業餘愛好或從事影像相關工作,並且越來越專業化,將流量店的客流趨勢轉移至專業店。另外,隨着新產品的推出,上一代機型作爲二手市場的銷售品也有很長的好市場前景。
※該公司數據。來源爲(一社)照相影像器行業會。
(2)手錶市場
對於日本國內的進口腕錶市場而言,在2022年面臨着新冠疫情導致的入境旅遊需求(免稅銷售)低迷和全球高級腕錶價格的下跌等困境下,此市場亦表現出了強烈的降價銷售傾向,進而擴大了規模,總計7381億日元(同比增長26%),在價格相對穩定的2023年,市場規模繼續高增長至9557億日元(同比增長29%),並且已經接近萬億規模※,特別是針對約佔2%的市場份額的本公司而言,市場潛力巨大。自2021年9月起,該公司公佈了成爲日本銷售「勞力士」產品的最大經銷商的戰略,並進行了戰略性的庫存投資。到2021年12月末,該公司已經成爲「勞力士」在日本最大的經銷商,並且在進一步擴大其產品系列的同時,此積極態度因受到市場下跌的影響而付出了一些代價。然而,自2023年以來,隨着價格相對穩定,該公司的業績也逐步恢復。
※該公司數據。來源爲(一社)日本鐘錶協會。
2. 中期經營計劃
該公司每年更新3年期的中期業務計劃,並於2024年5月公佈了新的中期業務計劃。與上次中期業務計劃相比,除了增加銷售收入之外,還增加了銷售總利潤率的目標。同時,也稍微增加了需要爲了產生利潤而進行的投資(對於系統人力的培養、AI策略強化的系統投資和內容拍攝工作室的新設立等)。然而,公司的未來方向沒有改變。公司將繼續致力於利用新技術,注重電子商務,並從“相機業務”和“手錶業務”的擴大回收和跨境EC的全球擴張等方面入手。特別是,該公司將重視利潤率的增長,而不僅是銷售收入的增長,推進兩項措施,即1)利用AI改善利潤率,2)通過精益管理降低銷售費用率。作爲最終目標,該公司將在2027年3月期內追求銷售收入爲735.14億元(年平均增長率爲14.6%)和營業利潤爲55.98億元(營業利潤率爲7.6%)。
3.中長期的關注點
通過利用人工智能和追求不同價值,強化特定領域的影響力並重視利潤增長的戰略也在我公司被認爲是理性的。我們已經通過戰略性地推進“鐘錶業務”來應對預想外的市場波動,而現在我們可以使用人工智能和科技來提高業務模式的準確性,並有可能成爲區別於其他公司的轉機。我們期待在擁有1萬億日元市場份額的門類中提高份額。另外,長期的上漲趨勢可能出現在包括與海外展開業務和創造新的收益來源(包括M&A和業務提攜)、注重與海外的交流。我們已經在海外測試市場上面對“鐘錶業務”,並且通過跨境電子商務積極地獲得了高度評價。如果我們能夠建立起與國內一樣的品牌影響力和回購機制,新的增長軸的潛力是巨大的。此外,也有其他新的收益來源(例如,利用信息和會員基礎建立付費服務和擴展媒體業務等)的可能性。我們認爲點燃忠誠度(熱量)和建立包括滿足粉絲訴求的內容信息在內的充足的會員基礎,以及如何將其轉化爲收益,是實現這些目標的關鍵。除了利用外部資源,我們也要注重建立公司特有的業務模型。
(撰寫:FiSCO客座分析師柴田鬱夫)