■中長期の成長戦略
2024年3月期には、サービス事業及びシステム事業の両方に関わる成長戦略として、2024年2月にENEOS(株)堺製油所向け陸上出荷制御システム更新工事の包括契約を締結した。陸上出荷制御システムは、ガソリンや軽油といった燃料油を正確に計量してタンクローリーに積載する工程で使用されることにより、市中への安定供給につながる非常に重要なシステムである。堺製油所の陸上出荷システムの各種制御装置の更新に伴い、オーバル<7727>が基本設計から詳細設計、調達、建設工事、納入後の保守までをワンストップで担うこととなった。同社がこれまでに培った燃料油の出荷システムの技術や実績が評価されたものと同社は考えている。
また、システム事業の成長戦略としては、2023年4月に産業技術総合研究所向けに、世界最高精度である石油流量標準設備の更新・点検整備・改修作業を受注している。石油の公正な取引の成立には、正確な流量計測とそれを支える計量標準(国家標準)が必要となる。石油流量標準設備は、世界最高精度を達成した大型かつ超精密な設備で、石油流量の計量トレーサビリティ制度の頂点に位置する国家標準である。今回の受注により、石油流量標準設備を構成する複数の設備(石油大流量校正設備及び石油中流量校正設備)に対して、更新・点検整備・改修を実施する。同社では、JCSS(計量法校正事業者登録制度)事業者として、流量の国家標準の適切な維持・管理に今後も同社の技術や知見を生かす計画である。さらに、産業技術総合研究所からの受注については、2024年5月には気体中流量校正設備改修を、2024年6月にも液体流量標準設備用の超音波流量計及び設置工事と北事業所流体輸送実験施設改修工事を公表するなど、実績が積み上がっている。
加えて、2024年3月期には、センサ事業の成長戦略として、自動車関連市場向け塗料計測用の円ギア・メーターなど、新アプリケーションの拡販も進めた。また、海外では中国四川省の成都に新たな拠点を設けるなど、コリオリ流量計を中心に拡販を進めている。
一方、経営基盤強化戦略の具体的な取り組み計画は以下のとおりである。
(1) 製造BCL戦略
徹底したBCL(ベスト コスト ロケーション)として、原材料・生産工程を考慮した設計、並びに生産方式・サプライチェーンの見直しを実施し、コスト(材料費・製造経費)削減と品質・納期の安定の両立を図る。また、プロダクトポートフォリオの活用として、変わりゆく市場環境の中で各製品における収益性や成長性などを分析し、重視すべき製品や撤退すべき製品などを明確化する。
(2) 人事財務強化戦略
人事戦略としては、適正な人数の人員を適材適所に配置することを徹底し、生産性の向上を図るとともに、将来を見据えた次世代を担う人財の育成とグループ一体となった人財育成システムの構築を目指す。また、財務戦略としては、新規事業や収益を創出する事業に経営資源を集中投下する。
(3) DX推進戦略
DXの推進として、専任部署を新設し、全社でデジタルツールを活用し企業の成長を加速させる。また、情報資産の有効活用として、蓄積された納入実績・修理実績・顧客情報のデジタルマーケティングへの活用を図る。さらに、DXマインドの醸成としては、全従業員がデジタルを活用し、新しいことへの挑戦に対するマインドを醸成する。
(4) サステナビリティ推進戦略
事業活動を通じた環境課題への取り組みとして、化石燃料の代替エネルギー関連商品をはじめとした環境に配慮した製品及びサービスを提供するとともに、事業活動により排出されるCO2量の削減、廃棄物の削減と再利用の推進を目指す。また、人権尊重としては、性別や年齢、国籍や社会的身分、障がいの有無など個人の属性に関係なく、すべてのステークホルダーの人権を尊重する。さらに、法令や規則の遵守としては、公正な競争・適時適切な情報開示など、誠実な企業活動を実践し、ガバナンス体制の強化を図る。
これらの経営基盤強化戦略の実績としては、製造BCL戦略では、2024年3月期にはCAM(Computer Aided Manufacturingの略。CADで作成した図面をもとに、工作機械での加工に必要な数値制御プログラムなどを作成するツール)を横浜事業所のマシニングセンタに導入し効率化を図ったほか、業務の棚卸なども行い、外部委託していた一部のプロセスを自社生産へ切り換えて工場稼働率の向上を進めるなど、製造経費の圧縮に努めている。
また、DX推進戦略では、2023年9月には、経済産業省より同省が定めるDX認定制度に基づき、「DX認定事業者」の認定を取得した。DX認定制度とは、デジタル技術による社会変革に対して経営者に求められる事項を取りまとめた「デジタルガバナンス・コード」に対応し、DX推進の準備が整っていると認められた企業を国が認定する制度である。同社グループでは、DX認定のロゴマークを名刺に印刷するなど、各種ビジネス推進に活用している。
さらに、サステナビリティでは、2024年5月には、地球と同社が持続可能であるために、いまから力を入れるべき5つのテーマ「マテリアリティ(経営の重要課題)」を特定した。具体的には、(1) 従業員のウェルビーイングの追求、(2) 革新を生み出すリーダーシップの実践、(3) グリーン技術の開発と波及、(4) 責任ある調達への完全移行、(5) サーキュラーエコノミーへの移行、である。気候変動が着実に進む未来の社会でも必要とされる会社になるために、今から何に注力すべきなのかを考え、経営戦略に組み込んでいく方針だ。また、2022年11月にはクロスカントリースキーヤーの宮崎日香里選手と所属契約を締結している。スポーツの振興に貢献するとともに、気候変動問題に大きな影響を受けるウィンタースポーツを通して、環境問題を社会的責任と捉え、持続可能な発展に貢献し続ける考えだ。近年、わが国でもESG(Environment、Social、Governanceの頭文字)の観点から企業を分析して投資をするESG投資が増えており、2022年には残高4.2兆米ドル、世界シェア14.1%にまで急拡大しており、今後も成長余地が大きいと考えられる。その意味でも、積極的に社会的課題に取り組む同社が注目されるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
■中長期增長戰略
在截至2024/3財年的財年中,作爲一項涉及服務業務和系統業務的增長戰略,於2024/2簽署了ENEOS公司酒井煉油廠陸運控制系統更新工作的全面協議。陸路運輸控制系統是實現城市穩定供應的極其重要的系統,因爲它們用於精確測量汽油和輕油等燃油並將其裝載到油罐車的過程中。除了更新酒井煉油廠陸運系統的各種控制設備外,Oval <7727>還將一站式負責從基本設計到詳細設計、採購、施工工作和交付後的維護等所有工作。該公司認爲,已經對該公司迄今爲止培育的燃油輸送系統的技術和成就進行了評估。
此外,作爲系統業務的增長戰略,我們在2023/4年收到了一份訂單,要求美國國家先進工業科學與技術研究所進行世界上最精確的石油流量標準設備的更新、檢查、維護和維修工作。爲了建立石油的公平貿易,必須有支持這種貿易的準確的流量測量和測量標準(國家標準)。石油流量標準設備是一種大型的超精密設施,已達到世界上最高的精度,是位於石油流量測量和可追溯系統頂峯的國家標準。根據該命令,將對構成石油流量標準設備的多臺設備(石油大流量校準設備和石油中等流速校準設備)進行更新、檢查、維護和維修。作爲JCSS(計量法校準企業註冊系統)的運營商,該公司計劃繼續利用公司的技術和知識來適當維護和管理國家流量標準。此外,關於從國家先進工業科學與技術研究所收到的訂單,已經積累了實際成果,例如宣佈在2024/5年進行氣體介質流速校準設備維修,以及在2024/06年宣佈進行超聲波流量計和液體流速標準設備的安裝工作和北方工廠流體輸送實驗設施的維修工作。
此外,在2024/3財年,傳感器業務的增長戰略也促進了新應用的銷售擴展,例如用於汽車相關市場油漆測量的圓形齒輪計。此外,在海外,正在促進以科里奧利流量計爲中心的銷售擴張,例如在中國四川省成都市建立新基地。
同時,加強管理基礎戰略的具體行動計劃如下。
(1) 製造業BCL戰略
作爲一個全面的BCL(最佳成本地點),我們將實施考慮到原材料和生產過程的設計,並審查生產方法和供應鏈,以實現成本(材料成本/製造費用)的降低以及質量和交貨時間的穩定。此外,通過利用產品組合,分析了不斷變化的市場環境中每種產品的盈利能力、增長潛力等,並明確了應強調的產品和應撤回的產品。
(2) 加強人力資源和財務的戰略
作爲一項人事戰略,我們將充分安排適當數量的人員,提高生產力,並着眼於發展引領下一代的人力資源,建立融入集團的人力資源開發體系。此外,作爲一種財務策略,管理資源集中在新業務和產生利潤的業務上。
(3)DX 推廣策略
爲了推廣 DX,將新成立一個專門的部門,並將在全公司範圍內使用數字工具來加速企業發展。此外,作爲信息資產的有效利用,我們的目標是利用累積的交付記錄、維修結果和客戶信息進行數字營銷。此外,作爲培養 DX 思維方式的一種手段,所有員工都利用數字技術,培養應對新挑戰的心態。
(4) 可持續發展促進戰略
爲了通過業務活動解決環境問題,我們的目標是提供環保的產品和服務,從化石燃料替代能源相關產品開始,減少業務活動的二氧化碳排放量,促進廢物的減少和再利用。此外,在尊重人權方面,我們尊重所有利益相關者的人權,無論其個人特徵如何,例如性別、年齡、國籍、社會地位或是否存在殘疾。此外,爲了遵守法律法規,我們將開展誠實的企業活動,例如公平競爭和及時適當披露信息,並加強治理體系。
由於這些加強管理基礎的戰略,在製造業BCL戰略中,CAM(計算機輔助製造的縮寫)爲2024/3財年。基於使用CAD繪製的圖紙,爲提高效率,在橫濱工廠的加工中心引入了用於創建數控程序等(使用機牀進行加工所需的數控程序等)的工具,並正在努力降低製造成本,例如進行操作清點等,並將一些外包的流程轉爲內部生產以提高工廠的運營率。
此外,在DX推廣戰略中,在2023/9年,根據經濟產業省確定的DX認證體系獲得了 “DX認證運營商” 的認證。DX認證體系是該國根據 “數字治理守則” 對被認爲準備推廣DX的公司進行認證的體系,該守則概述了管理人員爲應對數字技術帶來的社會變革而需要採取的事項。該公司集團使用它來促進各種業務,例如在名片上打印DX認證徽標。
此外,在可持續發展方面,在2024/5年,我們確定了5個主題 “實質性(重要的管理問題)”,爲了地球和公司的可持續發展,從現在起應努力解決這些主題。具體而言,它們是(1)追求員工的福祉,(2)創造創新的領導力實踐,(3)綠色技術的開發和傳播,(4)向負責任採購的完全過渡,以及(5)向循環經濟的過渡。爲了成爲即使在氣候變化穩步發展的未來社會中也需要一家公司,我們的政策是考慮從現在起我們應該關注什麼,並將其納入我們的管理戰略。此外,在2022/11年度,與越野滑雪運動員宮崎光簽署了加盟協議。除了爲促進體育運動做出貢獻外,其想法是通過冬季運動將環境問題視爲社會責任,繼續爲可持續發展做出貢獻,冬季運動會受到氣候變化問題的嚴重影響。近年來,日本從ESG(環境、社會、治理的縮寫)的角度對公司進行分析和投資的ESG投資有所增加,到2022年,餘額迅速擴大到4.2萬億美元,全球市場份額爲14.1%,人們認爲未來還有很大的增長空間。從這個意義上講,積極解決社會問題的公司也將吸引注意力。
(由FISCO客座分析師國茂樹撰寫)