■中長期の成長戦略
1. 中長期の業績計画
オーバル<7727>では、2022年3月に「中期経営計画『Imagination 2025』」(2023年3月期~2025年3月期)を発表し、その前提となる中長期経営ビジョンも発表した。長期的には「アジアNo.1のセンシング・ソリューション・カンパニーへ」を目指して、10年後の2032年3月期には売上高200億円、経常利益率10%以上、ROE10.0%の達成を計画する。
2032年3月期の連結売上高200億円達成のために、事業ポートフォリオとしては、重点領域と探索領域に優先的に経営資源を投下する計画だ。具体的には、システム部門は重点領域として成長をけん引し、売上高30億円(2022年3月期実績比150%増)を計画する。サービス部門は重点領域として成長の中核に置き、売上高50億円(同92%増)を計画する。主力事業であるセンサ部門は基盤領域と位置付け、引き続き利益の創出を担い、売上高100億円(同30%増)を計画する。これら既存事業に加えて、新たに新事業による売上高の純増20億円を計画し、探索領域として事業創造を目指している。
中期経営計画「Imagination 2025」は、中長期経営ビジョン達成に向けた最初のステップである「構造改革期(フェーズ1)」との位置付けで、“想像力”と“創造力”で「10年後の経営ビジョン」実現に向けた構造改革を推進する時期と定めている。当初は、中期経営計画最終年度の2025年3月期の業績計画として、売上高130億円、経常利益7.0億円、親会社株主に帰属する当期純利益3.8億円、ROE3.0%を掲げてスタートした。初年度の2023年3月期には、営業の効率化並びに外部委託していた一部のプロセスを自社生産に切り替えて工場稼働率の向上を進めるなど、製造経費の圧縮に努めた。その結果、中期経営計画最終年度の業績計画を2年前倒しで達成したことから、業績計画を見直した。修正計画では売上高140億円(当初計画比10億円増)、経常利益14.0億円(同7.0億円増)、親会社株主に帰属する当期純利益8.8億円(同5.0億円増)、ROE5.7%(同2.7ポイント増)へと大幅な上方修正を行った。修正計画は、2022年3月期実績比では、売上高25.6%増、経常利益198.1%増、親会社株主に帰属する当期純利益207.6%増、ROE3.5ポイント増を見込む非常に意欲的な計画である。それにもかかわらず、さらに2年目の2024年3月期実績は、修正計画のすべての項目で計画値を1年前倒しで達成する好決算であった。2025年3月期は減収減益の業績予想ながら、中期経営計画最終年度の計画値は達成する見込みであり、フェーズ1は順調に推移している。
2. 中期経営計画達成に向けた戦略
中期経営計画の基本戦略として、「成長戦略」と「経営基盤強化戦略」を定めている。成長戦略については、事業環境の変化を的確に捉え、「既存事業の変革」と社会の課題を解決するための「イノベーション」を実現し、企業価値を高める戦略と定義し、(1) センサ事業成長戦略、(2) サービス事業成長戦略、(3) システム事業成長戦略、(4) 新事業創出戦略、で構成されている。また、経営基盤強化戦略については、現在の経営基盤の見直しや改善と、時代の変化に即した新しい組織・運用の導入により、強靭で社会から信頼される経営基盤を構築する戦略と定義し、(1) 製造BCL戦略、(2) 人事財務強化戦略、(3) DX推進戦略、(4) サステナビリティ推進戦略、で構成されている。
成長戦略の具体的な取り組み計画は以下のとおりである。
(1) センサ事業成長戦略
新製品開発として、成長エンジンとなる既存技術の派生センサの開発を目指すとともに、成長市場や潜在ニーズに合致した新製品の企画をする。また、既存製品リニューアルとして、マーケティングにより顧客志向の開発を推進し、付加価値を創造する。さらに、アジア事業拡大として、中国、韓国、中国台湾、東南アジアを中心に販売チャネルの見直しと再構築を行い、製造・販売・技術一体体制構築による中国市場の拡大を目指す。
(2) サービス事業成長戦略
メンテナンス事業拡大として、サブスクリプションなど事業領域の拡大とともに、受け身のサービスから攻め(提案型)のサービスへの転換を図る。また、校正事業拡大として、JCSS校正については自動車関連市場向け流量計、他社製流量計、海外向け流量計を中心に販促強化を目指す。
(3) システム事業成長戦略
M&Aアライアンスとして、新たな良きパートナーとともに未開拓市場の開拓を行う。また、脱炭素社会への貢献として、脱炭素関連システム(燃料用の水素・アンモニアの供給関連など)への参入を目指すとともに、カーボンニュートラル実現までのエネルギー安全保障に関わる石油・天然ガスの安定供給に貢献する。さらに、アジア事業拡大としては、シンガポールを中心に、東南アジア、中国、韓国、中国台湾のグループ会社連携強化による販路拡大を行うとともに、中国、韓国、中国台湾での小規模システム案件の売上拡大を目指す。
(4) 新事業創出戦略
社内自社技術の展開として、自社保有技術(設計・製造)を再点検し、創出できる新事業の検討を図る。また、社内ベンチャー制度を創設し、意欲ある従業員の有益な意見を吸い上げ、将来を見据えて社内で起業家を育成する。
同社は脱炭素化に向けた次世代技術とイノベーションに挑戦している。これらの成長戦略の実績として、特に水素関連事業については、センサ事業では、「120MPa 超高圧形コリオリ流量計」「超音波流量計」「熱式質量流量計」などの豊富なラインナップを取り揃えていることを強みとし、水素サプライチェーンの流量計測と校正までをワンストップショッピングで対応することを目指している。SDGsにも資するこれらの製品について、センサ事業の2024年3月期の水素関連売上は前期比74.4%増と売上高の規模は小さいが大きく伸びている。また同じく脱炭素に寄与するアンモニア関連売上も同15.8%増と水素関連同様に売上高の規模はまだ小さいものの、順調に拡大している。サービス事業では、水素製造時や貯蔵・輸送時なども含めた取り組みが必要となる中で、水素実ガス校正設備「OVAL H2 Labo」(仮称)建設の構想がある。流量計の精度を左右するのが、「校正」と呼ばれる工程である。校正とは、実際に計測する流体(気体や液体)を流量計に流し、基準器との計測値のズレやバラつきをチェックする作業のことだ。この校正が徹底されていないと、正確な計測値を得られなくなってしまうおそれがある。同社では、脱炭素化に本気で取り組むためには、水素計測用流量計のクオリティを今まで以上に向上させなければならないと考え、水素専用の校正設備「OVAL H2 Labo」(仮称)の開設を決めた。このように、同社は、次世代エネルギー市場にリソースを傾注し、サプライチェーンの一翼を担って新たなビジネスチャンスとするとともに、気候変動など持続可能な社会にも貢献する計画である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
■中長期增長戰略
1。中長期績效計劃
Oval<7727>在2022/3年公佈了 “中期管理計劃 “想象2025”(截至2023/3財年至2025/3財年),還公佈了中長期管理願景,這是實現這一願景的先決條件。我們的目標是長期 “成爲亞洲第一的傳感解決方案公司”,我們計劃在10年後截至2032/3的財年中實現200億日元的銷售額,10%或以上的普通利潤率以及10.0%的投資回報率。
爲了在截至2032/3財年的財年實現200億日元的合併銷售額,該計劃將管理資源作爲業務組合優先分配到優先領域和勘探領域。具體而言,系統部門將推動增長作爲優先領域,並計劃銷售額爲30億日元(與截至2022/3財年的實際業績相比增長150%)。服務業作爲優先領域處於增長的中心,計劃銷售額爲50億日元(比同期增長92%)。作爲主要業務的傳感器部門被定位爲基礎領域,繼續負責創造利潤,並計劃銷售額爲100億日元(比同期增長30%)。除了這些現有業務外,我們還計劃通過一項新業務淨增加20億日元的銷售額,我們的目標是將業務創建爲勘探區域。
中期管理計劃 “Imagination 2025” 定位爲 “結構改革期(第一階段)”,這是實現中長期管理願景的第一步,並將其定義爲促進結構性改革的時期,旨在實現 “想象力” 和 “創造力” 的 “十年後的管理願景”。最初,其銷售額爲130億日元,普通收入爲7億日元,歸屬於母公司股東的淨利潤,以及截至2025/3財年(中期管理計劃的最後一年)的業績計劃的業績計劃的淨收益率爲3.0%。在第一年,即截至2023/3財年,努力降低製造費用,例如通過將一些外包給內部生產的流程來提高銷售效率和提高工廠運營率。結果,由於中期管理計劃最後一年的業績計劃提前兩年完成,因此對業績計劃進行了審查。在修訂後的計劃中,對銷售額140億日元(比原計劃增加了10億日元)、14億日元的普通收入(同比增長70億日元)、歸屬於母公司股東的淨利潤爲8.8億日元(同比增長500億日元)和投資回報率5.7%(同比增長2.7點)進行了大幅上調。修訂後的計劃是一項非常雄心勃勃的計劃,預計與截至2022年3月31日的財年相比,銷售額將增長25.6%,普通收入增長198.1%,歸屬於母公司股東的淨收益增長207.6%,投資回報率將增加3.5個百分點。儘管如此,截至2024/3財年的第二年業績還是不錯的財務業績,修訂計劃所有項目的計劃值都比計劃提前一年實現。儘管由於銷售額和利潤的下降,預計截至2025/3財年的收益將實現,但中期管理計劃最後一年的計劃價值預計將實現,第一階段進展順利。
2。實現中期管理計劃的戰略
“增長戰略” 和 “強化管理基礎戰略” 被定義爲中期管理計劃的基本戰略。增長戰略被定義爲準確捕捉商業環境變化、實現 “現有業務轉型” 和 “創新” 以解決社會問題和提高企業價值的戰略,由(1)傳感器業務增長戰略、(2)服務業務增長策略、(3)系統業務增長策略和(4)新的業務創造策略組成。此外,管理基礎設施強化戰略被定義爲通過審查和改善當前的管理基礎架構並根據時代變化引入新的組織和業務,來構建強大且受社會信任的管理基礎設施的戰略,包括(1)製造業BCL戰略,(2)人員和財務強化戰略,(3)DX推廣策略和(4)可持續發展促進戰略。
增長戰略的具體行動計劃如下。
(1) 傳感器業務增長戰略
作爲一項新產品開發,我們的目標是開發源自現有技術的傳感器,用作增長引擎,並規劃滿足增長市場和潛在需求的新產品。此外,作爲現有產品的更新,我們將通過營銷促進以客戶爲導向的發展,並創造附加價值。此外,隨着亞洲業務的擴張,將主要在中國、韓國、臺灣和東南亞對銷售渠道進行審查和重組,我們的目標是通過建立集成的製造、銷售和技術體系來擴大中國市場。
(2)服務業務增長戰略
作爲維護業務的擴展,我們計劃從被動服務轉向積極的(提案型)服務,同時擴大訂閱等業務領域。此外,作爲校準業務的擴展,我們的目標是加強JCSS校準的銷售推廣,主要是汽車相關市場的流量計、其他公司製造的流量計以及面向海外市場的流量計。
(3) 系統業務增長戰略
作爲併購聯盟,我們將與新的優秀合作伙伴一起開發尚未開發的市場。此外,作爲對脫碳社會的貢獻,我們的目標是進入脫碳相關係統(與燃料用氫氣和氨的供應等有關),並在實現碳中和之前,爲與能源安全相關的石油和天然氣的穩定供應做出貢獻。此外,在亞洲業務擴張方面,我們將以新加坡爲中心,通過加強集團公司在東南亞、中國、韓國和臺灣的合作來擴大銷售渠道,並旨在擴大在中國、韓國和臺灣的小型系統項目的銷售。
(4) 新的業務創造戰略
作爲內部技術的內部開發,我們將重新審查公司擁有的技術(設計/製造),並研究可以創建的新業務。此外,我們將建立內部創業體系,吸收積極進取的員工的有用意見,並在公司內部培養着眼未來的企業家。
該公司正在挑戰下一代脫碳技術和創新。作爲這些增長戰略,尤其是氫氣相關業務的增長戰略,傳感器業務的優勢在於擁有 “120 MPa超高壓科里奧利流量計”、“超聲波流量計” 和 “熱質量流量計” 等豐富的產品陣容,我們的目標是通過一站式購物來處理從流量測量到氫氣供應鏈校準的所有事宜。這些產品也爲可持續發展目標做出了貢獻,傳感器業務在2024/3財年與氫氣相關的銷售額比上一財年增長了74.4%,儘管銷售規模很小,但仍在大幅增長。此外,與氨相關的銷售也有助於脫碳,也增長了15.8%,儘管銷售規模仍然很小,與氫氣相關銷售類似,但仍在穩步擴大。在服務業務中,儘管包括氫氣生產和儲存/運輸時間在內的努力是必要的,但計劃建造氫氣實際氣體校準設施 “OVAL H2 Labo”(暫定名稱)。影響流量計精度的是一個稱爲 “校準” 的過程。校準是將要實際測量的流體(氣體或液體)流動到流量計中,並使用參考儀器檢查測量值是否存在偏差或變化的過程。如果校準不徹底,則有可能無法獲得準確的測量值。該公司認爲,爲了認真解決脫碳問題,必須比以往任何時候都進一步提高氫氣測量流量計的質量,因此決定建立一個專門用於氫氣的校準設施 “OVAL H2 Labo”(暫定名稱)。通過這種方式,該公司計劃將資源集中在下一代能源市場上,在供應鏈中發揮作用,將其用作新的商機,併爲氣候變化等可持續發展的社會做出貢獻。
(由FISCO客座分析師國茂樹撰寫)