■プライム市場への再上場に向けて
ファーストコーポレーション<1430>は東証の市場区分見直しに伴い、プライム市場の上場維持基準適合に向けて各種施策に取り組んできた。しかし、2023年4月施行の東証の規則改正に伴い、スタンダード市場への上場の再選択の機会が得られたことから、改めて今後の適合に向けた計画について検討した結果、2023年10月20日を移行日としたスタンダード市場への選択申請を決定した。その結果、スタンダード市場へ移行したが、将来的にプライム市場への上場を目指すため、今後も持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資する取り組みに注力する。プライム市場への上場に向けては、2023年8月時点で流通株式時価総額のみ上場維持基準に届いておらず、その向上に向けて時価総額と株式の流動性を向上させる方針だ。具体的には、新中期経営計画「Innovation2024」の達成、株主還元の拡充、コーポレート・ガバナンスの充実による時価総額の拡大、各種資本政策の実施による流通株式比率の上昇を図る。
(1) 中期経営計画の達成
時価総額の向上は、しっかりとした業績によってこそ実現されるという考えの下、まずは「Innovation2024」を完遂する。具体的には前述のとおり、資本収益性の向上という基本方針の下、建設事業の強化、造注比率の向上、再開発事業の推進、研究開発・M&Aをはじめとする成長投資の推進などの各種施策に取り組む。これらの施策により、最終年度である2027年5月期の数値目標達成を目指す。
(2) 株主還元の拡充
経営成績及び今後の事業展開、健全な財務体質維持のために必要な内部留保の確保等を勘案しつつ、連結配当性向30%以上を下限とし、株主への利益還元を強化する。また、株主優待と機動的な自己株式の取得による株主還元も継続する。
(3) コーポレート・ガバナンスの充実
2021年6月に改訂された「コーポレートガバナンス・コード」のうち、プライム市場上場会社のみに適用または加重される補充原則を中心に引き続き対応を図る。具体的には補充原則1−2(4)「機関投資家向け議決権電子行使プラットフォームの導入」、3−1(2)「開示書類のうち必要とされる情報の英訳開示・提供」、3−1(3)「気候変動に係るTCFDと同等の質と量の開示」、4−10(1)「指名・報酬委員会構成の独立性に関する考え方・権限・役割等の開示」を対象としている。1−2(4)については2022年8月開催の第11回定時株主総会を通して既に導入済みである。3−1(2)については決算短信・招集通知・IRサイトの英訳が実施済みであるほか、2022年8月からは有価証券報告書の英訳開示を開始している。3−1(3)については2022年3月にサステナビリティ委員会の下部組織として立ち上げた気候変動対策部会を中心にCO2排出量削減目標を設定した。具体的には、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)による気候変動シナリオ(2℃未満シナリオ及び4℃シナリオ)を参照し、2050年までの長期的な同社への影響を考察したうえで、2030年度のCO2排出量削減目標を2021年度比で35%に設定した。4−10(1)については既に過半数を独立社外取締役としている。今後は、同委員会の独立性・権限・役割などに関して、開示すべき情報を検討する。
また、SDGsをはじめとした社会・環境問題に対して事業を通じて取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していく姿勢も示している。例えば、環境については温室効果ガスの排出量削減目標を達成することで地球温暖化と気候変動問題の緩和に貢献することを目指す。その他、社会に関しては第三者機関による躯体検査の導入による施工品質の維持・向上などを通じて、安心・安全な住環境の提供に貢献するほか、ガバナンスにおいてはコンプライアンスとリスクマネジメントを強化する。
(4) 各種資本政策の実施
株式の流動性を向上させるため、経営陣による株式の売出し、M&Aなどへの自己株式の活用を検討するほか、M&Aなどへ支障をきたさない範囲での自己株式の消却を検討する。
2024年5月、同社は資本コストや株価を意識した経営をさらに推し進めていくことを対外的に明確にした。中期経営計画の着実な達成によって資本収益性と市場評価が向上するのに伴い、同社の流通株式時価総額も上昇するものと弊社は見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
■爲了重新上市在主板市場
根據東證市場分類的重新審查,First Corporation<1430>已經採取了各種措施以符合主板市場的上市維持標準。然而,根據2023年4月東證的規則修訂,由於獲得了再次選擇在標準市場上市的機會,重新考慮了未來的符合計劃,並決定在2023年10月20日作爲過渡日選擇申請在標準市場上市。作爲結果,我們已經轉移到了標準市場,但爲了將來在主板市場上市,我們將繼續致力於持續的增長和中長期的企業價值提升。爲了在主板市場上市,到2023年8月爲止,流通股票市值尚未達到上市維持標準,並計劃提高市值和股票流動性。具體而言,我們將通過實施新的中期經營計劃"Innovation2024"、擴大股東回報、提高公司治理水平以擴大市值,以及實施各種資本策略來提高流通股票比例。
(1)實現中期經營計劃
市值的提高是通過穩定的業績才能實現的,在實現「Innovation2024」之前,首先要加強建設業務,提高建築訂單比例,推進再開發項目,推動研發和併購等增長投資的各種措施。通過這些措施,我們將努力實現最終目標,即在2027財年達到預定的目標。
(2)擴大股東回報
在考慮經營成績、未來業務發展和維持健康的財務結構所需的內部留存資金等因素的前提下,我們將把合併分紅率設定爲30%以上的下限,並加強股東利益回報。此外,我們還將繼續進行股東優惠和通過靈活的自家股收購進行股東回報。
(3)加強公司治理
我們將繼續針對2021年6月修訂的「公司治理準則」,主要關注適用於上市在主板市場的公司的補充規定。具體而言,針對補充原則1-2(4)「引入面向機構投資者的電子投票平台」、3-1(2)「英文翻譯並披露必要信息的報告書」、3-1(3)「披露與氣候變化相關的與TCFD(氣候相關財務披露任務力組)相同質量和數量的信息」、4-10(1)「披露對於提名委員會構成獨立性的觀點、權限和角色等」。其中1-2(4)部分已於2022年8月通過第11次定期股東大會引入。3-1(2)部分已經在彙算簡訊、召集通知和IR網站上進行了英文翻譯,自2022年8月起開始披露證券報告書的英文翻譯。3-1(3)部分則在2022年3月成立的氣候變化對策部門下屬機構的基礎上設定了CO2排放削減目標。具體而言,參考國際能源署(IEA)和政府間氣候變化專門委員會(IPCC)關於氣候變化的場景(低於2攝氏度的場景和4攝氏度的情景),考慮到公司到2050年的長期影響,設定了2030年度的CO2排放削減目標,比2021年度減少35%。4-10(1)部分已經獨立的社外董事佔過半數。將來,我們將研究相關委員會的獨立性、權限和角色等信息,以便披露。
此外,公司通過業務對SDGs和其他社會環境問題進行了努力,表明了爲實現可持續社會做出貢獻的態度。例如,在環境方面,公司致力於通過實現溫室氣體排放減少目標來減緩地球變暖和氣候變化問題。此外,在社會方面,公司通過引入第三方機構進行結構檢查,以維持和改善施工質量,爲提供安全和可靠的住宅環境做出貢獻;在治理方面,公司加強了合規和風險管理。
(4) 實施各種資本政策
爲了提高股票的流動性,公司考慮通過經營層出售股票、利用自家股票進行併購等方式,同時考慮在不影響併購等方面的情況下減少自家股票。
2024年5月,公司明確表示將進一步推進重視資本成本和股價的經營。隨着中期經營計劃的順利實施,公司的資本回報率和市場評價將提高,我們預計公司的流通股票市值也將上升。
(作者:富士客座分析師清水陽一郎)