■要約
アイル<3854>は、中堅・中小企業の経営力アップを支援するトータルシステムソリューション企業である。リアルとWebを融合した「CROSS-OVERシナジー」戦略をベースとして、DXによる効率化にとどまらず、日々複雑化するバックサイド(バックオフィス、バックヤード)を変革する「BX※」により価値創造の実現を目指す。
※ バックサイドトランスフォーメーションの略。同社独自の「CROSS-OVERシナジー」戦略によって、バックサイドから変革を起こすことで価値創造を実現する新しい概念。
1. 生産性向上が売上総利益率上昇につながる好循環スパイラルを形成
同社は、基幹業務管理システム「アラジンオフィス」シリーズを主力とするシステムソリューション事業、クラウド型でサービス提供する複数ECサイト一元管理ソフト「CROSS MALL」や実店舗とECの顧客・ポイント一元管理ソフト「CROSS POINT」を主力とするWebソリューション事業(CROSS事業、その他Web事業)を展開している。収益性向上に向けて製販一体体制による生産性向上及びストック売上拡大を推進している。受注段階での営業と開発の連携強化によってカスタマイズ工数削減やトラブル未然防止に取り組み、総合的な品質・生産性向上によって売上総利益率上昇につなげるという好循環スパイラルを形成する戦略だ。その成果として売上高は拡大基調、売上総利益率は上昇基調となっている。
2. 2024年7月期は大幅増収増益で過去最高
2024年7月期の連結業績は売上高が前期比9.9%増の17,508百万円、営業利益が同20.2%増の4,263百万円、経常利益が同20.0%増の4,285百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同16.8%増の2,887百万円だった。おおむね会社予想(2024年6月7日公表値)水準の増収増益で着地し、過去最高だった。慢性的な人手不足に悩む中堅・中小企業におけるDX需要を着実に取り込んだことに加え、製販一体体制やパートナー戦略の推進などでシステムソリューション事業の高成長が継続し、Webソリューション事業も順調だった。売上総利益は同12.6%増加し、売上総利益率は同1.3ポイント上昇して55.8%。販管費は同7.3%増加したが、販管費比率は同0.7ポイント低下して31.5%となった。この結果、営業利益率は同2.1ポイント上昇して24.4%となった。
3. 2025年7月期も増収増益で過去最高予想
2025年7月期の連結業績は売上高が前期比9.4%増の19,150百万円、営業利益が同12.6%増の4,800百万円、経常利益が同12.6%増の4,826百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同12.8%増の3,257百万円と増収増益で過去最高を見込んでいる。なお増収増益を継続しつつも、次のステップに向けた成長投資を優先する方針である。中堅・中小企業における人手不足の深刻化などによりDX需要が高水準に推移し、案件規模の大型化が進展することも想定している。コスト面では仕入商品の値上げ、人件費や広告宣伝費の増加などを見込むが、増収効果、契約案件の見極め精度向上による納期短縮と安定稼働、仕入価格高騰に対する価格転嫁、ストック売上積み上げなどで吸収する。同社は期初時点では保守的な業績予想を公表する傾向が強いが、事業環境が良好であること、ストック売上が拡大基調であること、製販一体戦略の成果で売上総利益率が上昇基調にあることなどを勘案すれば、好業績が期待される。
4. 長期的に営業利益率30%超を目指す、株主還元も強化
同社は中期経営計画について、急激な事業環境の変化などに応じて随時計画を見直すローリングプランを採用している。2023年9月に策定した3ヶ年計画は、2024年7月期実績が計画を大幅に上回った。それを受け、2024年9月に前回計画を上方修正した3ヶ年計画(2025年7月期〜2027年7月期)を策定した。長期的な目標である営業利益率30%超に向けたステップアップの3年と位置付けて、年平均2ケタ成長を維持しつつ、人財投資やプロモーション投資など成長投資の加速によって経営基盤の一段の強化を推進する。また2025年7月期は8期連続増配を見込んでいる。同社は余剰資金を活用して株主還元を強化する方針であり、収益拡大に伴って株主還元のさらなる充実が期待される。
■Key Points
・中堅・中小企業の経営力アップを支援するトータルシステムソリューション企業
・2024年7月期は大幅増収増益で過去最高
・2025年7月期も増収増益で過去最高予想
・長期的に営業利益率30%超を目指す、株主還元も強化
・利益率上昇基調を評価
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
■概要
愛爾<3854>是一家支持中小企業提升經營能力的綜合系統解決方案企業。以融合現實和網絡的「交叉融合」戰略爲基礎,通過DX實現效率化,不僅如此,還通過改革日益複雜的後端(後勤辦公室、後院)實現價值創造的「BX※」。
※ 後端轉型的縮寫。通過公司獨有的「交叉融合」戰略,從後端發起改革實現價值創造的新概念。
1. 提高生產力形成銷售毛利率上升的良性循環螺旋
公司主要從事基礎業務管理系統「阿拉丁辦公室」系列的系統解決方案業務,以雲服務爲主要形式提供服務的多個電子商務網站統一管理軟件「CROSS MALL」,以及實體店鋪和電子商務客戶·積分統一管理軟件「CROSS POINT」爲主要的Web解決方案業務(CROSS業務,其他Web業務)。爲了提高盈利能力,推動生產力提升和存貨銷售擴大的一體化製造銷售體制。通過加強銷售和開發在接受訂單階段之間的協作,致力於減少定製工時和預防問題,形成全面品質和生產率提高,從而導致銷售毛利率提高的良性循環螺旋戰略。作爲其成果,銷售額呈增長態勢,銷售毛利率呈上升趨勢。
2. 2024年7月期實現大幅增收增益,創歷史新高
2024年7月期的合併業績爲銷售額較上一期增長9.9%,達到175.08億日元,營業利潤增長20.2%,達到42.63億日元,經常利潤增長20.0%,達到42.85億日元,歸屬於母公司股東的當期淨利潤增長16.8%,達到28.87億日元。總體上符合公司預期(2024年6月7日公佈數值)的增收增益水平,創歷史新高。在中小企業長期面臨的人手短缺困擾下,公司穩健地吸收了數字化轉型需求,並通過製造銷售一體化體制和合作夥伴戰略的推動,實現了系統解決方案業務的高增長,Web解決方案業務也表現順利。銷售毛利額增加12.6%,銷售毛利率增加1.3個百分點,達到55.8%。銷售和管理費用增長7.3%,但銷售和管理費用佔比下降了0.7個百分點,爲31.5%。因此,營業利潤率增加2.1個百分點,達到24.4%。
3. 2025年7月期也預期實現增收增益,創歷史新高
2025年7月期的合併業績中,營業收入同比增長9.4%至1915億元,營業利潤同比增長12.6%至48億元,經常利潤同比增長12.6%至48.26億元,歸屬於母公司股東的淨利潤同比增長12.8%至32.57億元,並預計將實現歷史最高的增收增益。同時,雖然持續增收增益,但優先採取面向下一階段的成長投資策略。考慮到中小企業的人手短缺加劇等因素,DX需求維持在高水平,並預計項目規模將進一步擴大。在成本方面,預計承擔採購商品價格上漲、人工成本和廣告宣傳費用增加等,但將通過增收效應、提高合同項目識別精度以縮短交貨週期、穩定運營、提高運營精度、應對採購價格上漲等手段來吸收這些成本。該公司在期初時傾向於公佈保守的業績預測,但如果考慮到良好的業務環境、持續擴大的庫存銷售以及銷售毛利率上升趨勢等因素,則可預期良好的業績。
4. 長期目標是實現營業利潤率超過30%,並加強股東回報
該公司對中期經營計劃採用了隨時調整的滾動計劃,以應對急劇變化的業務環境等。該公司在2023年9月制定的3年計劃中,2024年7月期的業績顯著超出計劃。鑑於此,該公司於2024年9月修訂了上一份計劃,並制定了覆蓋2025年7月期至2027年7月期的新的3年計劃,定位爲朝向長期目標的營業利潤率超過30%的階段性提升,保持年均兩位數增長,通過加大人才投資和促銷投資等成長投資加速推進經營基礎的進一步強化。另外,預計2025年7月期將連續第8年提高股息。該公司計劃通過利用多餘資金加強股東回報,並隨着盈利擴大,進一步完善股東回報。
■Key Points
・支持中小企業提升經營能力的全方位解決方案企業
・2024年7月期實現大幅增收增益,創下歷史最高
・2025年7月期也預計實現增收增益,創下歷史最高
・長期目標是實現營業利潤率超過30%,同時加強股東回報
評價利潤率上升趨勢
(撰寫: FISCO特約分析師 水田雅展)