メルカリでは、各自治体との連携を通じ、「捨てる」をへらすことで、サーキュラーエコノミーの実現に貢献していこうと取り組みを行っています。
そんな中で教育においても、サーキュラーエコノミーの実現につながるプログラムを実現できないかと、様々なプログラム開発や、自治体などと連携した実践に取り組んでいます。
熊本市教育委員会とは、全国での「メルカリShops」を活用した実際にモノを売る授業などの取り組みを進んで実施してくれている熊本市立千原台高等学校での実施などを行ってきましたが、今回はさらに低年齢の小学生を対象とした 循環型社会やサーキュラーエコノミーの実現に向けたプログラムが実践できないかと取り組みました。
11月7日と22日、全国で初めて、熊本市立池上小学校(以下、池上小学校)で、5年生2クラス42名が、「メルカリかんさつ帳」を使った小学生が出品擬似体験するリユースモデル授業を実施しました。
また、11月11日、26日には、メルカリと包括連携協定を締結している千葉市の千葉市立生浜東小学校(以下、生浜東小学校)で、4年生2クラス49名がこのプログラムを実施しました。
今回、実施した「メルカリかんさつ帳」のプログラムは、リユース品を絵日記のように絵を描き、擬似的な出品体験を通じて、リユースや循環型社会について学ぶ、小学生向けの教育プログラムです。
「メルカリかんさつ帳」を使いながら、モノの価値をさまざまな視点から考え、出品を疑似的に体験することで、利益の仕組みなどお金の価値も学ぶことができます。このプログラムを通じてモノを捨てない選択肢や、モノを大切に使う気持ちを育み、これからの世界を生きていく子どもが、限りある地球資源を大切に使う循環型社会について考えるきっかけを醸成することを目指すものです。
通常は、mercari education から教材をダウンロードいただき、各学校の教員の皆さんに実施いただいているのですが、今回は、そのモデル的な授業実践ということで、「メルカリかんさつ帳」も全員にご提供し、メルカリから講師も派遣して実施しました。
「メルカリかんさつ帳」プログラムのダウンロードはこちらから
対象となる生徒全員に、「メルカリエコボックス」も事前にお渡しし、子どもたちは、2週間ほど前に各ご家庭にこの「メルカリエコボックス」を設置して、ご家庭では役目を終えたが、まだまだ使えるものをこの「メルカリエコボックス」に入れてもらうことで、ご家庭にあるリユースできそうなものを「見える化」してもらいました。
「メルカリエコボックス」についてはこちらもご参照ください。
初回の授業では、各ご家庭からこの中から1,2品を持って来てもらい、その商品の特徴や傷、汚れなどを観察しながら、タブレットでフリマアプリ「メルカリ」でリユース品がいくらぐらいで売られているのかなども調べ、出品の体験をしてもらいました。
今回授業を実施した池上小学校と生浜東小学校では、2回目の授業実施に合わせて、授業による効果やリユースに関する意識変容や行動変容の検証などのためアンケートを実施しました。
参加した池上小学校5年生42人と生浜東小学校4年生49人の計91人を対象に行いました。
91人中、「メルカリ」で出品も購入も実施経験があるご家庭は34%ともっとも多く、出品のみ2%、購入のみ11%、閲覧のみ16%も合わせると、63%が何らかの形で、「メルカリ」の利用のあるご家庭でした。2,300万人が利用する「メルカリ」ですが、保護者の皆さんの年齢層などもあり、単純な人口比較よりも高い割合でご利用いただいていました。また、熊本市の池上小学校が50%の利用に対して、千葉市の生浜東小学校が73%と、地域性もありました。
今回のプログラムでは、授業開始前に「メルカリエコボックス」を各ご家庭で設置することをお願いしており、ご家庭での役目を終えたリユースできそうなものを「見える化」することも行うことで、リユースへの意識変容をめざしました。最も設置が多かったのは家族での生活の主空間ということもあってリビングが最も多く、次いで教育プログラムということもあってか子ども部屋となりました。
2週間という短期間にも関わらず、10個以上の不要品を入れてくれたご家庭もありましたが、設置については実施してもらえたものの、32%が配布した「メルカリエコボックス」に不要品を入れていないという結果になってしまいました。
高校生などのプログラムにおいては、実際に「メルカリ」や「メルカリShops」で販売を体験してもらうことで、リユースに対する行動変容につながるプログラムを実施していましたが、これまでの小学生向けのプログラムでは意識変容をめざすプログラムのみだったため、今回は、さらにリユースの実施を促し、授業後にアンケート実施を行う形で確認したところ、16%が2週間という短期間にも関わらず実際に授業で擬似体験した商品を実際にリユースに繋げてもらえました。
高校生の実践については以下の教育のまとめ記事などもご参照ください。
また、この間に「メルカリ」に出品してくれたご家庭も31%あり、「メルカリエコボックス」に入れていない商品も出品してくれており、10個以上の出品をされたご家庭も12%ありました。
これまで自治体と連携し希望者に配布してきた「メルカリエコボックス」のアンケート調査においてもそうですが、入れてたままになっている方が40%と最も多く、期間内にリユースまで繋がらなかったものもリユース品として「見える化」には繋がっており、継続的にリユースをしてみようという意識には繋がっているようにも見えます。一方で、プログラム終了に合わせて元の場所等にしまったという方も27%、捨ててしまった方も4%おり、授業では、子どもたちともどうすればこういうご家庭もリユースしてもらえるようになるのかと話し合いました。
アンケートは、初回授業終了段階で実施していますが、「とても良かった」と「良かった」を合わせて94%と、児童のほとんどが良かったと思ってもらえました。
「メルカリ」での出品を擬似体験してもらうことなどを通じて、フリマアプリへの理解も「とても深まった」「深まった」を合わせて76%と一定の理解に貢献できました。
同時に、今回のプログラムの主テーマである3Rやリユース、循環型社会の推進に対する理解も「とても深まった」「深まった」を合わせて71%と一定の理解に貢献できました。この後にさらに踏み込んだ、「どうすればリユースをより進めることができるか」について考える2回目のプログラムを実施しており、子どもたちの学びにも貢献できたのではないかと思います。
自由筆記によるリユースを推進するための提案や今回のプログラムへの感想についても主だったものを共有しておきます。
Q7. どうすれば、もっとリユースされるようになると思いますか?
- 高橋さんみたいにその学校に行って説明したりができないのでせめて池上小の全校生徒にはプレゼンを作ったりする。
- いらないものを探したり近所の人にいらないものがないか聞く
- 使わなくなったものをメルカリや、地域の人に渡すとリユースされると思います
- 自分が積極的に活動していたら自然と広がると思います。
- リユースすることで地球の環境間題にも対処できるということを知ってもらう
- 親にたのまず子どもだけで、できるシステムがあればいいと思う
- いるかいらないか、家族で、話し合って出品する。
- メルカリを世界で広める
この「どうすれば、もっとリユースされるようになると思いますか?」については、さらに第2回目の授業の際に、こうしたアンケートで上がった意見を共有した上で、グループワークなどで、さらなるアイデアを掘り下げて行きました。
Q11. 今回のプログラムの感想をお書きください。
- リユースを広めて地球温暖化を防ぐことができるのは、びっくりした。
- 欲しい物がなんでも手に入る時代で物を大切にすることができないので子どものうちに物を大切にすることを学ぶのは良かった。
- 今回メルカリをタブレットで調べて初めて知ったプログラムを体験することでものを大切にしようと改めて思いました
- 「メルカリ」の使い方がよくわかりました。総合の学習でもリユースのことをやっているのでとても勉強になりました。
- リユースの手段としてメルカリも良い選択だと思った
- メルカリは、お金目的ではなく、リユースのために作られたと、この授業で知った。
- メルカリは、ただ売買するだけと思っていたけれど、売買をしてそれがリユースになって環境のためになっているんだと実感しました。
- メルカリの授業を聞いて、実際やってみて、リユースの大切さメルカリというのはこういうものなんだと、自分も物を売ってみてリユースしたいなと思いました
- 私はメルカリを利用することはなかったけど今回の授業で楽しくやり方を覚えたから今度実際に売ったり買ったりしたいです。
- 手数料や配送料の値段の付け方が分かった
プログラムの感想についても、非常に前向きで、こちらが目指したものについても伝わったと感じる感想が多かったです。
また、今回の実施したプログラムは、熊本市立池上小学校での実践がテレビ朝日系列のKABに、千葉市立生浜東小学校での取り組みを読売新聞で取り上げていただきました。
授業を実践した子どもたちはもちろん、参加した子どもたちの思いも届けながら、さらに多くの皆さんがリユースの取り組みに関心を持っていただければと思います。
メルカリでは引き続き、「捨てるをへらす」ことができるサーキュラーエコノミーの実現を目指していきます。
(高橋 亮平)