■冨士ダイス<6167>の中長期の成長戦略
3. 「脱炭素・循環型社会への貢献」
弊社は同社について、全体として非常に優れた技術・製法を有しながら、これまでは顧客ニーズの発掘には上手くつながらず、事業拡大の機会を取り逃がしていたように見ている。海外を含めた顧客ニーズの取り込み、M&Aや提携も利用した販路拡大などで事業拡大を加速できるかがポイントになるだろう。同社は「脱炭素・循環型社会への貢献」として、次世代エネルギー/次世代自動車/省資源/リサイクルの4分野について積極的な製品開発・市場投入を行う計画である。特に注力していると見られるのが次世代自動車である。ただし全体的には2027年3月期以降に大きく開花する案件が多く、新中期経営計画への寄与は限定的に留まると見ている。
(1) 次世代自動車
次世代自動車では開発が終わり、本格販売を目指すモータコア金型向け「フジロイ VG48」、そして新たに発表された新材種「フジロイ VG51」がある。同社のVシリーズの特長は、耐摩耗性と破壊靭性に優れたバランスを持ち、モータコア金型に必要な耐久性と精度を両立させた点である。現在、同社のVシリーズは多方面で使われ、同社売上の20%近くを占めている。
「フジロイ VG51」は、ワイヤーカット放電加工機において加工液に水を利用する長時間の水切りワイヤー放電加工に対応した製品である。汎用材種と比較して耐食性・靭性に優れ、また長時間の水切りワイヤー放電加工を行っても、汎用材種で起こる部分的に生じる深い腐食が抑えられる。そのことで、腐食対策で油切り加工する場合と比べて加工時間を短縮し、金型製作コストの低減が期待できる。ワイヤーカット放電加工では精密かつ複雑な加工を要求される長時間加工の金型製作が増えると見られることから、「フジロイ VG51」は差別化商品として売上拡大が期待される。
同社は、顧客の動向を先読みし電磁鋼板に変えてアモルファス金属による高性能のモータ開発に寄与出来る打抜き金型材料の先行開発を進めている。モータ出力はトルクと回転数の積に比例し、モータ体格は最大トルクで決まるため、高速回転化を図れば、同出力で小型・軽量化が可能となるが、高速回転化の難題は渦電流が増大し鉄損が増えモータ損失が増大してしまうことにある。このため、この薄板鋼板を打抜くためにWC粒度をナノサイズまで微細化し、非常に高い硬さと抗折力を両立した既に生産販売中となるナノ微粒子超硬合金「フジロイFS06」なども引き合いが増加しているようだ。
このように新たな製品群を加えることで、同社はモータコア向けでさらなる売上加速を見込んでいる。現時点では、同社における次世代自動車向け売上高は、2020年3月期を100とすると2024年3月期で120〜130まで拡大しているという。競合は、兵庫県の(株)共立合金製作所や、サンアロイ工業(株)、(株)シルバーロイ、岡山県の(株)トーカロイホールディングスなどの未上場企業であり、超硬合金大手の住友電気工業<5802>や三菱マテリアル<5711>などは参入していない。このため現時点で売上高の17%程度を占める輸送用機械向けのモータコア用金型や対応製品は、同分野での売上高構成比の高まりが見られるだろう。またこれらの超硬合金は、従来の国内向けに加え中国向けにモータコア金型向け素材販売の強化も行っている。新規営業拠点の東莞における中国市場での販売拡大は、国内での次世代自動車生産の本格拡大や海外での高級EV向けのモータコア金型向け母材販売として全体の14%程度を占める金型・工具向け素材販売の拡大にもつながる。
また、高熱膨張レンズ用金型(TR合金)も本格拡大フェーズに入ってきた。具体的には自動運転技術の進展に伴い、センサー用レンズの需要が増加している。このような用途に対応するためには、成形したいレンズ素材に熱膨張を追随させる目的で成形用金型に高い熱膨張係数、耐摩耗性、加工精度が求められている。これに対し同社が開発したTRシリーズ(金型用硬質材料)は、これらの要件を満たす新材料として開発された。「TR05」をはじめとするTRシリーズは、ガラスに近い熱膨張係数を有していることから生産効率向上に寄与し、採用が増加している。自動運転用センサーは、赤外線透過レンズを使用して高精度な環境認識を行うため、成形精度が自動運転技術の性能に直結する。「TR05」の採用により、センサーの性能向上に寄与するものと期待される。
同社は、自動運転の普及を加速させている中国市場での拡販に取り組むとしている。具体的にEV/PHEV販売台数世界トップの中国の比亜迪汽車工業有限公司(BYD)では、高級EV車「HanEV」に前方3個、後方3個、計6個のLiDAR(3次元センサー)を搭載している。中国ではレベル4の完全自動運転タクシーも2023年にサービスが開始され、一般車両でも運用が始まりつつある。また諸外国でも実証実験が相次いでおり、本格的な生産拡大が期待される。なお「TR05」は車載だけでなく防犯監視カメラ向け赤外線レンズ用金型用途などにも利用される。さらにマイクロ流路金型、特殊光学素子の成形にも採用されており、多方面での採用にも期待が持たれる。2024年から販売を始め、2025年3月期には売上高100百万円を目指すとしている。2026年3月期以降の本格的な拡大が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
■富士ダイス<6167>的中長期成長戰略
3. 「脫碳社會與循環型社會的貢獻」
我們認爲,該公司擁有非常優秀的技術和製造方法,但迄今爲止並未能有效挖掘客戶需求,從而錯失了業務擴展的機會。能否通過包括境外的客戶需求獲取、並利用M&A和合作等方式擴大銷售渠道,加速業務擴展將是一個關鍵點。該公司作爲「脫碳社會與循環型社會的貢獻」,計劃在下一代能源/下一代汽車/資源節約/回收利用等四個領域進行積極的產品開發和市場投入。尤其預計將重點關注下一代汽車。不過總體來看,許多項目預計將在2027年3月期後大幅盛開,因此預計對新中期經營計劃的貢獻會相對有限。
(1) 下一代汽車
在下一代汽車方面,開發已經結束,目標是大規模銷售的電機核心模具用「藤羅伊 VG48」,以及新近發佈的新材料「藤羅伊 VG51」。該公司的V系列特點是具有優異的耐磨性和破壞韌性平衡,兼具電機核心模具所需的耐久性和精度。目前該公司的V系列被廣泛使用,約佔公司營業收入的20%。
「藤羅伊 VG51」是針對在電火花線切割機中使用水作爲加工液進行長時間水切割線放電加工而設計的產品。與通用材料相比,其耐腐蝕性和韌性優異,進行長時間水切割線放電加工時,與通用材料相比,部分產生的深腐蝕得以抑制。因此,與由於腐蝕對策而進行油切加工相比,減少了加工時間,有望降低模具製造成本。由於電火花線切割加工需要精密且複雜的長時間加工模具製造,因此「藤羅伊 VG51」被預計爲差異化產品,營業收入將擴展。
該公司正在前瞻性開發打孔模具材料,以提前掌握客戶的動態,轉向用非晶金屬開發高性能電機。電機輸出與扭矩和轉速的乘積成正比,電機的規格由最大扭矩決定,因此通過提高轉速,可以在同等輸出下實現小型化和輕量化,但高速旋轉化的難題在於渦流增大導致鐵損增加,從而導致電機損失增加。因此,爲了打孔該薄板鋼板,需要將WC粒度細化到納米級別,已經開始生產銷售的納米微粒超硬合金「藤羅伊FS06」等需求也在增加。
通過增加這些新產品組,該公司預計在電機核心領域進一步加快營業收入。目前,該公司在下一代汽車領域的營業收入,以2020年3月期爲100,預計到2024年3月期將擴展到120至130。競爭對手包括兵庫縣的共立合金製造公司、三鋁工業公司、銀羅伊公司、岡山縣的東佳羅伊控股公司等未上市企業,而超硬合金巨頭住友電氣工業和三菱材料等尚未進入。這意味着,目前佔營業收入約17%的交通機械用電機核心模具和附屬產品,預計在該領域的營業收入構成比將提升。此外,這些超硬合金除了傳統的國內市場外,還在加強向中國市場的電機核心模具用材料銷售。位於東莞的新營業據點在中國市場的銷售擴展,將與國內下一代汽車生產的全面擴展以及境外高端電動車用電機核心模具母材銷售形成有效的聯繫,並預計整體佔模具和工具用材料銷售的約14%。
此外,高熱膨脹透鏡用模具(TR合金)也進入了全面擴展階段。具體而言,隨着無人駕駛技術的進展,傳感器用透鏡的需求正在增加。爲了應對這種用途,需要模具具有高熱膨脹係數、耐磨性和加工精度,以便熱膨脹能夠跟隨所需成型的透鏡材料。對此,公司開發的TR系列(模具用硬質材料)作爲滿足這些要求的新材料被提出。以「TR05」爲首的TR系列因其具有接近玻璃的熱膨脹係數,從而提高了生產效率,採用量也在增加。無人駕駛用傳感器使用紅外透過透鏡進行高精度的環境識別,因此成型精度直接影響無人駕駛技術的性能。預計採用「TR05」將有助於提高傳感器的性能。
公司表示,將在中國市場加速推廣無人駕駛的普及。具體而言,全球電動汽車/插電式混合動力車銷售量位居首位的中國比亞迪汽車工業有限公司(BYD),在高檔電動汽車「HanEV」上搭載了前方3個、後方3個,共計6個激光雷達(3D傳感器)。在中國,2023年將開始提供Level 4的完全無人駕駛出租車服務,並且一般車輛的運行也正在逐步展開。此外,在其他國家的驗證實驗也在不斷進行,期待能有全面的生產擴展。值得一提的是,「TR05」不僅用於車載,還應用於防犯監控攝像頭的紅外透鏡用模具等。此外,TR05還被採用於微流路模具及特殊光學元件的成型,期待在多個領域的應用。預計將於2024年開始銷售,並計劃在2025年3月期實現100百萬日元的營業收入。2026年3月期後的全面擴展也備受關注。
(撰寫:富時客座分析師 岡本 弘)