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高年収企業に共通する特徴は何か?

その答えは「生産性」といえるだろう。本特集で紹介する勝ち組企業は、いずれも高い生産性を備えているのだ。
 具体的には、高年収企業では売上高を従業員数で割った「1人当たり売上高」が高水準にある。というのも、ざっくり言えば、これがその企業で働く従業員の給料の原資にほかならないからだ。
 中でも、「超高収益&高年収」で知られるFA(ファクトリーオートメーション)企業、キーエンスの生産性はずぬけている。
 キーエンスは、2022年3月期まで8期連続で営業利益率50%以上を記録中。そして、連結売上高は10期前と比べ3.8倍、営業利益は同4.6倍という急拡大ぶりだ。市場での評価も高く、時価総額はこのところ、あのソニーグループと上場企業3、4位の座を争う立場にいる。
 業績以上に同社を有名にしているのが、年収の高さ。直近の平均年収は2183万円に上り、国内上場企業2位だ。その超高待遇を支えるのが高い生産性、つまり、冒頭で述べた「1人当たり売上高」なのだ。直近では8427万円(22年3月期、連結ベース)に上り、10期前の12年3月期での5828万円から爆増している。

 もはや異様ともいえるのが、連結従業員数が3420人(12年3月期)→6602人(18年3月期)→8961人(22年3月期)と激増してきたにもかかわらず、生産性も向上を続けていること。
 通常なら、人員が大きく増えれば、売上高は伸びるものの生産性が低下することは珍しくない。もともと高水準であったならなおさらだ。それが、人を増やしても向上し、さらには人件費を除いた営業利益ベースで見ても、営業利益率50%以上を保ち続けている。
 規模を拡大しても、キーエンスが生産性と高給を維持できる秘訣とは何なのか――。その強さの秘密は「営業力」にある。「何だ、そんな単純なことか」と思わないでほしい。営業というと根性論がまかり通り、俗人的な能力によるところが多いのではと誤解されそうだが、同社の営業が強いのは、徹底的に「仕組み化」しているところにある。
 一方でこれほどの高待遇でありながら、強さの裏返しといえるような、ある理由から、若手の他社への転職も活発だという。さらには、給料の構造上、場合によっては「手取りで月給13万円」まで下がった例もあるというから驚きだ。
 次ページでは、「最強の営業部隊」を最大化する独自モデルや超合理的な社風をひもとくとともに、現場の社員の生の声を通じて待遇や働き方のリアルに肉薄。今や日本を代表する企業でありながら、情報開示に消極的で謎めいた点も多いキーエンスの、「超高年収&高収益」たるゆえんを解き明かす。
高年収企業に共通する特徴は何か?
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