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日本株大相場の一翼を担った低PBR株投資は本物

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太郎丸 コラムを発表しました · 2023/07/31 02:31
日本株は米国株に勝るとも劣らない好パフォーマンス
米株市場は今年入り、本格反転の動きを見せてきたなか、米国株に勝るとも劣らない上昇トレンドを続けてきたのは他でもない、日本株だった。今年上期の世界主要指数の騰落率をみると、ナスダック総合指数の約+32%を筆頭に、日経平均は約+27%とすぐ後に続いた。日本株の大幅な水準訂正を巡り、バフェット氏による大手商社株式の買い増しに代表されるバフェット効果が大きく寄与したとみられるほか、企業業績の好決算、金融不安の後退、日銀による量的緩和の継続、自社株買い、など様々なポジティブ要因が取り上げられた。中でも、東京証券取引所が打ち出したPBR1倍割れ改善要請は、名実ともに上場銘柄のバリュー向上に大きく寄与した模様だ。
日本株大相場の一翼を担った低PBR株投資は本物
東証主導による低PBR改善要請
日本株の場合、1株あたりの純資産に対して株価が何倍かを表すPBR(株価純資産倍率)と呼ばれる投資指標が1倍を下回る企業が数多くおり、長らく相場低迷に喘いできた東京株式市場の主な課題として浮き彫りになった。東京証券取引所は今年1月、低PBRの上場企業に対し改善を求める方針を明らかにしたと共に、3月31日には、プライム市場とスタンダード市場に上場する約3300社向けに、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」と銘打たれた通知文が発出された。企業経営者に対して、株価の上昇や資本コストの効率経営( ROE8%以上)を意識した経営を求めるという例を見ない要請文だった。
ROEに続き、資本コストの効率経営が企業の経営目標として浮上
2014年8月に公表された伊藤レポートには、企業はROE (株主資本利益率 ) を重視する経営をすべきとの提言が示されたなか、 ROEの目標水準を8%と掲げられたことは、日本の上場企業の間ではコンセンサスとなっている。一方、株価上昇を目指すには、 ROEを上げるだけでは足りず、株主の要求リターンである資本コストを超えないと企業価値を高めることが出来ない。資本コスト経営は上場企業のコンセンサスとして醸成されていないことを踏まえて、東証が資本コストを意識した経営を要請に至った所以だ。
自社株買いが PBR改善に直結
PBRはPER(株価収益率)とROE(自己資本利益率)を掛け合わせた値である。 PERが一定とした場合、ROEを高めることでPBRは上昇する。 PERは投資家または市場全体の主観的なコンセンサスで決まる傾向にあることに対して、ROEは外部による評価ではなく、企業の経営努力を以て高めることができる。 ROEとは、売上高純利益率と総資産回転率、財務レバレッジといった3要素で分解したものだ。即ち、利益を上げ、資産を減らし、借金を増やすことがPBRを引き上げる方法となる。一方で、利益の創出は一朝一夕のことではなく、借金を増やすことも現実的ではないことから、320兆円(2021年3月時点)に上る民間事業法人の現預金残高を減らすことが PBRの上昇に繋がることになる。東証は上場企業に対して、株価を意識した経営を要請したことは、即ち自社株買いの要請を突き付けた格好だった。
日本株大相場の一翼を担った低PBR株投資は本物
低いPBRと高いROEを備え持つINPEX社を例に取ると
鉱業最大手として知られるINPEX(1605)は、国内外で原油・ガス開発生産を手掛けている。同社のPBRや ROEはそれぞれ0.57倍、13.7%(7/19) )だった。典型的な低PBR銘柄の同社は、2022年に700億円の自社株買い実施に続いて、今年は前年比499億9995万増の1199億9990万円の自己株式取得枠を設定した。積極的な資本コストの効率経営(ROEは8%以上)を受けて、同社株価の水準訂正が大きく行われた。今年年初時点(1337円)、52週安値圏で推移した同社株価は、足元では1704円(7/19)と、52週高値を連日更新した。
日本株大相場の一翼を担った低PBR株投資は本物
日本株大相場の一翼を担った低PBR株投資は本物
日本株大相場の一翼を担った低PBR株投資は本物
上場企業の自社株買いが一段と活発に
上場企業による自社株買いの動きが活発だ。2022年の自社株買い実施額は9兆5,467億円、前年度比+2兆4,201億円、同34%増と過去最高となったなか、自社株買い実施社数と1社あたりの金額が増えた。また、SMBC日興証券のまとめによると、上場企業が今年1月~5月16日に発表した自社株買いの設定額は4.6兆円規模に達し、2023年自社株買い額は、過去最高だった2022年と並ぶ高水準になる見通しが明らかとなった。
自社株買い実施社数推移
日本株大相場の一翼を担った低PBR株投資は本物
2023年自社株買い枠設定額上位10傑
2023年自社株買い枠設定額上位10傑
自社株買いが株価に反映されやすい
上場企業による自社株買いに対する評価は株価の動きにも表れている。大和証券のまとめによると、4月から5月19日までの期間にTOPIX500銘柄のうち、自社株買いを発表したのは91社で、うち半分はPBR1倍割れの企業だった。全体の7割にあたる66社の同期間における株価上昇率がTOPIXを上回って推移した。
自社株買い発表で株価上昇が目立つ(5/29)
日本株大相場の一翼を担った低PBR株投資は本物
PBR1倍改善は道半ば
日本取引所グループがまとめた2022年12月末時点の単純PBRや2023年6月末時点の単純PBRデータによると 、東証市場全体の単純PBRは1.1倍から1.2倍の上昇にとどまった。市場別では、プライム市場は1.5倍から1.7倍、スタンダード市場は0.8倍から0.9倍、グロース市場は4.3倍から5.0倍に上昇した。一方、7月19日時点の日経新聞の有料会員データによると、プライム市場36業種1611社のうち、 PBR1倍割れ企業は841社と、全体の52%を占めている。うち、パルプ・紙、石油、鉄鋼、海運、ガスの5つ業種は全社のPBRが1倍を下回ったままだ。因みに、なお、2023 年 5 月末時点の米株市場では、 PBR1 倍未満の上場企業の割合が約 19%であることを踏まえて、日本上場会社による PBR引き上げ余地が大きいと言えよう。積極的な自社株買いや資本効率経営に取り組むPBR1倍割れ銘柄の投資妙味がますます高まると考えられる。
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