上昇確率90％！米国株、年末ラリーの舞台は整ったか　12月の狙い目銘柄は？

米国株は今年に入ってから、過去最高値を更新しているが、最近の顕著なパフォーマンスと歴史的なトレンドを考慮すると、市場のセンチメントは高揚しており、年末まで依然として上昇の余地がありそうだ。

先月の米大統領選が引き金となり、米国株式市場は一気に活況を呈した。ダウ平均は7.5％の上昇を記録し、45,000ポイントの節目を達成した。ナスダック総合指数とS&P500種指数はいぜれも5%以上の上昇を記録した。今年に入ってから、 $S&P 500 Index (.SPX.US)$はほぼ5日ごとに新たな記録を記録を打ち立て、既に54回の最高値を更新した。 $NYダウ (.DJI.US)$やナスダック100指数もこれに続いた。小型株のラッセル2000指数は、過去2週間でS&P500指数のほぼ2倍のパフォーマンスを示した。

投資家は、トランプ次期大統領の企業寄りの政策が経済成長と企業利益を刺激するとの期待を織り込んだ。同時に、利下げ期待が資金の市場流入を後押しし、一部の機関は年末や来年の株価指数目標を引き上げ始めている。

歴史を振り返てみると、この上昇基調が続く可能性が高いという。

S&P500が今年1月から11月まですでに26.47%上昇している。過去のデータによれば、S&P500が前11カ月で少なくとも20%上昇した過去10回のうち9回は、12月にさらなる上昇を達成しており、その平均上昇率は2.4%で、上昇する確率は90%に達している。

Ned Davis Researchによれば、11月までの好調な相場は、通常、年末の月に良い兆候を示すという。米国チーフストラテジストのEd Clissold氏は、「一貫してよく検証されてきた格言の一つは、『勢いは価格をリードする』というものだ。大きな上昇の後にはさらなる上昇が続く傾向がある。…2024年末までは強気である」。

そして、今年の特徴は、大統領選挙が強気のセンチメントを高めたことだ。Detrick氏によれば、S&P500にとって12月は、大統領選挙年において、11月（つまり選挙月）に次いで2番目に良い月であり、1950年以降の平均リターンは1.3％。今年の選挙月に米国株がさらに急騰したことを考慮すると、この状況が再現されているようだ。また、注目すべきは、大統領選挙年の12月にS&P500指数が上昇する確率は83.3%であり、選挙年で最も上昇しやすい月だ。

CFRAのSam Stovall氏によると、12月はS&P500にとって最も安定して上昇する月であり、上昇の確率が最も高いとされている。また、ボラティリティも最も低く、第二次世界大戦以降の他の月の平均より40％近く低い。

米大統領選挙の影響を排除し、確率の観点から見ると、12月より上昇する可能性が高い月はないことが分かる。Detrickによれば、過去70年以上にわたり、S&P500が12月に上昇する確率は約75%に達している。

さらに注目すべき点として、米国株式市場において、12月の上昇のほとんどが月の後半に起こる傾向がある。これは主にウォール街で「サンタクロース・ラリー」と呼ばれる季節的な現象によるものだ。過去のデータによれば、クリスマス後の7営業日、つまり年末の5営業日と翌年の最初の2営業日には、投資家が買いを入れる傾向があり、米国株は高い確率で上昇する。過去70年間で、S&P500はこの7営業日において80%の確率で上昇している。

現在、いくつかの楽観的な兆候が見られる。最近の米経済は、GDPや雇用が堅調であり、インフレも大幅に緩和している。これは、かつてエコノミストたちがほぼ不可能と考えていた「ソフトランディング」を実現し、株式市場の力強い回復の基盤を築いている。米FRBが市場予想に反して大幅な利下げを行わなかったにもかかわらず、S&P500は今年に入ってからも良好な上昇を維持している。

歴史的に見ると、S&P500種株価指数、ダウ工業株30種平均、ナスダック総合指数はいずれも12月に上昇する確率が高い。また、ラッセル2000に興味があるなら、勝率とリターン（2.8％）の両方が最も高いことは注目に値する。

実際、11月から現在までにラッセル2000指数は約11%上昇しており、同期間のS&P500の上昇率6%を上回っている。年初来では、関連銘柄の $バンガード・米国スモールキャップ・グロースETF (VBK.US)$が25.3％、 $iShares Russell 2000 Growth ETF (IWO.US)$が25.6％上昇しており、S&P500の上昇率に近い数値を示している。

その他、11月のラッセル2000構成銘柄の上昇幅を見ると、投資家にとって魅力的な投資機会が提供されていることがわかる。

・上昇率トップに立ったのは、アメリカのバイオ医薬品企業である $ポセイダ・セラピューティクス (PSTX.US)$だ。11月に株価は約3倍の上昇を記録した。同社は、 $ROCHE HOLDING AG (RHHBY.US)$により、株式総額約15億ドルで買収される予定で、この取引は2025年第1四半期に完了する見込みだ。

・2位は、空飛ぶタクシーを製造する $アーチャー・アビエーション・インク (ACHR.US)$で、11月には株価が2倍以上に上昇。同社は商業化の取り組みで大きな進展を遂げており、軍用市場にも照準を合わせている。すでに米軍から約1億4200万ドルの注文を受けており、将来の成長に向けて確固たる基盤を築いている。

・3位は、米国の燃料電池大手、 $ブルーム・エナジー クラスA (BE.US)$で、11月の上昇率は186%に達した。Bloom Energyは、米電力会社AEPと1GWの契約を締結したと発表した。これは燃料電池分野で最大規模の商業調達であり、AIデータセンターがSOFC（固体酸化物形燃料電池）による電力供給を本格的に導入し始めていることを示している。

・4位は、量子コンピューティング関連株の $D ウェーブ クオンタム (QBTS.US)$で、11月の上昇率は185%に達した。 $アマゾン･ドットコム (AMZN.US)$傘下のクラウドコンピューティングプラットフォームであるAWSがQuantum Embarkプログラムを発表したことが、量子コンピューティング関連株の急騰を促した。

・5位は、バイオ医薬品企業の $オメロス (OMER.US)$で、11月の上昇率は180%に達した。同社は炎症、中枢神経系、および凝固障害の分野に特化した臨床段階のバイオ医薬品企業だ。第3四半期の業績が市場予想を上回ったことに加え、製品開発でも進展があり、narsoplimabの生物製品承認申請の再提出に向けた道筋がついた。これは将来の新たな収益源となる可能性を示している。

アナリストは、小型株が再び歴史的高値に接近しているのは、トランプ政権の政策、特に減税政策が米経済の成長を後押しするという投資家の期待によるものだと分析している。Morningstarのインデックスストラテジスト、Dan Lefkovitz氏は以前、小型株は主に金融サービス、基礎素材、一般消費財、不動産など「アメリカ中心で経済に敏感な」市場セクターにあり、これらのセクターはトランプ氏の政策下で好業績を上げる可能性が高いと述べた。

また、最近では量子コンピューティング、宇宙、そして原子力発電関連株という三大「最先端技術」も最近非常に力強い上昇を見せている。

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上記の3つの産業に加えて、AIの後半戦も本格的に始動した。ゴールドマン・サックスによれば、AI相場は4段階に分類されており、次なる爆発的成長の局面は、より広範なAI「第3段階」アプリケーションの推進と収益化に移行するという。

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