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米労働市場の軟化が漸く見えてきたものの、利下げまでの道程は未だに遠い

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太郎丸 コラムを発表しました · 2023/08/31 01:15
米労働市場の軟化を裏付ける統計が相次ぐ 
米雇用情勢は徐々に軟化している様子を裏付けるデータが相次いでいる。8/4に発表された米7月雇用統計では、非農業部門雇用者数は2カ月連続で20万人を下回り、雇用の増加幅はほぼコロナ禍前の水準に戻ったという。9/1に米8月雇用統計の発表に先立ち、米労働省が8/29に公表したJOLTS(雇用動態調査)の求人件数は7月が882.7万件と市場予想(950万人)を下回ったほか、6月分も下方修正され、3カ月連続で1000万件を下回った。 JOLTSは2021年3月以来の低い水準となったなか、求職者との比較でなお300万件多く、求人倍率(1.5倍)はコロナ禍前2019年の1.2倍に比べ、求人件数は依然として高水準にある。また、8/29に発表された8月ADP民間雇用者数は17万7000人増加と、市場予想(19.6万人)を下回り、増加幅は直近5カ月のうち最小にとどまった。 
JOLTS求人件数の長期推移(単位:1000人)
JOLTS求人件数の長期推移(単位:1000人)
FRBが想定したほど米雇用市場はタイトではない可能性も 
米労働省は8/23、 QCEW(四半期雇用・賃金調査)に基づいで、2023年3月まで1年間の雇用者数(速報値)を下方修正した。米雇用者は1年間に亙り、月33万7,000人のペースで増加したものの、米労働省の見直しにより月間約31万人に下方修正された。年間併せて30.6万人程度の下方修正となったが、JPモルガンの事前予想(50万人)を下回った。QCEWは3か月ごとに公表され、すべての雇用者が加入する州の失業保険料支払いデータをカバーしており、遅効性データではあるが、より正確な雇用データが反映されるという。米年間雇用者数の修正は、来年2月の確報値発表で一段の下方修正が行われる可能性もある。足元の雇用関連データは例外なく米労働市場の軟化を示したことから、FRBによる利上げ打ち止めのヒントとして強く意識されることになるだろう。  
雇用軟化に対して、家賃インフレのぶり返しに警戒 
米S&Pが8/29に発表した6月のS&Pコアロジック・ケース・シラー指数では、全米の住宅価格(季節調整後)が前月比で0.7%上昇となり、5カ月連続で上昇した。これに先立ち、米連邦住宅金融庁(FHFA)が8/27に発表した米6月住宅指数は前年同月比3.1%上昇(5月は同+2.9%)だった。同指数は2022年2月以来、15か月連続で伸び率の鈍化を見せてきたが、鈍化トレンドに終止符が打たれた形だ。足元の米30年住宅ローン金利7.2%台と、20年数年ぶりの高い水準での推移にも関わらず、米住宅価格が下落に転じないことは、家賃インフレ伸び率の鈍化傾向が楽観を許さないことになる。FRBによる利上げに伴い、米住宅ローン金利が一挙に上昇したなか、住宅ローン金利が4%以下のローン契約者は全体の8割強を占めており、預金金利との金利裁定を享受する住宅ローン契約者は住宅の買い替えに慎重となる。米7月中古住宅の販売件数は前年同月比で17%減となった一方で、価格は同1.9%上昇した。 中古住宅の在庫が枯渇した結果、市場全体で新築販売比率が1割から3割前後に上昇したという。足元では、米戸建て住宅の着工件数が急増に転じており、バフェット氏がポートフォリオに組み込んだ住宅メーカー3社が恩恵に与る格好だ。米家賃の伸び率は、今年3月の8.2%をピークに、7月には伸び率が7.8%に鈍化しているが、米住宅市場が再び回復していることから、家賃インフレは強い粘着性を見せる公算だ。9月会合で追加利上げがなくても、FRBによる利下げへの舵切りは相当先のことになりそうだ。 
米中古住宅販売件数推移(百万戸)
米中古住宅販売件数推移(百万戸)
米住宅着工件数推移(百万戸)
米住宅着工件数推移(百万戸)
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