【決算まとめ】AMD、AI半導体好調!エヌビディアの背中はまだ遠いか 25年はペース加速見込み
$アドバンスト・マイクロ・デバイシズ (AMD.US)$ が10月29日引け後に決算を発表。株価は、時間外取引で7.6%下落した。
◇7-9月期業績はAI半導体の好調で市場予想を上回ったが、10-12月期売上高見通しが市場予想を下回った。
◇会社側は今年のAI半導体売上高見通しを従来の45億ドルから50億ドルに上方修正した。ただし、その引き上げ幅は、会社全体の勢い鈍化懸念を相殺するまでには至らず、 $エヌビディア (NVDA.US)$ の勢いに比べると劣る感は否めなかった。
◇会社側は今年のAI半導体売上高見通しを従来の45億ドルから50億ドルに上方修正した。ただし、その引き上げ幅は、会社全体の勢い鈍化懸念を相殺するまでには至らず、 $エヌビディア (NVDA.US)$ の勢いに比べると劣る感は否めなかった。
決算ハイライト
● 7-9月期実績:予想上振れ
◇調整後EPS(1株当たり利益):0.92ドル、市場予想は0.92ドル
◇売上高:68.2億ドル、前年同期比で18%増、市場予想は67.1億ドル
・データセンターとクライアント部門の増収が、ゲームと組み込み部門の減収を部分的に相殺した。
・データセンター部門は前年同期比122%増収で好調。クライアントも29%増収で堅調だったが、ゲーム部門は69%の減収、組み込み部門は25%の減収となった。
● 7-9月期実績:予想上振れ
◇調整後EPS(1株当たり利益):0.92ドル、市場予想は0.92ドル
◇売上高:68.2億ドル、前年同期比で18%増、市場予想は67.1億ドル
・データセンターとクライアント部門の増収が、ゲームと組み込み部門の減収を部分的に相殺した。
・データセンター部門は前年同期比122%増収で好調。クライアントも29%増収で堅調だったが、ゲーム部門は69%の減収、組み込み部門は25%の減収となった。
● 10-12月期見通し:予想下振れ
◇売上高:75億ドル±3億ドル、市場予想は75.5億ドル、中央値で市場予想をやや下回った。会社側はデータセンターとクライアント部門の好調は続くと見込んでいる。ゲームと組み込み部門は前四半期比でみた場合、より控えめな成長となるだろうと示した。
◇調整後粗利益率:約54%、市場予想は54.2%
◇売上高:75億ドル±3億ドル、市場予想は75.5億ドル、中央値で市場予想をやや下回った。会社側はデータセンターとクライアント部門の好調は続くと見込んでいる。ゲームと組み込み部門は前四半期比でみた場合、より控えめな成長となるだろうと示した。
◇調整後粗利益率:約54%、市場予想は54.2%
● 2024年のAI半導体売上高見通し
◇会社側は今年のAI半導体売上高見通しを従来の45億ドルから50億ドルに上方修正した。ただ、5億ドルの引き上げ幅は、事業全体の勢い鈍化懸念を相殺するまでには至らなかった。
◇50億ドルのうち、初期の牽引力は主に推論によるものだ。ただ、トレーニングの採用もいくつかあり、今後数四半期にわたって成長し続けると予想している。1年後は、トレーニングと推論の間でかなりバランスの取れたポートフォリオが完成すると思う(リサ・スーCEO)。
◇会社側は今年のAI半導体売上高見通しを従来の45億ドルから50億ドルに上方修正した。ただ、5億ドルの引き上げ幅は、事業全体の勢い鈍化懸念を相殺するまでには至らなかった。
◇50億ドルのうち、初期の牽引力は主に推論によるものだ。ただ、トレーニングの採用もいくつかあり、今後数四半期にわたって成長し続けると予想している。1年後は、トレーニングと推論の間でかなりバランスの取れたポートフォリオが完成すると思う(リサ・スーCEO)。
(競合のエヌビディアがAI半導体市場でほぼ独占的立場を得たのは、同社の初期製品がトレーニングに最適だったためだ。AIデータセンターの立ち上げ時はトレーニングに対する需要が圧倒的に大きい。その後の運営においては、推論に対する需要が大きくなる。エヌビディアは2024年初めの決算説明会で推論の比率が4割に達していると示した。推論のおいても同社製品が活用されていることを示し、一部専門家の懸念を払しょくした。なお今回のAMDの決算からは、AMDもトレーニングと推論の双方において需要を取り込み始めていることが示唆された。市場のパイが大きくなっている中で、エヌビディアほどではないが、AMDも一定のシェアを獲得していることが示された。)
主力のデータセンター部門は好調
● データセンター部門全体
◇データセンター部門の売上高は7-9月期に前年同期比で122%増加し、過去最高の35億ドルとなった。市場予想の34.6億ドルを上回った。
◇売上全体に占める比率は52%となり、四半期ベースで初めて半分以上を占めるようになった。
◇データセンター部門の好調は、主にAI半導体の「Instinct GPU」の出荷大幅増とCPUの売上増加によるものだ。
● データセンター部門全体
◇データセンター部門の売上高は7-9月期に前年同期比で122%増加し、過去最高の35億ドルとなった。市場予想の34.6億ドルを上回った。
◇売上全体に占める比率は52%となり、四半期ベースで初めて半分以上を占めるようになった。
◇データセンター部門の好調は、主にAI半導体の「Instinct GPU」の出荷大幅増とCPUの売上増加によるものだ。
● AIデータセンター事業(主にエヌビディアと競合)
◇クラウドやOEMなどによるMI300X(エヌビディア製H100への対抗品)の採用が拡大したため、データセンターGPUの収益が急拡大した。GPU事業はCPU事業の規模に近づいている。
◇ $マイクロソフト (MSFT.US)$ と $メタ・プラットフォームズ (META.US)$ は、社内ワークロードを強化するためにMI300Xの使用を拡大した。
◇クラウドやOEMなどによるMI300X(エヌビディア製H100への対抗品)の採用が拡大したため、データセンターGPUの収益が急拡大した。GPU事業はCPU事業の規模に近づいている。
◇ $マイクロソフト (MSFT.US)$ と $メタ・プラットフォームズ (META.US)$ は、社内ワークロードを強化するためにMI300Xの使用を拡大した。
(マイクロソフトやメタはエヌビディア製品を大量に購入していると同時に、AMD製品も使用している。AI半導体をめぐっては、依然として需要が供給を上回っている。)
● サーバー向けCPU事業(主にインテルと競合)
◇エンタープライズの受注が加速し、クラウドプロバイダーがインフラストラクチャ全体でEPYC CPUの使用を拡大。
◇第5世代EPYCプロセッサの初期導入を開始したため、この四半期にサーバーCPUシェアを獲得できたと会社側はみている。
◇エンタープライズの受注が加速し、クラウドプロバイダーがインフラストラクチャ全体でEPYC CPUの使用を拡大。
◇第5世代EPYCプロセッサの初期導入を開始したため、この四半期にサーバーCPUシェアを獲得できたと会社側はみている。
AI半導体のロードマップ
◇今月初めに次世代MI325X GPUをリリースした。これにより、メモリ容量と帯域幅の優位性が拡大し、H200(エヌビディア製品)と比較して最大20%高い推論パフォーマンスと競争力のあるトレーニング パフォーマンスが実現する。MI325Xに対する顧客とパートナーの関心は高まっている。
◇MI325Xの生産出荷は今四半期に開始される予定で、2025年1-3月期から $デル・テクノロジーズ (DELL.US)$ や $ヒューレット・パッカード・エンタープライズ (HPE.US)$ 、 $LENOVO GROUP LTD (LNVGY.US)$ 、 $スーパー・マイクロ・コンピューター (SMCI.US)$などから幅広いシステムが入手可能になる。
◇長期的には、製品開発ペースを加速し、毎年新しいInstinct製品を提供する。次世代MI350シリーズは非常に好調で、2025年後半の発売に向けて順調に進んでいる。
◇今月初めに次世代MI325X GPUをリリースした。これにより、メモリ容量と帯域幅の優位性が拡大し、H200(エヌビディア製品)と比較して最大20%高い推論パフォーマンスと競争力のあるトレーニング パフォーマンスが実現する。MI325Xに対する顧客とパートナーの関心は高まっている。
◇MI325Xの生産出荷は今四半期に開始される予定で、2025年1-3月期から $デル・テクノロジーズ (DELL.US)$ や $ヒューレット・パッカード・エンタープライズ (HPE.US)$ 、 $LENOVO GROUP LTD (LNVGY.US)$ 、 $スーパー・マイクロ・コンピューター (SMCI.US)$などから幅広いシステムが入手可能になる。
◇長期的には、製品開発ペースを加速し、毎年新しいInstinct製品を提供する。次世代MI350シリーズは非常に好調で、2025年後半の発売に向けて順調に進んでいる。
決算説明会でのリサ・スーCEOの主なコメント
◇ AI半導体の市場規模
AIの急速な導入によって飛躍的に拡大し、高性能コンピューティングが日常生活にさらに不可欠なものとなる新しい体験が可能になる。データセンターだけでも、AI半導体のTAM(実現可能な最大の市場規模)は年間60%以上成長し、2028年には5,000億ドルに達すると予想している。これは2023年の半導体業界全体の年間売上高に相当する。◇ AI半導体の市場規模
◇ エヌビディアとの競合
・MI300は発売当時はH100より遅れていた。H100はもっと長い間市場に出ていた。そして、加速ロードマップによって、そのギャップの大部分は実際に埋められた。MI325はH200(エヌビディアのH100の次世代製品)と、MI350はBlackwell(エヌビディアの最新AI半導体)と競合性が高い。
・世界全体でみると、市場は引き続き、制約を受けており(需要が供給を上回る)、特に新しい製品世代では、最初のサンプルを出荷してから実際に量産ワークロードを増強するまでに長い時間がかかる。我々の製品は簡単に導入できるため、AIワークロードのセット全体で多くの機会があると思う。
・(エヌビディアと比較して遅れている点について質問された際)あえて言えば、私はそれをチャンスとみている。来年は顧客セットとワークロードの両方を拡大する年になると思う。そして、MI400シリーズに着手すると、これは並外れた製品になると思う。
・MI300は発売当時はH100より遅れていた。H100はもっと長い間市場に出ていた。そして、加速ロードマップによって、そのギャップの大部分は実際に埋められた。MI325はH200(エヌビディアのH100の次世代製品)と、MI350はBlackwell(エヌビディアの最新AI半導体)と競合性が高い。
・世界全体でみると、市場は引き続き、制約を受けており(需要が供給を上回る)、特に新しい製品世代では、最初のサンプルを出荷してから実際に量産ワークロードを増強するまでに長い時間がかかる。我々の製品は簡単に導入できるため、AIワークロードのセット全体で多くの機会があると思う。
・(エヌビディアと比較して遅れている点について質問された際)あえて言えば、私はそれをチャンスとみている。来年は顧客セットとワークロードの両方を拡大する年になると思う。そして、MI400シリーズに着手すると、これは並外れた製品になると思う。
◇ AI半導体の供給能力
明らかに供給環境は厳しいが、当社はサプライチェーン全体にわたって生産能力を確保することに大きな成果を上げている。2025年に向けて今後数四半期にわたって、環境は引き続き厳しいと予想しているが、2025年に向けて大幅な成長も計画している。そのため、当社のサプライチェーン全体の能力には満足している。◇ AIパソコン
AIパソコンのサイクルはまだ初期段階にあるが、良い勢いが見られている。クライアント部門において、AIパソコンは当社にとってチャンスだと考えている。当社はクライアント部門は過小評価されており、消費者と企業の両方で成長する機会があると考えている。◇ 2025年の見通し
2025年については大まかに言えば、顧客とのコミュニケーションからすると、市場について非常に満足している。製品ポートフォリオは、今四半期後半にMI325を、来年後半にはMI355をリリースする予定で、年間サイクルは強化される見通しだ。アナリストたちによる目標株価
決算発表後、数人のアナリストが目標株価を引き下げた。10月30日時点の平均目標株価は184.23ドルとなっている。
決算発表後、数人のアナリストが目標株価を引き下げた。10月30日時点の平均目標株価は184.23ドルとなっている。
総合的にみると、AIブームの恩恵でAMDもAI半導体市場で一定のシェアを獲得できると予想される。ただ、今回の決算内容からはその勢いが前四半期ほどでないことが示され、短期的な業績拡大ペースはアナリストたちの予想を下回る見通しとなった。リサ・スーCEOは、製品サイクルの強化で、2025年はペースの加速を見込んでいる。同時に、Blackwellの対抗品であるMI350やその後のMI400シリーズについても自信を示した。ただ、競合のエヌビディアの勢いが強いだけに、スーCEOは今後の業績をもってそれを証明する必要があろう。バリュエーションは、12カ月先予想PER(株価収益率)が32.8倍で過去5年平均の35.1倍を下回っており、多少割安感はあると言えそうだ。
24年10月30日作成 マーケットアナリスト Julie
出所:会社資料およびBloommbergよりmoomoo証券作成
出所:会社資料およびBloommbergよりmoomoo証券作成
免責事項:このコンテンツは、Moomoo Technologies Incが情報交換及び教育目的でのみ提供するものです。
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