エヌビディア売り、アップル買いは1日限りか?2大巨頭の業績見通しや上昇余地を点検!
エヌビディア売り、アップル買い
6月11日の米国市場では、 $アップル(AAPL.US$が7.3%高と急騰し、史上最高値を更新した。一方、 $エヌビディア(NVDA.US$は史上最高値を付けた後反落し、0.8%安となった。AIブームで勝ち組の筆頭格であるエヌビディアと負け組の烙印を押されてきたアップルが逆転した格好だ。
6月11日の米国市場では、 $アップル(AAPL.US$が7.3%高と急騰し、史上最高値を更新した。一方、 $エヌビディア(NVDA.US$は史上最高値を付けた後反落し、0.8%安となった。AIブームで勝ち組の筆頭格であるエヌビディアと負け組の烙印を押されてきたアップルが逆転した格好だ。
「エヌビディア売り、アップル買い」は1日限りのものなのか、それとも新しいトレンドとして続くだろうか。それを左右する両社の業績見通しやバリュエーション、株価の上昇余地、および株式需給を総点検する。
業績見通し
●両社比較
短期・中長期的にみても、アップルよりエヌビディアの成長率が圧倒的に高い。エヌビディアはグロース株の代表格に相応しい業績の伸びが見込まれるのに対し、アップルは1桁台の業績伸びにとどまる見通し。
●両社比較
短期・中長期的にみても、アップルよりエヌビディアの成長率が圧倒的に高い。エヌビディアはグロース株の代表格に相応しい業績の伸びが見込まれるのに対し、アップルは1桁台の業績伸びにとどまる見通し。
●それぞれの業績動向
★エヌビディア★
★エヌビディア★
・業績の伸び率(予想)は絶対値でみた場合、他のグロース株に比べると今後も高水準になる見通し。他方、利益成長が爆速で伸び続ける時期は去った可能性があり、今後は伸びがやや鈍化する見通し。
・年度ベースでは今年度より来年度の伸び鈍化が顕著になる可能性がある。 $アルファベット A(GOOGL.US$や $アマゾン ドット コム(AMZN.US$、 $モルガン スタンレー(MS.US$、 $メタ プラットフォームズ A(META.US$などビッグテックによるAI向け投資が一巡する可能性があるため。ビッグテックはエヌビディアのデータセンター部門の売上高の4~5割を占める。
・ビッグテックに対する依存度低下を図るべく、エヌビディアはビッグテック以外の企業や政府機関への売り込みに力を入れている。この分野に強い $デル テクノロジーズ C(DELL.US$ との提携強化がその戦略の実施において重要な役割を果たす。この分野におけるAI導入のペースが市場予想を上回る場合、業績見通しの上方修正につながると予想される。
・足元では業績関連のニュースフローが少なく、分割というイベントも通過したため、株価の上値がやや重いかもしれない。
★アップル★
・業績の伸び率からするともはやグロース株とは言い難い。ただ、業績の底は四半期ベースで前四半期、年度ベースでは前年度だった可能性が高い。今後は緩やかながら業績回復が見込まれる。
・AI戦略の出遅れ感も業績見通しに影と落としてきたが、6月10日開始の世界開発者会議(WWDC)で待望のAI機能を発表。発表内容にサプライズはなく、6月10日は株価が下落したが、6月11日は急反発。AI機能の搭載は買い替えサイクルを促す可能性があると複数のアナリストが予想。投資判断と目標株価を引き上げたアナリストもいた。
株価水準と株価の上昇余地
★エヌビディア★(6月11日時点)
・株価終値:120.91ドル(分割後の修正株価)
・上昇余地:平均目標株価の124.71ドル対比では、約3%
(最も強気な目標株価は150ドル、24%の上昇余地を示唆)
・予想PER(株価収益率):42倍(過去平均より高く割安感はないが、一部グロース株よりは低い)
★エヌビディア★(6月11日時点)
・株価終値:120.91ドル(分割後の修正株価)
・上昇余地:平均目標株価の124.71ドル対比では、約3%
(最も強気な目標株価は150ドル、24%の上昇余地を示唆)
・予想PER(株価収益率):42倍(過去平均より高く割安感はないが、一部グロース株よりは低い)
★アップル★(6月11日時点)
・株価終値:207.15ドル
・上昇余地:平均目標株価の205.80ドル対比ではほぼなし
(最も強気な目標株価は275ドル、32%の上昇余地を示唆)
・予想PER:30倍(過去平均より高く割安感はない)
・株価終値:207.15ドル
・上昇余地:平均目標株価の205.80ドル対比ではほぼなし
(最も強気な目標株価は275ドル、32%の上昇余地を示唆)
・予想PER:30倍(過去平均より高く割安感はない)
株式の需給
★エヌビディア★
株式分割後の動きからすると、株価には上値がやや重く、出来高は分割直前より3~4割減少している。分割で個人投資家の買いが殺到するという一部の期待は肩透かしに。一定数の人は既にエヌビディア株を保有している可能性があるほか、分割前に株高を見込んですでに買いを実施した投資家もいたと思われる。なお、分割によって株式は買いやすくなるが、企業価値や株価バリュエーションは変わらない。
★エヌビディア★
株式分割後の動きからすると、株価には上値がやや重く、出来高は分割直前より3~4割減少している。分割で個人投資家の買いが殺到するという一部の期待は肩透かしに。一定数の人は既にエヌビディア株を保有している可能性があるほか、分割前に株高を見込んですでに買いを実施した投資家もいたと思われる。なお、分割によって株式は買いやすくなるが、企業価値や株価バリュエーションは変わらない。
★アップル★
WWDCが始まった6月10の出来高はWWDC前より倍近く膨らんだ。6月11日に急騰した際は、前日のさらに倍となった。AI戦略で出遅れ鮮明だったアップルが待望のAI機能を発表し、数人のアナリストが強気見通しを示したことで買いが入った。過去1~2年間におけるエヌビディアの人気ぶりとアップルの不人気さを鑑みると、アップルの保有比率が相対的に低いと思われる。それも6月11日の急反発につながった可能性がある。
WWDCが始まった6月10の出来高はWWDC前より倍近く膨らんだ。6月11日に急騰した際は、前日のさらに倍となった。AI戦略で出遅れ鮮明だったアップルが待望のAI機能を発表し、数人のアナリストが強気見通しを示したことで買いが入った。過去1~2年間におけるエヌビディアの人気ぶりとアップルの不人気さを鑑みると、アップルの保有比率が相対的に低いと思われる。それも6月11日の急反発につながった可能性がある。
なお、アルティメーター・キャピタルの創設者兼CEOであるブラッド・ガースナー氏はWWDCを前にアップル株を購入したと、CNBCの番組で明かした。同氏は「(アップルの)OpenAIとの統合は、昨日聞いた話よりも深いものになるのではないかと思う」と語った。また、「必ずしもアップルがAI競争の勝者になるとは思っていないが、同社が競争の主要プレーヤーの1つになるだろうと予想している」と述べた。
ガースナー氏は「AIスーパーサイクル」が近づいていると予測した人物の一人。2022年後半からエヌビディア株を購入した。ガースナー氏は引き続き、エヌビディアの株価が2024年、そして2025年にかけてアウトパフォームすると予想している。これはあくまでも機関投資家の動向の一例と言えよう。
上場投資信託(ETF)のリバランスもエヌビディアとアップルの需給に影響する可能性がある。エヌビディアの時価総額が一時、アップルを抜いたことが背景だ。Bloombergによると、6月14日時点でエヌビディアがアップルに対する優位を保った場合、世界最大級のテクノロジーETF(XLK)は構成銘柄の比率を調整する可能性がある(リバランスは月末)。それにより、「XLKを運用するステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズはエヌビディア株を100億ドル相当積み増す可能性がある。一方で、アップル株を約110億ドル手放す必要がある」と、Bloombergは試算した。6月14日時点の両社の時価総額に留意する必要がありそうだ。
まとめ
●平均目標株価と比較した際、 $エヌビディア(NVDA.US$の上昇余地は約3%で、 $アップル(AAPL.US$はほぼない状態にある。最も強気なアナリストの目標株価との乖離率からすると、エヌビディアは24%の上昇余地、アップルは32%の上昇余地があると試算される(いずれも6月11日時点)。
●平均目標株価と比較した際、 $エヌビディア(NVDA.US$の上昇余地は約3%で、 $アップル(AAPL.US$はほぼない状態にある。最も強気なアナリストの目標株価との乖離率からすると、エヌビディアは24%の上昇余地、アップルは32%の上昇余地があると試算される(いずれも6月11日時点)。
●バリュエーション面からすると、両社とも足元では割安感は薄い。今後の業績予想も合わせて考慮すると、エヌビディアの方がグロース株として多少の高バリュエーションは許容されやすい。調整時は中長期投資の観点から押し目買いが入りやすいかもしれない。アップルは、成長性は高くないが、ついにAI戦略を打ち出した。今後の業績サプライズや出遅れ修正への期待が持たれやすい。
●需給面ではここ2日だけの動きからすると、足元ではアップル買いの意欲の方が高いようだ。背景として、過去1~2年間におけるエヌビディアの人気ぶりとアップルの不人気さを鑑みると、アップルの保有比率が相対的に低い可能性があることが挙げられる。アップルの株高が続く場合、新規投資資金が入る可能性がある。なお、世界最大級のテクノロジーETF( $テクノロジー・セレクト・セクター SPDR ファンド(XLK.US$)のリバランスも両社の株式需給に影響を与える可能性があり、その動向には留意する必要がありそうだ(XLKもテック株投資の一つの手段と言えよう)。
●米国市場全体の動向に目を向けると、今年はエヌビディア1人勝ちの状態というより、エヌビディアのサプライヤーやAI関連ソフトウェア株、隠れAI関連銘柄の電力株が買われるなど、買いの裾野が広がっている。アップル買いにはこのような背景もある。一大技術革新となるAIブームにおいてエヌビディアだけが恩恵を受けるとは限らないためだ。加えて、エヌビディアはわずか半年で株が2倍になったため、ある程度のスピード調整(日柄や値幅調整)も必要かもしれない。ただし、当面はAIブームにおいてエヌビディアが最も恩恵を受けると予想されるのも事実だ。
●総合的にみると、中長期のAI投資においては、「AIスーパーサイクル」を予測したガースナー氏のように「エヌビディア+N」のポジションを構築するしたほうがいいかもしれない。投資家はご自身のポートフォリオ(たとえばエヌビディアへの集中度など)に照らし合わせて投資戦略を練ることも検討したい。
24年6月12日作成 マーケット・アナリスト Amelia
出所:会社資料およびBloombergよりmoomoo証券作成
出所:会社資料およびBloombergよりmoomoo証券作成
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