【決算プレビュー】アマゾン、再び大幅な増収増益か？史上最高値に戻るか

● $アマゾン ドット コム(AMZN.US)$は4月30日引け後に24年1Q（1-3月）決算を発表予定
●市場は24年1Qの売上高が前年比11.94%増の1425.63億ドル、EPSが前年比168.19%増の0.83ドルと予想
●アナリストは売上高と利益の急増を予想している
●市場がAI、コスト削減策、AWSの成長加速、広告収入の勢いに注目
●クラウドコンピューティング部門が2四半期連続で成長加速か
●広告が最も急成長する部門になる可能性

前回23年Q4の決算では、売上高は前年比14%増の1699.6億ドル、営業利益は4.8倍の132億ドルといずれも市場予想を上回った。3四半期連続の2桁増収で、2022年7－9月期以来、5四半期ぶりの高水準だった。また、公表されたQ1のガイダンスでは、力強い営業利益見通しを示した。生成AI（人工知能）機能の追加が奏功し、クラウドと電子商取引（EC）の両サービスが年末商戦期に好調に推移した。好決算を受け、時間外取引で株価は8％上昇した。

第1四半期の決算では、市場がAI、コスト削減策、AWSの成長加速、広告収入の勢いに注目している。アマゾンも2024年第1四半期ガイダンスで堅調な売上成長と収益性を予測している。

投資家は、アマゾン・ウェブ・サービス（AWS）の動向を注目する。AWSは過去数四半期に2桁台前半の伸びを記録しており、同社が最も注目している成長牽引役の1つである。アナリストは、AWSのQ1売上高は前年比15％増の245.6億ドルと予想している（23年Q4の売上高は前年比13％増の242億ドル）。これは、2021年第4四半期以来初めて、クラウドコンピューティング部門が2四半期連続で成長を加速することを意味する。

アマゾンのクラウド事業のライバルである $マイクロソフト(MSFT.US)$とグーグルの親会社である $アルファベット A(GOOGL.US)$は、アマゾンに先駆けて好調な四半期決算を発表した。マイクロソフトによると、3月四半期のAzureクラウド事業は前年比31％増となり、前四半期の30％増から加速した。一方、アルファベットは、クラウド売上高が前年同期比28％増と、前四半期の25％増から加速したと発表。マイクロソフトとグーグルの両社は、業績向上の要因としてAIとクラウド需要全体の拡大を挙げている。

アナリストは、生成AIがクラウドサービスへの企業支出を増やすと予想。つまり、アマゾン、マイクロソフト、グーグルの3大プロバイダーが、AIコンピューティングのホストの座を争っていることを意味する。

クラウド・コンピューティングにおけるAIの活用について、アマゾンはライバルのマイクロソフトやアルファベットにやや遅れをとっていると見られている。しかし、同社はここ数カ月でAIへの取り組みを強化し、AIスタートアップのAnthropicと提携し、生成AIアプリケーションを開発している。3月、アマゾンはAnthropicに27.5億ドルを追加投資し、昨年末から行われていた同社との40億ドルの取引を完了させたと発表した。AWSはAI統合の主な受益者になる見込みで、競争が激化する中、クラウド競争で優位に立つ一助になるだろう。

アマゾンの広告事業も注目を集める。広告事業は、第1四半期で最も急成長する部門になると予測されている。FactSetによると、アナリストは売上高が前年比23.5％増の117.4億ドルと予想している。同社のプライムビデオの広告展開は今年初めに開始され、急速に成長しているストリーミング広告市場においてアマゾンの地位を強化しており、長期的に数十億ドルの追加収入を計上する可能性がある。

ウェドブッシュ証券のアナリストは、プライムビデオの広告が世界中で完全に導入されれば、「65億ドルの増収」を生み出す可能性があると指摘。彼らはまた、最近の調査で、広告主の約56％が第1四半期にアマゾンへの広告支出を前年同期比で少なくとも10％増やし、4分の1は20％以上増やしたと答えたと述べた。ウェドブッシュは四半期の広告収入は前年比24.5%増、通期末までに23％増と予測している。広告事業の成功は、プライムビデオの独立したビジネスとしての成長と収益性向上に寄与する可能性が高い。

他のハイテク大手の株価が大きく急騰する一方で、アマゾンは元々、高いバリエーションを持っており、現在はさらに膨らんでいる。4月24日時点で、アマゾンの12カ月先株価収益率（PER）は39倍弱で、テスラに次いで2番目だが、エヌビディアやマイクロソフトの30倍程度より高い。

それでもアナリストらは同社の「買い」レーティングを維持している。FactSetによると、63人のアマゾン株アナリストのうち、95％が「買い」レーティングを維持している。

$バンク オブ アメリカ(BAC.US)$のJustin Post氏は、アマゾンのレーティングを「買い」、目標株価を204ドルに再表明した。注目点は、AWSと広告による成長の可能性、そして、小売部門がアウトパフォームする可能性があると述べた。同氏はまた、アマゾンの戦略的転換と業務効率化が利益率の拡大を支え、株価を押し上げると予想している。アマゾンの春季大型セールとプライム・ビデオ広告の導入が収益拡大に寄与する要因だと強調。アマゾンのP/S倍率が今年に入って上昇しているにもかかわらず、アマゾンのバリュエーションは10年平均を下回っており、倍率拡大の余地があることを示していると述べている。

ウェドブッシュのアナリストは、アマゾンの目標株価を220ドルから225ドルに引き上げた。「同社は5四半期連続で（ウォール街の）予想を上回る営業利益を記録しており、第1四半期の営業利益はアナリスト・コンセンサスを約5％上回る116億ドルになると予想している。

$シティグループ(C.US)$のアナリストはアマゾンの目標株価を215ドルから235ドルに引き上げ、「買い」レーティングを再表明した。シティは、アマゾンの小売事業が利益拡大の主な原動力となったとし、地域配送への投資により1個あたりの配送コストが下がり、輸送距離が短縮されたと指摘した。同社はまた、配送速度が向上し、アマゾンが非裁量購買のシェアを拡大するにつれ、小売業の成約率が上昇していると述べた。