【決算プレビュー】テスラQ3決算到来！「ロボタクシー」の失望売り後、業績で株価がプラスに転じるか？

● $テスラ (TSLA.US)$は日本時間10月24日5時に2024年第3四半期決算を発表する予定。
●moomooによると、市場はテスラのQ3売上高は前年同期比9.95％増の256.74億ドル、EPSは前年同期比5.96％減の0.5ドルと予想。
●Q2決算は、売上高が予想を上回ったものの、営業利益と1株当たり利益（EPS）はともに2桁の減少となった。
●注目すべき：自動車部門の売上見通し、粗利益率、エネルギー事業と「ロボタクシー」の進捗など。

米EV大手のテスラは日本時間10月24日（木）5時に2024年7-9月期（第3四半期）決算を発表する。「ロボタクシー」の発表イベントが投資家の失望売りを招き、同社株は今月に入って16％近く下落した。
バークレイズのアナリストは、ロボタクシー発表後、「テスラの焦点は、少なくとも今のところはファンダメンタルズに戻っている」とし、投資家は同社の売上見通しと利益率回復に注目すべきだと述べた。ダン・レヴィ氏率いるアナリストたちは16日の顧客向けメモに、「第3四半期の業績予想が予想を上回ることや、短期的な見通しが安定していることを考慮すると、短期的にはプラスのきっかけになる可能性があると考えている」と記している。

自動車部門の業績
Q2決算でテスラの総売上高は255億ドルと前年同期比2.3％増加したが、重要な収益源である自動車部門の売上高は前年同期比7％減の198億7800万ドルだった。 同部門の粗利益率が18％に下落し、前年同期比20％減となった。

今月2日に発表された7-9月期の世界納車台数は前年同期比6.4％増の46万2890台だった。市場予想をやや下回ったが、四半期ベースで今年初めてプラス成長に転じた。7-9月期は中国での業績が好調だったほか、世界的な高金利の影響に対抗するための融資を提供したことなどが販売の追い風になった。

上図からわかるように、2022年第4四半期以降、納車台数の成長は鈍化している。 需要減と価格戦を受け何度も値下げしたにもかかわらず、売上はそれほど伸びていない。値下げによって自動車部門の利益がさらに縮む状況だ。

ザックスのアナリストは、テスラ第3四半期の自動車部門の売上高は前年同期比13.1%増の221億9000万ドルになる見込みだが、高い生産コストと価格競争が引き続き利益率を圧迫し、粗利益率は第2四半期とほぼ変わらず、前年同期比40％減の18.3%になると予想している。

前四半期の決算説明会で、イーロン・マスク最高経営責任者（CEO）は、電気自動車での値引きがテスラを苦境に陥れているが、それは短期的な問題だと考えていると述べた。来年前半に安価なモデルを提供する予定の同社は今、コスト削減を急いでいる。

エネルギー事業の成長が続くか？
テスラのQ2エネルギー生成・貯蔵事業は、パワーウォールとメガパック需要の高まりで、9.4GWhのエネルギーを導入した。売上高が前年同期比倍増の30億1400万ドルとなり、第2四半期決算の大きなサプライズとなった。

テスラの第3四半期のエネルギー貯蔵導入量は前年同期比73.3％増の6.9GWhに達し、その収益が前年同期比39.1％増の21億7000万ドルに達するとウォール街のアナリストが予想している。

ザックスのアナリストは、同社のエネルギー事業は力強い成長軌道にあり、同社の最も高い利益率を誇る事業になると述べている。 一方、エネルギーの導入は不安定になりがちだと経営陣が述べたように、業績はウォール街の予想を大きく下回る可能性があるとHSBCは警告している。

「ロボタクシー」今後の行方？
イーロン・マスク最高経営責任者（CEO）は、自動運転タクシー「ロボタクシー」を長期戦略の中核に据える考えを明言している。だが、市場が待ち望んでいた発表イベントはショーとしては華やかだったものの、ビジネスの観点からは中身が薄かったと受け止められている。短期的な製品ロードマップの詳細が示されなく、「量産開始時期は規制当局承認次第」、期待された低価格車種「モデル2」関連情報も触れなかった点などは投資家の失望売りを招いた。

テスラがこの車両を量産する能力に疑いはないが、規制当局の承認が必要であるため、「ロボタクシー」の生産を2026年に順調に始められるかまだ不明だ。グーグルのウェイモ（Waymo）と $ゼネラルモーターズ (GM.US)$のクルーズ（Cruise）は何年も規制問題に取り組んでおり、今ようやく自動運転タクシーサービスを一部の都市で展開し始めたところだ。

自動運転タクシーの開発を手掛けているライバルと比べ、テスラの優位性は数百万台もの自社製EVから大量なの走行データを収集、活用できることにある。すべての運転シナリオにおいて、テスラは大量な走行データを活用することで自動走行技術を改善できる。それが最終的に真の差別化要因となるだろう。

長期的に見れば、テスラはようやく次の成長軌道に乗ったが、会社の成長や利益に直結するまでに投資家は数年待たないとならない。その間、投資家は同社のエネルギー貯蔵のような他の成長部門の進捗に集中すべきだ。