エヌビディアの半導体より足りない「電力」！AIデータセンター建設ラッシュで注目集める電力株は？業績見通しもチェック！

AIブームのけん引役である米ビッグテックがAI向け投資をさらに増やす計画だ。各社が直近の決算発表で明かした。テック大手の投資拡大を背景に、「米各地でデータセンターの建設が加速」していると、ウォール・ストリート・ジャーナル（WSJ）は報じた。その恩恵が期待できるとし、 $エヌビディア(NVDA.US)$ を筆頭とする半導体株はビッグテックの決算発表後に反発した。データセンターのAIデータ処理には大量な半導体が必要なためだ。

他方、今回の決算シーズンでは業種別騰落率で電力株の構成比率が高い公益が半導体株を抑えて首位に躍り出た。AIデータセンターでは、大量な電力を消費することが判明しているためだ。複数の電力企業は決算発表で、データセンター向けの電力需要は今後数年間にわたり、拡大する見通しだと示した。これらの隠れAI関連銘柄ついて、業績見通しとともに確認する。

エヌビディアの半導体より足りない「電力」！AIデータセンター建設ラッシュで注目集める電力株は？業績見通しもチェック！

電力株の株価パフォーマンスランキング
今回の決算期間中では、 $ビストラ(VST.US)$ や $AES(AES.US)$ 、 $ネクステラエナジー(NEE.US)$ 、 $NRG エナジー(NRG.US)$ 、 $コンステレーションエナジー(CEG.US)$ 、 $パブリックサービスエンタープライズグループ(PEG.US)$ など電力株の株価がそろって10％を超える上昇率となった。

データセンター向けの電力需要は拡大する見通し
電力株の株価パフォーマンスが好調なのは、データセンターの建設ラッシュに伴う電力需要の拡大期待が背景にある。「最多のデータセンターを抱える米国では、それらの電力消費に占める割合が2022年の4％から26年には6％に上昇する可能性があると、国際エネルギー機関（IEA）は述べている」（WSJ報道）。このことは、電力各社の決算からも示された。

ビストラ（VST）は5月8日の決算発表資料で、データセンターの稼働により電力需要は、2030年までに35ギガワットの追加需要が生じる可能性があると示した。

また、電力会社が「データセンター」について言及した回数は、前回の決算発表時に急上昇したが、今回はそれを上回る高水準となった。

AI銘柄の代表格である $エヌビディア(NVDA.US)$ は、AI半導体を大量に出荷する前に決算発表で「AI」への言及が急増していた。それゆえに、アナリストたちは頻出ワードに注目しており、それに関する経営陣のコメントを一つの判断材料としている。

以下では、データセンターに言及した回数の多い米電力会社のうち、業績見通しが堅調な5銘柄を取り上げる。株価はすでに年初から上昇しているため、利益確定売りに伴うスピード調整も想定されよう。他方、データセンターの建設ラッシュと好調な業績見通しを踏まえると、上昇トレンドは維持される可能性があろう。

$NRG エナジー(NRG.US)$
●業績見通し：2024年度の調整後EPSは、前年比91％増となる見通し
（EPSは1株当たり利益、Bloomberg集計の市場予想、以下同様）

●概要：電力関連会社。主に米国の発電所で構成される分散型ポートフォリオを保有・運用する。
●経営陣のコメント（データセンター関連）：

◆AIデータセンターの拡大に伴う電力需要の増加は、電動化のトレンドにおいて革新的な変化をもたらす前兆だ。
◆我々の予測では、2028年まで年率1.5%から2%の成長が見込まれており、その多くは、半導体製造からAIデータセンター、EVおよびバッテリーメーカー、自動車メーカーまで、AI製造から前例のない経済発展によってもたらすものだと考えている。
◆あるデータセンター顧客は、今後3年間で既存施設の容量を3倍に増やすことについて同社に打診している。

$ビストラ(VST.US)$
●業績見通し：2024年度の調整後EPSは、前年比51％増となる見通し

●概要：米国の電力会社。5月8日からS&P500指数の構成銘柄に。
●経営陣のコメント（データセンター関連）：

◆サードパーティの調査によると、データセンターの稼働により電力需要は、2030年までに35ギガワットに上る追加需要が生じる可能性がある。当社がサービスを提供している地域においては、データセンター以外でも需要要因は複数ある。
◆需要拡大の要因には、チップ法の影響もある。複数の大規模な半導体製造拠点の建設が進んでいることからも分かるように、産業活動の継続的な国内回帰などにより、2030年までに西テキサス州で約20ギガワットの電力需要の増加が見込まれる。

$コンステレーションエナジー(CEG.US)$
●業績見通し：2024年度の調整後EPSは、前年比45％増となる見通し

●概要：エネルギー会社。炭素を排出しないエネルギー、持続可能なソリューションを生産する。米国の原子力発電所の25%を所有しており、米国内の主要な商業・産業顧客の20%以上にエネルギーを供給している。
●経営陣のコメント（データセンター関連）：

◆データセンター顧客からの関心の高さは、過去20年間で見たことがないほどだ。データ経済と当社の原子力エネルギーは、ピーナツバターとジャムのように相性が良い。
◆原子炉のデータセンターが2026～2028年に稼働を開始し、その後拡大していく可能性がある。
◆当社は、皆さんもご存知の大手有名企業など複数の顧客と、彼らのニーズに応えるための交渉を進めている。交渉はまだ終わってはいないが、長期的かつ変革的な価値を持つ契約を締結できると期待している。

$ピーピーエルコーポレーション(PPL.US)$
●業績見通し：2024年度の調整後EPSは、前年比11％増となる見通し