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高炉業界の電炉投資拡大→黒鉛電極の需要増加視野に日本株選別

9月5日の日本株は、売り買い交錯の展開となりました。TOPIXが連日の高値を更新する状況下、利益確定売りがかさむのは当然の動きでしょう。

JFEHD(5411)が大幅安です。本日11時50分にエクイティ・ファイナンス計画を発表しました。発行株式数増加による権利希薄化が嫌気されて下げました。日本製鉄にも連想売りが出ました。

高炉メーカーの「脱炭素投資・環境保全設備への作り替え投資」の必要性は、今に始まった訳ではありません。日本製鉄もJFEHDも4日に年初来高値を付けています。JFEHDのファイナンス実施は、鉄鋼株に利益確定売りを出す契機になったのでしょう。

企業の大規模投資について、私は「資金は何に使われるか」を重視します。JFEの調達資金が何に使われるか、ここが大切です。JFEの投じる資金がビジネスを通じてどんな企業に支払われるのか、資金を得る企業の利益は増えていく可能性があります。株式投資ではそんな発想を大切にします。

本日のJFEの発表資料における文章を以下に引用します。
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「2030 年に向けた具体的な投資計画としては、西日本製鉄所倉敷地区における高効率・大型電気炉の新設や仙台製造所における既存電気炉の能力増強、東日本製鉄所千葉地区におけるステンレス用電気炉の新規導入を始めとして、電気炉の原料となる直接還元鉄を確保するための投資、高効率コークス炉への更新等の省エネ・高効率化を実現するための投資があり、2030 年に向けて、1兆円規模のCN(カーボン・ニュートラル) 関連投資」が必要になると見込んでいます。」
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電気炉の単語が何回も出てきますね。二酸化酸素の発生が抑制される電炉の生産設備が拡張されるなら、どんな企業のビジネスが増えるのか。「鉄鋼メーカーが電炉設備の新規導入を進めた際に、メリットになる企業はどこか?」――こんな発想が重要です。
例えば、電炉生産には黒鉛電極という部材が必要になります。黒鉛電極は、電炉内でスクラップを溶かして鉄を作る時、スクラップを溶かすために必要な部材です。約1600度の高温となって、スクラップを溶かすそうです。東海カーボン(5301)、日本カーボン(5302)、SECカーボン(5304)、レゾナックHD(4004)などが黒鉛電極のメーカーです。
東海カーボンは今年2月、25年12月期を最終年度とした中期経営計画を発表しました。25年12月期の営業利益690億円(22年12月期406億円)を計画しています。3年間で営業利益を約7割増やす計画です。

東海カーボンの「黒鉛電極事業」の営業利益は25年12月期190億円を計画します。前22年12月期実績(80億円)に対して今23年12月期計画は60億円と減益になります。しかし、23年12月期~25年12月期の2年間で一気に3倍強に増やす計画です。

東海カーボンの公表資料には、黒鉛電極事業の長期展望について、
◎ 二酸化炭素削減で電炉鋼の比率増(年率5%成長)
◎ 米国中心に電炉新設プロジェクトは着実に進展、中期的な高品質市場の拡大見通しは変わらず
等の記載があります。

JFEHD等高炉メーカーが電炉への投資を進めれば、黒鉛電極の市場にとってはポジティブな要因になるでしょう。

(ラジオNIKKEI解説委員 鎌田伸一)
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